問1船員の定義
船員法上の船員及び海員の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船員とは、日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員をいう。
- イ.海員とは、船内で使用される船長以外の乗組員で、労働の対償として給料その他の報酬を支払われる者をいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 1条1項のとおり → 正しい
船員法第1条「日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員をいう」e-Gov原文
- イ.正しい
- 2条1項のとおり → 正しい
船員法第2条「船内で使用される船長以外の乗組員で労働の対償として給料その他の報酬を支払われる者をいう」e-Gov原文
ひっかけ船員=船長+海員+予備船員。海員は『船内で使用される船長以外の乗組員』(1条・2条)。
解説船員法上の船員は、日本船舶又は国土交通省令で定める船舶に乗り組む船長・海員・予備船員からなる(1条1項)。海員は船内で使用される船長以外の乗組員で報酬を受ける者(2条1項)、予備船員は乗り組むため雇用されているが船内で使用されていない者(2条2項)である。船長・海員・予備船員という三者の関係と、海員の定義を押さえる。
補足海員はさらに、職員(航海士・機関長等)と部員(職員以外の海員)に分かれる(3条)。職位により船員法上の取扱いが異なる場面がある。
問2船員法の適用除外
船員法上の船員が乗り組む船舶の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.総トン数5トン未満の船舶は、船員法上の船員が乗り組む船舶に含まれない。
- イ.湖、川又は港のみを航行する船舶も、船員法上の船員が乗り組む船舶に含まれる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- これらは含まれない → 『含まれる』は誤り
ひっかけ船員法の対象船舶には例外がある。5トン未満・湖川港のみ航行・一定の漁船・レジャー船は対象外(1条)。
解説船員法上の船員が乗り組む船舶からは、総トン数5トン未満の船舶(1号)、湖・川又は港のみを航行する船舶(2号)、政令で定める総トン数30トン未満の漁船(3号)、小型船舶でスポーツ・レクリエーション用のヨット・モーターボート等(4号)が除かれる(1条2項)。船員労働の特殊性が認められない小規模・特定用途の船舶を対象外とする趣旨である。
補足適用除外の判定の前提となる「港の区域」は、港則法に基づく港の区域の定めがあるものはその区域による(1条3項)。範囲の判定には他法令の定めも参照される。
問3予備船員の定義
予備船員の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.予備船員とは、現に船内で使用されている乗組員をいう。
- イ.予備船員とは、船舶に乗り組むため雇用されている者で、船内で使用されていないものをいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 予備船員は船内で使用されていない者 → 『現に船内で使用されている』は誤り
船員法第2条「船舶に乗り組むため雇用されている者で船内で使用されていないものをいう」e-Gov原文
- イ.正しい
- 2条2項のとおり → 正しい
船員法第2条「船舶に乗り組むため雇用されている者で船内で使用されていないものをいう」e-Gov原文
ひっかけ予備船員は『乗り組むため雇用されているが、今は船内で使用されていない』者(2条)。
解説予備船員は、船舶に乗り組むため雇用されているが、現に船内で使用されていない者をいう(2条2項)。休暇中や次の乗船を待っている船員などがこれに当たる。船内で現に使用され報酬を受ける海員(2条1項)と対比すると、雇用関係はあるが乗船していない状態の者が予備船員である。両者の違いを押さえる。
補足予備船員も船員に含まれるため(1条1項)、船員法の適用を受ける。乗船していない期間の取扱い(雇用の継続や給料等)についても船員法の規律が及ぶ。
問4職員・部員の定義
職員及び部員の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.職員とは、航海士、機関長、機関士、通信長、通信士及び国土交通省令で定めるその他の海員をいう。
- イ.部員とは、職員を含むすべての海員をいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 3条1項のとおり → 正しい
船員法第3条「航海士、機関長、機関士、通信長、通信士及び国土交通省令で定めるその他の海員をいう」e-Gov原文
- イ.誤り
- 部員は職員以外の海員 → 『職員を含むすべての海員』は誤り
ひっかけ海員は『職員(航海士・機関長等)』と『部員(職員以外)』に分かれる(3条)。
解説海員は、職員と部員に区分される。職員は、航海士・機関長・機関士・通信長・通信士及び国土交通省令で定めるその他の海員(3条1項)、部員は職員以外の海員(3条2項)である。職員は船舶の運航上重要な職務を担う者で、海技士の資格等が求められる。職員と部員の区分は、船舶職員及び小型船舶操縦者法による資格制度とも関係する。
補足船長は海員ではなく、船員のうち船長・海員・予備船員の区分では独立した地位にある。職員・部員はあくまで海員(船長以外の乗組員)の中の区分である。
問5船長の指揮命令権と発航前の検査
船長の職務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船長は、海員を指揮監督し、かつ、船内にある者に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる。
- イ.船長は、発航前に、船舶が航海に支障ないかどうかその他航海に必要な準備が整っているかどうかを検査しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 7条のとおり → 正しい
船員法第7条「船長は、海員を指揮監督し、且つ、船内にある者に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 8条のとおり → 正しい
船員法第8条「発航前に船舶が航海に支障ないかどうかその他航海に必要な準備が整つているかいないかを検査しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ船長は船内の最高責任者として『指揮命令権』を持ち、『発航前の検査義務』を負う(7条・8条)。
解説船長は、海員を指揮監督し、かつ船内にある者(乗組員に限らず旅客等を含む)に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる(7条、指揮命令権)。また、発航前には船舶が航海に支障ないか、航海に必要な準備が整っているかを検査しなければならない(8条、発航前検査)。船長の権限(指揮命令)と義務(安全確認)が、船内の安全と秩序の基礎になる。
補足船長の職務には、このほか甲板上の指揮(10条)、在船義務(11条)、危険・衝突・遭難時の救助(12条〜14条)、書類の備置き(18条)、報告(19条)など、安全に関する多くの義務が含まれる。
問6甲板上の指揮
船長の甲板上の指揮に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船長は、船舶が港を出入するとき、狭い水路を通過するときその他船舶に危険の虞があるときは、甲板にあって自ら船舶を指揮しなければならない。
- イ.船長は、いかなる場合も、自己の指揮する船舶を去ることが許されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 10条のとおり → 正しい
船員法第10条「船舶が港を出入するとき、船舶が狭い水路を通過するときその他船舶に危険の虞があるときは、甲板にあつて自ら船舶を指揮しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- やむを得ない場合等は去れる → 『いかなる場合も許されない』は誤り
船員法第11条「やむを得ない場合を除いて、自己に代わつて船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ」e-Gov原文
ひっかけ危険な場面では船長が甲板で自ら指揮。船舶を去れないわけではない(委任後等は可)(10条・11条)。
解説船長は、船舶が港を出入するとき、狭い水路を通過するときその他船舶に危険の虞があるときは、甲板にあって自ら船舶を指揮しなければならない(10条)。最も危険な場面で船長が直接指揮することを求めるものである。一方、在船義務(11条)は、やむを得ない場合を除き、指揮を委任した後でなければ一定の間船舶を去ってはならないとするもので、絶対に去れないという趣旨ではない。
補足甲板上の指揮(10条)は船長が現場で操船を統括する義務、在船義務(11条)は荷役・乗下船の間に船長が船を離れない義務であり、いずれも危険時・繁忙時の船内秩序を確保する規定である。
問7在船義務
船長の在船義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船長は、荷物の船積み及び旅客の乗込みの時から、いかなる事情があっても直ちに自己の指揮する船舶を去ることができる。
- イ.船長は、やむを得ない場合を除き、自己に代わって船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ、原則として荷役・乗下船の間は船舶を去ってはならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 原則として去ってはならない → 『直ちに去れる』は誤り
船員法第11条「荷物の船積及び旅客の乗込の時から荷物の陸揚及び旅客の上陸の時まで、自己の指揮する船舶を去つてはならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 11条のとおり → 正しい
船員法第11条「やむを得ない場合を除いて、自己に代わつて船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ」e-Gov原文
ひっかけ在船義務は『荷役・乗下船の間』。やむを得ない場合や指揮の委任後でなければ船を離れられない(11条)。
解説船長は、やむを得ない場合を除き、自己に代わって船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ、荷物の船積み及び旅客の乗込みの時から荷物の陸揚げ及び旅客の上陸の時まで、自己の指揮する船舶を去ってはならない(11条、在船義務)。荷役や乗下船という船内が繁忙で事故の起きやすい時間帯に、船長が船を離れて指揮が空白になることを防ぐ趣旨である。原則(在船)と例外(やむを得ない場合・委任)を押さえる。
補足船長が死亡・離船等で指揮できない場合に他人を選任しないときは、運航に従事する海員がその職掌の順位に従って船長の職務を行う(20条)。指揮の空白を生じさせない仕組みが用意されている。
問8船舶に危険がある場合の処置
船舶に危険がある場合及び衝突した場合の船長の処置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない。
- イ.船長は、船舶が衝突したときは、互いに人命及び船舶の救助に必要な手段を尽くし、かつ船舶の名称、所有者、船籍港、発航港及び到達港を告げなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 12条のとおり → 正しい
船員法第12条「自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 13条のとおり → 正しい
船員法第13条「互に人命及び船舶の救助に必要な手段を尽し、且つ船舶の名称、所有者、船籍港、発航港及び到達港を告げなければならない」e-Gov原文
ひっかけ自船が危険なら人命・船舶・積荷の救助。衝突したら救助+相手船への通告(12条・13条)。
解説船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない(12条)。また、船舶が衝突したときは、互いに人命及び船舶の救助に必要な手段を尽くし、かつ船舶の名称・所有者・船籍港・発航港・到達港を告げなければならない(13条本文)。危険・衝突という非常時における船長の救助・通告義務を押さえる。
補足衝突時の救助・通告義務は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときはこの限りでない(13条ただし書)。自船の安全確保が優先される場合の例外がある。
問9遭難船舶等の救助
他の船舶等の遭難に対する船長の処置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船長は、他の船舶又は航空機の遭難を知ったときは、人命の救助に必要な手段を尽くさなければならない。
- イ.自己の指揮する船舶に急迫した危険がある場合であっても、船長は他の船舶の遭難に対する人命救助の手段を尽くす義務を免れることはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 14条のとおり → 正しい
船員法第14条「他の船舶又は航空機の遭難を知つたときは、人命の救助に必要な手段を尽さなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 自船に急迫危険があるときは義務の例外 → 『免れることはない』は誤り
船員法第14条「自己の指揮する船舶に急迫した危険がある場合及び国土交通省令の定める場合は、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ他船・航空機の遭難を知れば人命救助義務。ただし自船に急迫危険があるとき等は例外(14条)。
解説船長は、他の船舶又は航空機の遭難を知ったときは、人命の救助に必要な手段を尽くさなければならない(14条本文)。海上における相互救助の理念に基づく義務である。ただし、自己の指揮する船舶に急迫した危険がある場合や、国土交通省令の定める場合には、この限りでない(ただし書)。自船と自船の乗組員・旅客の安全を犠牲にしてまで救助を強制するものではない、という例外を押さえる。
補足船長は、人命又は船舶の救助に従事したときや、航行中に他の船舶の遭難を知ったときは、国土交通大臣にその旨を報告しなければならない(19条)。救助義務と報告義務が結びついている。
問10書類の備置き
船内に備え置くべき書類に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船長は、海員名簿を船内に備え置く必要はない。
- イ.船長は、原則として、船舶国籍証書又は国土交通省令で定める証書、海員名簿、航海日誌等を船内に備え置かなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 海員名簿は備置書類 → 『必要はない』は誤り
- イ.正しい
- 18条のとおり → 正しい
船員法第18条「船舶国籍証書又は国土交通省令で定める証書」e-Gov原文
ひっかけ船内には『船舶国籍証書・海員名簿・航海日誌・積荷書類』等を備え置く(18条)。
解説船長は、国土交通省令で定める場合を除き、船舶国籍証書又は国土交通省令で定める証書・海員名簿・航海日誌・積荷に関する書類・海上運送法に基づく証明書を船内に備え置かなければならない(18条)。これらの書類は、船舶の国籍・乗組員・航海の経過・積荷の状況等を記録・証明するもので、検査や事故時の確認の基礎になる。何を備え置くべきかを押さえる。
補足海員名簿及び航海日誌に関し必要な事項は国土交通省令で定められる(18条)。記載事項や様式は省令に委ねられているが、備置きそのものは法律上の義務である。
問11航行に関する報告
船長の航行に関する報告に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船長は、船舶の衝突、乗揚、沈没、滅失、火災、機関の損傷その他の海難が発生したときは、国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
- イ.船長は、船内にある者が死亡し、又は行方不明となったときは、国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 19条1号のとおり → 正しい
船員法第19条「船舶の衝突、乗揚、沈没、滅失、火災、機関の損傷その他の海難が発生したとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 19条4号のとおり → 正しい
船員法第19条「船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたとき」e-Gov原文
ひっかけ海難・人命救助従事・遭難探知・船内の死亡行方不明・航路変更・抑留等は国土交通大臣に報告(19条)。
解説船長は、海難の発生(1号)、人命又は船舶の救助に従事したとき(2号)、航行中に他の船舶の遭難を知ったとき(3号)、船内にある者の死亡・行方不明(4号)、予定の航路の変更(5号)、船舶の抑留・捕獲その他著しい事故(6号)に該当する場合には、国土交通大臣にその旨を報告しなければならない(19条)。重大な事故や異常を行政が把握し、安全対策に役立てるための報告義務である。
補足これらの報告は、海難審判や事故調査の端緒にもなる。船長の報告義務は、個々の船舶の安全だけでなく、海上交通全体の安全の向上に資する。
問12船長の職務の代行
船長の職務の代行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船長が死亡し、又は船舶を去った場合には、他人を選任しない限り、船舶の運航を継続することはできない。
- イ.船長が船舶を去ったときは、いかなる場合も船舶の運航は直ちに中止される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 海員が職掌順位で船長の職務を行う → 『運航を継続できない』は誤り
船員法第20条「運航に従事する海員は、その職掌の順位に従つて船長の職務を行う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 海員が職務を引き継ぐ → 『直ちに運航中止』は誤り
船員法第20条「運航に従事する海員は、その職掌の順位に従つて船長の職務を行う」e-Gov原文
ひっかけ船長が指揮不能でも、後任未選任なら『海員が職掌順位で船長の職務』を行う。運航は止まらない(20条)。
解説船長が死亡したとき、船舶を去ったとき、又はこれを指揮することができない場合において他人を選任しないときは、運航に従事する海員が、その職掌の順位に従って船長の職務を行う(20条)。船長を欠いても指揮の空白が生じないようにし、航海の安全と継続を確保する規定である。職掌の順位(航海士の上位の者から)に従って自動的に職務が引き継がれる仕組みを押さえる。
補足この職務代行は、あくまで船長を選任できない緊急時の措置である。職掌の順位に従って職務を行う海員は、船長と同様の職務上の権限と義務を負うことになる。
問13労働基準法の適用
船員の労働関係と労働基準法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船員の労働関係には、労働基準法の規定は一切適用されない。
- イ.労働基準法のうち一定の規定は、船員の労働関係についても適用がある。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 労基法の一部は船員にも適用 → 『一切適用されない』は誤り
船員法第6条「船員の労働関係についても適用があるものとする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 6条のとおり → 正しい
船員法第6条「船員の労働関係についても適用があるものとする」e-Gov原文
ひっかけ船員にも労働基準法の『一部』は適用される。全面不適用ではない(6条)。
解説船員の労働関係については、原則として船員法が労働条件等を定めるが、労働基準法の一定の規定(労働条件の原則・均等待遇・強制労働の禁止等を定める第1条から第11条まで等)は船員の労働関係にも適用がある(6条)。船員労働の特殊性に応じた船員法による規律を基本としつつ、労働者保護の基本原則は労働基準法を通じて及ぶ、という関係を押さえる。
補足労働時間・休日・有給休暇・災害補償などの具体的な労働条件は、陸上労働者の労働基準法に相当する規定が船員法の中に置かれている。船員には船員法が労働法の中心となる。
問14漁船・ヨット等への適用除外
船員法の適用除外に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.政令で定める総トン数50トン未満の漁船は、船員法上の船員が乗り組む船舶に含まれない。
- イ.スポーツ又はレクリエーションの用に供するヨット、モーターボート等であっても、船員法上の船員が乗り組む船舶に含まれる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 除外は30トン未満の漁船 → 50トン未満は誤り
- イ.誤り
- これらは含まれない → 『含まれる』は誤り
船員法第1条「スポーツ又はレクリエーションの用に供するヨット、モーターボートその他」e-Gov原文
ひっかけ適用除外の漁船は『30トン未満(政令)』。レジャー用ヨット・モーターボート等も対象外(1条)。
解説船員法上の船員が乗り組む船舶からは、政令で定める総トン数30トン未満の漁船(1条2項3号)や、小型船舶であってスポーツ・レクリエーションの用に供するヨット・モーターボート等で船員労働の特殊性が認められないもの(4号)が除かれる。職業としての船員労働とはいえない小規模・娯楽用の船舶を対象外とする趣旨である。除外される漁船のトン数(30トン未満)を押さえる。
補足総トン数5トン未満の船舶(1号)や湖・川・港のみを航行する船舶(2号)も適用除外であり、漁船・レジャー船とあわせて4類型が対象外とされている。
問15船舶衝突の場合の通告義務
船舶が衝突した場合の船長の処置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.船長は、船舶が衝突したときであっても、相手の船舶に対して船舶の名称や船籍港を告げる必要はない。
- イ.船舶が衝突した場合、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときであっても、船長は相手船への救助・通告義務を免れることはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 衝突時は船舶情報を告げる義務 → 『必要はない』は誤り
船員法第13条「船舶の名称、所有者、船籍港、発航港及び到達港を告げなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 自船に急迫危険があるときは義務の例外 → 『免れることはない』は誤り
船員法第13条「自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ衝突したら相手船に船舶情報を通告する義務がある。ただし自船に急迫危険があるときは例外(13条)。
解説船舶が衝突したときは、船長は互いに人命及び船舶の救助に必要な手段を尽くし、かつ船舶の名称・所有者・船籍港・発航港・到達港を告げなければならない(13条本文)。事故後の救助と責任関係の明確化のための義務である。ただし、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、この限りでない(ただし書)。自船の安全確保が優先される例外を押さえる。
補足衝突時の通告事項(船舶の名称・所有者・船籍港・発航港・到達港)は、相手船が事故の相手方を特定し、その後の救助や損害賠償等の手続を進めるために必要な情報である。