問1船舶所有権の移転の対抗要件
船舶所有権及び船舶管理人に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船舶所有権の移転は、その登記をし、かつ、船舶国籍証書に記載しなければ、第三者に対抗することができない。
- イ.船舶共有者は、船舶管理人を選任しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 687条のとおり → 正しい
商法第687条「船舶所有権の移転は、その登記をし、かつ、船舶国籍証書に記載しなければ、第三者に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 697条1項のとおり → 正しい
商法第697条「船舶共有者は、船舶管理人を選任しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ船舶所有権移転の対抗要件は『登記+船舶国籍証書への記載』。船舶共有者は船舶管理人を『選任しなければならない』(687条・697条)。
解説船舶所有権の移転は、その登記をし、かつ船舶国籍証書に記載しなければ第三者に対抗できない(687条)。また、船舶共有者は船舶管理人を選任しなければならない(697条1項)。船舶所有権移転の対抗要件と船舶管理人の選任を押さえる。
補足船舶は登記・登録制度を持つ動産であり、所有権移転の対抗要件として登記と船舶国籍証書への記載の双方が求められる。船舶共有では管理を船舶管理人に委ねる。
問2船舶共有者の持分買取請求
船舶共有者の持分買取請求及び船舶所有権の移転に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船舶共有者が新たな航海をすることや船舶の大修繕をすることを決定したときは、その決定について異議のある船舶共有者は、他の船舶共有者に対し、相当の対価で自己の持分を買い取ることを請求することができる。
- イ.船舶所有権の移転は、その登記をしなくても、第三者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 694条1項のとおり → 正しい
商法第694条「他の船舶共有者に対し、相当の対価で自己の持分を買い取ることを請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 登記及び国籍証書記載がなければ対抗できない → 『登記をしなくても対抗できる』は誤り
商法第687条「その登記をし、かつ、船舶国籍証書に記載しなければ、第三者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ新航海・大修繕の決定に異議ある共有者は『持分買取請求』できる。所有権移転は『登記+国籍証書記載』で対抗(694条・687条)。
解説船舶共有者が新たな航海や船舶の大修繕を決定したときは、その決定に異議のある共有者は他の共有者に相当の対価で持分の買取りを請求できる(694条1項)。また、船舶所有権の移転は登記及び船舶国籍証書への記載がなければ第三者に対抗できない(687条)。持分買取請求と所有権移転の対抗要件を押さえる。
補足船舶共有は持分の多数決で利用に関する事項を決するが、重大な決定(新航海・大修繕)には反対共有者に持分買取請求権が認められ、退出の途が確保されている。
問3船舶管理人の選任
船舶管理人及び船荷証券の不実記載に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船舶共有者は、船舶管理人を選任しなければならない。
- イ.運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 697条1項のとおり → 正しい
商法第697条「船舶共有者は、船舶管理人を選任しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 760条のとおり → 正しい
商法第760条「運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ船舶共有者は船舶管理人を『選任しなければならない』。船荷証券の不実記載は『善意の所持人に対抗できない』(697条・760条)。
解説船舶共有者は船舶管理人を選任しなければならない(697条1項。共有者でない者を管理人とするには共有者全員の同意を要し、選任は登記する)。また、運送人は船荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗できない(760条、文言証券性)。船舶管理人と船荷証券の文言証券性を押さえる。
補足船荷証券は文言証券性を有し、善意の所持人は記載どおりの権利を主張できる。船舶管理人の選任・代理権消滅は登記事項である(697条3項)。
問4荷受人の運送賃支払義務
荷受人の運送賃支払義務及び船舶管理人に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.荷受人は、運送品を受け取ったときは、個品運送契約又は船荷証券の趣旨に従い、運送人に対し、運送賃等を支払う義務を負う。
- イ.船舶共有者は、船舶管理人を選任することができるが、選任する義務まではない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 741条1項のとおり → 正しい
商法第741条「荷受人は、運送品を受け取ったときは、個品運送契約又は船荷証券の趣旨に従い、運送人に対し」e-Gov原文
- イ.誤り
- 船舶共有者は船舶管理人を選任しなければならない → 『選任する義務まではない』は誤り
商法第697条「船舶共有者は、船舶管理人を選任しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ荷受人は運送品の受取により『運送賃等の支払義務』を負う。船舶共有者は船舶管理人を『選任しなければならない』(741条・697条)。
解説荷受人は、運送品を受け取ったときは、個品運送契約又は船荷証券の趣旨に従い、運送人に対し運送賃・付随費用・立替金、救助料・共同海損分担額の合計額(運送賃等)を支払う義務を負う(741条1項)。また、船舶共有者は船舶管理人を選任しなければならない(697条1項)。運送賃支払義務と船舶管理人を押さえる。
補足荷受人は運送品の受取により運送賃等の支払義務を負う。運送人は運送賃等の支払を受けるまで運送品を留置できる(741条2項)。
問5運送品の留置
運送品の留置及び船舶抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送人は、運送賃等の支払を受けるまで、運送品を留置することができる。
- イ.登記した船舶は、抵当権の目的とすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 741条2項のとおり → 正しい
商法第741条「運送人は、運送賃等の支払を受けるまで、運送品を留置することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 847条1項のとおり → 正しい
商法第847条「登記した船舶は、抵当権の目的とすることができる」e-Gov原文
ひっかけ運送人は運送賃等の支払まで運送品を『留置できる』。登記した船舶は『抵当権の目的』とできる(741条・847条)。
解説運送人は、運送賃等の支払を受けるまで、運送品を留置することができる(741条2項)。また、登記した船舶は抵当権の目的とすることができ、その抵当権は属具に及び、不動産の抵当権に関する規定が準用される(847条)。運送品の留置と船舶抵当権を押さえる。
補足船舶は登記することで抵当権の目的となり、不動産類似の担保利用ができる。運送人の運送品留置権は運送賃等の確保のための担保的権利である。
問6運送品の船積みのために必要な準備の通知
航海傭船における船積みの通知及び運送品の留置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.航海傭船契約に基づいて運送品の船積みのために必要な準備を完了したときは、船長は、遅滞なく、傭船者に対してその旨の通知を発しなければならない。
- イ.運送人は、運送賃等の支払を受ける前であっても、運送品を留置することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 748条1項のとおり → 正しい
商法第748条「運送品の船積みのために必要な準備を完了したときは、船長は、遅滞なく、傭船者に対してその旨の通知を発しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 運送人は運送賃等の支払まで運送品を留置できる → 『留置することはできない』は誤り
商法第741条「運送人は、運送賃等の支払を受けるまで、運送品を留置することができる」e-Gov原文
ひっかけ航海傭船で船積準備完了時に船長が傭船者に『通知』。運送人は運送賃等の支払まで運送品を『留置できる』(748条・741条)。
解説航海傭船契約に基づいて運送品の船積みのために必要な準備を完了したときは、船長は遅滞なく傭船者にその旨を通知しなければならない(748条1項)。また、運送人は運送賃等の支払を受けるまで運送品を留置できる(741条2項)。航海傭船の船積通知と運送品の留置を押さえる。
補足航海傭船契約は船舶の全部又は一部を目的とする運送契約で、個品運送契約と区別される。船積期間(碇泊期間)の起算は船積準備完了の通知時からとなる。
問7船荷証券の交付義務
船荷証券の交付義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送人又は船長は、荷送人又は傭船者の請求があっても、船荷証券を交付する義務を負わない。
- イ.運送人又は船長は、荷送人又は傭船者の請求により、運送品の船積み後遅滞なく、船積みがあった旨を記載した船荷証券の一通又は数通を交付しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 請求により船荷証券を交付しなければならない → 『交付する義務を負わない』は誤り
商法第757条「運送人又は船長は、荷送人又は傭船者の請求により、運送品の船積み後遅滞なく」e-Gov原文
- イ.正しい
- 757条のとおり → 正しい
商法第757条「運送人又は船長は、荷送人又は傭船者の請求により、運送品の船積み後遅滞なく」e-Gov原文
ひっかけ運送人又は船長は、荷送人等の『請求により』船荷証券を交付しなければならない(757条)。
解説運送人又は船長は、荷送人又は傭船者の請求により、運送品の船積み後遅滞なく、船積みがあった旨を記載した船積船荷証券を交付しなければならない(757条。船積み前でも受取後は受取船荷証券を交付する)。船荷証券の交付義務を押さえる。
補足船荷証券は請求があってはじめて交付される(当然作成されるわけではない)。船積船荷証券と受取船荷証券があり、いずれも荷送人等の請求により交付される。
問8船荷証券の記載事項及び署名
船荷証券の記載事項に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船荷証券には、所定の事項を記載すれば足り、運送人又は船長の署名又は記名押印は要しない。
- イ.船荷証券には、所定の事項を記載し、運送人又は船長がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 運送人又は船長の署名又は記名押印が必要 → 『署名等は要しない』は誤り
商法第758条「運送人又は船長がこれに署名し、又は記名押印しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 758条のとおり → 正しい
商法第758条「運送人又は船長がこれに署名し、又は記名押印しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ船荷証券には所定事項を記載し、運送人又は船長の『署名又は記名押印』が必要(758条)。
解説船荷証券には、運送品の種類・容積重量・荷送人や荷受人の氏名等の所定事項を記載し、運送人又は船長がこれに署名し、又は記名押印しなければならない(758条。受取船荷証券では一部の事項を除く)。船荷証券の記載事項と署名を押さえる。
補足船荷証券は要式証券であり、記載事項と運送人等の署名・記名押印が要件となる。記載が事実と異なっても善意の所持人には対抗できない(760条、文言証券性)。
問9船荷証券の不実記載
船荷証券の文言証券性に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって、善意の所持人に対しても対抗することができる。
- イ.運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって、善意の所持人に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 善意の所持人に対抗できない → 『対抗することができる』は誤り
商法第760条「運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 760条のとおり → 正しい
商法第760条「運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ運送人は船荷証券の不実記載をもって『善意の所持人に対抗できない』(文言証券性)(760条)。
解説運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗することができない(760条、船荷証券の文言証券性)。船荷証券を信頼して取引した善意の所持人を保護する規定である。船荷証券の文言証券性を押さえる。
補足文言証券性により、船荷証券の善意取得者は記載どおりの内容を運送人に主張できる。船荷証券の流通性・取引の安全を確保する重要な性質である。
問10運送品の引渡請求
船荷証券の受戻証券性及び共同海損に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、運送品の引渡しを請求することができない。
- イ.船舶及び積荷等に対する共同の危険を避けるために船舶又は積荷等について処分がされたときは、当該処分によって生じた損害及び費用は、共同海損とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 764条のとおり → 正しい
商法第764条「船荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、運送品の引渡しを請求することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 808条1項のとおり → 正しい
商法第808条「船舶及び積荷等に対する共同の危険を避けるために船舶又は積荷等について処分がされたとき」e-Gov原文
ひっかけ船荷証券と『引換えでなければ』運送品の引渡しを請求できない(受戻証券性)。共同の危険を避ける処分による損害費用は『共同海損』(764条・808条)。
解説船荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ運送品の引渡しを請求できない(764条、受戻証券性)。また、船舶及び積荷等に対する共同の危険を避けるために船舶又は積荷等について処分がされたときは、その処分(共同危険回避処分)によって生じた損害・費用は共同海損となる(808条1項)。船荷証券の受戻証券性と共同海損を押さえる。
補足船荷証券は受戻証券性を有し、運送品の引渡しには証券の呈示・受戻しが必要である。共同海損は、共同の危険を避けるための処分の損害を利害関係人が分担する制度である。
問11船舶の衝突による損害賠償請求権の消滅時効
船舶衝突の消滅時効及び船荷証券の受戻証券性に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船舶の衝突を原因とする不法行為による損害賠償請求権(財産権が侵害されたことによるものに限る。)は、不法行為の時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- イ.船荷証券が作成された場合であっても、その所持人は、船荷証券と引換えることなく、運送品の引渡しを請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 789条のとおり → 正しい
商法第789条「不法行為の時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 船荷証券と引換えでなければ引渡しを請求できない → 『引換えることなく請求できる』は誤り
商法第764条「船荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、運送品の引渡しを請求することができない」e-Gov原文
ひっかけ船舶衝突の財産損害賠償請求権は不法行為時から『2年』で時効消滅。船荷証券は『引換えでなければ』引渡請求できない(789条・764条)。
解説船舶の衝突を原因とする不法行為による損害賠償請求権(財産権侵害によるものに限る)は、不法行為の時から2年間行使しないときは時効によって消滅する(789条)。また、船荷証券が作成されたときはこれと引換えでなければ運送品の引渡しを請求できない(764条)。船舶衝突の短期消滅時効と船荷証券の受戻証券性を押さえる。
補足船舶衝突の財産損害賠償請求権は民法の不法行為の時効(724条)の特則として『2年』とされる。船荷証券の受戻証券性は運送品引渡しの安全を確保する。
問12救助料の額
海難救助の救助料の額に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.救助料につき特約がない場合において、その額につき争いがあるときであっても、裁判所が救助料の額を定めることはできない。
- イ.救助料につき特約がない場合において、その額につき争いがあるときは、裁判所は、危険の程度、救助の結果、救助のために要した労力及び費用その他一切の事情を考慮して、これを定める。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 裁判所が一切の事情を考慮して定める → 『定めることはできない』は誤り
商法第793条「裁判所は、危険の程度、救助の結果、救助のために要した労力及び費用」e-Gov原文
- イ.正しい
- 793条のとおり → 正しい
商法第793条「裁判所は、危険の程度、救助の結果、救助のために要した労力及び費用」e-Gov原文
ひっかけ救助料の特約がなく争いがあれば、裁判所が危険の程度・救助の結果・労力費用等を考慮して『額を定める』(793条)。
解説救助料につき特約がない場合において、その額につき争いがあるときは、裁判所は危険の程度・救助の結果・救助のために要した労力及び費用(海洋汚染の防止・軽減のためのものを含む)その他一切の事情を考慮して、これを定める(793条)。海難救助の救助料の額の決定を押さえる。
補足海難救助は不成功なら原則として救助料が生じない(不成功無報酬の原則)。救助料の額は特約優先、争いがあれば裁判所が諸事情を考慮して定める。
問13共同海損の成立
共同海損及び船荷証券に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船舶及び積荷等に対する共同の危険を避けるために船舶又は積荷等について処分がされても、その処分によって生じた損害及び費用は、共同海損とはならない。
- イ.船荷証券が作成されたときであっても、その所持人は、船荷証券と引換えることなく運送品の引渡しを請求できる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 共同危険回避処分による損害費用は共同海損となる → 『共同海損とはならない』は誤り
商法第808条「によって生じた損害及び費用は、共同海損とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 船荷証券と引換えでなければ引渡請求できない → 『引換えることなく請求できる』は誤り
商法第764条「船荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、運送品の引渡しを請求することができない」e-Gov原文
ひっかけ共同危険回避処分による損害・費用は『共同海損』。船荷証券は『引換えでなければ』引渡請求できない(808条・764条)。
解説船舶及び積荷等に対する共同の危険を避けるために船舶又は積荷等について処分(共同危険回避処分)がされたときは、その処分によって生じた損害及び費用は共同海損となる(808条1項)。共同海損は利害関係人が分担する。また、船荷証券が作成されたときはこれと引換えでなければ運送品の引渡しを請求できない(764条)。共同海損と船荷証券の受戻証券性を押さえる。
補足共同海損は、たとえば積荷を投棄して船舶と他の積荷を救った場合のように、共同の危険を避けるための犠牲・費用を利害関係人で公平に分担する制度である。
問14船舶先取特権の順位
船舶先取特権の順位及び船舶所有権の移転に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船舶先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、専らその発生の前後により、先に生じたものが優先する。
- イ.船舶所有権の移転は、船舶国籍証書への記載のみで、登記をしなくても第三者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 順位は条文各号の順序による → 『専ら発生の前後による』は誤り
商法第843条「その優先権の順位は、同条各号に掲げる順序に従う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 登記及び国籍証書記載の双方が必要 → 『記載のみで登記なく対抗できる』は誤り
商法第687条「その登記をし、かつ、船舶国籍証書に記載しなければ、第三者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ船舶先取特権の競合の順位は『法定の各号の順序』による(発生の前後ではない)。所有権移転は『登記+国籍証書記載』(843条・687条)。
解説船舶先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は842条各号に掲げる順序による(843条1項。ただし救助料に係るものは発生時に既に生じている他の先取特権に優先する)。また、船舶所有権の移転は登記及び船舶国籍証書への記載がなければ第三者に対抗できない(687条)。先取特権の順位と所有権移転の対抗要件を押さえる。
補足船舶先取特権の順位は原則として条文の列挙順だが、救助料に係るものは後から生じても先順位の先取特権に優先する(あとに生じた救助が船舶価値を保全したため)。
問15船舶抵当権と船舶先取特権との競合
船舶抵当権と船舶先取特権の競合及び船荷証券の交付に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船舶の抵当権と船舶先取特権とが競合する場合には、船舶の抵当権が船舶先取特権に優先する。
- イ.運送人又は船長は、荷送人又は傭船者の請求があっても、船荷証券を交付する義務を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 船舶先取特権が抵当権に優先する → 『抵当権が優先する』は誤り
商法第848条「船舶の抵当権と船舶先取特権とが競合する場合には、船舶先取特権は、船舶の抵当権に優先する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 請求により交付しなければならない → 『交付する義務を負わない』は誤り
商法第757条「運送人又は船長は、荷送人又は傭船者の請求により、運送品の船積み後遅滞なく」e-Gov原文
ひっかけ抵当権と船舶先取特権が競合すると『船舶先取特権が優先』。船荷証券は請求により『交付』する(848条・757条)。
解説船舶の抵当権と船舶先取特権とが競合する場合には、船舶先取特権が船舶の抵当権に優先する(848条1項)。船舶先取特権は法定の優先権であり、約定担保である抵当権に優先するのが原則である。また、運送人又は船長は荷送人等の請求により船荷証券を交付しなければならない(757条)。抵当権と先取特権の優劣、船荷証券の交付を押さえる。
補足船舶先取特権(法定担保)は船舶抵当権(約定担保)に優先する点が特徴である。一般の先取特権(船舶先取特権以外)との競合では抵当権が第一順位の先取特権と同順位となる(848条2項)。