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海上衝突予防法・第12

海上衝突予防法の問題(15問)

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問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2026年6月時点の法令に準拠
1海上衝突予防法の目的

海上衝突予防法の目的及び用語に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • この法律は、船舶の遵守すべき航法、表示すべき灯火及び形象物並びに行うべき信号に関し必要な事項を定めることにより、海上における船舶の衝突を予防し、もって船舶交通の安全を図ることを目的とする。
  • この法律において動力船とは、機関を用いて推進する船舶(機関のほか帆を用いて推進する船舶であって帆のみを用いて推進しているものを除く)をいう。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
1条のとおり → 正しい

海上衝突予防法第1条海上における船舶の衝突を予防し、もつて船舶交通の安全を図ることを目的とするe-Gov原文

正しい
3条2項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第3条機関を用いて推進する船舶(機関のほか帆を用いて推進する船舶であつて帆のみを用いて推進しているものを除く。)をいうe-Gov原文

ひっかけ海上衝突予防法は『航法・灯火・信号』を定め衝突を予防する法律。動力船は機関で推進する船(1条・3条)。

解説海上衝突予防法は、1972年の海上衝突予防のための国際規則(COLREG)に準拠して、船舶の遵守すべき航法・表示すべき灯火及び形象物・行うべき信号に関し必要な事項を定め、海上における船舶の衝突を予防し、船舶交通の安全を図る法律である(1条)。動力船は機関を用いて推進する船舶であり、機関を備えていても帆のみで推進しているものは除かれる(3条2項)。一般海域の航法を定める基本法である。

補足港則法(港内)・海上交通安全法(ふくそう海域)が特定の場所の航法を定めるのに対し、海上衝突予防法は一般海域に広く適用される。三法のうち最も基本となる航法を定める。

2適用船舶

海上衝突予防法の適用及び動力船・帆船の区別に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • この法律は、海洋及びこれに接続する航洋船が航行することができる水域の水上にある船舶について適用する。
  • 帆のみを用いて推進している船舶であっても、機関を備えている限り、この法律にいう動力船に当たる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
2条のとおり → 正しい

海上衝突予防法第2条海洋及びこれに接続する航洋船が航行することができる水域の水上にある次条第一項に規定する船舶について適用するe-Gov原文

誤り
帆のみで推進中の船は帆船 → 『動力船に当たる』は誤り

海上衝突予防法第3条機関を用いて推進する船舶(機関のほか帆を用いて推進する船舶であつて帆のみを用いて推進しているものを除く。)をいうe-Gov原文

ひっかけ動力船か帆船かは『現に何で推進しているか』で決まる。機関があっても帆のみ推進中なら帆船(2条・3条)。

解説この法律は、海洋及びこれに接続する航洋船が航行することができる水域の水上にある船舶について適用される(2条)。動力船・帆船の区別は、機関を備えているか否かではなく、現に何によって推進しているかで決まる。機関を備えていても帆のみで推進しているときは、動力船ではなく帆船に当たる(3条2項・3項)。同じ船でも、その時の推進方法により適用される航法が変わる点を押さえる。

補足動力船と帆船で避航の優先関係が異なる(18条1項。動力船は帆船を避ける)ため、その時点でどちらに当たるかの判断は航法上重要である。

3動力船・帆船の定義

動力船及び帆船の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 動力船とは、機関を用いて推進する船舶(機関のほか帆を用いて推進する船舶であって帆のみを用いて推進しているものを除く)をいう。
  • 帆船とは、帆のみを用いて推進する船舶及び機関のほか帆を用いて推進する船舶であって帆のみを用いて推進しているものをいう。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
3条2項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第3条機関を用いて推進する船舶(機関のほか帆を用いて推進する船舶であつて帆のみを用いて推進しているものを除く。)をいうe-Gov原文

正しい
3条3項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第3条帆のみを用いて推進する船舶及び機関のほか帆を用いて推進する船舶であつて帆のみを用いて推進しているものをいうe-Gov原文

ひっかけ動力船は『機関で推進』、帆船は『帆のみで推進』。機関帆船は推進方法で区別(3条)。

解説動力船は機関を用いて推進する船舶(3条2項)、帆船は帆のみを用いて推進する船舶等(3条3項)である。機関と帆の両方を備える船舶は、機関を使っていれば動力船、帆のみで推進していれば帆船となる。航法上、両者の避航の優先関係が異なるため、その時々の推進方法による区別が重要になる。定義の境界を正確に押さえる。

補足このほか、漁ろうに従事している船舶・運転不自由船・操縦性能制限船・喫水制限船など、操縦性能に応じた船舶の区分が定義されている(3条)。これらの区分が避航の優先順位の基礎になる。

4漁ろう船・運転不自由船の定義

漁ろうに従事している船舶及び運転不自由船の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 漁ろうに従事している船舶とは、船舶の操縦性能を制限する網、なわその他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶(操縦性能制限船に該当するものを除く)をいう。
  • 運転不自由船とは、作業に従事しているため他の船舶の進路を避けることができない船舶をいう。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
3条4項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第3条船舶の操縦性能を制限する網、なわその他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶(操縦性能制限船に該当するものを除く。)をいうe-Gov原文

誤り
運転不自由船は故障等によるもの → 『作業に従事』は操縦性能制限船で誤り

海上衝突予防法第3条船舶の操縦性能を制限する故障その他の異常な事態が生じているため他の船舶の進路を避けることができない船舶をいうe-Gov原文

ひっかけ運転不自由船は『故障等の異常な事態』、操縦性能制限船は『作業に従事』。原因が違う(3条)。

解説漁ろうに従事している船舶は、操縦性能を制限する網・なわ等の漁具を用いて漁ろうをしている船舶である(3条4項)。運転不自由船は、操縦性能を制限する故障その他の異常な事態が生じているため他の船舶の進路を避けることができない船舶(3条6項)、操縦性能制限船は、航路標識の敷設やしゅんせつ等の作業に従事しているため避航できない船舶(3条7項)である。避航できない原因(故障か作業か)で運転不自由船と操縦性能制限船を区別する点を押さえる。

補足これらの船舶は操縦が自由でないため、避航の優先順位が高い。動力船・帆船は、運転不自由船・操縦性能制限船・漁ろう船等の進路を避けなければならない(18条)。

5狭い水道等の航法

狭い水道等の航法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 狭い水道又は航路筋をこれに沿って航行する船舶は、安全であり、かつ実行に適する限り、狭い水道等の右側端に寄って航行しなければならない。
  • 航行中の動力船は、狭い水道等において帆船の進路を避けなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
9条1項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第9条狭い水道等の右側端に寄つて航行しなければならないe-Gov原文

正しい
9条2項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第9条狭い水道等において帆船の進路を避けなければならないe-Gov原文

ひっかけ狭い水道等は『右側端に寄って』航行。動力船は狭い水道等で帆船を避ける(9条)。

解説狭い水道又は航路筋をこれに沿って航行する船舶は、安全でありかつ実行に適する限り、狭い水道等の右側端に寄って航行しなければならない(9条1項、右側端航行)。また、航行中の動力船は狭い水道等において帆船の進路を避け(9条2項)、航行中の船舶は狭い水道等において漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない(9条3項)。狭い水道での右側端航行と避航の特則を押さえる。

補足狭い水道等では、長さ20メートル未満の船舶や帆船は、狭い水道等の内側でなければ安全に航行できない他の船舶の通航を妨げてはならない(9条)。狭い水路を安全に通すための配慮義務が定められている。

6帆船の航法

二隻の帆船が互いに接近する場合の航法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 二隻の帆船の風を受けるげんが異なる場合は、右げんに風を受ける帆船が、左げんに風を受ける帆船の進路を避けなければならない。
  • 二隻の帆船の風を受けるげんが同じである場合は、風上の帆船が、風下の帆船の進路を避けなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
避けるのは左げんに風を受ける帆船 → 『右げんに風を受ける帆船が避ける』は誤り

海上衝突予防法第12条左げんに風を受ける帆船は、右げんに風を受ける帆船の進路を避けなければならないe-Gov原文

正しい
12条1項2号のとおり → 正しい

海上衝突予防法第12条二隻の帆船の風を受けるげんが同じである場合は、風上の帆船は、風下の帆船の進路を避けなければならないe-Gov原文

ひっかけ帆船同士は、げんが異なれば『左げん受風』が避け、げんが同じなら『風上』が避ける(12条)。

解説二隻の帆船が互いに接近し衝突するおそれがある場合の航法は、(1)風を受けるげんが異なるときは左げんに風を受ける帆船が右げんに風を受ける帆船の進路を避ける(12条1項1号)、(2)風を受けるげんが同じときは風上の帆船が風下の帆船の進路を避ける(2号)、と定められている。風を受ける舷の左右と、風上・風下という基準を取り違えないことが要点である。

補足風上は、メインスル(横帆船では最大の縦帆)の張っている側の反対側とされる(12条2項)。帆の張られている側で風上・風下を判断する。

7追越し船

追越し船に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 追越し船は、この法律の他の規定にかかわらず、追い越される船舶を確実に追い越し、かつその船舶から十分に遠ざかるまでその船舶の進路を避けなければならない。
  • 船舶は、自船が追越し船であるかどうかを確かめることができない場合は、追越し船ではないと判断しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
13条1項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第13条追越し船は、この法律の他の規定にかかわらず、追い越される船舶を確実に追い越し、かつ、その船舶から十分に遠ざかるまでその船舶の進路を避けなければならないe-Gov原文

誤り
不明なら追越し船であると判断 → 『追越し船ではないと判断』は誤り

海上衝突予防法第13条自船が追越し船であるかどうかを確かめることができない場合は、追越し船であると判断しなければならないe-Gov原文

ひっかけ追越し船は『他の規定に優先して』避航義務を負う。追越し船か不明なら『追越し船と判断』(13条)。

解説追越し船は、この法律の他の規定にかかわらず、追い越される船舶を確実に追い越し、かつその船舶から十分に遠ざかるまでその進路を避けなければならない(13条1項)。横切り船・行会い船等の他の航法に優先して避航義務を負う点が特徴である。また、自船が追越し船であるかどうかを確かめることができない場合は、追越し船であると判断しなければならない(13条3項)。疑わしいときは安全側(追越し船=避航義務あり)に判断するルールを押さえる。

補足「他の規定にかかわらず」とされるのは、いったん追越しの関係が生じれば、その後に方位が変わって横切り等の状況に見えても、追越しの避航義務が継続するためである。追越しを始めた船が最後まで責任を負う。

8追越し船の定義

追越し船の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船舶の正横後22度30分を超える後方の位置から他の船舶を追い越す船舶は、追越し船には当たらない。
  • 船舶の正横後22度30分を超える後方の位置からその船舶を追い越す船舶は、追越し船とする。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
正横後22度30分を超える後方からの追越しは追越し船 → 『当たらない』は誤り

海上衝突予防法第13条正横後二十二度三十分を超える後方の位置e-Gov原文

正しい
13条2項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第13条からその船舶を追い越す船舶は、追越し船とするe-Gov原文

ひっかけ追越し船は『正横後22度30分を超える後方』からの追越し。角度が判定基準(13条)。

解説船舶の正横後22度30分を超える後方の位置(夜間は相手船の舷灯のいずれも見ることができない位置)からその船舶を追い越す船舶は、追越し船とされる(13条2項)。正横後22度30分という角度が、追越し(後方からの追い抜き)と横切り(側方からの接近)を区別する基準である。この角度は、相手船の船尾灯のみが見える範囲に対応する。判定の数値(22度30分)を押さえる。

補足正横後22度30分は、夜間に相手船の舷灯(緑・赤)が見えず船尾灯(白)のみが見える範囲に当たる。灯火の見え方と追越し・横切りの判定が結び付いている。

9行会い船

行会い船の航法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 二隻の動力船が真向かい又はほとんど真向かいに行き会う場合において衝突するおそれがあるときは、各動力船は、互いに他の動力船の左げん側を通過することができるようにそれぞれ針路を右に転じなければならない。
  • 二隻の動力船が真向かいに行き会う場合は、各動力船は、互いに他の動力船の右げん側を通過することができるようにそれぞれ針路を左に転じなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
14条1項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第14条各動力船は、互いに他の動力船の左げん側を通過することができるようにそれぞれ針路を右に転じなければならないe-Gov原文

誤り
左げん側を通過するため右に転じる → 『右げん側通過・左転』は誤り

海上衝突予防法第14条各動力船は、互いに他の動力船の左げん側を通過することができるようにそれぞれ針路を右に転じなければならないe-Gov原文

ひっかけ行会い船は『互いに右に転じて』左げん側ですれ違う。左右を取り違えない(14条)。

解説二隻の動力船が真向かい又はほとんど真向かいに行き会い衝突するおそれがあるときは、各動力船は、互いに他の動力船の左げん側を通過することができるように、それぞれ針路を右に転じなければならない(14条1項)。双方が右に転じることで、互いの左舷側を通って安全にすれ違う。港則法・海上交通安全法の航路内右側航行と同じく、『右に避ける』が基本である点を押さえる。

補足行会い船の航法では、どちらか一方ではなく双方が避航動作をとる(互いに右転)。これに対し横切り船(15条)では、右げん側に見る側の一方のみが避航する。場面ごとの避航主体の違いに注意する。

10横切り船

横切り船の航法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 二隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならない。
  • 横切りにおいて他の動力船の進路を避けなければならない動力船は、やむを得ない場合を除き、当該他の動力船の船首方向を横切ってはならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
15条1項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第15条他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならないe-Gov原文

正しい
15条1項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第15条当該他の動力船の船首方向を横切つてはならないe-Gov原文

ひっかけ横切りは『相手を右げん側に見る側』が避ける。避航船は相手の船首方向を横切らない(15条)。

解説二隻の動力船が互いに進路を横切り衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船が、当該他の動力船の進路を避けなければならない(15条1項前段)。さらに、避航義務のある動力船は、やむを得ない場合を除き、相手の船首方向を横切ってはならない(後段)。相手の前を横切ると衝突の危険が高いため、通常は相手の後方を通るように避ける。避航の主体(右げん側に見る側)と避け方を押さえる。

補足右げん側に見る側が避けるのは、自船の右舷側から接近する船を優先するためである。陸上交通の『右方優先』に似た考え方で、相手の保持船は針路・速力を保つ(17条)。

11避航船

避航船の動作に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 避航船は、他の船舶から遠ざかるための動作を、できる限り遅らせ、かつ小幅にとらなければならない。
  • 避航船は、当該他の船舶から十分に遠ざかるため、できる限り早期に、かつ大幅に動作をとらなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
早期に大幅に動作をとる → 『遅らせ小幅に』は誤り

海上衝突予防法第16条当該他の船舶から十分に遠ざかるため、できる限り早期に、かつ、大幅に動作をとらなければならないe-Gov原文

正しい
16条のとおり → 正しい

海上衝突予防法第16条当該他の船舶から十分に遠ざかるため、できる限り早期に、かつ、大幅に動作をとらなければならないe-Gov原文

ひっかけ避航船は『できる限り早期に、かつ大幅に』動作をとる。遅く小幅は逆(16条)。

解説この法律の規定により他の船舶の進路を避けなければならない船舶(避航船)は、当該他の船舶から十分に遠ざかるため、できる限り早期に、かつ大幅に動作をとらなければならない(16条)。中途半端で遅い動作は、相手船に意図が伝わらず、かえって衝突の危険を高めるためである。避航は『早めに・大きく』が原則である点を押さえる。

補足避航船が早期・大幅に動作をとるのは、相手の保持船(17条)が自船の動きを認識し、安心して針路・速力を保てるようにするためでもある。避航船と保持船の動作が組み合わさって衝突が回避される。

12保持船

保持船の動作に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 二隻の船舶のうち一隻が他の船舶の進路を避けなければならない場合でも、当該他の船舶(保持船)は、その針路及び速力を保つ必要はない。
  • 保持船は、避航船と間近に接近した場合であっても、衝突を避けるための協力動作をとってはならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
保持船は針路・速力を保たなければならない → 『保つ必要はない』は誤り

海上衝突予防法第17条当該他の船舶は、その針路及び速力を保たなければならないe-Gov原文

誤り
最善の協力動作をとらなければならない → 『とってはならない』は誤り

海上衝突予防法第17条衝突を避けるための最善の協力動作をとらなければならないe-Gov原文

ひっかけ保持船は原則『針路・速力を保つ』。ただし間近に接近したら『最善の協力動作』をとる(17条)。

解説二隻の船舶のうち一隻が避航しなければならない場合、当該他の船舶(保持船)は、その針路及び速力を保たなければならない(17条1項)。避航船が適切な動作をとっていないことが明らかになったときは直ちに衝突を避けるための動作をとることができ(2項)、避航船と間近に接近して避航船の動作のみでは衝突を避けられないと認める場合は、衝突を避けるための最善の協力動作をとらなければならない(3項)。保持船の原則(針路速力保持)と段階的な例外を押さえる。

補足保持船が原則として針路・速力を保つのは、避航船が相手の動きを予測して避けやすくするためである。ただし衝突の危険が現実化すれば、保持船も衝突回避のための動作をとる義務を負う。

13各種船舶間の航法

各種船舶間の航法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 航行中の動力船は、運転不自由船や操縦性能制限船の進路を避ける必要はない。
  • 航行中の動力船は、運転不自由船、操縦性能制限船、漁ろうに従事している船舶及び帆船の進路を避けなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
動力船は運転不自由船等の進路を避けなければならない → 『必要はない』は誤り

海上衝突予防法第18条航行中の動力船は、次に掲げる船舶の進路を避けなければならないe-Gov原文

正しい
18条1項のとおり → 正しい

海上衝突予防法第18条一運転不自由船二操縦性能制限船三漁ろうに従事している船舶四帆船e-Gov原文

ひっかけ航行中の動力船は『運転不自由船・操縦性能制限船・漁ろう船・帆船』の進路を避ける(18条)。

解説航行中の動力船は、運転不自由船・操縦性能制限船・漁ろうに従事している船舶・帆船の進路を避けなければならない(18条1項)。操縦が自由な動力船が、操縦の自由が制限された船舶を避けるという優先順位である。さらに、航行中の帆船は運転不自由船・操縦性能制限船・漁ろう船の進路を避け(2項)、漁ろう船はできる限り運転不自由船・操縦性能制限船の進路を避ける(3項)。操縦性能に応じた避航の階層を押さえる。

補足避航の優先順位は、おおむね操縦の自由度が低い船ほど優先される。動力船<帆船<漁ろう船<操縦性能制限船・運転不自由船という順で、最も操縦が困難な船が最優先される。

14切迫した危険のある特殊な状況

切迫した危険のある特殊な状況及び責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 船舶は、切迫した危険のある特殊な状況にある場合であっても、この法律の規定によらないことは一切認められない。
  • この法律の規定を遵守してさえいれば、必要とされる注意を怠ったことによって生じた結果について、船長等は一切責任を負わない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
切迫した危険を避けるため規定によらないことができる → 『一切認められない』は誤り

海上衝突予防法第38条切迫した危険を避けるためにこの法律の規定によらないことができるe-Gov原文

誤り
注意義務違反の責任は免除されない → 『一切責任を負わない』は誤り

海上衝突予防法第39条船舶、船舶所有者、船長又は海員の責任を免除するものではないe-Gov原文

ひっかけ切迫した危険時は『規定によらない』ことができる。一方、注意を怠れば法を守っても責任は免れない(38条・39条)。

解説船舶は、切迫した危険のある特殊な状況にある場合においては、切迫した危険を避けるためにこの法律の規定によらないことができる(38条2項)。形式的に航法を守るより、現実の衝突回避を優先する趣旨である。他方、この法律の規定は、適切な航法等や船員の常務として必要とされる注意を怠ることによって生じた結果について、船舶・船舶所有者・船長・海員の責任を免除するものではない(39条)。緊急時の柔軟性と、注意義務(船員の常務)の重さを押さえる。

補足39条が定める『船員の常務』(good seamanship)とは、熟練した船員であれば当然に行うべき注意・配慮をいう。航法規定を守っていても、船員の常務を怠れば責任を問われ得る。

15帆船・喫水制限船の航法

帆船及び喫水制限船の航法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 航行中の帆船は、運転不自由船や操縦性能制限船の進路を避ける必要はない。
  • 喫水制限船は、その特殊な状態を考慮する必要はなく、他の船舶と同様に航行すれば足りる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
帆船もこれらの船舶の進路を避けなければならない → 『必要はない』は誤り

海上衝突予防法第18条次に掲げる船舶の進路を避けなければならないe-Gov原文

誤り
特殊な状態を考慮し十分に注意して航行しなければならない → 『考慮不要』は誤り

海上衝突予防法第18条喫水制限船は、十分にその特殊な状態を考慮し、かつ、十分に注意して航行しなければならないe-Gov原文

ひっかけ帆船も運転不自由船等を避ける。喫水制限船は自らの特殊な状態を考慮し注意して航行する(18条)。

解説航行中の帆船(漁ろうに従事している船舶を除く)は、運転不自由船・操縦性能制限船・漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない(18条2項)。動力船ほどではないが、帆船もより操縦が困難な船を避ける義務を負う。また、喫水制限船(喫水との関係で操縦が著しく制限される船)は、十分にその特殊な状態を考慮し、かつ十分に注意して航行しなければならない(18条5項)。優先される側にも自らの状態への配慮義務がある点を押さえる。

補足喫水制限船は他の船舶から安全な通航を妨げられない地位にあるが(18条4項)、自らも特殊な状態を自覚して慎重に航行する義務を負う。優先関係と自己の注意義務は別である。

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