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民法・第2

企業財産の管理と法務の問題(20問)

この章を解く(20問)→

物権は、会社財産を誰に主張できるかで見る

企業財産をめぐる物権の章です。物権変動の対抗要件、即時取得、留置権・質権、共有、取得時効を、3級より一段深く問います。とくに不動産と動産で対抗要件が異なる点、即時取得の要件(平穏・公然・善意・無過失)が論点になります。各問の根拠は民法の条文と照合済みです。

第2章は物権変動、即時取得、留置権、質権、共有、時効取得です。企業財産の管理では、権利があるかだけでなく、第三者に対抗できる状態かが問われます。

  • 不動産は登記、動産は引渡しを対抗要件として見る。
  • 即時取得は善意無過失と取引行為を確認する。
  • 共有物の変更・管理・保存を同じ同意要件にしない。

この章で確認する論点

2章では、物権変動と即時取得・留置権・質権・共有物の使用・所有権の取得時効を中心に20問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

民法を他資格と横断して確認する場合は、民法を学べる資格と無料問題も使えます。

  • 物権は合意だけで動く。引渡しや登記は、第三者に主張するための別の話。
  • 盗んだ物では留置権は立たない。占有の入口が不法なら、そもそも成立しない。
  • 占有を移すのが質権、移さないのが抵当権。アはこの一点を逆にしている。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

民法162条176条177条178条180条192条200条201条206条240条242条246条249条250条265条280条295条304条306条329条342条370条372条398条の2398条の3398条の4

問題と解説を読む20問・答え付き

答え・解説つきで20問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2025年12月〜2026年6月時点の法令に準拠
1物権変動と即時取得

物権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。
  • 取引行為によって平穏かつ公然に動産の占有を始めた者が、善意でかつ過失がないときは、即時にその動産について権利を取得する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
意思主義

民法第176条物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずるe-Gov原文

正しい
動産取引の保護

民法第192条取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得するe-Gov原文

ひっかけ物権は合意だけで動く。引渡しや登記は、第三者に主張するための別の話。

解説物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって効力を生ずる(意思主義。民法176条)。登記や引渡しは効力発生の要件ではなく、第三者に対抗するための要件であって、不動産は登記、動産は引渡しが対抗要件となる。アはこの176条どおりなので正しい。イは即時取得(同192条)で、取引行為によって平穏・公然に動産の占有を始めた者が善意・無過失であれば、相手が無権利者であっても即時にその動産の権利を取得する。無権利者から買ってしまった者を取引の安全のために保護する制度であり、対象が動産に限られる。これも条文どおりで正しいから、アー正、イー正となる。

補足即時取得が動産限定なのは、不動産は登記で権利者が分かり占有への信頼を保護する必要がないため。なお盗品・遺失物は例外で、被害者・遺失者は2年間の回復請求ができる(民法193条)。

2留置権

留置権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。
  • 占有が不法行為によって始まった場合であっても、占有者は留置権を行使することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
留置権

民法第295条第1項他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができるe-Gov原文

誤り
成立の限界

民法第295条第2項前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しないe-Gov原文

ひっかけ盗んだ物では留置権は立たない。占有の入口が不法なら、そもそも成立しない。

解説他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するとき、その弁済を受けるまでその物を留置できる(留置権。民法295条1項)。修理を頼まれた物について修理代金が未払いなら、修理人はその物を留置して支払いを促せる。アはこの内容どおりで正しい。これに対しイは、占有が不法行為によって始まった場合でも留置権を行使できるとするが、295条2項は「前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない」と定める。盗品を占有している者に留置権を認めるのは不当だからである。よってイは誤りで、アー正、イー誤となる。

補足留置権は公平の見地から認められる法定担保物権だが、債権が弁済期に達していなければ留置できない点も295条1項ただし書にある。

3質権

質権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 質権者は、目的物の占有を移転せず、債務者のもとに目的物を残したまま、これを担保とすることができる。
  • 質権者は、受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
占有担保

民法第342条質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有しe-Gov原文

正しい
優先弁済

民法第342条その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するe-Gov原文

ひっかけ占有を移すのが質権、移さないのが抵当権。アはこの一点を逆にしている。

解説民法342条は、質権者が「債務者又は第三者から受け取った物を占有し」、その物について他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有すると定める。アは目的物の占有を移さず債務者のもとに残すとするが、これは抵当権(同369条)の特徴であって質権ではないため誤り。質権は目的物を質権者に引き渡して占有を移す担保である。イは342条後段の優先弁済的効力そのものなので正しい。したがってアー誤、イー正となる。

補足質権者が占有を続けることには、弁済しなければ物が返らないという心理的な弁済強制の機能もある。

4共有物の使用

共有物の使用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
  • 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
持分に応じた使用

民法第249条第1項各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができるe-Gov原文

正しい
対価の償還

民法第249条第2項共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負うe-Gov原文

ひっかけ持分を超えて使った分は、合意がなければ他の共有者に対価を返す。

解説各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる(民法249条1項)。アはこのとおりで正しい。共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う(同条2項)。イもこの規定に合致し、正しい。あわせて共有物を使用する共有者は、善良な管理者の注意をもってこれを使用しなければならない(同条3項)。

補足共有物への対応は段階で異なり、形状・効用の著しい変更は共有者全員の同意(251条1項)、管理は持分価格の過半数(252条1項)、保存行為は各共有者が単独でできる(252条5項)。

5所有権の取得時効

所有権の取得時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 20年間、所有の意思をもって、平穏かつ公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
  • 占有の開始の時に善意かつ無過失であっても、所有権の取得時効には常に20年の占有を要する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
長期取得時効は、所有の意思・平穏公然の占有・20年という3要素で成立する。占有開始時の善意無過失は、20年時効では要件ではない。

民法第162条第1項二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得するe-Gov原文

誤り
善意無過失の占有者については10年の短期取得時効が用意されている。「常に20年」とすると162条2項の例外を消してしまう。

民法第162条第2項十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得するe-Gov原文

ひっかけ占有開始時に善意無過失なら、20年を待たず10年で時効取得が成立する。

解説20年間、所有の意思をもって、平穏かつ公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する(民法162条1項)。これが長期取得時効で、アはこのとおり正しい。一方、占有開始の時に善意であり、かつ過失がなかったときは、10年間の占有で所有権を取得する(同条2項)。よってイの『常に20年の占有を要する』は誤り。期間の長短を分けるのは占有開始時点の善意無過失の有無であり、途中で悪意になっても10年型の進行には影響しない。

補足占有を引き継いだ者は、自己の占有だけを主張することも、前の占有者の占有期間を併せて主張することもできる(187条1項)。併せて主張すると前主の善意悪意などの瑕疵も引き継ぐ。

6不動産に関する物権変動の対抗要件

不動産に関する物権の変動に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
  • 不動産の物権変動は、当事者間の意思表示だけでは効力を生じず、登記をしなければ当事者間でも効力を生じない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
対抗要件

民法第177条その登記をしなければ、第三者に対抗することができないe-Gov原文

誤り
意思主義

民法第177条不動産に関する物権の得喪及び変更はe-Gov原文

民法第177条その登記をしなければ、第三者に対抗することができないe-Gov原文

ひっかけ登記がないと困るのは第三者が現れたときで、売主と買主の二人の間では登記は要らない。

解説不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ第三者に対抗することができない(民法177条)。一方、物権変動それ自体は当事者の意思表示によって生じる(同176条。意思主義)から、登記は効力要件ではなく対抗要件にとどまる。アは177条どおりで正しい。イは「登記をしなければ当事者間でも効力を生じない」とするが、当事者間なら登記なしに物権変動の効力は生じているので誤り。要するに、売主と買主の間では登記がなくても所有権は移るが、二重譲受人のような第三者に取得を主張するには登記がいる。

補足動産の物権変動の対抗要件は登記ではなく引渡し(占有の移転)である(民法178条)。

7即時取得

動産の即時取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 取引行為によって、平穏かつ公然と動産の占有を始めた者は、善意かつ無過失であるときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
  • 即時取得は、無権利者から動産を取得した場合であっても、取引の安全のため取得者を保護する制度である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
即時取得

民法第192条取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得するe-Gov原文

正しい
取引の安全

民法第192条取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得するe-Gov原文

ひっかけ売主が実は無権利者でも、買主が事情を知らず落ち度なく動産を手にしたなら権利は手に入る。

解説取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する(即時取得・善意取得。民法192条)。占有に公信力を認め、公示の弱い動産取引の安全を図る制度なので、無権利者から取得した場合でも保護される。アは192条の要件そのままで正しく、制度趣旨を述べるイも正しい。対象は動産に限られ、登記で権利者を確認できる不動産には及ばない。

補足ただし対象物が盗品・遺失物のときは、被害者・遺失者は2年間回復を請求できる(民法193条)。さらに競売や公の市場で善意に買い受けた者からの回復には代価の弁償がいる(同194条)。

8動産物権譲渡の対抗要件

動産に関する物権の譲渡の対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。
  • 動産に関する物権の譲渡は、その動産の登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
動産物権譲渡の対抗要件を正しく述べている。

民法第178条動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければe-Gov原文

誤り
動産の対抗要件を登記とする点が条文に反し誤り。

民法第178条その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができないe-Gov原文

ひっかけ動産に登記は出てこない。178条が求める対抗要件は引渡しの一語。

解説動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ第三者に対抗できない(民法178条)。アはこの対抗要件を引渡しと述べており正しい。イは対抗要件を『登記』とするが、登記は不動産の対抗要件(177条)であって、178条が動産について求めるのは引渡しである。動産に登記制度を当てはめた点でイは誤り。

補足ただし自動車・船舶・建設機械など、登録制度が用意された動産は登録が対抗要件になる。

9動産物権譲渡の対抗要件の効果

動産に関する物権の譲渡の対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 動産に関する物権の譲渡は、引渡しがなくても、当事者間の意思表示のみで第三者に対抗することができる。
  • 動産に関する物権の譲渡について、引渡しを備えていない譲受人は、その物権の取得を第三者に対抗することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
引渡しなしに第三者へ対抗できるとする点が条文に反し誤り。

民法第178条その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができないe-Gov原文

正しい
引渡しを欠く場合に第三者へ対抗できないことを正しく述べている。

民法第178条引渡しがなければ、第三者に対抗することができないe-Gov原文

ひっかけ意思表示で物権は移る。だが第三者に『自分のものだ』と言うには引渡しが要る。

解説動産物権の譲渡は当事者の意思表示だけで効力を生じるが、それを第三者に主張するには引渡しがいる(民法178条)。アは『引渡しがなくても意思表示のみで第三者に対抗できる』とするが、178条が引渡しを対抗要件とする以上、対抗の場面では意思表示だけでは足りず誤り。イは引渡しを備えていない譲受人は第三者に対抗できないとしており、条文どおり正しい。当事者間の物権変動の有無と、第三者への対抗の可否を別の問題として扱う点が分かれ目になる。

補足動産の引渡しには、現実の引渡しのほか簡易の引渡し・占有改定・指図による占有移転も含まれる(182条〜184条)。

10抵当権の効力が及ぶ範囲(付加一体物・物上代位)

抵当権の効力が及ぶ範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。
  • 抵当権者は、抵当不動産の滅失によって債務者が受けるべき金銭(火災保険金請求権など)に対して物上代位することができるが、その払渡し後であっても差押えをすれば足りる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
付加一体物への効力(370条)

民法第370条抵当地の上に存する建物を除きe-Gov原文

誤り
物上代位の差押えタイミング(372条→304条準用)

民法第372条第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用するe-Gov原文

民法第304条その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならないe-Gov原文

ひっかけ抵当権は『付いて一体になった物』にまで効く。物上代位は『お金に化けた価値』を押さえる仕組みだが、押さえる順番(差押えのタイミング)に落とし穴がある。

解説抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物(付加一体物)に及ぶ(民法370条本文)。庭石・取り外しの困難な機械など、不動産に付合して独立性を失った物が典型で、設定行為で別段の定めをした場合などは例外となる。アはこの370条本文どおりなので正しい。 イは物上代位の問題。抵当権の目的物が売却・賃貸・滅失・損傷したことで債務者が受け取るべき金銭その他の物(売却代金・賃料・火災保険金など)に対しても抵当権を行使できるのが物上代位で、抵当権については372条が先取特権の304条を準用して認められる。ただし304条ただし書が『その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない』と定めるとおり、差押えは払渡し前に済ませる必要がある。金銭が債務者に払い渡されてしまうと一般財産に混入して特定性が失われるため、払渡し後では物上代位を行使できない。イは『払渡し後でも差押えをすれば足りる』とする点が誤りで、よってアー正、イー誤となる。

補足物上代位の差押えを抵当権者自身が行う必要があるのは、第三者(債務者の一般債権者など)の利益を害さないよう、目的物の価値が金銭へ姿を変えた段階で権利の優先を公示・確保させるため。賃料への物上代位も認められる。

11根抵当権(被担保債権の範囲・極度額)

根抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
  • 根抵当権の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
根抵当権の定義(398条の2第1項)

民法第398条の2一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができるe-Gov原文

正しい
被担保債権の範囲の限定(398条の2第2項)

民法第398条の2債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならないe-Gov原文

ひっかけ根抵当権は『枠(極度額)』を決めて、その枠の中で増えたり減ったりする不特定の債権をまとめて担保する。ただし『何でもかんでも担保する』包括根抵当は認められていない。

解説根抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するために設定する抵当権である(民法398条の2第1項)。継続的な取引で発生・消滅を繰り返す多数の債権を、いちいち個別の抵当権を設定し直さずに極度額という枠の範囲でまとめて担保できる点に意義がある。アはこの定義どおりで正しい。 イは被担保債権の範囲の限定の問題。398条の2第2項は、根抵当権が担保すべき不特定の債権の範囲を『債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるもの』に限定して定めなければならないとする。これにより、債務者との取引に由来しない一切の債権まで無限定に担保する『包括根抵当』は禁止される。イもこの条文どおりで正しい。したがってアー正、イー正となる。

補足根抵当権者が現実に行使できるのは、確定した元本のほか利息・損害賠償の全部について『極度額を限度として』である(民法398条の3第1項)。普通抵当のように利息は最後の2年分に限られる、という制限は根抵当権には及ばず、極度額の枠内であれば利息も全額担保される。

12一般の先取特権(種類・優先順位)

先取特権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 共益の費用・雇用関係などの原因によって生じた債権を有する者が有する一般の先取特権は、債務者の特定の動産についてのみ成立し、債務者の総財産には及ばない。
  • 一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、原則として特別の先取特権が一般の先取特権に優先する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
一般の先取特権の目的物(306条)

民法第306条債務者の総財産について先取特権を有するe-Gov原文

正しい
一般と特別の先取特権の順位(329条2項)

民法第329条特別の先取特権は、一般の先取特権に優先するe-Gov原文

ひっかけ先取特権は『どの財産にかかるか』で一般・動産・不動産に分かれる。『一般』は債務者の財産全部にかかるのがミソ。順位は原則『特別が一般に勝つ』。

解説先取特権は、法律の定める一定の債権を有する者が、債務者の財産から他の債権者に先立って弁済を受けられる法定担保物権である(民法303条)。このうち一般の先取特権は、共益の費用・雇用関係・子の監護の費用・葬式の費用・日用品の供給という原因で生じた債権について、債務者の総財産を対象に成立する(306条)。アは『特定の動産についてのみ成立し総財産には及ばない』としており、これは特定の動産を対象とする動産の先取特権(311条)の説明であって一般の先取特権には当てはまらないから誤り。 イは順位の問題。一般の先取特権と特別の先取特権(動産・不動産の先取特権)が競合する場合、329条2項本文は特別の先取特権が一般の先取特権に優先すると定める。担保する財産が特定されている特別の先取特権の方を厚く保護する趣旨である。イはこの原則どおりで正しい(共益の費用の先取特権はすべての債権者に優先する効力を持つという例外は同項ただし書が定める)。したがってアー誤、イー正となる。

補足一般の先取特権どうしが競合する場合の順位は、306条各号に掲げる順序(共益の費用→雇用関係→子の監護の費用→葬式の費用→日用品の供給)に従う(329条1項)。条文の並び順がそのまま優先順位になっている点が問われやすい。

13地上権・地役権の内容

用益物権(地上権・地役権)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 地上権者は、他人の土地において耕作又は牧畜をするため、その土地を使用する権利を有する。
  • 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、自己の土地を他人の土地の便益に供する権利を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
地上権は工作物又は竹木を所有するために他人の土地を使用する権利であり、耕作・牧畜を目的とする永小作権とは内容が違う。

民法第265条工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有するe-Gov原文

誤り
地役権は、自己の土地の便益のために他人の土地を利用する権利である。記述は『自己の土地を他人の土地の便益に供する』としており、便益を受ける側が逆である。

民法第280条他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有するe-Gov原文

ひっかけ地上権は『建物・竹木を持つために他人の土地を使う』権利。地役権は『自分の土地のために他人の土地を使わせてもらう』権利。どちらも『誰の土地を誰のために』の向きが逆になっていないか要注意。

解説地上権は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利である(民法265条)。建物・橋・トンネル・送電線などの工作物や、立木竹を所有する目的で他人の土地を利用する物権である。アは『耕作又は牧畜をするため』としているが、これは永小作権(270条)の内容であって地上権ではないから誤り。 地役権は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地(要役地)の便益に供する権利である(280条)。通行・引水・眺望確保などのために、自分の土地の利用価値を高める目的で他人の土地(承役地)を利用する。イは『自己の土地を他人の土地の便益に供する』と便益を受ける側と提供する側が逆になっており誤り。正しくは『他人の土地を自己の土地の便益に供する』である。したがってアー誤、イー誤となる。

補足地役権は要役地の所有権に従たるものとして、要役地の所有権とともに移転する(付従性。民法281条1項)。要役地から地役権だけを分離して譲渡することはできない(同条2項)。地上権・永小作権・地役権はいずれも他人の土地を使う用益物権である点が共通する。

14占有回収の訴え(占有訴権)

占有の訴え(占有訴権)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 占有回収の訴えとは、占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときに、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求するものである。
  • 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
占有回収の訴えの要件(200条)

民法第200条占有者がその占有を奪われたときはe-Gov原文

正しい
占有回収の訴えの提起期間(201条3項)

民法第201条占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならないe-Gov原文

ひっかけ占有訴権は『占有という事実状態』を守る制度。何をされたかで3種類に分かれる。奪われた=回収、妨害された=保持、妨害されそう=保全。名前と場面の取り違えが定番のひっかけ。

解説占有の訴え(占有訴権)には3種類ある。占有を奪われたときは占有回収の訴えにより物の返還及び損害賠償を請求でき(民法200条1項)、占有を妨害されたときは占有保持の訴えにより妨害の停止及び損害賠償を請求でき(198条)、占有を妨害されるおそれがあるときは占有保全の訴えにより妨害の予防又は損害賠償の担保を請求できる(199条)。アは占有回収の訴えを『妨害されるおそれがあるときに予防等を請求するもの』と説明しているが、それは占有保全の訴えの内容であって、占有回収の訴えは占有を『奪われた』場合の返還請求であるから誤り。 イは提起期間の問題。占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない(201条3項)。短期の出訴期間が定められているのは、占有という事実状態をめぐる紛争を早期に確定させる趣旨である。イはこの条文どおりで正しい。したがってアー誤、イー正となる。

補足占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対しては原則として提起できないが、その承継人が侵奪の事実を知っていたとき(悪意)は提起できる(民法200条2項)。占有保持の訴えの提起期間は妨害の存する間又は消滅後1年以内(201条1項)である。

15添付(不動産の付合・加工)

添付(付合・加工)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 不動産の所有者は、原則として、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。
  • 他人の動産に工作を加えた者があるときは、その加工物の所有権は、工作によって生じた価格の多寡にかかわらず、常に加工者に帰属する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
不動産に従として付合した物は、独立して扱うより不動産と一体で扱う方が自然であるため、原則として不動産所有者が所有権を取得する。

民法第242条その不動産に従として付合した物の所有権を取得するe-Gov原文

誤り
加工では、原則として材料所有者が加工物を取得し、加工による価値が材料価格を著しく超える場合などに加工者取得が認められる。常に加工者のものではない。

民法第246条その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属するe-Gov原文

ひっかけ添付(付合・混和・加工)は、別々の物がくっついたり手を加えられたりして1つになったとき、誰の物にするかのルール。『常に加工者のもの』のような言い切りは要注意。

解説不動産の付合では、不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する(民法242条本文)。土地に植えた樹木や建物に取り付けて独立性を失った造作などが典型で、原則として不動産の所有者が付合物の所有権を得る(権原により附属させた他人の権利は妨げられない)。アはこの242条本文どおりで正しい。 イは加工の問題。他人の動産に工作を加えた場合、その加工物の所有権は原則として材料の所有者に帰属する(246条1項本文)。例外として、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときに限り加工者がその所有権を取得する(同項ただし書)。イは『価格の多寡にかかわらず常に加工者に帰属する』としており、原則と例外が逆転しているから誤り。したがってアー正、イー誤となる。

補足所有者を異にする数個の動産が付合して分離困難になったときは、主たる動産の所有者がその合成物の所有権を取得する(動産の付合。民法243条)。添付によって損失を受けた者は、不当利得の規定に従って償金を請求できる(248条)。

16占有権の取得と所有権の内容

占有権及び所有権に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
  • 所有者は、法令の制限を受けず、常に自由に所有物を使用・収益・処分できる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
180条

民法第180条自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得するe-Gov原文

誤り
無制限ではない

民法第206条法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利e-Gov原文

ひっかけ所有権は絶対で何の制限も受けない、と考えるとイを正しいと誤る。所有権は法令の制限内での権利。

解説占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する(民法180条)。アはこのとおりで正しい。一方、所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用・収益・処分をする権利を有する(206条)。所有権も無制限ではなく法令の制限に服するので、「法令の制限を受けず、常に自由に」とするイは誤り。

補足占有権は物を現実に支配する事実に基づく権利、所有権は物を全面的に支配する権利で、両者は別の物権である。所有権の行使も、建築規制などの法令や権利濫用の禁止の枠内で認められる。

17遺失物の拾得と共有持分

遺失物及び共有持分に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 遺失物は、公告後3か月以内に所有者が判明しないときは、拾得者が所有権を取得する。
  • 各共有者の持分は、反対の定めがない限り、相等しいものと推定される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
遺失物の所有権取得

民法第240条公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときe-Gov原文

正しい
250条

民法第250条各共有者の持分は、相等しいものと推定するe-Gov原文

ひっかけ遺失物を拾えばすぐ自分の物になる、と考えるとアを取り違える。所有権取得には公告後3か月という期間が要る。

解説遺失物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後3か月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する(民法240条)。アはこのとおりで正しい。また、各共有者の持分は、反対の定めがない限り、相等しいものと推定される(250条)。イもこの推定どおりで正しい。

補足遺失物の拾得者は、所有権を取得するまでの間、警察署への提出など遺失物法の定める手続を踏む必要がある。共有持分の「相等しいと推定」は、実際の出資割合などが証明されれば覆る推定にすぎない。

18根抵当権の設定と極度額

根抵当権に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保するためにも設定できる。
  • 根抵当権の担保すべき不特定債権の範囲は、どのような債権でも包括的に含めることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
根抵当権

民法第398条の2第1項一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができるe-Gov原文

誤り
包括的な全部担保ではない

民法第398条の2第2項債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならないe-Gov原文

ひっかけ根抵当権はどんな債権でも包括的に担保できる、と考えるとイを正しいと誤る。被担保債権の範囲は一定の種類の取引などに限定される。

解説抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保するためにも設定することができる(根抵当権。民法398条の2第1項)。アはこのとおりで正しい。もっとも、その担保すべき不特定債権の範囲は、債務者との一定の種類の取引によって生ずるものなどに限定して定めなければならない(同条2項)。したがって「どのような債権でも包括的に含めることができる」とするイは誤り。

補足根抵当権は、継続的な取引から次々と生じる債権を、いちいち抵当権を設定し直さずに極度額の枠内でまとめて担保できる点に特色がある。範囲を限定しない包括根抵当は認められていない。

19根抵当権の行使範囲

根抵当権の行使範囲に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び損害賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できる。
  • 根抵当権は、極度額を超えても、利息や損害賠償については当然に担保する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
利息等も極度額内

民法第398条の3第1項極度額を限度として、その根抵当権を行使することができるe-Gov原文

誤り
極度額超過は不可

民法第398条の3第1項確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部e-Gov原文

ひっかけ利息や損害賠償は極度額を超えても担保される、と考えるとイを正しいと誤る。根抵当権の行使は極度額が限度。

解説根抵当権者は、確定した元本ならびに利息その他の定期金および債務不履行によって生じた損害賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使することができる(民法398条の3第1項)。アはこのとおりで正しい。普通抵当権では利息が原則として最後の2年分に制限されるのに対し、根抵当権は利息・損害賠償も含め極度額の枠内なら全部担保するが、あくまで極度額が上限である。したがって「極度額を超えても当然に担保する」とするイは誤り。

補足普通抵当権では、満期となった最後の2年分を超える利息等は登記があっても担保されない(375条)。根抵当権はこの制限を受けず、極度額の範囲で元本・利息・損害賠償をまとめて担保する点が異なる。

20根抵当権の変更

根抵当権の変更に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 元本確定前であれば、根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更することができる。
  • 担保すべき債権の範囲の変更には、後順位抵当権者その他の第三者の承諾を必ず得なければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
398条の4

民法第398条の4第1項元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができるe-Gov原文

誤り
必ず承諾ではない

民法第398条の4第2項後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しないe-Gov原文

ひっかけ根抵当権の内容を変えるには必ず後順位者の承諾が要る、と考えるとイを正しいと誤る。元本確定前の債権範囲の変更に第三者の承諾は不要。

解説元本の確定前であれば、根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更することができる(民法398条の4第1項)。アはこのとおりで正しい。そして、この変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない(同条2項)。極度額の枠が変わらない限り後順位者は不利益を受けないためで、したがって「第三者の承諾を必ず得なければならない」とするイは誤り。

補足ただし、極度額そのものの変更には、後順位抵当権者などの利害関係者の承諾が必要である(398条の5)。債権の範囲・債務者の変更(承諾不要)と、極度額の変更(承諾必要)を分けて押さえる。

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