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民法・第19

民法(物権)の問題(15問)

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問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2026年6月時点の法令に準拠
1物権の創設

物権の創設及び設定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 物権は、民法その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。
  • 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
175条のとおり → 正しい

民法第175条物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができないe-Gov原文

正しい
176条のとおり → 正しい

民法第176条物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずるe-Gov原文

ひっかけ物権は『法律に定めるもの』しか創設できない(物権法定主義)。物権変動は『意思表示のみ』で生じる(意思主義)(175条・176条)。

解説物権は、民法その他の法律に定めるもののほか創設することができない(175条、物権法定主義)。当事者が自由に新たな物権を作り出すことは認められない。また、物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによってその効力を生ずる(176条、意思主義)。物権変動には登記や引渡しといった形式は不要で、意思表示だけで効力が生じる。物権法定主義と意思主義を押さえる。

補足意思表示のみで物権変動の効力は生じる(176条)が、その変動を第三者に対抗するには対抗要件(不動産は登記、動産は引渡し)が必要である(177条・178条)。効力の発生と対抗要件は区別される。

2物権の設定及び移転

物権の設定及び移転並びにその対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。
  • 不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなくても、第三者に対抗することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
176条のとおり → 正しい

民法第176条物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずるe-Gov原文

誤り
登記をしなければ対抗できない → 『登記をしなくても対抗できる』は誤り

民法第177条その登記をしなければ、第三者に対抗することができないe-Gov原文

ひっかけ物権変動は意思表示で『成立』するが、不動産は『登記』しなければ第三者に『対抗』できない(176条・177条)。

解説物権の設定及び移転は当事者の意思表示のみによって効力を生ずる(176条)。しかし、不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ第三者に対抗することができない(177条)。当事者間では意思表示で物権変動が生じるが、これを第三者に主張するには登記という対抗要件が必要である。効力発生(意思主義)と対抗要件(登記)の関係を取り違えないことが要点である。

補足「対抗することができない」とは、物権変動を第三者に主張できないことをいう。例えば不動産の二重譲渡では、先に登記を備えた者が所有権を主張できる。登記の有無が第三者との優劣を決する。

3不動産物権変動の対抗要件

物権変動の対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
  • 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
177条のとおり → 正しい

民法第177条不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができないe-Gov原文

正しい
178条のとおり → 正しい

民法第178条動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができないe-Gov原文

ひっかけ対抗要件は『不動産=登記』『動産=引渡し』(177条・178条)。

解説不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ第三者に対抗することができない(177条)。動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ第三者に対抗することができない(178条)。物権変動を第三者に主張するための対抗要件は、不動産では登記、動産では引渡しである。対象(不動産・動産)に応じた対抗要件を取り違えないことが要点である。

補足動産の対抗要件である「引渡し」には、現実の引渡しのほか、簡易の引渡し・占有改定・指図による占有移転といった観念的な引渡しも含まれる。占有の移転の方法は複数ある。

4動産物権変動の対抗要件

動産物権変動の対抗要件及び物権の創設に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。
  • 物権は、当事者が合意すれば、民法その他の法律に定めのないものも自由に創設することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
178条のとおり → 正しい

民法第178条動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができないe-Gov原文

誤り
物権法定主義 → 『合意すれば自由に創設できる』は誤り

民法第175条物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができないe-Gov原文

ひっかけ動産の対抗要件は『引渡し』。物権は法律に定めるものしか作れない(物権法定主義)(178条・175条)。

解説動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ第三者に対抗することができない(178条)。また、物権は民法その他の法律に定めるもののほか創設することができない(175条、物権法定主義)。当事者の合意によって法律に定めのない新たな物権を作り出すことはできない。対抗要件(引渡し)と物権法定主義を押さえる。

補足物権法定主義は、物権が誰に対しても主張できる強い権利(絶対権)であるため、その種類・内容を法律で定めて取引の安全を図る趣旨である。当事者間の合意で自由に内容を定められる債権とは異なる。

5占有と権利推定

占有及び即時取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。
  • 取引行為によって、平穏かつ公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
188条のとおり → 正しい

民法第188条占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定するe-Gov原文

正しい
192条のとおり → 正しい

民法第192条取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得するe-Gov原文

ひっかけ占有者の権利は『適法と推定』。善意無過失で動産を取引取得すれば『即時取得』(188条・192条)。

解説占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定される(188条、占有の権利推定)。また、取引行為によって平穏かつ公然と動産の占有を始めた者が、善意でありかつ過失がないときは、即時にその動産について行使する権利(所有権等)を取得する(192条、即時取得)。占有という事実状態に法的な効果を与える二つの制度を押さえる。

補足即時取得(192条)は、無権利者から動産を取得した者でも、善意無過失であれば権利を取得できる制度で、動産取引の安全を保護する。不動産には即時取得の適用はない(登記による公示があるため)。

6即時取得の要件

即時取得の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 取引行為によって動産の占有を始めた者は、善意であれば、過失があっても即時にその動産について行使する権利を取得する。
  • 取引行為によって、平穏かつ公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
即時取得には善意かつ無過失が必要 → 『過失があっても取得する』は誤り

民法第192条善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得するe-Gov原文

正しい
192条のとおり → 正しい

民法第192条取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得するe-Gov原文

ひっかけ即時取得には『取引行為・平穏・公然・善意・無過失』が必要。善意だけでは足りない(192条)。

解説取引行為によって、平穏かつ公然と動産の占有を始めた者は、善意でありかつ過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する(192条)。即時取得の要件は、取引行為による占有取得・平穏・公然・善意・無過失である。善意だけでなく無過失まで要求される点が要点である。前主が無権利者でも、これらの要件を満たせば権利を取得できる。

補足占有者は善意・平穏・公然と占有するものと推定され(186条)、占有物について行使する権利は適法と推定される(188条)ため、即時取得を主張する者は無過失の立証も比較的容易になるとされる。

7加工

加工による所有権の帰属に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 他人の動産に工作を加えた者があるときは、その加工物の所有権は、原則として材料の所有者に帰属する。
  • 工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときであっても、加工物の所有権は材料の所有者に帰属する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
246条1項のとおり → 正しい

民法第246条その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属するe-Gov原文

誤り
著しく超えるときは加工者が取得 → 『材料の所有者に帰属』は誤り

民法第246条工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得するe-Gov原文

ひっかけ加工物は原則『材料の所有者』のもの。ただし工作の価格が材料を『著しく超える』ときは加工者のもの(246条)。

解説他人の動産に工作を加えた者(加工者)があるときは、その加工物の所有権は、原則として材料の所有者に帰属する(246条1項本文)。ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得する(同項ただし書)。原則(材料の所有者)と例外(工作の価値が著しく大きいときは加工者)を押さえる。添付(付合・混和・加工)による所有権の帰属の一場面である。

補足加工者が材料の一部を供したときは、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときに限り、加工者が所有権を取得する(246条2項)。材料の提供割合も考慮される。

8所有権の内容

所有権及び占有に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
  • 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
206条のとおり → 正しい

民法第206条所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有するe-Gov原文

正しい
188条のとおり → 正しい

民法第188条占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定するe-Gov原文

ひっかけ所有者は『法令の制限内』で使用・収益・処分できる。占有者の権利は『適法と推定』(206条・188条)。

解説所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用・収益及び処分をする権利を有する(206条)。所有権は、物を全面的に支配する権利だが、法令による制限には服する。また、占有者が占有物について行使する権利は適法に有するものと推定される(188条)。所有権の内容(使用・収益・処分)と、占有の権利推定を押さえる。

補足所有権の「法令の制限内」という限界は、建築基準法・都市計画法等の公法上の規制や、相隣関係(民法上の隣地との調整)等を含む。所有権も無制限ではない。

9共有物の使用

共有物の使用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 共有物を使用する共有者は、別段の合意がなくても、自己の持分を超える使用の対価を他の共有者に償還する義務を負わない。
  • 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
持分を超える使用の対価を償還する義務を負う → 『負わない』は誤り

民法第249条他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負うe-Gov原文

正しい
249条1項のとおり → 正しい

民法第249条各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができるe-Gov原文

ひっかけ各共有者は『持分に応じて』共有物の全部を使用できる。持分を超える使用は対価を償還(249条)。

解説各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる(249条1項)。共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う(249条2項)。共有物の全部を使用できるが、持分を超える分は他の共有者への対価が必要である。持分に応じた使用と対価償還義務を押さえる。

補足共有者は、善良な管理者の注意をもって共有物を使用しなければならない(249条3項)。共有物の保存・管理・変更については、それぞれ持分の過半数や全員の同意等のルールが定められている。

10留置権

留置権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権が弁済期にない場合であっても、その物を留置することができる。
  • 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
弁済期にないときは留置できない → 『弁済期にない場合でも留置できる』は誤り

民法第295条その債権が弁済期にないときは、この限りでないe-Gov原文

正しい
295条1項のとおり → 正しい

民法第295条他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができるe-Gov原文

ひっかけ留置権は『その物に関して生じた債権』の弁済まで物を留置できる。ただし債権が弁済期になければ留置できない(295条)。

解説他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる(295条1項本文、留置権)。例えば、修理した物の修理代金の支払を受けるまで、その物の引渡しを拒むことができる。ただし、その債権が弁済期にないときは留置することができない(同項ただし書)。留置権の成立要件(物との牽連性・弁済期の到来)を押さえる。

補足留置権は法律上当然に成立する法定担保物権である。その物に関して生じた債権(牽連関係のある債権)であることが必要で、無関係の債権では留置権は成立しない。

11留置権の例外

留置権の成立及び抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 占有が不法行為によって始まった場合には、留置権は成立しない。
  • 抵当権者は、債務者又は第三者から占有の移転を受けた不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
295条2項のとおり → 正しい

民法第295条前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しないe-Gov原文

誤り
抵当権は占有を移転しないで設定 → 『占有の移転を受けた不動産』は誤り

民法第369条抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するe-Gov原文

ひっかけ不法行為で始めた占有には留置権なし。抵当権は『占有を移転しないで』設定する(295条・369条)。

解説留置権の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には適用しない(295条2項)。不法に占有を始めた者に留置権を認めるのは不当だからである。また、抵当権は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について成立する(369条1項)。抵当権者は目的物の占有を取得せず、設定者が引き続き使用収益できる点が、質権・留置権との違いである。

補足抵当権が占有を伴わない(非占有担保)のに対し、質権は目的物の占有を債権者に移す(占有担保)。担保物権ごとの占有の有無の違いを押さえることが、担保物権の理解の基礎になる。

12先取特権

先取特権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 先取特権者は、その債務者の財産について、他の債権者に後れて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
  • 先取特権者は、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
他の債権者に先立って弁済を受ける → 『後れて』は誤り

民法第303条その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するe-Gov原文

正しい
303条のとおり → 正しい

民法第303条先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するe-Gov原文

ひっかけ先取特権者は他の債権者に『先立って』(優先して)弁済を受ける(303条)。

解説先取特権者は、民法その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する(303条)。先取特権は、法律で定められた特定の債権(雇用関係の債権・葬式費用・日用品の供給等)を有する者に、債務者の財産から優先弁済を受けることを認める法定担保物権である。優先弁済の効力を押さえる。

補足先取特権・留置権は法律上当然に成立する法定担保物権、質権・抵当権は当事者の設定契約により成立する約定担保物権である。担保物権の成立原因(法定・約定)の区別を押さえる。

13抵当権

抵当権及び留置権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 抵当権者は、債務者又は第三者から占有の移転を受けた不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
  • 土地及びその上に存する建物が当初から別々の所有者に属する場合に、その土地に抵当権が設定され実行されたときは、その建物について法定地上権が成立する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
抵当権は占有を移転しないで設定 → 『占有の移転を受けた不動産』は誤り

民法第369条抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するe-Gov原文

誤り
法定地上権は同一所有者の場合に成立 → 『当初から別々の所有者』では成立せず誤り

民法第388条土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなすe-Gov原文

ひっかけ抵当権は『占有を移転しないで』設定。法定地上権は土地建物が『同一所有者』の場合に成立(369条・388条)。

解説抵当権は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有する(369条1項)。抵当権者は目的物の占有を取得しない。また、法定地上権(388条)は、土地及びその上の建物が同一の所有者に属する場合に、抵当権の実行により所有者を異にするに至ったときに成立する。抵当権の非占有性と、法定地上権の成立要件(同一所有者)を押さえる。

補足土地と建物がもともと別々の所有者であれば、建物のためにすでに土地利用権(地上権・賃借権等)が設定されているのが通常であり、法定地上権による保護は不要である。同一所有者の場合に限って法定地上権が認められる。

14抵当権の目的

抵当権の目的及び効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 地上権及び永小作権は、抵当権の目的とすることができない。
  • 抵当権者は、抵当不動産の占有を取得して、これを使用収益することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
地上権・永小作権も抵当権の目的とできる → 『できない』は誤り

民法第369条地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができるe-Gov原文

誤り
抵当権は占有を移転しないで設定 → 『占有を取得して使用収益できる』は誤り

民法第369条抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するe-Gov原文

ひっかけ抵当権の目的は不動産のほか『地上権・永小作権』も可。抵当権者は目的物を『占有・使用収益しない』(369条)。

解説抵当権は、不動産を目的とするのが原則であるが、地上権及び永小作権も抵当権の目的とすることができる(369条2項)。また、抵当権は占有を移転しないで設定されるため、抵当権者は目的物を占有・使用収益せず、設定者(債務者等)が引き続き使用収益する(369条1項)。抵当権の目的の範囲と、非占有担保としての性質を押さえる。

補足抵当権が占有を伴わないため、設定者は抵当不動産を使い続けながら融資を受けられる。これが抵当権が不動産担保として広く利用される理由である。

15法定地上権

法定地上権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合に、その建物に抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至っても、その建物について法定地上権は成立しない。
  • 法定地上権が成立する場合の地代は、当事者の合意によらなければ定めることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
法定地上権が成立する → 『成立しない』は誤り

民法第388条その建物について、地上権が設定されたものとみなすe-Gov原文

誤り
地代は当事者の請求により裁判所が定める → 『合意によらなければ定められない』は誤り

民法第388条地代は、当事者の請求により、裁判所が定めるe-Gov原文

ひっかけ土地建物が同一所有者で抵当権実行により所有者が分かれたら『法定地上権』が成立。地代は『裁判所が定める』(388条)。

解説土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなされる(388条、法定地上権)。これにより、建物所有者は土地の利用権を確保でき、建物の収去を免れる。地代は、当事者の請求により裁判所が定める。法定地上権の成立要件と地代の決定方法を押さえる。

補足法定地上権は、抵当権実行によって土地と建物の所有者が分かれた場合に、建物のために土地利用権を法律上当然に発生させ、建物が存立基盤を失うのを防ぐ制度である。当事者の合意がなくても成立する点が特徴である。

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