本文へ移動

本ページには広告(PR・アフィリエイトリンク)を含みます。

民法・第2章

企業財産の管理と法務の問題(38問)

この章を解く(38問)→

物権の出題論点(物権変動・即時取得・担保物権・共有)

企業財産をめぐる物権の章です。物権変動の対抗要件、即時取得、留置権・質権、共有、取得時効を、3級より一段深く問います。とくに不動産と動産で対抗要件が異なる点、即時取得の要件(平穏・公然・善意・無過失)が論点になります。各問の根拠は民法の条文と照合済みです。

第2章は物権変動、即時取得、留置権、質権、共有、時効取得です。企業財産の管理では、権利があるかだけでなく、第三者に対抗できる状態かが問われます。

  • 不動産は登記、動産は引渡しを対抗要件として見る。
  • 即時取得は善意無過失と取引行為を確認する。
  • 共有物の変更・管理・保存を同じ同意要件にしない。

この章で確認する論点

第2章は38問を収録し、主な論点は「物権変動と即時取得」「留置権」「質権」「共有物の使用」「所有権の取得時効」です。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

他の資格との比較は、民法を学べる資格と無料問題も参照できます。

  • 物権は合意だけで動く。引渡しや登記は、第三者に主張するための別の話。
  • 盗んだ物では留置権は立たない。占有の入口が不法なら、そもそも成立しない。
  • 占有を移すのが質権、移さないのが抵当権。アはこの一点を逆にしている。
ビジネス実務法務検定2級の参考書・問題集7冊を比較する →

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

民法:162条・175条・176条・177条・178条・179条・180条・187条・188条・189条・192条・193条(ほか41条)

民法の残り41条を開く

198条・199条・200条・201条・202条・203条・206条・207条・240条・242条・246条・249条・250条・251条・253条・255条・256条・265条・280条・281条・283条・295条・296条・298条・304条・306条・329条・342条・344条・345条・349条・370条・372条・373条・378条・379条・388条・398条の2・398条の3・398条の4・398条の19

問題と解説を読む全38問・答え付き

答え・解説つきで38問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov等の一次資料で確認済み2026年6月〜2026年10月時点の法令に準拠
問1物権変動と即時取得e-Gov等の一次資料で確認済み

物権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。
  • イ.取引行為によって平穏かつ公然に動産の占有を始めた者が、善意でかつ過失がないときは、即時にその動産について権利を取得する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
物権の設定及び移転は、当事者の意思表示だけで効力を生ずる(民法176条)。登記や引渡しは、効力発生の要件ではない。例えば、土地の売買契約をすれば、登記をしていなくても、買主は所有権を取得する。

民法第176条「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる」一次資料を確認

イ.正しい
取引行為によって平穏かつ公然に動産の占有を始めた者が、善意で、かつ過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する(同法192条)。例えば、中古品店で店の物と信じて買った時計が、実は他人の預かり物だった場合でも、善意無過失の買主は権利を取得できる。

民法第192条「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」一次資料を確認

ひっかけ物権は合意だけで動く。引渡しや登記は、第三者に主張するための別の話。

解説物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって効力を生ずる(意思主義。民法176条)。登記や引渡しは効力発生の要件ではなく、第三者に対抗するための要件であって、不動産は登記、動産は引渡しが対抗要件となる。アはこの176条どおりなので正しい。イは即時取得(同192条)で、取引行為によって平穏・公然に動産の占有を始めた者が善意・無過失であれば、相手が無権利者であっても即時にその動産の権利を取得する。無権利者から買ってしまった者を取引の安全のために保護する制度であり、対象が動産に限られる。どちらも条文のとおりなので、正解はアー正・イー正。

補足即時取得が動産限定なのは、不動産は登記で権利者が分かり占有への信頼を保護する必要がないため。なお盗品・遺失物は例外で、被害者・遺失者は2年間の回復請求ができる(民法193条)。

問2留置権e-Gov等の一次資料で確認済み

留置権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。
  • イ.占有が不法行為によって始まった場合であっても、占有者は留置権を行使することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
留置権

民法第295条第1項「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる」一次資料を確認

イ.誤り
成立の限界

民法第295条第2項「前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない」一次資料を確認

ひっかけ盗んだ物では留置権は立たない。占有の入口が不法なら、そもそも成立しない。

解説他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するとき、その弁済を受けるまでその物を留置できる(留置権。民法295条1項)。修理を頼まれた物について修理代金が未払いなら、修理人はその物を留置して支払いを促せる。アはこの内容どおりで正しい。これに対しイは、占有が不法行為によって始まった場合でも留置権を行使できるとするが、295条2項は「前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない」と定める。盗品を占有している者に留置権を認めるのは不当だからである。よってイは誤りで、アー正、イー誤となる。

補足留置権は公平の見地から認められる法定担保物権だが、債権が弁済期に達していなければ留置できない点も295条1項ただし書にある。

問3質権e-Gov等の一次資料で確認済み

質権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.質権者は、目的物の占有を移転せず、債務者のもとに目的物を残したまま、これを担保とすることができる。
  • イ.質権者は、受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
占有担保

民法第342条「質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し」一次資料を確認

イ.正しい
優先弁済

民法第342条「その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」一次資料を確認

ひっかけ占有を移すのが質権、移さないのが抵当権。アはこの一点を逆にしている。

解説民法342条は、質権者が「債務者又は第三者から受け取った物を占有し」、その物について他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有すると定める。アは目的物の占有を移さず債務者のもとに残すとするが、これは抵当権(同369条)の特徴であって質権ではないため誤り。質権は目的物を質権者に引き渡して占有を移す担保である。イは342条後段の優先弁済的効力そのものなので正しい。したがってアー誤、イー正となる。

補足質権者が占有を続けることには、弁済しなければ物が返らないという心理的な弁済強制の機能もある。

問4共有物の使用e-Gov等の一次資料で確認済み

共有物の使用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
  • イ.共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
持分に応じた使用

民法第249条第1項「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」一次資料を確認

イ.正しい
対価の償還

民法第249条第2項「共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う」一次資料を確認

ひっかけ持分を超えて使った分は、合意がなければ他の共有者に対価を返す。

解説各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる(民法249条1項)。アはこのとおりで正しい。共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う(同条2項)。イもこの規定に合致し、正しい。あわせて共有物を使用する共有者は、善良な管理者の注意をもってこれを使用しなければならない(同条3項)。

補足共有物への対応は段階で異なり、形状・効用の著しい変更は共有者全員の同意(251条1項)、管理は持分価格の過半数(252条1項)、保存行為は各共有者が単独でできる(252条5項)。

問5所有権の取得時効e-Gov等の一次資料で確認済み

所有権の取得時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.20年間、所有の意思をもって、平穏かつ公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
  • イ.占有の開始の時に善意かつ無過失であっても、所有権の取得時効には常に20年の占有を要する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
長期取得時効は、所有の意思・平穏公然の占有・20年という3要素で成立する。占有開始時の善意無過失は、20年時効では要件ではない。

民法第162条第1項「二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する」一次資料を確認

イ.誤り
善意無過失の占有者については10年の短期取得時効が用意されている。「常に20年」とすると162条2項の例外を消してしまう。

民法第162条第2項「十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する」一次資料を確認

ひっかけ占有開始時に善意無過失なら、20年を待たず10年で時効取得が成立する。

解説20年間、所有の意思をもって、平穏かつ公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する(民法162条1項)。これが長期取得時効で、アはこのとおり正しい。一方、占有開始の時に善意であり、かつ過失がなかったときは、10年間の占有で所有権を取得する(同条2項)。よってイの『常に20年の占有を要する』は誤り。期間の長短を分けるのは占有開始時点の善意無過失の有無であり、途中で悪意になっても10年型の進行には影響しない。

補足占有を引き継いだ者は、自己の占有だけを主張することも、前の占有者の占有期間を併せて主張することもできる(187条1項)。併せて主張すると前主の善意悪意などの瑕疵も引き継ぐ。

問6不動産に関する物権変動の対抗要件e-Gov等の一次資料で確認済み

不動産に関する物権の変動に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
  • イ.不動産の物権変動は、当事者間の意思表示だけでは効力を生じず、登記をしなければ当事者間でも効力を生じない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
対抗要件

民法第177条「その登記をしなければ、第三者に対抗することができない」一次資料を確認

イ.誤り
意思主義

民法第177条「不動産に関する物権の得喪及び変更は」一次資料を確認

民法第177条「その登記をしなければ、第三者に対抗することができない」一次資料を確認

ひっかけ登記がないと困るのは第三者が現れたときで、売主と買主の二人の間では登記は要らない。

解説不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ第三者に対抗することができない(民法177条)。一方、物権変動それ自体は当事者の意思表示によって生じる(同176条。意思主義)から、登記は効力要件ではなく対抗要件にとどまる。アは177条どおりで正しい。イは「登記をしなければ当事者間でも効力を生じない」とするが、当事者間なら登記なしに物権変動の効力は生じているので誤り。要するに、売主と買主の間では登記がなくても所有権は移るが、二重譲受人のような第三者に取得を主張するには登記がいる。

補足動産の物権変動の対抗要件は登記ではなく引渡し(占有の移転)である(民法178条)。

問7即時取得e-Gov等の一次資料で確認済み

動産の即時取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.取引行為によって、平穏かつ公然と動産の占有を始めた者は、善意かつ無過失であるときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
  • イ.即時取得は、無権利者から動産を取得した場合であっても、取引の安全のため取得者を保護する制度である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
即時取得

民法第192条「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」一次資料を確認

イ.正しい
取引の安全

民法第192条「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」一次資料を確認

ひっかけ売主が実は無権利者でも、買主が事情を知らず落ち度なく動産を手にしたなら権利は手に入る。

解説取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する(即時取得・善意取得。民法192条)。占有に公信力を認め、公示の弱い動産取引の安全を図る制度なので、無権利者から取得した場合でも保護される。アは192条の要件そのままで正しく、制度趣旨を述べるイも正しい。対象は動産に限られ、登記で権利者を確認できる不動産には及ばない。

補足ただし対象物が盗品・遺失物のときは、被害者・遺失者は2年間回復を請求できる(民法193条)。さらに競売や公の市場で善意に買い受けた者からの回復には代価の弁償がいる(同194条)。

問8動産物権譲渡の対抗要件e-Gov等の一次資料で確認済み

動産に関する物権の譲渡の対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。
  • イ.動産に関する物権の譲渡は、その動産の登記を備えなければ、第三者に対抗することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
動産物権譲渡の対抗要件を正しく述べている。

民法第178条「動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ」一次資料を確認

イ.誤り
動産の対抗要件を登記とする点が条文に反し誤り。

民法第178条「その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない」一次資料を確認

ひっかけ動産に登記は出てこない。178条が求める対抗要件は引渡しの一語。

解説動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ第三者に対抗できない(民法178条)。アはこの対抗要件を引渡しと述べており正しい。イは対抗要件を『登記』とするが、登記は不動産の対抗要件(177条)であって、178条が動産について求めるのは引渡しである。動産に登記制度を当てはめた点でイは誤り。

補足ただし自動車・船舶・建設機械など、登録制度が用意された動産は登録が対抗要件になる。

問9動産物権譲渡の対抗要件の効果e-Gov等の一次資料で確認済み

動産に関する物権の譲渡の対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.動産に関する物権の譲渡は、引渡しがなくても、当事者間の意思表示のみで第三者に対抗することができる。
  • イ.動産に関する物権の譲渡について、引渡しを備えていない譲受人は、その物権の取得を第三者に対抗することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
引渡しなしに第三者へ対抗できるとする点が条文に反し誤り。

民法第178条「その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない」一次資料を確認

イ.正しい
引渡しを欠く場合に第三者へ対抗できないことを正しく述べている。

民法第178条「引渡しがなければ、第三者に対抗することができない」一次資料を確認

ひっかけ意思表示で物権は移る。だが第三者に『自分のものだ』と言うには引渡しが要る。

解説動産物権の譲渡は当事者の意思表示だけで効力を生じるが、それを第三者に主張するには引渡しがいる(民法178条)。アは『引渡しがなくても意思表示のみで第三者に対抗できる』とするが、178条が引渡しを対抗要件とする以上、対抗の場面では意思表示だけでは足りず誤り。イは引渡しを備えていない譲受人は第三者に対抗できないとしており、条文どおり正しい。当事者間の物権変動の有無と、第三者への対抗の可否を別の問題として扱う点が分かれ目になる。

補足動産の引渡しには、現実の引渡しのほか簡易の引渡し・占有改定・指図による占有移転も含まれる(182条〜184条)。

問10抵当権の効力が及ぶ範囲(付加一体物・物上代位)e-Gov等の一次資料で確認済み

抵当権の効力が及ぶ範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。
  • イ.抵当権者は、抵当不動産の滅失によって債務者が受けるべき金銭(火災保険金請求権など)に対して物上代位することができるが、その払渡し後であっても差押えをすれば足りる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
付加一体物への効力(370条)

民法第370条「抵当地の上に存する建物を除き」一次資料を確認

イ.誤り
物上代位の差押えタイミング(372条→304条準用)

民法第372条「第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する」一次資料を確認

民法第304条「その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」一次資料を確認

ひっかけ抵当権は『付いて一体になった物』にまで効く。物上代位は『お金に化けた価値』を押さえる仕組みだが、押さえる順番(差押えのタイミング)に落とし穴がある。

解説抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物(付加一体物)に及ぶ(民法370条本文)。庭石・取り外しの困難な機械など、不動産に付合して独立性を失った物が典型で、設定行為で別段の定めをした場合などは例外となる。アはこの370条本文どおりなので正しい。 イは物上代位の問題。抵当権の目的物が売却・賃貸・滅失・損傷したことで債務者が受け取るべき金銭その他の物(売却代金・賃料・火災保険金など)に対しても抵当権を行使できるのが物上代位で、抵当権については372条が先取特権の304条を準用して認められる。ただし304条ただし書が『その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない』と定めるとおり、差押えは払渡し前に済ませる必要がある。金銭が債務者に払い渡されてしまうと一般財産に混入して特定性が失われるため、払渡し後では物上代位を行使できない。イは『払渡し後でも差押えをすれば足りる』とする点が誤りで、よってアは正しく、イは誤りとなる。

補足物上代位の差押えを抵当権者自身が行う必要があるのは、第三者(債務者の一般債権者など)の利益を害さないよう、目的物の価値が金銭へ姿を変えた段階で権利の優先を公示・確保させるため。賃料への物上代位も認められる。

問11根抵当権(被担保債権の範囲・極度額)e-Gov等の一次資料で確認済み

根抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
  • イ.根抵当権の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
根抵当権の定義(398条の2第1項)

民法第398条の2「一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる」一次資料を確認

イ.正しい
被担保債権の範囲の限定(398条の2第2項)

民法第398条の2「債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない」一次資料を確認

ひっかけ根抵当権は『枠(極度額)』を決めて、その枠の中で増えたり減ったりする不特定の債権をまとめて担保する。ただし『何でもかんでも担保する』包括根抵当は認められていない。

解説根抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するために設定する抵当権である(民法398条の2第1項)。継続的な取引で発生・消滅を繰り返す多数の債権を、いちいち個別の抵当権を設定し直さずに極度額という枠の範囲でまとめて担保できる点に意義がある。アはこの定義どおりで正しい。 イは被担保債権の範囲の限定の問題。398条の2第2項は、根抵当権が担保すべき不特定の債権の範囲を『債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるもの』に限定して定めなければならないとする。これにより、債務者との取引に由来しない一切の債権まで無限定に担保する『包括根抵当』は禁止される。イもこの条文どおりで正しい。したがってアー正、イー正となる。

補足根抵当権者が現実に行使できるのは、確定した元本のほか利息・損害賠償の全部について『極度額を限度として』である(民法398条の3第1項)。普通抵当のように利息は最後の2年分に限られる、という制限は根抵当権には及ばず、極度額の枠内であれば利息も全額担保される。

問12一般の先取特権(種類・優先順位)e-Gov等の一次資料で確認済み

先取特権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.共益の費用・雇用関係などの原因によって生じた債権を有する者が有する一般の先取特権は、債務者の特定の動産についてのみ成立し、債務者の総財産には及ばない。
  • イ.一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、原則として特別の先取特権が一般の先取特権に優先する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
共益の費用や雇用関係などの原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する(民法306条)。特定の動産だけにかかるのは、動産の先取特権のほうである。例えば、従業員の未払い給料の先取特権は、会社の特定の財産に限られず、総財産に及ぶ。

民法第306条「債務者の総財産について先取特権を有する」一次資料を確認

イ.正しい
一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権が一般の先取特権に優先する(民法329条2項本文)。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する(同項ただし書)。

民法第329条「特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する」一次資料を確認

ひっかけ先取特権は『どの財産にかかるか』で一般・動産・不動産に分かれる。『一般』は債務者の財産全部にかかるのがミソ。順位は原則『特別が一般に勝つ』。

解説先取特権は、法律の定める一定の債権を有する者が、債務者の財産から他の債権者に先立って弁済を受けられる法定担保物権である(民法303条)。このうち一般の先取特権は、共益の費用・雇用関係・子の監護の費用・葬式の費用・日用品の供給という原因で生じた債権について、債務者の総財産を対象に成立する(306条)。アは『特定の動産についてのみ成立し総財産には及ばない』としており、これは特定の動産を対象とする動産の先取特権(311条)の説明であって一般の先取特権には当てはまらないから誤り。 イは順位の問題。一般の先取特権と特別の先取特権(動産・不動産の先取特権)が競合する場合、329条2項本文は特別の先取特権が一般の先取特権に優先すると定める。担保する財産が特定されている特別の先取特権の方を厚く保護する趣旨である。イはこの原則どおりで正しい(共益の費用の先取特権はすべての債権者に優先する効力を持つという例外は同項ただし書が定める)。したがってアー誤、イー正となる。

補足一般の先取特権どうしが競合する場合の順位は、306条各号に掲げる順序(共益の費用→雇用関係→子の監護の費用→葬式の費用→日用品の供給)に従う(329条1項)。条文の並び順がそのまま優先順位になっている点が問われやすい。

問13地上権・地役権の内容e-Gov等の一次資料で確認済み

用益物権(地上権・地役権)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.地上権者は、他人の土地において耕作又は牧畜をするため、その土地を使用する権利を有する。
  • イ.地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、自己の土地を他人の土地の便益に供する権利を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
地上権は、工作物又は竹木を所有するために他人の土地を使う権利である(民法265条)。耕作や牧畜が目的なら、永小作権である。例えば、他人の土地に自分の建物を建てて所有するのは地上権で、他人の土地を畑として耕すのは永小作権。

民法第265条「工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する」一次資料を確認

イ.誤り
地役権は、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利である(民法280条)。便益を受けるのは自分の土地で、記述は向きが逆である。例えば、自分の土地から道路に出るために、隣の土地を通行できる権利を設定するのが地役権。

民法第280条「他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する」一次資料を確認

ひっかけ地上権は『建物・竹木を持つために他人の土地を使う』権利。地役権は『自分の土地のために他人の土地を使わせてもらう』権利。どちらも『誰の土地を誰のために』の向きが逆になっていないか要注意。

解説地上権は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利である(民法265条)。建物・橋・トンネル・送電線などの工作物や、立木竹を所有する目的で他人の土地を利用する物権である。アは『耕作又は牧畜をするため』としているが、これは永小作権(270条)の内容であって地上権ではないから誤り。 地役権は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地(要役地)の便益に供する権利である(280条)。通行・引水・眺望確保などのために、自分の土地の利用価値を高める目的で他人の土地(承役地)を利用する。イは『自己の土地を他人の土地の便益に供する』と便益を受ける側と提供する側が逆になっており誤り。正しくは『他人の土地を自己の土地の便益に供する』である。したがってアー誤、イー誤となる。

補足地役権は要役地の所有権に従たるものとして、要役地の所有権とともに移転する(付従性。民法281条1項)。要役地から地役権だけを分離して譲渡することはできない(同条2項)。地上権・永小作権・地役権はいずれも他人の土地を使う用益物権である点が共通する。

問14占有回収の訴え(占有訴権)e-Gov等の一次資料で確認済み

占有の訴え(占有訴権)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.占有回収の訴えとは、占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときに、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求するものである。
  • イ.占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
占有回収の訴えは、占有を奪われたときに、物の返還と損害の賠償を請求するものである(民法200条1項)。妨害されるおそれがあるときの予防を求めるのは、占有保全の訴えである(同法199条)。例えば、自転車を盗まれたら占有回収の訴え、隣人に物を置かれて占有を妨げられているなら占有保持の訴え、妨害されそうなら占有保全の訴えになる。

民法第200条「占有者がその占有を奪われたときは」一次資料を確認

イ.正しい
占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない(同法201条3項)。例えば、自転車を盗まれてから1年を過ぎると、占有回収の訴えは起こせない。

民法第201条「占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない」一次資料を確認

ひっかけ占有訴権は『占有という事実状態』を守る制度。何をされたかで3種類に分かれる。奪われた=回収、妨害された=保持、妨害されそう=保全。名前と場面の取り違えが定番のひっかけ。

解説占有の訴え(占有訴権)には3種類ある。占有を奪われたときは占有回収の訴えにより物の返還及び損害賠償を請求でき(民法200条1項)、占有を妨害されたときは占有保持の訴えにより妨害の停止及び損害賠償を請求でき(198条)、占有を妨害されるおそれがあるときは占有保全の訴えにより妨害の予防又は損害賠償の担保を請求できる(199条)。アは占有回収の訴えを『妨害されるおそれがあるときに予防等を請求するもの』と説明しているが、それは占有保全の訴えの内容であって、占有回収の訴えは占有を『奪われた』場合の返還請求であるから誤り。 イは提起期間の問題。占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない(201条3項)。短期の出訴期間が定められているのは、占有という事実状態をめぐる紛争を早期に確定させる趣旨である。イはこの条文どおりで正しい。したがってアー誤、イー正となる。

補足占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対しては原則として提起できないが、その承継人が侵奪の事実を知っていたとき(悪意)は提起できる(民法200条2項)。占有保持の訴えの提起期間は妨害の存する間又は消滅後1年以内(201条1項)である。

問15添付(不動産の付合・加工)e-Gov等の一次資料で確認済み

添付(付合・加工)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.不動産の所有者は、原則として、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。
  • イ.他人の動産に工作を加えた者があるときは、その加工物の所有権は、工作によって生じた価格の多寡にかかわらず、常に加工者に帰属する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
不動産に従として付合した物は、独立して扱うより不動産と一体で扱う方が自然であるため、原則として不動産所有者が所有権を取得する。

民法第242条「その不動産に従として付合した物の所有権を取得する」一次資料を確認

イ.誤り
加工では、原則として材料所有者が加工物を取得し、加工による価値が材料価格を著しく超える場合などに加工者取得が認められる。常に加工者のものではない。

民法第246条「その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する」一次資料を確認

ひっかけ添付(付合・混和・加工)は、別々の物がくっついたり手を加えられたりして1つになったとき、誰の物にするかのルール。『常に加工者のもの』のような言い切りは要注意。

解説不動産の付合では、不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する(民法242条本文)。土地に植えた樹木や建物に取り付けて独立性を失った造作などが典型で、原則として不動産の所有者が付合物の所有権を得る(権原により附属させた他人の権利は妨げられない)。アはこの242条本文どおりで正しい。 イは加工の問題。他人の動産に工作を加えた場合、その加工物の所有権は原則として材料の所有者に帰属する(246条1項本文)。例外として、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときに限り加工者がその所有権を取得する(同項ただし書)。イは『価格の多寡にかかわらず常に加工者に帰属する』としており、原則と例外が逆転しているから誤り。したがってアー正、イー誤となる。

補足所有者を異にする数個の動産が付合して分離困難になったときは、主たる動産の所有者がその合成物の所有権を取得する(動産の付合。民法243条)。添付によって損失を受けた者は、不当利得の規定に従って償金を請求できる(248条)。

問16占有権の取得と所有権の内容e-Gov等の一次資料で確認済み

占有権及び所有権に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
  • イ.所有者は、法令の制限を受けず、常に自由に所有物を使用・収益・処分できる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
180条

民法第180条「自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する」一次資料を確認

イ.誤り
無制限ではない

民法第206条「法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利」一次資料を確認

ひっかけ所有権は絶対で何の制限も受けない、と考えるとイを正しいと誤る。所有権は法令の制限内での権利。

解説占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する(民法180条)。アはこのとおりで正しい。一方、所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用・収益・処分をする権利を有する(206条)。所有権も無制限ではなく法令の制限に服するので、「法令の制限を受けず、常に自由に」とするイは誤り。

補足占有権は物を現実に支配する事実に基づく権利、所有権は物を全面的に支配する権利で、両者は別の物権である。所有権の行使も、建築規制などの法令や権利濫用の禁止の枠内で認められる。

問17遺失物の拾得と共有持分e-Gov等の一次資料で確認済み

遺失物及び共有持分に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.遺失物は、公告後3か月以内に所有者が判明しないときは、拾得者が所有権を取得する。
  • イ.各共有者の持分は、反対の定めがない限り、相等しいものと推定される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
遺失物の所有権取得

民法第240条「公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないとき」一次資料を確認

イ.正しい
250条

民法第250条「各共有者の持分は、相等しいものと推定する」一次資料を確認

ひっかけ遺失物を拾えばすぐ自分の物になる、と考えるとアを取り違える。所有権取得には公告後3か月という期間が要る。

解説遺失物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後3か月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する(民法240条)。アはこのとおりで正しい。また、各共有者の持分は、反対の定めがない限り、相等しいものと推定される(250条)。イもこの推定どおりで正しい。

補足遺失物の拾得者は、所有権を取得するまでの間、警察署への提出など遺失物法の定める手続を踏む必要がある。共有持分の「相等しいと推定」は、実際の出資割合などが証明されれば覆る推定にすぎない。

問18根抵当権の設定と極度額e-Gov等の一次資料で確認済み

根抵当権に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保するためにも設定できる。
  • イ.根抵当権の担保すべき不特定債権の範囲は、どのような債権でも包括的に含めることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
根抵当権

民法第398条の2第1項「一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる」一次資料を確認

イ.誤り
包括的な全部担保ではない

民法第398条の2第2項「債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない」一次資料を確認

ひっかけ根抵当権はどんな債権でも包括的に担保できる、と考えるとイを正しいと誤る。被担保債権の範囲は一定の種類の取引などに限定される。

解説抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保するためにも設定することができる(根抵当権。民法398条の2第1項)。アはこのとおりで正しい。もっとも、その担保すべき不特定債権の範囲は、債務者との一定の種類の取引によって生ずるものなどに限定して定めなければならない(同条2項)。したがって「どのような債権でも包括的に含めることができる」とするイは誤り。

補足根抵当権は、継続的な取引から次々と生じる債権を、いちいち抵当権を設定し直さずに極度額の枠内でまとめて担保できる点に特色がある。範囲を限定しない包括根抵当は認められていない。

問19根抵当権の行使範囲e-Gov等の一次資料で確認済み

根抵当権の行使範囲に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び損害賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できる。
  • イ.根抵当権は、極度額を超えても、利息や損害賠償については当然に担保する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
利息等も極度額内

民法第398条の3第1項「極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる」一次資料を確認

イ.誤り
極度額超過は不可

民法第398条の3第1項「確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部」一次資料を確認

ひっかけ利息や損害賠償は極度額を超えても担保される、と考えるとイを正しいと誤る。根抵当権の行使は極度額が限度。

解説根抵当権者は、確定した元本ならびに利息その他の定期金および債務不履行によって生じた損害賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使することができる(民法398条の3第1項)。アはこのとおりで正しい。普通抵当権では利息が原則として最後の2年分に制限されるのに対し、根抵当権は利息・損害賠償も含め極度額の枠内なら全部担保するが、あくまで極度額が上限である。したがって「極度額を超えても当然に担保する」とするイは誤り。

補足普通抵当権では、満期となった最後の2年分を超える利息等は登記があっても担保されない(375条)。根抵当権はこの制限を受けず、極度額の範囲で元本・利息・損害賠償をまとめて担保する点が異なる。

問20根抵当権の変更e-Gov等の一次資料で確認済み

根抵当権の変更に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.元本確定前であれば、根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更することができる。
  • イ.担保すべき債権の範囲の変更には、後順位抵当権者その他の第三者の承諾を必ず得なければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる(民法398条の4第1項)。例えば、「売掛金債権」を担保する根抵当権に、後から「貸付金債権」を加える変更が考えられる。

民法第398条の4第1項「元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる」一次資料を確認

イ.誤り
この変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない(同条2項)。承諾が必要だとするのは条文と逆である。なお、極度額(担保できる上限額)の変更は別の規律で、利害関係を有する者の承諾が必要になる(民法398条の5)。

民法第398条の4第2項「後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない」一次資料を確認

ひっかけ根抵当権の内容を変えるには必ず後順位者の承諾が要る、と考えるとイを正しいと誤る。元本確定前の債権範囲の変更に第三者の承諾は不要。

解説元本の確定前であれば、根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更することができる(民法398条の4第1項)。アはこのとおりで正しい。そして、この変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない(同条2項)。極度額の枠が変わらない限り後順位者は不利益を受けないためで、したがって「第三者の承諾を必ず得なければならない」とするイは誤り。

補足ただし、極度額そのものの変更には、後順位抵当権者などの利害関係者の承諾が必要である(398条の5)。債権の範囲・債務者の変更(承諾不要)と、極度額の変更(承諾必要)を分けて押さえる。

問21抵当権の順位と法定地上権e-Gov等の一次資料で確認済み

抵当権の順位と法定地上権に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、設定契約の日の前後による。
  • イ.土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
契約日ではなく登記

民法第373条「その抵当権の順位は、登記の前後による」一次資料を確認

イ.正しい
388条

民法第388条「その建物について、地上権が設定されたものとみなす」一次資料を確認

ひっかけ順位を契約の日付で決めると考えるとアを正しいと誤る。順位を決めるのは登記の先後である。

解説同一の不動産に数個の抵当権が設定されたときの順位は、登記の前後による(民法373条)。したがって、設定契約の日の前後によるとするアは誤り。また、土地とその上の建物が同一の所有者に属する場合に、土地または建物に抵当権が設定され、その実行によって所有者が分かれたときは、建物のために地上権が設定されたものとみなされる(法定地上権・388条)。イはこのとおりで正しい。

補足法定地上権の地代は、当事者の請求により裁判所が定める(388条後段)。抵当権の順位は登記の前後で決まる点とあわせて整理する。

問22留置権の不可分性と質権e-Gov等の一次資料で確認済み

留置権の不可分性と質権に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.留置権者は、債権の一部の弁済を受けたときは、その割合に応じて留置物の一部を返還しなければならない。
  • イ.質権設定者は、債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを約することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
不可分性

民法第296条「債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる」一次資料を確認

イ.誤り
349条

民法第349条「質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない」一次資料を確認

ひっかけ一部弁済があれば留置物も一部返せると考えるとアを正しいと誤る。留置権は不可分である。

解説留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる(民法296条)。債権の一部が弁済されても留置物の一部を返す必要はないから、アは誤り。また、質権設定者は、設定行為または弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させるなど、法律に定める方法によらない処分を約することができない(349条)。イも誤り。

補足349条が禁じるのは、設定行為または弁済期前の契約で質物の所有権を取得させるなど法律に定める方法によらない処分を約することである。

問23共有物の分割請求e-Gov等の一次資料で確認済み

共有物の分割請求に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。
  • イ.共有物を分割しない旨の契約は、期間を定めなければならず、その期間は十年を超えない範囲で定めることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
256条1項

民法第256条第1項「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」一次資料を確認

イ.誤り
十年ではなく五年

民法第256条第1項ただし書「五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない」一次資料を確認

ひっかけ不分割の特約の上限年数を取り違えるとイを正しいと誤る。上限は五年である。

解説各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる(民法256条1項本文)。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない(同項ただし書)。ア自体は正しいが、イの「十年」は条文の五年と異なり誤り。

補足この不分割の契約は更新することができるが、更新後の期間も更新の時から五年を超えることができない(256条2項)。

問24共有物の変更と土地所有権の範囲e-Gov等の一次資料で確認済み

共有物の変更と土地所有権の範囲に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を加えることができない。
  • イ.土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
251条1項

民法第251条第1項「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更」一次資料を確認

イ.正しい
207条

民法第207条「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」一次資料を確認

ひっかけ「変更」には同意が必要でも、形状や効用の著しい変更を伴わないものは除かれる点を見落とさない。

解説共有物に変更を加えるには、その形状または効用の著しい変更を伴わないものを除き、他の共有者の同意を得なければならない(民法251条1項)。また土地の所有権は法令の制限内においてその土地の上下に及ぶ(207条)。ア・イとも正しい。

補足共有者が他の共有者を知ることができない場合などには、裁判所の裁判で変更ができる場合がある(251条2項)。

問25盗品の回復と占有の承継e-Gov等の一次資料で確認済み

盗品の回復と占有の承継に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から十年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
  • イ.占有者の承継人が自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張する場合でも、前の占有者の占有の瑕疵は承継しない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
十年ではなく二年

民法第193条「被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる」一次資料を確認

イ.誤り
187条2項

民法第187条第2項「その瑕疵をも承継する」一次資料を確認

ひっかけ期間の年数と、占有を併せて主張する場合の効果を取り違えると、どちらも正しいと誤る。

解説占有物が盗品または遺失物であるときの回復請求の期間は、盗難または遺失の時から二年間である(民法193条)。十年とするアは誤り。占有者の承継人は、自己の占有のみを主張することも、前の占有者の占有を併せて主張することもできる(187条1項)。ただし併せて主張する場合は、その瑕疵をも承継する(同条2項)。イは誤り。

補足承継人は、自己の占有のみを主張するか、前の占有者の占有を併せて主張するかを選べる(187条1項)。併せて主張する場合に限り瑕疵も承継する。

問26代価弁済と抵当権消滅請求e-Gov等の一次資料で確認済み

代価弁済と抵当権消滅請求に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をすることができない。
  • イ.抵当不動産について所有権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
379条

民法第379条「抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる」一次資料を確認

イ.正しい
378条

民法第378条「抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する」一次資料を確認

ひっかけ第三取得者に消滅請求を認めないと考えるとアを正しいと誤る。

解説抵当不動産の第三取得者は、民法383条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる(379条)。したがってアは誤り。他方、所有権または地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する(378条・代価弁済)。イは正しい。

補足代価弁済は抵当権者の請求に応じて行うもの、抵当権消滅請求は第三取得者の側から行うもの、と開始の主体で区別する。

問27物権の創設と混同e-Gov等の一次資料で確認済み

物権の創設と混同に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.物権は、民法その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。
  • イ.同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であっても、当該他の物権は必ず消滅する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
175条

民法第175条「物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない」一次資料を確認

イ.誤り
ただし書

民法第179条第1項「ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ混同による消滅には例外があることを見落とすと、イを正しいと誤る。

解説物権は、民法その他の法律に定めるもののほか、創設することができない(民法175条・物権法定主義)。アは正しい。同一物について所有権とほかの物権が同一人に帰属したときは、ほかの物権は消滅するが、その物または当該物権が第三者の権利の目的であるときは消滅しない(179条1項)。イは例外を無視しており誤り。

補足混同の規定は占有権には適用されない(179条3項)。

問28占有者の権利の推定と果実の取得e-Gov等の一次資料で確認済み

占有者の権利の推定と果実の取得に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。
  • イ.善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
188条

民法第188条「占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する」一次資料を確認

イ.正しい
189条1項

民法第189条第1項「善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する」一次資料を確認

ひっかけ悪意の占有者との違いを意識する。果実を取得できるのは善意の占有者である。

解説占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定される(民法188条)。また、善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する(189条1項)。ア・イとも正しい。

補足善意の占有者が本権の訴えで敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなされる(189条2項)。

問29先取特権の物上代位e-Gov等の一次資料で確認済み

先取特権の物上代位に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しては、行使することができない。
  • イ.物上代位により先取特権を行使するには、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
304条1項

民法第304条第1項「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる」一次資料を確認

イ.正しい
ただし書

民法第304条第1項ただし書「先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」一次資料を確認

ひっかけ物上代位ができない、あるいは差押えは払渡し後でもよい、と考えるとどちらかを誤る。

解説先取特権は、目的物の売却、賃貸、滅失または損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使できる(民法304条1項本文・物上代位)。アは誤り。ただし先取特権者は、その払渡しまたは引渡しの前に差押えをしなければならない(同項ただし書)。イは正しい。

補足債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、同様に物上代位ができる(304条2項)。

問30不分割の契約の更新と共有物変更の裁判e-Gov等の一次資料で確認済み

不分割の契約の更新と共有物変更の裁判に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.共有物を分割しない旨の契約は、更新することができるが、その期間は更新の時から五年を超えることができない。
  • イ.共有者が他の共有者の所在を知ることができないときでも、裁判所は、共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
256条2項

民法第256条第2項「前項ただし書の契約は、更新することができる」一次資料を確認

イ.誤り
251条2項

民法第251条第2項「共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる」一次資料を確認

ひっかけ所在不明の共有者がいると変更は不可能と考えるとイを正しいと誤る。

解説共有物を分割しない旨の契約は更新することができ、その期間は更新の時から五年を超えることができない(民法256条2項)。アは正しい。共有者が他の共有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる(251条2項)。イは誤り。

補足不分割の契約の期間(256条)と、変更の裁判の要件(251条2項)は別々の規定なので混ぜない。

問31共有持分の放棄と共有物の負担を履行しない共有者の持分取得e-Gov等の一次資料で確認済み

共有に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.共有者の一人が、その持分を放棄したときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
  • イ.共有者が、管理の費用を支払う義務を3か月以内に履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
共有者の一人が持分を放棄したときは、その持分は他の共有者に帰属する(民法255条)。例えば、A・B・Cが共有する土地でAが持分を放棄すれば、Aの持分はBとCに帰属する。国庫や放棄者以外の第三者に帰属するのではない。

民法第255条「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」一次資料を確認

イ.誤り
各共有者は、持分に応じて管理の費用を支払い、共有物に関する負担を負う(民法253条1項)。共有者が1年以内にこの義務を履行しないときは、他の共有者は相当の償金を支払ってその者の持分を取得できる(同条2項)。期間は3か月ではなく1年である。

民法第253条第2項「共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる」一次資料を確認

ひっかけ持分を放棄した場合は、放棄した持分は誰のものでもなくなる、あるいは国庫に帰属すると考えるとアを誤りとしやすい。放棄された持分は、他の共有者に帰属する。イは、費用を負担しない共有者に対する措置であることは合っているが、期間の数字(1年以内)を入れ替えた誤りの記述である。

解説共有者の一人が持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は他の共有者に帰属する(民法255条)。各共有者は持分に応じて管理の費用などの負担を負い(253条1項)、共有者が1年以内にその義務を履行しないときは、他の共有者は相当の償金を支払ってその者の持分を取得できる(同条2項)。アは正しく、イは期間を誤っている。

補足各共有者の持分は、相等しいものと推定される(250条)。

問32根抵当権の元本の確定請求(設定者と根抵当権者の違い)e-Gov等の一次資料で確認済み

根抵当権の担保すべき元本の確定請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から1年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。
  • イ.根抵当権者は、根抵当権の設定の時から3年を経過した後でなければ、担保すべき元本の確定を請求することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
根抵当権設定者が元本の確定を請求できるのは、設定の時から3年を経過したときである(民法398条の19第1項)。この場合、元本は請求の時から2週間を経過することによって確定する。

民法第398条の19第1項「根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる」一次資料を確認

イ.誤り
根抵当権者は、いつでも元本の確定を請求できる(民法398条の19第2項)。この場合、元本は請求の時に確定する。設定者の場合(3年経過後・請求から2週間で確定)とは、請求できる時期も確定の時期も異なる。

民法第398条の19第2項「根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる」一次資料を確認

ひっかけ設定者と根抵当権者の請求の要件を同じと考えると、アとイの片方を正しいと判断しやすい。設定者は設定から3年経過後に限り、確定は請求の時から2週間後である。根抵当権者はいつでも請求でき、確定は請求の時である。数字の1年、3年と、当事者を入れ替えた誤りの組み合わせである。

解説根抵当権設定者は、設定の時から3年を経過したときは元本の確定を請求でき、元本は請求の時から2週間を経過することによって確定する(民法398条の19第1項)。根抵当権者は、いつでも元本の確定を請求でき、元本は請求の時に確定する(同条2項)。ア・イとも誤り。

補足元本の確定すべき期日の定めがあるときは、398条の19第1項・2項の確定請求の規定は適用されない(同条3項)。

問33質権の設定(目的物の引渡し)と代理占有の禁止e-Gov等の一次資料で確認済み

動産質権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
  • イ.質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
質権の設定は、債権者に目的物を引き渡すことによって効力を生ずる(民法344条)。質権の設定契約をしただけでは足りず、引渡しが必要である。例えば、貴金属を担保に入れる質権では、貴金属を債権者に渡して初めて質権が成立する。

民法第344条「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる」一次資料を確認

イ.正しい
質権者は、質権設定者に自己に代わって質物の占有をさせることができない(民法345条)。例えば、質物の貴金属を、質権者が設定者に預け直して占有を続けさせる形では、質権の要件を満たさない。

民法第345条「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない」一次資料を確認

ひっかけ抵当権は目的物を設定者の手元に残したまま設定できるので、質権も同じ、と考えるとア・イとも誤りに見える。質権は目的物を債権者に引き渡して効力を生じ、設定者に占有させることはできない点が抵当権と異なる。

解説質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって効力を生ずる(民法344条)。質権者は、質権設定者に自己に代わって質物の占有をさせることができない(345条)。ア・イとも正しい。

補足質権者による占有の継続は、質権設定者に代わって占有させることを禁じる345条とあわせて、質権の特徴となっている。

問34地役権の付従性(要役地からの分離譲渡の禁止)と時効取得の要件e-Gov等の一次資料で確認済み

地役権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができる。
  • イ.地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
地役権は、要役地の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転する(民法281条1項)。そのため、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることはできない(同条2項)。

民法第281条第2項「地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない」一次資料を確認

イ.正しい
地役権を時効によって取得できるのは、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限られる(民法283条)。例えば、他人の土地に通路を開設して継続的に通行していれば、時効取得の対象になりうる。

民法第283条「地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる」一次資料を確認

ひっかけ地役権も財産権の一種で、他の物権と同じように自由に譲渡や担保の対象にできる、と考えるとアを正しいとしやすい。地役権は要役地の所有権に従たる権利であり、要役地から分離して譲渡等はできない。イは、継続的に行使されることだけでなく、外形上認識できることも必要である点を押さえる。

解説地役権は、要役地の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となる(民法281条1項)。要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることはできない(同条2項)。時効によって取得できるのは、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限られる(283条)。アは誤り、イは正しい。

補足281条1項ただし書は、設定行為に別段の定めがあるときは、地役権が所有権とともに移転しないことを認めている。

問35占有権の消滅事由と占有回収の訴えの提起e-Gov等の一次資料で確認済み

占有権の消滅に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。
  • イ.占有者が占有物の所持を失った場合には、占有回収の訴えを提起したときであっても、占有権は消滅する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
占有権は、占有者が占有の意思を放棄したとき、又は占有物の所持を失ったときに消滅する(民法203条本文)。例えば、借りていた物を紛失して所持を失えば、原則として占有権は消滅する。

民法第203条本文「占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する」一次資料を確認

イ.誤り
占有者が占有回収の訴えを提起したときは、所持を失っても占有権は消滅しない(民法203条ただし書)。例えば、物を奪われた占有者が占有回収の訴えを提起すれば、占有権は消滅せず、訴えの手続の中で占有を回復できる。

民法第203条ただし書「ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ所持を失えば占有権は必ず消滅する、と覚えているとイを正しいとしやすい。条文のただし書は、占有回収の訴えを提起したときは消滅しないとしている。アは、意思の放棄と所持の喪失のどちらでも消滅する点を覚えておく。

解説占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する(民法203条本文)。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない(同条ただし書)。アは正しく、イは誤り。

補足占有回収の訴えは、占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない(201条3項)。

問36占有保持の訴えと占有保全の訴え(請求できる内容の違い)e-Gov等の一次資料で確認済み

占有の訴えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
  • イ.占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、すでに生じた損害の賠償そのものを請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、妨害の停止と損害の賠償を請求できる(民法198条)。

民法第198条「その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる」一次資料を確認

イ.誤り
占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、妨害の予防又は損害賠償の担保を請求できる(民法199条)。まだ妨害が生じていない段階の訴えである。

民法第199条「その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる」一次資料を確認

ひっかけ占有保持と占有保全を同じ種類の請求と考えるとイを正しいとしやすい。占有保持の訴えは、すでに妨害されたときに妨害の停止と損害の賠償を請求する。占有保全の訴えは、妨害のおそれがあるときに、妨害の予防又は損害賠償の担保を請求する。

解説占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、妨害の停止及び損害の賠償を請求できる(民法198条)。占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、妨害の予防又は損害賠償の担保を請求できる(199条)。アは正しく、イは誤り。

補足占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求できる(200条1項)。

問37占有の訴えと本権の訴えの関係e-Gov等の一次資料で確認済み

占有の訴えと本権の訴えの関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.本権の訴えが提起されている間は、占有の訴えを提起することはできない。
  • イ.占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
占有の訴えは本権の訴えを妨げず、本権の訴えも占有の訴えを妨げない(民法202条1項)。両者は別の訴えとして提起できる。

民法第202条第1項「占有の訴えは本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない」一次資料を確認

イ.正しい
占有の訴えでは、占有を妨害された事実などで判断し、所有権などの本権があるかどうかという理由に基づいて裁判をすることはできない(民法202条2項)。

民法第202条第2項「占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない」一次資料を確認

ひっかけ所有権(本権)があるかどうかで争うほうが根本的なので、本権の訴えがあれば占有の訴えは使えない、あるいは占有の訴えでも所有権の有無で判断される、と考えるとア・イを逆に判断しやすい。占有の訴えと本権の訴えは互いに妨げず、占有の訴えは本権に関する理由で裁判できない。

解説占有の訴えは本権の訴えを妨げず、本権の訴えは占有の訴えを妨げない(民法202条1項)。占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない(同条2項)。アは誤り、イは正しい。

補足占有の訴えには、占有保持の訴え(198条)、占有保全の訴え(199条)、占有回収の訴え(200条)がある。

問38留置権者の注意義務と留置物の使用e-Gov等の一次資料で確認済み

留置権者による留置物の保管等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.留置権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、留置物を占有すれば足りる。
  • イ.留置権者は、留置物の保存に必要な使用であっても、債務者の承諾を得なければすることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有しなければならない(民法298条1項)。自己の財産に対するのと同一の注意では足りない。

民法第298条第1項「留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない」一次資料を確認

イ.誤り
留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用は、承諾なしにできる(民法298条2項)。

民法第298条第2項ただし書「ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ留置権者は他人の物を預かる立場なので、自己の財産と同じ注意で足りる、あるいは一切使用できない、と考えるとア・イを誤って判断しやすい。留置権者には善良な管理者の注意が求められ、保存に必要な使用は承諾なしにできる。

解説留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有しなければならない(民法298条1項)。債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができないが、保存に必要な使用はできる(同条2項)。これらに違反したときは、債務者は留置権の消滅を請求できる(同条3項)。ア・イとも誤り。

補足留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる(299条1項)。

関連する章

同じ論点や根拠法でつながる章です。別の級の章や、関連する法律を扱う章へ移って確認できます。

読み終えたら、解いて採点

この章の38問を、確認根拠つきで採点します。選択肢ごとの正誤を自分で判断してから答え合わせできます。

この章を解く(38問)→

登録不要・無料。各問にe-Gov等の一次資料で確認済みの根拠つき。 ほかの章はビジネス実務法務検定2級の試験概要と章の一覧から選べます。 ビジネス実務法務検定2級の過去問の公開状況も確認できます。

この章を解く(38問)→