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自賠責法・第5

リスク管理(自賠責法)の問題(20問)

この章を解く(20問)→

この章の概要

自動車事故の被害者救済を図る自動車損害賠償保障法をあつかう章です。運行供用者責任の対象と免責、責任保険(自賠責保険)の契約の締結強制、被害者の保険会社への直接請求、被保険者の保険金請求、政府の自動車損害賠償保障事業を収録しています。誰が責任を負い、被害者がどう救済されるかが論点で、各問の根拠は自動車損害賠償保障法の条文とe-Govで照合しています。

この章で確認する論点

5章では、運行供用者責任の対象・運行供用者責任の免責・責任保険の契約の締結強制・被害者の保険会社への直接請求・被保険者の保険金請求を中心に20問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

  • 運行供用者責任・自賠責は『人身損害』のみ。物損は対象外。
  • 免責は『3要件すべて』の証明が必要。一つでも欠けると責任を負う。
  • 自賠責は『強制保険』。締結していなければ運行できない。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

自動車損害賠償保障法2条3条4条5条6条7条8条9条10条11条12条13条14条15条16条17条18条19条20条の222条72条

問題と解説を読む20問・答え付き

答え・解説つきで20問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov等の一次資料で確認済み2026年6月〜2026年6月時点の法令に準拠
1運行供用者責任の対象e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の運行供用者責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。
  • 運行供用者責任は、他人の生命・身体を害した場合のほか、他人の財物を損壊した場合(物損事故)にも及ぶ。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
3条本文が運行供用者責任を定める

自動車損害賠償保障法第3条「その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる」一次資料を確認

誤り
3条が対象を生命・身体に限る

自動車損害賠償保障法第3条「他人の生命又は身体を害したとき」一次資料を確認

ひっかけ運行供用者責任・自賠責は『人身損害』のみ。物損は対象外。

解説運行供用者責任(3条)は、自己のために自動車を運行の用に供する者が、その運行によって他人の生命又は身体を害したときに生じる。対象は人身損害のみであり、物損は対象外である(物損は民法の不法行為で処理される)。自賠責保険も人身損害のみをてん補し、物損は対象としない。

補足運行供用者責任は、立証責任が加害者側に転換された実質的な無過失責任に近い厳しい責任である。

2運行供用者責任の免責e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の運行供用者責任の免責に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 運行供用者は、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったことを証明することは、免責が認められるための要件の一つである。
  • 免責が認められるためには、上記のほか、被害者等に故意又は過失があったこと、及び自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明する必要があり、これら3つの事実をすべて証明しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
3条ただし書が無過失を免責要件とする

自動車損害賠償保障法第3条「自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと」一次資料を確認

正しい
3条ただし書が3要件すべての証明を求める

自動車損害賠償保障法第3条「自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ免責は『3要件すべて』の証明が必要。一つでも欠けると責任を負う。

解説運行供用者が3条の責任を免れるには、ただし書の3要件をすべて証明しなければならない。①自己及び運転者が運行に関し注意を怠らなかったこと、②被害者又は運転者以外の第三者に故意・過失があったこと、③自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと、である。立証は極めて困難で、実質的に無過失責任に近い。

補足立証責任が運行供用者側に転換されている点が、民法709条の一般不法行為と異なる。

3責任保険の契約の締結強制e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の責任保険の契約の締結強制に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 自賠責保険(責任保険)又は責任共済の契約を締結していない自動車であっても、車検を受けていれば運行の用に供することができる。
  • 自動車は、自賠責保険(責任保険)又は責任共済の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
5条が自賠責の締結を運行の要件とする

自動車損害賠償保障法第5条「運行の用に供してはならない」一次資料を確認

正しい
5条が自賠責を強制付保とする

自動車損害賠償保障法第5条「契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない」一次資料を確認

ひっかけ自賠責は『強制保険』。締結していなければ運行できない。

解説自賠責保険(責任保険)又は責任共済は、すべての自動車(原動機付自転車を含む)に付保が義務付けられている強制保険である(5条)。契約が締結されていなければ運行の用に供してはならず、違反には罰則がある。なお、自賠責の有効期間は車検期間をカバーするよう設定されるが、付保義務自体は車検とは別の義務である。

補足自賠責でカバーされない損害(物損・自賠責の限度超過分)に備えるのが任意の自動車保険である。

4被害者の保険会社への直接請求e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の被害者の保険会社に対する損害賠償額の請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被害者は、加害者(被保険者)が損害賠償額を支払った後でなければ、保険会社に対して損害賠償額の支払を請求することができない。
  • 被害者が保険会社に直接請求できる金額は、実際に生じた損害の全額であり、保険金額による限度はない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
16条1項が被害者の直接請求を認める

自動車損害賠償保障法第16条「被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる」一次資料を確認

誤り
16条1項が請求を保険金額の限度とする

自動車損害賠償保障法第16条「保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる」一次資料を確認

ひっかけ被害者は『直接請求』できる。ただし『保険金額の限度』まで。

解説運行供用者の損害賠償責任が発生したときは、被害者は加害者の支払を待たず、保険会社に対して直接、損害賠償額の支払を請求できる(16条1項=被害者請求)。ただし、請求できるのは保険金額(自賠責の支払限度額)の限度においてであり、これを超える損害は加害者本人や任意保険で対応する。

補足被保険者(加害者)も、自己が被害者に賠償した限度で保険金を請求できる(15条)。

5被保険者の保険金請求e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の被保険者の保険金の請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。
  • 被保険者は、被害者に損害賠償額を支払う前であっても、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
15条が被保険者の保険金請求を支払額の限度とする

自動車損害賠償保障法第15条「自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる」一次資料を確認

誤り
15条が支払を保険金請求の前提とする

自動車損害賠償保障法第15条「被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ」一次資料を確認

ひっかけ被保険者は『支払った限度』でのみ請求。被害者は支払を待たず直接請求できる。

解説自賠責保険の保険金は、被保険者(加害者)の請求と被害者の直接請求の2つの請求方法がある。被保険者が請求する場合は、被害者に損害賠償額を支払った限度においてのみ保険金を請求できる(15条)。一方、被害者は加害者の支払を待たずに保険会社へ直接請求できる(16条)。被害者保護のため、実務では被害者請求が広く利用される。

補足被害者請求(16条)は、加害者が賠償に応じない場合でも被害者が救済を受けられる仕組みである。

6政府の自動車損害賠償保障事業e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の政府の自動車損害賠償保障事業に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 政府の自動車損害賠償保障事業は、加害自動車の保有者が明らかな通常の事故についても、被害者の請求により損害をてん補する。
  • 政府の自動車損害賠償保障事業は、自動車の運行によって生命又は身体を害された者がある場合に、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が損害賠償の請求をすることができないときに、被害者の請求により損害をてん補する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
72条1項1号が保有者不明等を対象とする

自動車損害賠償保障法第72条「その自動車の保有者が明らかでないため被害者が第三条の規定による損害賠償の請求をすることができないとき」一次資料を確認

正しい
72条1項1号が政府の保障事業を定める

自動車損害賠償保障法第72条「自動車の運行によつて生命又は身体を害された者がある場合において」一次資料を確認

ひっかけ政府保障事業は『ひき逃げ・無保険車』の被害者を救済する仕組み。

解説政府の自動車損害賠償保障事業は、自賠責保険の対象外となる被害者を救済する制度である。①加害自動車の保有者が明らかでないとき(ひき逃げ)、②自賠責保険に加入していない無保険車による事故などの場合に、被害者の請求により、政令で定める金額の限度で損害をてん補する(72条1項)。自賠責保険ではカバーできない被害者の最後の救済手段である。

補足保障事業によるてん補額は、自賠責保険の支払基準に準じ、他の社会保険等による給付があれば控除される。

7「自動車」「運行」等の定義e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の用語の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • この法律において「運行」とは、人又は物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう。
  • この法律において「保有者」とは、他人のために自動車の運転又は運転の補助に従事する者をいう。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
2条2項が『運行』を定義 → 運送の有無は問わない

自動車損害賠償保障法第2条「人又は物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう」一次資料を確認

誤り
2条3項=保有者、2条4項=運転者 → イは運転者の定義を保有者と誤る

自動車損害賠償保障法第2条「自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するもの」一次資料を確認

自動車損害賠償保障法第2条「他人のために自動車の運転又は運転の補助に従事する者」一次資料を確認

ひっかけ『保有者』=使用権を持ち自己のため運行する者/『運転者』=他人のため運転・補助する者。両者の取り違えに注意。

解説2条は基本用語を定義する。『自動車』は道路運送車両法上の自動車(一定の小型特殊自動車を除く)と原動機付自転車(2条1項)。『運行』は運送の有無を問わず自動車を当該装置の用い方に従い用いること(2条2項)。『保有者』は所有者その他使用する権利を有する者で自己のために運行の用に供する者(2条3項)、『運転者』は他人のために運転又は運転の補助に従事する者(2条4項)。運行供用者責任(3条)の主体を正しく把握する前提になる。

補足『運行』を運送の有無を問わず広くとらえる定義(2条2項)は、運行供用者責任が及ぶ場面を判断する出発点になる。

8民法の適用関係e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法と民法の適用関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 運行供用者の損害賠償の責任は専ら自賠法第3条によって規律され、損害賠償の範囲や過失相殺などについて民法の規定が適用される余地はない。
  • 運行供用者の損害賠償の責任については、自賠法第3条の規定によるほか、民法の規定による。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
4条は『前条のほか民法による』 → 民法は補充的に適用される

自動車損害賠償保障法第4条「前条の規定によるほか、民法」一次資料を確認

正しい
4条が3条と民法の適用関係を定める

自動車損害賠償保障法第4条「前条の規定によるほか、民法」一次資料を確認

ひっかけ自賠法3条は民法の『特則』。3条が定めない部分は4条により民法が補う。

解説自賠法3条は運行供用者責任を定め、立証責任を加害者側に転換する点で民法709条の特則である。もっとも、損害賠償の範囲・過失相殺など3条が規律しない事項については、4条により民法の規定が適用される。したがって『自賠法だけで完結し民法は適用されない』という理解は誤り。なお他人の財物の損壊(物損)は3条の対象外であり、もっぱら民法の不法行為で処理される。

補足4条が民法の適用を明文で残しているため、人身損害でも過失相殺や損害額の算定は民法の一般原則に従う。

9被害者に対する仮渡金e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の被害者に対する仮渡金に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 保有者が責任保険の契約に係る自動車の運行によって他人の生命又は身体を害したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、政令で定める金額を損害賠償額の支払のための仮渡金として支払うべきことを請求することができる。
  • 保険会社は、支払った仮渡金の金額が支払うべき損害賠償額を超えた場合には、その超えた金額の返還を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
17条1項が被害者の仮渡金請求権を定める

自動車損害賠償保障法第17条「仮渡金として支払うべきことを請求することができる」一次資料を確認

正しい
仮渡金は前払い → 確定額を超えた分は清算(17条3項)

自動車損害賠償保障法第17条「その超えた金額の返還を請求することができる」一次資料を確認

ひっかけ仮渡金=損害賠償額の確定前の前払い。超過分は後で清算(返還)される。

解説仮渡金(17条)は、損害賠償額が確定するまでの間、被害者が当座の出費(治療費・葬祭費等)に充てられるよう、政令で定める金額を保険会社に請求できる制度である(17条1項)。保険会社は請求があれば遅滞なく支払う(同2項)。あくまで概算の前払いなので、仮渡金が確定した損害賠償額を超えた場合は、保険会社が超過分の返還を請求できる(同3項)。被害者の直接請求(16条1項)とともに被害者保護の中核をなす。

補足仮渡金請求権も、被害者の直接請求権(16条1項)と同じく差押えが禁止される(18条)。

10保険会社に対する請求権の消滅時効e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上、保険会社に対する被害者の請求権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被害者の保険会社に対する損害賠償額の支払請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知った時から3年を経過したときは、時効によって消滅する。
  • この損害賠償額の支払請求権の消滅時効の期間は、被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知った時から10年である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
19条が16条1項・17条1項の請求権の時効を3年と定める

自動車損害賠償保障法第19条「損害及び保有者を知つた時から三年を経過したときは、時効によつて消滅する」一次資料を確認

誤り
19条は『三年』と明記 → 10年は誤り

自動車損害賠償保障法第19条「損害及び保有者を知つた時から三年を経過したとき」一次資料を確認

ひっかけ自賠法の保険会社への請求権の時効は『知った時から3年』。

解説保険会社に対する被害者の損害賠償額の支払請求権(16条1項)と仮渡金の請求権(17条1項)は、被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知った時から3年を経過すると時効によって消滅する(19条)。起算点は『損害及び保有者を知った時』であり、事故発生時ではない点に注意する。3年という具体的な期間は法律本文に明記されている。

補足起算点が『損害及び保有者を知った時』であるため、加害自動車の保有者が不明な間は時効が進行しない場面がある。

11請求権の差押えの禁止e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上、保険会社に対する請求権の差押えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被害者の保険会社に対する損害賠償額の支払請求権(16条1項)は、差し押さえることができる。
  • 仮渡金の請求権(17条1項)は差押えが禁止されるが、損害賠償額の支払請求権(16条1項)は差押えが禁止されない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
18条が差押えを禁止 → 差押え可能は誤り

自動車損害賠償保障法第18条「差し押えることができない」一次資料を確認

誤り
18条は両請求権を等しく差押禁止 → 区別は誤り

自動車損害賠償保障法第18条「差し押えることができない」一次資料を確認

ひっかけ16条1項の直接請求権も17条1項の仮渡金請求権も、ともに差押え禁止(18条)。

解説18条は、被害者の保険会社に対する損害賠償額の支払請求権(16条1項)と仮渡金の請求権(17条1項)の差押えを禁止する。これらは被害者の生活再建や当座の出費に充てられるべき性質の債権であり、第三者による差押えから保護する趣旨である。両請求権は、差押禁止(18条)と知った時から3年の短期消滅時効(19条)という点で共通の取扱いを受ける。

補足差押禁止は被害者保護のための政策的規定であり、被害者本人が請求権を行使すること自体は当然に妨げられない。

12責任保険証明書の交付・備付けe-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証明書)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 自動車は、自動車損害賠償責任保険証明書を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。
  • 保険会社は、保険料の支払があったときは、保険契約者に対して、当該自動車につき自動車損害賠償責任保険証明書を交付しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
8条が証明書の備付けを運行の要件とする

自動車損害賠償保障法第8条「備え付けなければ、運行の用に供してはならない」一次資料を確認

正しい
7条1項が保険会社の証明書交付義務を定める

自動車損害賠償保障法第7条第1項「自動車損害賠償責任保険証明書を交付しなければならない」一次資料を確認

ひっかけ自賠責証明書は『交付(保険会社→契約者・7条)』と『備付け(自動車・8条)』の2段構え。

解説自賠責保険証明書は、保険会社が保険契約者に『交付』し(7条1項)、その証明書を自動車に『備え付け』なければ運行の用に供してはならない(8条)という二段構えで管理される。交付の主体は保険会社、備付けの義務は自動車(の使用者側)にあり、両者を取り違えないようにする。

補足証明書は車検等の一定の処分を受けようとするときに行政庁へ提示することも求められる(9条)。

13保険会社の免責(悪意)e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の保険会社の免責に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 保険会社は、保険契約者又は被保険者の悪意によって生じた損害については、てん補の責めを免れる。
  • 保険会社は、被保険者の過失(重大な過失を含む。)によって生じた損害についても、てん補の責めを免れる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
14条が悪意による損害を免責とする

自動車損害賠償保障法第14条「悪意によつて生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる」一次資料を確認

誤り
14条が免責とするのは『悪意』のみ → 過失は免責対象外

自動車損害賠償保障法第14条「悪意によつて生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる」一次資料を確認

ひっかけ保険会社の免責は『悪意(故意)』のみ。重過失でも免責されない。

解説自賠責保険は被害者保護を目的とする強制保険であるため、保険会社が免責されるのは保険契約者又は被保険者の『悪意(故意)』によって生じた損害に限られる(14条)。被保険者に重大な過失があっても免責されない点が、被害者を厚く保護する自賠責の特徴である。

補足悪意による損害であっても、被害者が16条1項により直接請求したときは保険会社がいったん支払い、その金額について政府に補償を求める仕組みがある(16条4項)。

14責任保険契約の解除の制限e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の責任保険の契約の解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 責任保険の契約の当事者は、いつでも当事者間の合意によって責任保険の契約を解除することができる。
  • 責任保険の契約は、法令に定める一定の場合に限り解除することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
20条の2第2項が合意解除・解除条件の付加を禁止する

自動車損害賠償保障法第20条の2第2項「合意により解除し、又はその契約に解除条件を附することができない」一次資料を確認

正しい
20条の2第1項が解除事由を限定列挙する

自動車損害賠償保障法第20条の2第1項「次に掲げる場合に限り」一次資料を確認

ひっかけ自賠責は被害者保護のため『合意解除』ができない。解除は法定事由のみ。

解説自賠責保険は被害者保護を目的とする強制保険であるため、契約当事者が自由に合意で解除することはできず、解除条件を付けることもできない(20条の2第2項)。解除できるのは、当該自動車が運行の用に供されなくなった場合など、法令が列挙する一定の事由に該当する場合に限られる(20条の2第1項)。

補足廃車などで当該自動車を運行の用に供しないこととなった場合には、列挙事由に該当し解除が可能となる。

15責任保険契約の単位・保険金額の定め方e-Gov等の一次資料で確認済み

自動車損害賠償保障法上の責任保険の契約及び保険金額に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 責任保険の契約は、一つの契約で複数の自動車をまとめて締結しなければならない。
  • 責任保険の保険金額は、自動車損害賠償保障法の条文(本文)に具体的な金額として定められている。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
12条が一両ごとの締結を定める → まとめて締結は誤り

自動車損害賠償保障法第12条「自動車一両ごとに締結しなければならない」一次資料を確認

誤り
13条1項が保険金額を政令委任 → 法律本文に金額明記は誤り

自動車損害賠償保障法第13条第1項「責任保険の保険金額は、政令で定める」一次資料を確認

ひっかけ自賠責は『一両ごと』に契約。保険金額は法律本文でなく『政令』で定める。

解説責任保険の契約は自動車一両ごとに締結する(12条)。また、自賠責保険の保険金額(支払限度額)は法律の本文ではなく政令で定められており(13条1項)、限度額の見直しは政令改正によって行われる。具体的な限度額は政令で定められているため、条文本文には金額そのものは規定されていない。

補足保険金額が政令に委任されているため、限度額は法律改正を待たず政令改正で機動的に見直すことができる。

16責任保険の保険者e-Gov等の一次資料で確認済み

責任保険の保険者に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 責任保険の保険者は、一定の損害保険会社又は外国損害保険会社等である。
  • 責任保険の保険者は、生命保険会社であれば当然に該当する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
自動車損害賠償保障法第6条第1項の「損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等」と一致するため正しい。

自動車損害賠償保障法第6条第1項「損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等」一次資料を確認

誤り
要件または効果の入替え

自動車損害賠償保障法第6条第1項「損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等」一次資料を確認

ひっかけ保険会社ならどこでも自賠責を引き受けられる、と考えるとイを正しいと誤る。責任保険の保険者は損害保険会社又は外国損害保険会社等である。

解説責任保険の保険者(保険会社)は、保険業法に規定する損害保険会社又は外国損害保険会社等で、責任保険の引受けを行う者とされている(自動車損害賠償保障法6条1項)。アはこのとおり正しく、生命保険会社が当然に該当するとするイは誤り。よって「アー正、イー誤」。

補足共済側の受け皿も定められており、責任共済の共済責任を負う者は、農業協同組合等・消費生活協同組合等・事業協同組合等の組合である(6条2項)。「損保・共済」の枠組みで覚える。

17責任保険証明書の提示e-Gov等の一次資料で確認済み

責任保険証明書の提示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 一定の車両関係処分を受けようとする者は、自動車損害賠償責任保険証明書も提示しなければならない。
  • 車検等の手続では、自動車損害賠償責任保険証明書の提示は一切求められない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
自動車損害賠償保障法第9条第1項の「自動車損害賠償責任保険証明書をも提示しなければならない」と一致するため正しい。

自動車損害賠償保障法第9条第1項「自動車損害賠償責任保険証明書をも提示しなければならない」一次資料を確認

誤り
要件または効果の入替え

自動車損害賠償保障法第9条第1項「自動車損害賠償責任保険証明書をも提示しなければならない」一次資料を確認

ひっかけ車検と保険は別の手続、と考えるとイを正しいと誤る。車検等の処分を受けようとする者は、責任保険証明書「をも」提示しなければならない。

解説道路運送車両法上の一定の処分(新規登録や継続検査=車検など)を受けようとする者は、当該行政庁に対して、自動車損害賠償責任保険証明書をも提示しなければならない(自動車損害賠償保障法9条1項)。アはこのとおり正しく、「一切求められない」とするイは誤り。よって「アー正、イー誤」。

補足この提示義務は、無保険車を車検の段階で締め出す仕組み。強制保険(自賠責)の実効性を、契約義務(5条)+証明書の提示(9条)の二段で担保している。

18自賠責法の適用除外e-Gov等の一次資料で確認済み

自賠責法の適用除外に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 道路以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車には、一定規定が適用されない。
  • 道路以外の場所だけで使う自動車にも、自賠責法5条等は例外なく適用される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
自動車損害賠償保障法第10条の「以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」と一致するため正しい。

自動車損害賠償保障法第10条「以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」一次資料を確認

誤り
要件または効果の入替え

自動車損害賠償保障法第10条「以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」一次資料を確認

ひっかけ自賠責は自動車なら例外なし、と考えるとイを正しいと誤る。道路以外の場所のみで運行する自動車には、契約締結義務等の規定が適用されない。

解説自賠責法5条(責任保険等の契約締結強制)及び7条から9条までの規定は、国その他の政令で定める者が政令で定める業務等のため運行の用に供する自動車と、道路以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車については、適用しない(自動車損害賠償保障法10条)。アはこのとおり正しく、「例外なく適用される」とするイは誤り。よって「アー正、イー誤」。

補足適用除外は「構内専用車など道路に出ない自動車」のイメージで覚える。ここでいう道路は道路法上の道路・自動車道のほか「その他の一般交通の用に供する場所」を含むので、除外の範囲は実際には狭い。

19責任保険契約の効力e-Gov等の一次資料で確認済み

責任保険契約の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 責任保険契約は、保険会社のてん補と保険契約者の保険料支払を約することによって効力を生ずる。
  • 責任保険契約は、保険料支払を約しなくても当然に効力を生ずる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
自動車損害賠償保障法第11条第1項の「保険契約者が保険会社に保険料を支払うことを約することによつて、その効力を生ずる」と一致するため正しい。

自動車損害賠償保障法第11条第1項「保険契約者が保険会社に保険料を支払うことを約することによつて、その効力を生ずる」一次資料を確認

誤り
要件または効果の入替え

自動車損害賠償保障法第11条第1項「保険契約者が保険会社に保険料を支払うことを約することによつて、その効力を生ずる」一次資料を確認

ひっかけ強制保険だから契約は自動的に成立する、と考えるとイを正しいと誤る。責任保険契約は、てん補の約束と保険料支払の約束によって効力を生ずる。

解説責任保険の契約は、保有者の損害賠償責任が発生した場合における保有者・運転者の損害を保険会社がてん補することを約し、保険契約者が保険会社に保険料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる(自動車損害賠償保障法11条1項)。アはこのとおり正しく、「保険料支払を約しなくても当然に効力を生ずる」とするイは誤り。よって「アー正、イー誤」。

補足契約締結が法律で強制される(5条)ことと、個々の契約が合意(てん補の約束+保険料支払の約束)で成立することは別の話。責任共済も同じ構造で、共済掛金の支払を約することによって効力を生ずる(11条2項)。

20危険増加時の通知義務e-Gov等の一次資料で確認済み

危険増加時の通知義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 保険契約者又は被保険者は、保険期間中に危険が増加したことを知ったとき、遅滞なく保険会社へ通知しなければならない。
  • 危険が増加したことを知っても、保険契約者等に通知義務はない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
自動車損害賠償保障法第22条第2項の「遅滞なく、これを保険会社に通知しなければならない」と一致するため正しい。

自動車損害賠償保障法第22条第2項「遅滞なく、これを保険会社に通知しなければならない」一次資料を確認

誤り
要件または効果の入替え

自動車損害賠償保障法第22条第2項「遅滞なく、これを保険会社に通知しなければならない」一次資料を確認

ひっかけ契約後の事情変更は保険会社が調べること、と考えるとイを正しいと誤る。危険の増加を知った保険契約者・被保険者には遅滞ない通知義務がある。

解説保険期間中に危険が増加し又は減少したときは、責任保険の契約は新たな危険に対応する契約に変更されたものとみなされる(自動車損害賠償保障法22条1項)。そして保険契約者又は被保険者は、保険期間中に危険が増加したことを知ったときは、遅滞なく、これを保険会社に通知しなければならない(同条2項)。アは正しく、「通知義務はない」とするイは誤り。よって「アー正、イー誤」。

補足通知を怠ったまま危険増加後に保険事故が発生し保険会社がてん補した場合、保険会社は保険契約者にてん補額の支払を請求できる(22条3項)。被害者救済のため契約は失効させず、事後的に契約者へ求償する構造が特徴。

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