問1国際海上物品運送法の適用範囲
国際海上物品運送法の適用範囲及び用語に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.この法律の規定は、船舶による物品運送で船積港又は陸揚港が本邦外にあるものに適用する。
- イ.この法律において船舶とは、商法第684条に規定する船舶をいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 1条のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第1条「船舶による物品運送で船積港又は陸揚港が本邦外にあるものに」e-Gov原文
- イ.正しい
- 2条1項のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第2条「この法律において「船舶」とは、商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百八十四条に規定する船舶をいう」e-Gov原文
ひっかけ国際海上物品運送法は『船積港か陸揚港が本邦外』の運送に適用。船舶は商法684条の船舶(1条・2条)。
解説国際海上物品運送法は、船舶による物品運送で船積港又は陸揚港が本邦外にあるもの(国際海上運送)に適用される(1条)。船舶は商法684条に規定する船舶(商行為目的で航海の用に供する船舶)をいう(2条1項)。船積港・陸揚港のいずれも本邦内にある国内運送は商法・内航海運業法が規律するのに対し、一方でも本邦外にあれば本法が適用される。適用の境界を押さえる。
補足本法は、船荷証券統一条約(ヘーグ・ヴィスビー・ルール)を国内で実施する法律である。国際海上運送における運送人の責任を、国際的に統一された基準で規律する。
問2船舶・運送人の定義
国際海上物品運送法上の用語及び適用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.この法律において運送人とは、船積港又は陸揚港が本邦外にある船舶による物品運送を引き受ける者をいう。
- イ.この法律は、船積港及び陸揚港のいずれもが本邦内にある船舶による物品運送に適用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 2条2項のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第2条「この法律において「運送人」とは、前条の運送を引き受ける者をいう」e-Gov原文
- イ.誤り
- 適用は船積港又は陸揚港が本邦外 → 『いずれも本邦内』は誤り
国際海上物品運送法第1条「船舶による物品運送で船積港又は陸揚港が本邦外にあるものに」e-Gov原文
ひっかけ運送人は『国際海上運送を引き受ける者』。本法は『いずれも本邦内』の運送には適用されない(1条・2条)。
解説運送人は、船積港又は陸揚港が本邦外にある船舶による物品運送(国際海上運送)を引き受ける者をいう(2条2項)。本法は、船積港又は陸揚港のいずれかが本邦外にある運送に適用され、いずれも本邦内にある国内運送には適用されない(1条)。国内運送には商法(海商編)や内航海運業法が適用される。国際運送と国内運送で適用される法律が異なる点を押さえる。
補足荷送人は運送を委託する者(2条3項)である。運送人・荷送人・荷受人・船荷証券所持人という当事者の関係を整理して理解する。
問3一計算単位
国際海上物品運送法上の用語の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.この法律において一計算単位とは、国際通貨基金協定に規定する特別引出権による一特別引出権に相当する金額をいう。
- イ.この法律において荷送人とは、運送を委託する者をいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 2条4項のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第2条「「一計算単位」とは、国際通貨基金協定第三条第一項に規定する特別引出権による一特別引出権に相当する金額をいう」e-Gov原文
- イ.正しい
- 2条3項のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第2条「この法律において「荷送人」とは、前条の運送を委託する者をいう」e-Gov原文
ひっかけ一計算単位は『SDR(特別引出権)一単位』。運送人の責任限度額の基準になる(2条)。
解説一計算単位は、国際通貨基金協定に規定する特別引出権(SDR)による一特別引出権に相当する金額をいう(2条4項)。運送人の責任の限度額(9条)は、この一計算単位を基準に算定される。特定の通貨ではなくSDRという国際的な計算単位を用いることで、為替変動の影響を抑え、国際的に統一された責任限度を実現している。一計算単位の意味を押さえる。
補足SDRは国際通貨基金(IMF)が創設した国際準備資産で、主要通貨のバスケットに基づき価値が定まる。責任限度額をSDRで定めることは、ヘーグ・ヴィスビー・ルール等の国際条約に沿うものである。
問4運送品に関する注意義務
運送品に関する運送人の注意義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送人は、自己又はその使用する者が運送品の受取、船積、積付、運送、保管、荷揚及び引渡につき注意を怠ったことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責を負う。
- イ.船舶における火災により生じた損害については、運送人の故意又は過失に基づくものであっても、運送品に関する注意義務の規定は適用されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 3条1項のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第3条「運送人は、自己又はその使用する者が運送品の受取、船積、積付、運送、保管、荷揚及び引渡につき注意を怠つたことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責を負う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 火災免責は故意過失に基づくものを除く → 『故意過失でも適用されない』は誤り
国際海上物品運送法第3条「船舶における火災(運送人の故意又は過失に基くものを除く。)により生じた損害には、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ運送人は運送品の取扱いの過失に責任を負う。火災免責でも『運送人自身の故意過失』は免責されない(3条)。
解説運送人は、自己又はその使用する者が運送品の受取・船積・積付・運送・保管・荷揚及び引渡につき注意を怠ったことにより生じた運送品の損害について損害賠償の責を負う(3条1項、商業上の過失への責任)。船舶における火災により生じた損害には注意義務の規定が適用されない(火災免責)が、運送人の故意又は過失に基づく火災は免責の対象から除かれる(3条2項)。運送人自身に帰責性がある火災は免責されない点を押さえる。
補足3条2項は、航行又は船舶の取扱いに関する行為(航海上の過失)と火災を免責とする。運送品の取扱い(商業上の過失)には責任を負うが、船の操船や火災(運送人の故意過失を除く)には責任を負わないという区別が国際海上運送の特徴である。
問5航海上の過失免責
航海上の過失等による免責に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送人の使用する者の航行若しくは船舶の取扱に関する行為により生じた損害については、運送品に関する注意義務の規定は適用されない。
- イ.水先人の航行に関する行為により生じた損害についても、運送品に関する注意義務の規定は適用されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 3条2項のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第3条「航行若しくは船舶の取扱に関する行為又は船舶における火災(運送人の故意又は過失に基くものを除く。)により生じた損害には、適用しない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 3条2項のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第3条「船長、海員、水先人その他運送人の使用する者の航行若しくは船舶の取扱に関する行為又は船舶における火災(運送人の故意又は過失に基くものを除く。)により生じた損害には、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ『航海上の過失』(航行・船舶取扱い)は免責。船長・海員だけでなく水先人の行為も対象(3条)。
解説運送人は、船長・海員・水先人その他運送人の使用する者の航行若しくは船舶の取扱に関する行為(航海上の過失)により生じた損害については、運送品に関する注意義務の責任を負わない(3条2項)。船の操船や航海に関する技術的判断の誤りは、運送人の責任から除かれる。これに対し、運送品の積付けや保管といった商業上の過失(3条1項)には責任を負う。航海上の過失と商業上の過失の区別を押さえる。
補足航海上の過失を免責とするのは、国際海上運送の歴史的経緯(ヘーグ・ルール)に由来する。船舶の運航は専門性が高く危険を伴うため、操船上の過失について運送人を免責するという国際的な合意が反映されている。
問6注意義務の立証責任
運送人の責任に関する立証責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送人は、運送品に関する注意が尽くされたことを証明しなくても、運送品の損害についての責任を免れることができる。
- イ.運送人は、運送品に関する注意が尽くされたことを証明しなければ、運送品の損害についての責任を免れることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 証明しなければ免れられない → 『証明しなくても免れる』は誤り
国際海上物品運送法第4条「運送人は、前条の注意が尽されたことを証明しなければ、同条の責を免かれることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 4条1項のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第4条「運送人は、前条の注意が尽されたことを証明しなければ、同条の責を免かれることができない」e-Gov原文
ひっかけ運送人の免責は『注意を尽くしたことを自ら証明』して初めて認められる(立証責任は運送人)(4条)。
解説運送人は、運送品に関する注意(3条の注意)が尽くされたことを証明しなければ、運送品の損害についての責任を免れることができない(4条1項)。注意を尽くしたことの立証責任は運送人側にある。荷主は損害の発生を主張すれば足り、運送人が自らの無過失を立証しない限り責任を負う。立証責任の所在(運送人)を押さえる。
補足運送人は、海上特有の危険・天災・戦争・海賊行為等の一定の事実があったこと及び損害がその事実により通常生ずべきものであることを証明したときは、原則として責を免れる(4条2項)。これらの免責事由についても立証は運送人が行う。
問7免責事由
運送人の免責事由に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送人は、海上その他可航水域に特有の危険、天災、戦争等の一定の事実があったこと及び損害がその事実により通常生ずべきものであることを証明したときは、原則として責を免れる。
- イ.免責事由がある場合、運送人は、注意が尽くされていれば損害を避けることができたのに注意が尽くされなかったことが証明されたときであっても、常に責を免れる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 4条2項のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第4条「一海上その他可航水域に特有の危険二天災三戦争、暴動又は内乱」e-Gov原文
- イ.誤り
- 注意不足の証明があれば免責されない → 『常に責を免れる』は誤り
国際海上物品運送法第4条「注意が尽されたならばその損害を避けることができたにかかわらず、その注意が尽されなかつたことの証明があつたときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ免責事由(海難・天災等)でも、注意を尽くせば避けられた損害は免責されない(4条)。
解説運送人は、海上特有の危険・天災・戦争・海賊行為・公権力の処分・争議行為・運送品の特殊な性質等の一定の事実があったこと及び損害がその事実により通常生ずべきものであることを証明したときは、原則として責を免れる(4条2項本文)。ただし、注意が尽くされたならば損害を避けることができたにもかかわらず、注意が尽くされなかったことの証明があったときは、免責されない(ただし書)。免責事由があっても、運送人の注意義務違反があれば責任を免れない点を押さえる。
補足4条2項の免責事由(カタログ免責)は、運送人が証明すれば原則免責となる定型的な事由である。ただし、運送人が注意を尽くしていれば損害を避けられた場合には、免責が覆される。
問8堪航能力に関する注意義務
航海に堪える能力に関する運送人の注意義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送人は、発航の当時の堪航能力について、自己及びその使用する者が注意を怠らなかったことを証明しても、運送品の損害についての損害賠償の責任を免れることはできない。
- イ.運送人は、発航の当時、船舶を航海に堪える状態に置くこと等を欠いたことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 注意を怠らなかった証明で免責 → 『免れることはできない』は誤り
国際海上物品運送法第5条「注意を怠らなかつたことを証明したときは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 5条のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第5条「運送人は、発航の当時次に掲げる事項を欠いたことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ運送人の堪航能力担保義務は『過失責任』。注意を怠らなかったことを証明すれば免責される(5条)。
解説運送人は、発航の当時、(1)船舶を航海に堪える状態に置くこと、(2)船員の乗組み・船舶の艤装・需品の補給を適切に行うこと、(3)船倉等を運送品の保存に適する状態に置くこと(堪航能力)を欠いたことにより生じた運送品の損害について損害賠償の責任を負う(5条本文)。ただし、自己及びその使用する者が注意を怠らなかったことを証明したときは免責される(ただし書)。無過失責任ではなく、注意義務を尽くせば免責される過失責任である点を押さえる。
補足国際海上物品運送法の堪航能力担保義務(5条)は過失責任であるのに対し、商法の国内運送(739条)も注意を怠らなかったことの証明により免責される点で共通する。発航時という基準時も同じである。
問9荷受人等の通知義務
荷受人等の通知義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.荷受人又は船荷証券所持人は、運送品の一部滅失又は損傷があったときは、受取の際運送人に対しその滅失又は損傷の概況につき書面による通知を発しなければならない。
- イ.滅失又は損傷が直ちに発見することができないものであるときは、受取の日から3日以内にその通知を発すれば足りる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 7条1項本文のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第7条「受取の際運送人に対しその滅失又は損傷の概況につき書面による通知を発しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 7条1項ただし書のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第7条「その滅失又は損傷が直ちに発見することができないものであるときは、受取の日から三日以内にその通知を発すれば足りる」e-Gov原文
ひっかけ運送品の損傷は『受取の際』に書面通知。直ちに発見できないものは『受取の日から3日以内』(7条)。
解説荷受人又は船荷証券所持人は、運送品の一部滅失又は損傷があったときは、受取の際運送人に対しその概況につき書面による通知を発しなければならない(7条1項本文)。ただし、その滅失又は損傷が直ちに発見できないものであるときは、受取の日から3日以内に通知すれば足りる(ただし書)。受取時の通知が原則だが、隠れた損傷については3日の猶予がある点を押さえる。
補足この通知を怠ると、運送品は滅失及び損傷がなく引き渡されたものと推定される(7条2項)。荷受人にとって不利な推定が働くため、損傷を発見したら速やかに通知することが重要である。
問10通知の効果
運送品の損傷の通知の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.荷受人等が一部滅失又は損傷の通知をしなかったときは、運送品は、滅失及び損傷がなく引き渡されたものと推定する。
- イ.運送品の状態が引渡しの際に当事者の立会いによって確認された場合でも、通知に関する規定(無通知の場合の推定)が適用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 7条2項のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第7条「前項の通知がなかつたときは、運送品は、滅失及び損傷がなく引き渡されたものと推定する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 立会確認の場合は適用しない → 『適用される』は誤り
国際海上物品運送法第7条「運送品の状態が引渡しの際当事者の立会いによつて確認された場合には、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ無通知だと『損傷なく引渡し』と推定。ただし引渡時に立会確認すれば、この推定は働かない(7条)。
解説荷受人等が運送品の一部滅失・損傷の通知をしなかったときは、運送品は滅失及び損傷がなく引き渡されたものと推定される(7条2項)。もっとも、運送品の状態が引渡しの際に当事者の立会いによって確認された場合には、通知義務及び無通知の推定の規定(7条1項・2項)は適用されない(7条3項)。立会いで状態を確認していれば、通知の有無にかかわらず実際の状態によることになる。推定とその例外を押さえる。
補足無通知の場合の『推定』は、反証により覆すことができる。荷受人が損傷の存在と運送中の発生を証明すれば、推定にかかわらず運送人の責任を問える。推定は立証責任を転換するにとどまる。
問11損害賠償の額と責任の限度
損害賠償の額及び責任の限度に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送品に関する損害賠償の額は、運送品の出荷地及び時における運送品の市場価格によって定める。
- イ.運送品に関する運送人の責任は、所定の2つの金額のうちいずれか少ない金額を限度とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 荷揚げされるべき地及び時の市場価格 → 『出荷地及び時』は誤り
国際海上物品運送法第8条「荷揚げされるべき地及び時における運送品の市場価格(取引所の相場がある物品については、その相場)によつて定める」e-Gov原文
- イ.誤り
- いずれか多い金額を限度 → 『いずれか少ない金額』は誤り
国際海上物品運送法第9条「次に掲げる金額のうちいずれか多い金額を限度とする」e-Gov原文
ひっかけ損害賠償の額は『荷揚地』の市場価格。責任の限度は2金額のうち『いずれか多い額』(8条・9条)。
解説運送品に関する損害賠償の額は、荷揚げされるべき地及び時における運送品の市場価格によって定める(8条1項。出荷地ではない)。また、運送品に関する運送人の責任は、(1)包又は単位の数に基づく金額と(2)総重量に基づく金額のうち、いずれか多い金額を限度とする(9条1項)。荷主に有利になるよう多い方を限度とする点を押さえる。基準地(荷揚地)と限度(多い方)を取り違えない。
補足損害賠償の額を荷揚地の市場価格で定めるのは、荷主が運送品を受け取るべき場所での価値を基準とするためである。運送人の責任には限度があるが、その範囲内で荷主の損害を填補する。
問12責任の限度
運送人の責任の限度額に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送人の責任の限度額の一つは、運送品の包又は単位の数に一計算単位の100倍を乗じて得た金額である。
- イ.運送人の責任の限度額の一つは、運送品の総重量について1キログラムにつき一計算単位の2倍を乗じて得た金額である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 倍率は666.67倍 → 100倍は誤り
国際海上物品運送法第9条「滅失、損傷又は延着に係る運送品の包又は単位の数に一計算単位の六百六十六・六七倍を乗じて得た金額」e-Gov原文
- イ.正しい
- 9条1項2号のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第9条「前号の運送品の総重量について一キログラムにつき一計算単位の二倍を乗じて得た金額」e-Gov原文
ひっかけ責任限度は『包・単位×666.67倍』と『総重量1kg×2倍』のいずれか多い額(9条)。
解説運送品に関する運送人の責任は、(1)滅失・損傷・延着に係る運送品の包又は単位の数に一計算単位の666.67倍を乗じた金額(9条1項1号)と、(2)その運送品の総重量について1キログラムにつき一計算単位の2倍を乗じた金額(2号)のうち、いずれか多い金額を限度とする。666.67倍・2倍という倍率(SDR建て)を押さえる。コンテナ運送では、船荷証券等に個数が記載されていなければコンテナの数を包・単位の数とみなす(9条3項)。
補足責任限度を設けるのは、運送人が無限定の賠償リスクを負わずに国際海上運送を引き受けられるようにするためである。荷主は、種類・価額を通告し船荷証券に記載すれば、限度を超える賠償を受けられる(9条5項)。
問13特約禁止
特約の禁止に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送人の責任に関する一定の規定に反する特約で、荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に不利益なものであっても、有効である。
- イ.運送人に不利益な特約をすることも、この法律により禁止されている。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 荷送人等に不利益な特約は無効 → 『有効』は誤り
国際海上物品運送法第11条「荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に不利益なものは、無効とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 運送人に不利益な特約は妨げない → 『禁止されている』は誤り
国際海上物品運送法第11条「前項の規定は、運送人に不利益な特約をすることを妨げない」e-Gov原文
ひっかけ荷主に不利益な特約は無効(片面的強行規定)。運送人に不利益な特約はしてよい(11条)。
解説運送人の責任に関する一定の規定(3条から5条まで等)に反する特約で、荷送人・荷受人又は船荷証券所持人に不利益なものは無効とされる(11条1項)。一方、運送人に不利益な特約(責任を加重する特約)をすることは妨げられない(11条2項)。荷主側に不利な特約のみを無効とする片面的強行規定であり、運送人が一方的に責任を軽減することを防いで荷主を保護する趣旨である。片面性を押さえる。
補足特約禁止(11条)の例外として、船舶の全部又は一部を運送契約の目的とする場合(傭船契約)には適用されない(12条)。当事者の交渉力が対等な傭船契約では、契約自由が認められる。
問14特約禁止の特例
特約禁止の特例に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送契約の目的が船舶の全部又は一部である場合(傭船契約)にも、荷主に不利益な特約を無効とする規定がそのまま適用される。
- イ.特約禁止の規定は、船舶の全部又は一部を運送契約の目的とする場合には適用されない。ただし、運送人と船荷証券所持人との関係については、この限りでない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 傭船契約には適用しない → 『そのまま適用される』は誤り
国際海上物品運送法第12条「前条第一項の規定は、船舶の全部又は一部を運送契約の目的とする場合には、適用しない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 12条のとおり → 正しい
国際海上物品運送法第12条「運送人と船荷証券所持人との関係については、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ傭船契約には特約禁止が及ばない。ただし『運送人と船荷証券所持人』の関係には及ぶ(12条)。
解説特約禁止(11条1項)の規定は、船舶の全部又は一部を運送契約の目的とする場合(傭船契約)には適用されない(12条本文)。傭船契約では当事者の交渉力が対等であり、契約自由を認めるためである。ただし、運送人と船荷証券所持人との関係については、特約禁止の規定が及ぶ(ただし書)。船荷証券の譲渡を受けた第三者(所持人)は契約交渉に関与していないため、なお保護される。原則(傭船には不適用)と例外(証券所持人との関係には適用)を押さえる。
補足傭船契約から船荷証券が発行され、それが第三者に譲渡されると、運送人とその証券所持人との関係には特約禁止が及ぶ。契約の当事者か、証券を取得した第三者かで保護の有無が分かれる。
問15運送人等の不法行為責任
運送人等の不法行為責任及び法の適用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送品に関する運送人の責任の限度等に関する規定は、運送人の不法行為による損害賠償の責任には準用されない。
- イ.この法律は、船積港及び陸揚港のいずれもが本邦内にある船舶による物品運送にも適用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 不法行為責任にも準用される → 『準用されない』は誤り
国際海上物品運送法第16条「運送品に関する運送人の荷送人、荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任に準用する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 適用は船積港又は陸揚港が本邦外 → 『いずれも本邦内にも適用』は誤り
国際海上物品運送法第1条「船舶による物品運送で船積港又は陸揚港が本邦外にあるものに」e-Gov原文
ひっかけ責任の限度等は『不法行為責任にも準用』。本法の適用は『船積港か陸揚港が本邦外』の運送に限る(16条・1条)。
解説運送品に関する運送人の責任の限度(9条)等の規定は、運送人の荷送人・荷受人又は船荷証券所持人に対する不法行為による損害賠償の責任にも準用される(16条1項)。荷主が契約責任ではなく不法行為責任を追及しても、運送人は責任限度等の保護を受けられる。これにより、法律構成を変えても責任の限度が潜脱されないようにしている。また、本法の適用は船積港又は陸揚港が本邦外にある運送に限られる(1条)。
補足責任限度を不法行為責任にも及ぼすのは、契約責任の限度を不法行為構成で回避できないようにするためである(ヒマラヤ条項に類する趣旨)。運送人の被用者の不法行為責任も同様に軽減される(16条3項)。