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商法・第11

商法(海商編)の問題(15問)

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問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2026年6月時点の法令に準拠
1商法上の船舶の定義

商法海商編における船舶及び船舶所有者の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 商法海商編において船舶とは、商行為をする目的で航海の用に供する船舶(ろかいのみで運転する舟等を除く)をいう。
  • 船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
684条のとおり → 正しい

商法第684条商行為をする目的で航海の用に供する船舶(端舟その他ろかいのみをもって運転し、又は主としてろかいをもって運転する舟を除く。)をいうe-Gov原文

正しい
690条のとおり → 正しい

商法第690条船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負うe-Gov原文

ひっかけ商法上の船舶は『商行為目的・航海の用に供する船舶』。船舶所有者は船員の加害に責任を負う(684条・690条)。

解説商法海商編にいう船舶は、商行為をする目的で航海の用に供する船舶であり、ろかいのみで運転する舟等は除かれる(684条)。船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う(690条)。海商編は、海上企業に関する私法上の権利義務(所有者の責任・運送・海損・救助等)を定める点で、行政取締法令とは性格が異なる。

補足海商編の『船舶』は商行為目的の航海船に限られるが、船舶法・船舶安全法等の行政法規上の『船舶』とは範囲が異なる。同じ船舶という語でも、法律の目的により定義が異なる点に注意する。

2船舶の登記と国籍証書

商法上の船舶の登記等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船舶所有者は、船舶法の定めるところに従い、登記をし、かつ、船舶国籍証書の交付を受けなければならない。
  • 総トン数20トン未満の船舶の所有者も、商法の規定により、登記をし、かつ船舶国籍証書の交付を受けなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
686条1項のとおり → 正しい

商法第686条船舶所有者は、船舶法(明治三十二年法律第四十六号)の定めるところに従い、登記をし、かつ、船舶国籍証書の交付を受けなければならないe-Gov原文

誤り
20トン未満は登記等の規定の適用外 → 『登記等が必要』は誤り

商法第686条前項の規定は、総トン数二十トン未満の船舶については、適用しないe-Gov原文

ひっかけ船舶所有者は『登記+船舶国籍証書』。ただし総トン数20トン未満の船舶は適用外(686条)。

解説船舶所有者は、船舶法の定めるところに従い、登記をし、かつ船舶国籍証書の交付を受けなければならない(686条1項)。ただし、総トン数20トン未満の船舶については、この規定は適用されない(686条2項)。20トンという基準は、船舶法上の登記・登録の区分(20トン以上は登記、20トン未満は登録)とも対応する。登記等が必要な船舶の範囲(20トン以上)を押さえる。

補足商法は登記・国籍証書という大枠を定め、その具体的手続は船舶法に委ねている(686条1項が『船舶法の定めるところに従い』とする)。私法(商法)と行政法(船舶法)が連携している例である。

3船舶所有者の責任

船舶所有者及び船長の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
  • 船長は、海員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
690条のとおり → 正しい

商法第690条船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負うe-Gov原文

正しい
713条のとおり → 正しい

商法第713条船長は、海員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負うe-Gov原文

ひっかけ船舶所有者は『船員』の加害に、船長は『海員』の加害に賠償責任を負う(690条・713条)。

解説船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う(690条)。また、船長は、海員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う(713条本文)。海上企業の組織において、所有者・船長がそれぞれ下位の者の行為について責任を負う構造を押さえる。

補足船長の責任には免責の余地がある。船長が海員の監督について注意を怠らなかったことを証明したときは、責任を負わない(713条ただし書)。一方、船舶所有者の690条の責任にはこのような免責の定めがない。

4船舶の賃借人の権利義務

船舶の賃借人の権利義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船舶の賃借人は、その船舶の利用に関する事項については、第三者に対して、船舶所有者と同一の権利義務を有する。
  • 船舶の賃借人は、その船舶の利用に関する事項について、第三者に対して、船舶所有者と同一の権利義務を有しない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
703条1項のとおり → 正しい

商法第703条その船舶の利用に関する事項については、第三者に対して、船舶所有者と同一の権利義務を有するe-Gov原文

誤り
同一の権利義務を有する → 『有しない』は誤り

商法第703条その船舶の利用に関する事項については、第三者に対して、船舶所有者と同一の権利義務を有するe-Gov原文

ひっかけ船舶の賃借人は、利用に関する事項について第三者に対し『船舶所有者と同一の権利義務』を持つ(703条)。

解説船舶の賃借人(船舶を借りて自ら船員を使用し航海する者)は、その船舶の利用に関する事項については、第三者に対して、船舶所有者と同一の権利義務を有する(703条1項)。船舶の所有と利用が分離している場合に、対外的には実際に船舶を利用している賃借人が所有者と同様の立場に立つことを定めるものである。所有者ではなく利用者(賃借人)が対外的責任を負う点を押さえる。

補足船舶の賃借人による利用について生じた先取特権は、原則として船舶所有者に対してもその効力を生ずる(703条2項)。賃借人の利用に起因する負担が、船舶という物を通じて所有者にも及ぶ場合がある。

5定期傭船者による指示

定期傭船者による指示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 定期傭船者は、船長に対し、航路の決定その他の船舶の利用に関し必要な事項を指示することができる。
  • 定期傭船者は、発航前の検査その他の航海の安全に関する事項については、船長に対して指示することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
705条のとおり → 正しい

商法第705条定期傭船者は、船長に対し、航路の決定その他の船舶の利用に関し必要な事項を指示することができるe-Gov原文

正しい
705条ただし書のとおり → 正しい

商法第705条発航前の検査その他の航海の安全に関する事項については、この限りでないe-Gov原文

ひっかけ定期傭船者は『船舶の利用』は指示できるが、『航海の安全』に関する事項は指示できない(705条)。

解説定期傭船者は、船長に対し、航路の決定その他の船舶の利用に関し必要な事項を指示することができる(705条本文)。もっとも、発航前の検査その他の航海の安全に関する事項については、指示することができない(ただし書)。商業的な船舶の利用(どこへ運ぶか等)は傭船者が決められるが、安全に関わる判断は船長・船舶所有者側に留保されている。指示権の及ぶ範囲(利用に関する事項)と及ばない範囲(航海の安全)を区別する。

補足定期傭船は、一定期間船舶を借りてその船員ごと利用する契約である。商業上の利用は傭船者が、航海の安全は船長・所有者が担うという役割分担により、安全が確保される。

6船長の代理権

船長の代理権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船長は、船籍港外においては、船舶について抵当権を設定する行為についても、船舶所有者に代わってする権限を当然に有する。
  • 船長の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
抵当権の設定は代理権から除かれる → 『当然に有する』は誤り

商法第708条船舶について抵当権を設定することe-Gov原文

正しい
708条2項のとおり → 正しい

商法第708条船長の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができないe-Gov原文

ひっかけ船長は船籍港外で広い代理権を持つが、抵当権設定・借財は除外。代理権の制限は善意の第三者に対抗できない(708条)。

解説船長は、船籍港外においては、船舶について抵当権を設定すること(1号)及び借財をすること(2号)を除き、船舶所有者に代わって航海のために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する(708条1項)。重要な財産処分(抵当権設定・借財)は除かれる。また、船長の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない(708条2項)。広範な法定代理権と、その例外・制限の対抗不能を押さえる。

補足船長の代理権の制限が善意の第三者に対抗できないのは、船長と取引する相手方を保護し、海上取引の安全を図るためである。会社の代表者の代理権の制限と同様の考え方である。

7船長の責任

船長の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船長は、海員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
  • 船長は、海員の監督について注意を怠らなかったことを証明しても、海員の加害行為による損害賠償の責任を免れることはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
713条本文のとおり → 正しい

商法第713条船長は、海員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負うe-Gov原文

誤り
監督について注意を怠らなかったことを証明すれば免責 → 『免れることはできない』は誤り

商法第713条船長が海員の監督について注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでないe-Gov原文

ひっかけ船長は海員の加害に責任を負うが、『監督に注意を怠らなかった』ことを証明すれば免責される(713条)。

解説船長は、海員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う(713条本文)。ただし、船長が海員の監督について注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない(ただし書、免責)。船長の責任は、海員の監督について過失がない場合には免れる中間的な責任である。船舶所有者の690条の責任(免責の定めなし)とは免責の有無で異なる点を押さえる。

補足船舶所有者は690条で船員の加害に責任を負い、船長は713条で海員の加害に責任を負う。両者は被害者保護のための重畳的な責任だが、船長には監督上の無過失による免責が認められている点で異なる。

8運送品の船積み

個品運送契約における運送人の義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 運送人は、個品運送契約に基づいて荷送人から運送品を受け取ったときは、その船積み及び積付けをしなければならない。
  • 運送人は、発航の当時、船舶を航海に堪える状態に置くこと等を欠いたことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責任を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
737条1項のとおり → 正しい

商法第737条荷送人から運送品を受け取ったときは、その船積み及び積付けをしなければならないe-Gov原文

正しい
739条1項のとおり → 正しい

商法第739条運送人は、発航の当時次に掲げる事項を欠いたことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責任を負うe-Gov原文

ひっかけ運送人は運送品の『船積み・積付け』を行い、発航時の『堪航能力』等の欠如による損害に責任を負う(737条・739条)。

解説運送人は、個品運送契約に基づいて荷送人から運送品を受け取ったときは、その船積み及び積付けをしなければならない(737条1項)。また、発航の当時、船舶を航海に堪える状態に置くこと・船員の乗組み等を適切に行うこと・船倉等を運送品の保存に適する状態に置くことを欠いたことにより生じた運送品の滅失・損傷・延着について損害賠償の責任を負う(739条1項。注意を怠らなかったことの証明により免責)。運送人の積極的義務(船積み)と責任(堪航能力等)を押さえる。

補足個品運送契約は、個々の運送品を目的とする運送契約であり、定期船による貨物運送が典型である。船舶全体を貸し切る航海傭船契約とは区別される。

9堪航能力担保義務

運送人の航海に堪える能力に関する注意義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 運送人は、発航の当時、船舶を航海に堪える状態に置くことを欠いたことにより生じた運送品の損害について、損害賠償の責任を負うことがある。
  • 運送人の航海に堪える能力に関する損害賠償の責任を免除し、又は軽減する特約は、有効である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
739条1項1号のとおり → 正しい

商法第739条一船舶を航海に堪える状態に置くことe-Gov原文

誤り
免除・軽減特約は無効 → 『有効』は誤り

商法第739条前項の規定による運送人の損害賠償の責任を免除し、又は軽減する特約は、無効とするe-Gov原文

ひっかけ運送人の『堪航能力担保義務』は強行規定。これを免除・軽減する特約は無効(739条)。

解説運送人は、発航の当時、(1)船舶を航海に堪える状態に置くこと、(2)船員の乗組み・船舶の艤装・需品の補給を適切に行うこと、(3)船倉等を運送品の保存に適する状態に置くこと(堪航能力)を欠いたことにより生じた運送品の損害について損害賠償の責任を負う(739条1項。注意を怠らなかったことの証明により免責)。この責任を免除・軽減する特約は無効である(739条2項)。荷主保護のための強行規定である点を押さえる。

補足堪航能力に関する責任を免除・軽減する特約を無効とするのは、運送人が一方的に責任を免れることを防ぎ、荷主を保護するためである。運送契約における基本的な義務として強行的に維持される。

10運送品の陸揚げの通知

運送品の陸揚げに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 運送品の陸揚げのために必要な準備を完了しても、船長は、荷受人に対してその旨の通知を発する必要はない。
  • 運送品の陸揚げのために必要な準備を完了したときは、船長は、遅滞なく、荷受人に対してその旨の通知を発しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
船長は荷受人に通知を発しなければならない → 『必要はない』は誤り

商法第752条運送品の陸揚げのために必要な準備を完了したときは、船長は、遅滞なく、荷受人に対してその旨の通知を発しなければならないe-Gov原文

正しい
752条1項のとおり → 正しい

商法第752条運送品の陸揚げのために必要な準備を完了したときは、船長は、遅滞なく、荷受人に対してその旨の通知を発しなければならないe-Gov原文

ひっかけ運送品の陸揚げ準備が完了したら、船長は『遅滞なく荷受人に通知』する(752条)。

解説運送品の陸揚げのために必要な準備を完了したときは、船長は、遅滞なく、荷受人に対してその旨の通知を発しなければならない(752条1項)。荷受人が運送品を受け取る準備をできるようにするための通知である。航海傭船契約で陸揚期間の始期を定めなかったときは、この通知があった時から陸揚期間が起算される(752条2項)。陸揚げをめぐる通知義務を押さえる。

補足荷受人が陸揚期間の経過後に陸揚げをした場合には、運送人は特約がなくても相当な滞船料を請求できる(752条3項)。陸揚げの遅延に対する運送人の保護も定められている。

11船舶衝突の責任分担

船舶の衝突に係る損害賠償の責任分担に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船舶の衝突に係る事故が生じ、いずれの船舶についても過失があったときは、裁判所は、過失の軽重にかかわらず、常に各船舶所有者に等しい割合で損害賠償の責任を負わせる。
  • 船舶の衝突において過失の軽重を定めることができないときは、過失のより大きい船舶所有者のみが損害賠償の責任を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
過失の軽重を考慮して定める → 『軽重にかかわらず常に等しい割合』は誤り

商法第788条裁判所は、これらの過失の軽重を考慮して、各船舶所有者について、その衝突による損害賠償の責任及びその額を定めるe-Gov原文

誤り
軽重を定められないときは等しい割合で負担 → 『過失の大きい者のみ』は誤り

商法第788条過失の軽重を定めることができないときは、損害賠償の責任及びその額は、各船舶所有者が等しい割合で負担するe-Gov原文

ひっかけ船舶衝突は『過失の軽重を考慮』して責任を定め、軽重を定められないときは『等しい割合』で負担(788条)。

解説船舶の衝突に係る事故が生じた場合において、衝突したいずれの船舶についても船舶所有者又は船員に過失があったときは、裁判所は、過失の軽重を考慮して、各船舶所有者の損害賠償の責任及びその額を定める(788条前段)。過失の軽重を定めることができないときは、各船舶所有者が等しい割合で負担する(後段)。原則は過失割合に応じた分担、軽重不明のときに初めて等分という順序を押さえる。

補足過失の軽重を考慮した分担は、過失相殺の考え方に基づく。双方に過失がある衝突では、一方のみが全責任を負うのではなく、過失の程度に応じて責任が分配される。

12海難救助の救助料

海難救助の救助料に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 海難に遭遇した船舶又は積荷等を救助した者は、契約に基づかないで救助したときは、救助料の支払を請求することができない。
  • 海難に遭遇した船舶又は積荷等を救助した者は、契約に基づかないで救助したときであっても、その結果に対して救助料の支払を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
契約に基づかない救助でも請求できる → 『請求できない』は誤り

商法第792条契約に基づかないで救助したときであっても、その結果に対して救助料の支払を請求することができるe-Gov原文

正しい
792条1項のとおり → 正しい

商法第792条契約に基づかないで救助したときであっても、その結果に対して救助料の支払を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ海難救助は『契約がなくても』、結果(救助の成功)に対して救助料を請求できる(792条)。

解説船舶又は積荷等の全部又は一部が海難に遭遇した場合において、これを救助した者があるときは、その者は、契約に基づかないで救助したときであっても、その結果に対して救助料の支払を請求することができる(792条1項)。救助契約がなくても、救助が成功すれば救助料を請求できるという点が海難救助の特徴である(不成功無報酬の原則とあわせて理解する)。契約の有無を問わない請求権を押さえる。

補足船舶所有者及び船長は、積荷等の所有者に代わってその救助に係る契約を締結する権限を有する(792条2項)。緊急の海難の場で、所有者の同意を一々得ずに救助契約を結べるようにする規定である。

13船舶先取特権

船舶先取特権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船舶先取特権は、船舶についてのみ成立し、その属具には及ばない。
  • 雇用契約によって生じた船長その他の船員の債権は、船舶先取特権の対象とならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
先取特権は船舶及びその属具について成立 → 『属具に及ばない』は誤り

商法第842条次に掲げる債権を有する者は、船舶及びその属具について先取特権を有するe-Gov原文

誤り
船員の雇用契約による債権も被担保債権 → 『対象とならない』は誤り

商法第842条雇用契約によって生じた船長その他の船員の債権e-Gov原文

ひっかけ船舶先取特権は『船舶及びその属具』に及ぶ。船員の雇用契約による債権も被担保債権(842条)。

解説一定の債権を有する者は、船舶及びその属具について先取特権(船舶先取特権)を有する(842条)。被担保債権には、船舶の運航に直接関連して生じた人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権、救助料・共同海損の分担に基づく債権、航海継続に必要な費用に係る債権、雇用契約によって生じた船長その他の船員の債権(5号)等が含まれる。先取特権の目的(船舶及びその属具)と、被担保債権の範囲(船員の賃金等を含む)を押さえる。

補足船員の賃金債権が船舶先取特権で保護されるのは、海上で働く船員の生活を守るためである。船舶という担保により、船員は他の債権者に優先して弁済を受けられる。

14船舶賃借人と先取特権

船舶の賃借人の利用に関して生じた先取特権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船舶の賃借人による船舶の利用について生じた先取特権は、船舶所有者に対しては、その効力を生じない。
  • 船舶の賃借人による船舶の利用について生じた先取特権は、原則として、船舶所有者に対してもその効力を生ずる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
船舶所有者に対しても効力を生ずる → 『効力を生じない』は誤り

商法第703条その船舶の利用について生じた先取特権は、船舶所有者に対しても、その効力を生ずるe-Gov原文

正しい
703条2項のとおり → 正しい

商法第703条その船舶の利用について生じた先取特権は、船舶所有者に対しても、その効力を生ずるe-Gov原文

ひっかけ賃借人の利用で生じた先取特権は、原則として『船舶所有者にも』効力を生ずる(703条)。

解説船舶の賃借人がその船舶の利用に関する事項について第三者に対し船舶所有者と同一の権利義務を有する結果(703条1項)、その船舶の利用について生じた先取特権は、船舶所有者に対してもその効力を生ずる(703条2項本文)。先取特権は船舶という物に着目した担保物権であるため、賃借人の利用から生じたものでも所有者の船舶に及ぶ。ただし、賃借人の利用態様が所有者との契約に反することを先取特権者が知っていたときは、この限りでない(同項ただし書)。

補足先取特権が所有者にも及ぶのは、債権者が船舶という担保を当てにして取引するためである。所有者は、自ら関与しない賃借人の利用から生じた負担を、船舶を通じて負うことがある。

15船長の代理権の制限と救助契約締結権限

船長の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船長は、船籍港外において、借財をする行為についても、船舶所有者に代わってする権限を当然に有する。
  • 海難救助において、船舶所有者及び船長は、積荷等の所有者に代わってその救助に係る契約を締結する権限を有しない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
借財をすることは代理権から除かれる → 『当然に有する』は誤り

商法第708条借財をすることe-Gov原文

誤り
救助契約を締結する権限を有する → 『有しない』は誤り

商法第792条船舶所有者及び船長は、積荷等の所有者に代わってその救助に係る契約を締結する権限を有するe-Gov原文

ひっかけ船長は『借財』の代理権はない。一方、海難救助では船舶所有者・船長に『救助契約締結権限』がある(708条・792条)。

解説船長は船籍港外で広い法定代理権を持つが、船舶について抵当権を設定すること(708条1項1号)や借財をすること(2号)は除かれる。重要な財産処分・債務負担は所有者の判断に委ねられる。他方、海難救助の場面では、船舶所有者及び船長は、積荷等の所有者に代わってその救助に係る契約を締結する権限を有する(792条2項)。緊急の救助では迅速な契約締結を可能にするためである。代理権が制限される場面と、特に付与される場面を対比して押さえる。

補足借財・抵当権設定が船長の代理権から除かれるのは、所有者の財産に重大な影響を与えるためである。これに対し救助契約の締結権限は、緊急性の高い海難救助を円滑に行うために特別に認められている。

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