問1普通裁判籍による管轄
民事訴訟法上の管轄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.訴えは、原則として、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
- イ.人の普通裁判籍は、その者の勤務地により定まるのが原則である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 「原告」とするのは誤り(被告)
民事訴訟法第4条「被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所」e-Gov原文
ひっかけ原則の管轄は『被告』の所在地。原告の便宜ではない。
解説訴えは原則として被告の普通裁判籍の所在地の裁判所に提起する(4条1項、『原告は被告の法廷に従う』)。人の普通裁判籍は住所→居所→最後の住所の順で定まり(同2項)、法人は主たる事務所・営業所の所在地による(同4項)。財産権上の訴え等には特別裁判籍もある(5条)。
補足義務履行地・不法行為地など、事件類型ごとの特別裁判籍も併存しうる。
問2口頭弁論と既判力の客観的範囲
民事訴訟法上の口頭弁論及び既判力の客観的範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならないが、決定で完結すべき事件については、裁判所が口頭弁論をすべきか否かを定める。
- イ.確定判決は、その主文に包含するものに限り、既判力を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 原則は必要的口頭弁論
民事訴訟法第87条「裁判所において口頭弁論をしなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 理由中の判断には原則生じない
民事訴訟法第114条「主文に包含するものに限り、既判力を有する」e-Gov原文
ひっかけ既判力は『主文』に生じる。判決理由中の判断には原則及ばない。
解説判決をするには口頭弁論を経るのが原則(必要的口頭弁論、87条1項本文)。決定で完結する事件は口頭弁論を開くかどうかを裁判所が定める(任意的口頭弁論)。既判力は判決主文の判断(訴訟物)にのみ生じるのが原則で、判決理由中の判断には及ばない(114条1項)。
補足例外として、相殺の抗弁の判断には既判力が生じる(114条2項)。
問3既判力の主観的範囲
民事訴訟法上の確定判決の効力が及ぶ者の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.確定判決は、当事者のほか、口頭弁論終結後の承継人に対してもその効力を有する。
- イ.確定判決の効力は、いかなる場合も当事者にのみ及び、第三者に及ぶことはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
ひっかけ既判力は当事者だけではない。承継人・目的物所持者にも及ぶ。
解説確定判決の効力(既判力)は、原則として当事者間に及ぶ(相対効)が、当事者が他人のために原告・被告となった場合のその他人、口頭弁論終結後の承継人、これらの者のために請求の目的物を所持する者にも及ぶ(115条)。承継人の範囲・善意の第三者の扱いが論点。
補足口頭弁論終結『前』の承継人には既判力は及ばず、訴訟引受け等で処理する。
問4処分権主義と法人の普通裁判籍
民事訴訟法上の処分権主義及び法人の普通裁判籍に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.裁判所は、当事者が申し立てていない事項についても、必要と認めるときは判決をすることができる。
- イ.法人の普通裁判籍は、その主たる事務所又は営業所により定まる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 申立て外の判決ができるとするのは誤り
民事訴訟法第246条「当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない」e-Gov原文
ひっかけ裁判所は『申し立てられた範囲』でしか判断できない(処分権主義)。
解説処分権主義により、裁判所は当事者が申し立てていない事項について判決できず、申立ての範囲を超える救済も与えられない(246条)。訴訟の開始・対象・終了は当事者の意思に委ねられる。法人の普通裁判籍は主たる事務所又は営業所による(4条4項)。
補足弁論主義(事実・証拠は当事者の責任)とあわせて当事者主義を構成する。
問5相殺の抗弁の既判力と審尋
民事訴訟法上の相殺の抗弁の既判力及び審尋に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断には、既判力は生じない。
- イ.決定で完結すべき事件について口頭弁論をしない場合であっても、裁判所は当事者を審尋することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 既判力が生じないとするのは誤り
民事訴訟法第114条「相殺をもって対抗した額について既判力を有する」e-Gov原文
ひっかけ相殺の抗弁は『理由中の判断』だが、例外的に既判力が生じる。
解説既判力は原則として主文の判断に生じるが(114条1項)、相殺の抗弁の判断は、相殺をもって対抗した額について例外的に既判力を有する(同2項)。これは反対債権の二重行使を防ぐため。決定で完結する事件で口頭弁論を開かないときも、裁判所は当事者を審尋できる(87条2項)。
補足審尋は、口頭弁論よりも略式の意見聴取の手続。
問6補助参加と自白の擬制
民事訴訟法上の補助参加及び自白の擬制に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。
- イ.当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、原則として、その事実を自白したものとみなす。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 利害関係ある第三者が補助参加できる
民事訴訟法第42条「訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 明示的に争わなければ自白擬制
民事訴訟法第159条「相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ補助参加は『利害関係ある第三者』。争わない事実は『自白擬制』。
解説補助参加(42条)は、訴訟の結果に利害関係を有する第三者が一方当事者を補助する制度。擬制自白(159条)は、相手方の主張した事実を争うことを明らかにしないとき、その事実を自白したものとみなす制度で、弁論主義の現れ。ただし弁論の全趣旨で争ったと認められるときは別。
補足相手方の主張を知らない旨の陳述は、その事実を争ったものと推定される(159条2項)。
問7反訴と訴えの取下げの同意
民事訴訟法上の反訴及び訴えの取下げに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる。
- イ.訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出した後であっても、相手方の同意を得ることなくその効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 関連請求につき口頭弁論終結まで反訴できる
民事訴訟法第146条「本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 相手方が応訴した後は同意がなければ取下げ無効
民事訴訟法第261条「相手方の同意を得なければ、その効力を生じない」e-Gov原文
ひっかけ応訴後の取下げは『相手方の同意』が必要。反訴は『関連請求・口頭弁論終結まで』。
解説反訴(146条)は、被告が本訴と関連する請求について同じ手続で提起する訴え。訴えの取下げ(261条)は、相手方が本案について準備書面を提出・口頭弁論等をした後は、相手方の同意がなければ効力を生じない(被告の応訴の利益を保護)。それ以前なら被告の同意は不要。
補足訴えの取下げは判決が確定するまで可能で、取り下げると訴訟は初めから係属しなかったものとみなされる。
問8訴えの変更と証明することを要しない事実
民事訴訟法上の訴えの変更及び証明することを要しない事実に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.原告は、請求の基礎に変更がある場合であっても、口頭弁論の終結に至るまでは、請求又は請求の原因を変更することができる。
- イ.裁判所において当事者が自白した事実及び裁判所に顕著な事実は、証明することを要しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 請求の基礎の同一性が要件
民事訴訟法第143条「請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 自白・顕著な事実は不要証事実
民事訴訟法第179条「当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない」e-Gov原文
ひっかけ訴えの変更は『請求の基礎に変更がない限り』。自白・顕著な事実は不要証。
解説訴えの変更(143条)は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論終結までできる(相手方の防御の利益を保護)。証明することを要しない事実(179条)は、当事者間に争いのない『自白した事実』と、公知の事実や裁判所が職務上知る『顕著な事実』で、弁論主義・経済性の現れ。
補足請求の変更は書面でしなければならず、相手方に送達する(143条2項・3項)。
問9重複する訴えの提起の禁止と訴えの取下げの時期
民事訴訟法上の重複する訴えの提起の禁止及び訴えの取下げに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.裁判所に係属する事件であっても、当事者は、これと同一の訴えを更に別の裁判所に提起することができる。
- イ.訴えの取下げは、第一審の終局判決の言渡しがあった後は、することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 二重起訴は禁止される
民事訴訟法第142条「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 判決確定までは取下げできる
民事訴訟法第261条「訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる」e-Gov原文
ひっかけ重複起訴は禁止。取下げは『判決確定まで』可能(終局判決後でも可)。
解説重複する訴えの提起の禁止(142条)は、既に係属している事件と同一の訴えを重ねて提起することを禁じる(審理の重複・既判力の矛盾を防ぐ)。訴えの取下げ(261条)は、判決が確定するまで可能で、終局判決後でも確定前なら取り下げられる(取り下げると訴訟は初めから係属しなかったものとみなされる)。
補足終局判決後に訴えを取り下げると、同一の訴えを再び提起できない(再訴禁止・262条2項)。
問10管轄の合意と応訴管轄
民事訴訟法上の合意管轄及び応訴管轄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。
- イ.被告が第一審裁判所において管轄違いの抗弁を提出しないで本案について弁論をしたときは、その裁判所は、管轄権を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 管轄の合意は第一審についてのみ
民事訴訟法第11条「当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 本案について弁論すると管轄が生じる
民事訴訟法第12条「被告が第一審裁判所において管轄違いの抗弁を提出しないで本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、その裁判所は、管轄権を有する」e-Gov原文
ひっかけ合意管轄は『第一審のみ』、応訴管轄は『本案弁論で発生』。
解説管轄には、当事者が第一審に限り合意で定める合意管轄(11条)と、被告が管轄違いの抗弁を述べずに本案について弁論等をしたことで生ずる応訴管轄(12条)がある。いずれも当事者の意思や態度により管轄が生ずるもので、専属管轄が定められている場合には認められない。
補足専属管轄の定めがある事件では、合意管轄・応訴管轄は認められない。
問11管轄の合意の方式と当事者能力等の原則
民事訴訟法上の合意管轄及び当事者能力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.管轄の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
- イ.当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、すべて民事訴訟法の定めのみに従い、民法その他の法令によることはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 書面によらない管轄の合意は無効
民事訴訟法第11条「一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 当事者能力等は民法等によって定まる
民事訴訟法第28条「民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う」e-Gov原文
ひっかけ管轄の合意は『書面が必要』、当事者能力等は『原則民法等に従う』。
解説管轄の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、書面(又は電磁的記録)でしなければ効力を生じない(11条2項)。当事者能力(当事者となりうる一般的資格)・訴訟能力・訴訟無能力者の法定代理は、民事訴訟法に特別の定めがある場合を除き、民法その他の法令に従う(28条、能力借用)。
補足法人でない社団・財団でも、代表者・管理人の定めがあれば当事者能力が認められる(29条)。
問12未成年者の訴訟能力と訴訟代理人の資格
民事訴訟法上の訴訟能力及び訴訟代理人に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.未成年者及び成年被後見人は、いかなる場合であっても、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない。
- イ.法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 営業許可等を受けた未成年者は例外
民事訴訟法第31条「未成年者が独立して法律行為をすることができる場合は、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 原則として弁護士のみが訴訟代理人になれる
民事訴訟法第54条「弁護士でなければ訴訟代理人となることができない」e-Gov原文
ひっかけ未成年者も『独立して法律行為できる範囲』は自ら訴訟可、代理人は『原則弁護士』。
解説未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ訴訟行為をすることができないが、未成年者が営業の許可を受ける等独立して法律行為をすることができる場合は、その範囲で自ら訴訟行為ができる(31条)。訴訟代理人は、支配人等の法令上の代理人を除き、原則として弁護士でなければならない(54条、弁護士代理の原則。簡裁では許可代理あり)。
補足簡易裁判所では、裁判所の許可を得て弁護士でない者を訴訟代理人とできる(54条1項ただし書)。
問13職権送達の原則と公示送達の職権
民事訴訟法上の送達に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.送達は、特別の定めがある場合を除き、当事者の申立てによってする。
- イ.同一の当事者に対する二回目以降の公示送達は、職権でする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 送達は職権送達が原則
民事訴訟法第98条「送達は、特別の定めがある場合を除き、職権でする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 2回目以降の公示送達は申立て不要
民事訴訟法第110条「同一の当事者に対する二回目以降の公示送達は、職権でする」e-Gov原文
ひっかけ送達は『職権が原則』、二回目以降の公示送達は『職権』。
解説送達は、特別の定めがある場合を除き職権でし、その事務は裁判所書記官が取り扱う(98条、職権送達の原則)。公示送達は、送達すべき場所が知れない等の場合に申立てにより裁判所書記官がするが、訴訟の遅滞を避けるため職権でもでき、同一当事者に対する二回目以降は職権でする(110条)。
補足公示送達は、裁判所の掲示場への掲示等により行い、一定期間の経過で効力を生ずる。
問14簡易裁判所における訴訟代理人と釈明権
民事訴訟法上の訴訟代理人及び釈明権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。
- イ.訴訟関係を明瞭にするため当事者に問いを発し、又は立証を促すことができるのは陪席裁判官に限られ、裁判長はこれをすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 簡裁は許可代理が認められる
民事訴訟法第54条「簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 釈明権の主体は裁判長
民事訴訟法第149条「裁判長は、口頭弁論の期日又は期日外において、訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促すことができる」e-Gov原文
ひっかけ簡裁は『許可代理可』、釈明権の主体は『裁判長』。
解説訴訟代理人は原則として弁護士に限られるが、簡易裁判所では裁判所の許可を得て弁護士でない者を訴訟代理人とできる(54条1項)。釈明権は、訴訟関係を明瞭にするため当事者に問いを発し立証を促す権能で、裁判長が行使し、陪席裁判官は裁判長に告げて行う(149条)。当事者も裁判長に発問を求められる(求問権)。
補足当事者は、裁判長に対して必要な発問を求めることができる(149条3項、求問権)。
問15公示送達の要件と送達事務の取扱い
民事訴訟法上の公示送達及び送達事務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.裁判所書記官は、当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れた場合に、申立てにより、公示送達をすることができる。
- イ.送達に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 場所が知れないときの最後の手段
民事訴訟法第110条「当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合」e-Gov原文
- イ.正しい
- 送達の事務担当は裁判所書記官
民事訴訟法第98条「送達に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う」e-Gov原文
ひっかけ公示送達は『場所が知れない場合等』、送達事務は『裁判所書記官』。
解説公示送達は、当事者の住所・居所その他送達すべき場所が知れない場合や、外国における送達ができない場合等に、申立てにより裁判所書記官がする(110条1項)。送達の事務は裁判所書記官が取り扱う(98条2項)。公示送達は、通常の送達ができないときの補充的な送達方法である。
補足公示送達による意思表示の到達は、掲示を始めた日から2週間の経過により効力を生ずる。
問16訴え提起の方式と当事者尋問
民事訴訟法上の訴えの提起及び証拠調べに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。
- イ.証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず当事者本人の尋問をするのが原則である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 訴え提起は書面(訴状)による
民事訴訟法第134条「訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 当事者本人を先に尋問するのは例外
民事訴訟法第207条「証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をする」e-Gov原文
ひっかけ訴えは訴状の提出で提起。証人尋問と当事者尋問は原則として証人が先。
解説訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない(134条1項。訴状には当事者・法定代理人、請求の趣旨及び原因を記載する)。証拠調べのうち、証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をするのが原則であり、当事者の意見を聴いて適当と認めるときに限り、先に当事者本人を尋問できる(207条2項)。
補足当事者本人の尋問を証人尋問より先に行えるのは、当事者の意見を聴いて裁判所が適当と認めるときに限られる例外である。
問17文書提出義務
民事訴訟法上の文書提出義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するときは、その文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
- イ.文書提出義務は、引用文書など特定の類型のほか、一定の除外事由に該当しない文書についても一般的に認められる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 引用文書は提出義務の対象
民事訴訟法第220条「文書の所持者は、その提出を拒むことができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 文書提出義務は一般義務化されている
民事訴訟法第220条「前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき」e-Gov原文
ひっかけ文書提出義務は引用文書等のほか、除外事由に当たらない文書も一般的に対象。
解説文書提出義務は、当事者が引用した文書を自ら所持するとき、引渡し・閲覧請求権があるとき、利益文書・法律関係文書であるときのほか、これら以外でも除外事由(自己利用文書・公務秘密文書等)に該当しない限り、一般的に認められる(220条。一般義務化)。所持者はこれらの場合に提出を拒むことができない。
補足除外事由には、自己利用文書(専ら所持者の利用に供する文書)、公務員の職務上の秘密に関する文書、証言拒絶権の対象事項が記載された文書などがある。
問18請求の放棄・認諾と訴訟上の和解
民事訴訟法上の請求の放棄・認諾及び訴訟上の和解に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.請求の放棄又は認諾は、書面の提出によってのみすることができ、口頭弁論等の期日においてすることはできない。
- イ.和解又は請求の放棄若しくは認諾について裁判所書記官が電子調書を作成しファイルに記録したときは、その記録は、確定判決と同一の効力を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 放棄・認諾は期日における訴訟行為
民事訴訟法第266条「請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする」e-Gov原文
ひっかけ放棄・認諾は口頭弁論等の期日でする。和解等の電子調書は確定判決と同一の効力。
解説請求の放棄(原告が自己の請求に理由がないことを認める)又は認諾(被告が原告の請求を認める)は、口頭弁論等の期日においてする(266条)。和解又は請求の放棄・認諾について裁判所書記官が電子調書を作成しファイルに記録したときは、その記録は確定判決と同一の効力を有する(267条)。
補足放棄・認諾の書面を提出した当事者が期日に出頭しないときは、裁判所等はその旨の陳述をしたものとみなすことができる(266条2項)。
問19控訴とその期間
民事訴訟法上の控訴に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決に対してのみすることができ、簡易裁判所の終局判決に対してすることはできない。
- イ.控訴は、判決の言渡しがあった日から2週間の不変期間内に提起しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 簡裁の終局判決も控訴の対象
民事訴訟法第281条「簡易裁判所の終局判決に対してすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 起算点は言渡しでなく送達
民事訴訟法第285条「送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ控訴は地裁第一審判決・簡裁判決が対象。控訴期間は送達から2週間の不変期間。
解説控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる(281条1項)。控訴は、判決書等の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない(285条)。不変期間であるため、裁判所が期間を伸長・短縮することはできない。
補足控訴期間は不変期間だが、その期間前に提起した控訴の効力は妨げられない(285条ただし書)。
問20少額訴訟
民事訴訟法上の少額訴訟に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.少額訴訟は、簡易裁判所において、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、その審理及び裁判を求めることができる。
- イ.少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 少額訴訟は簡裁の少額金銭請求向け
民事訴訟法第368条「訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴え」e-Gov原文
- イ.正しい
- 訴え提起と同時に申述が必要
民事訴訟法第368条「少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ少額訴訟は60万円以下の金銭請求。申述は訴え提起の際に。
解説少額訴訟は、簡易裁判所において、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて求めることができる(368条1項)。少額訴訟による審理・裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない(同2項)。少額訴訟では反訴を提起することができない(369条)。
補足少額訴訟は原則として一期日で審理を終えて即日判決する簡易迅速な手続で、被告は通常の手続への移行を求めることができる。
問21支払督促
民事訴訟法上の支払督促に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.支払督促は、金銭の支払請求に限らず、特定物の引渡しを目的とする請求についても発することができる。
- イ.債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、仮執行の宣言をしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 支払督促の対象は金銭等の代替物給付
民事訴訟法第382条「金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」e-Gov原文
- イ.正しい
- 督促異議なしで仮執行宣言が付される
民事訴訟法第391条「督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより」e-Gov原文
ひっかけ支払督促は代替物等の給付請求が対象(特定物は不可)。異議なければ仮執行宣言。
解説支払督促は、金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、裁判所書記官が債権者の申立てにより発する(382条。特定物の引渡請求は対象外)。債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議を申し立てないときは、書記官は債権者の申立てにより仮執行の宣言をしなければならない(391条)。
補足債務者が督促異議を申し立てると、支払督促の請求は通常の訴訟手続に移行する。異議がなければ仮執行宣言が付され、債務名義となる。
問22独立当事者参加
民事訴訟法上の独立当事者参加に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
- イ.独立当事者参加の申出は、口頭ですることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 47条1項が独立当事者参加を定める
民事訴訟法第47条「その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 47条2項が参加の申出に書面を要求する
民事訴訟法第47条「前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ独立当事者参加の申出は『書面』。三面訴訟で合一確定が要請される。
解説独立当事者参加は、訴訟の結果により権利を害される第三者(詐害防止参加)又は訴訟物が自己の権利であると主張する第三者(権利主張参加)が、当事者として訴訟に加わる制度(47条1項)。申出は書面でし、当事者双方に送達する(同条2項3項)。三者間で合一確定が要請され、必要的共同訴訟の規定(40条1項〜3項)が準用される(同条4項)。
補足独立当事者参加では、参加人と当事者の三者間で矛盾のない判決をするため、40条(必要的共同訴訟)の規律が準用される。
問23共同訴訟参加
民事訴訟法上の共同訴訟参加に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。
- イ.共同訴訟参加の申出については、独立当事者参加の申出を書面でしなければならない旨等の規定が準用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 52条1項が共同訴訟参加を定める
民事訴訟法第52条「その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 52条2項が47条2項3項を準用する
民事訴訟法第52条「第四十七条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による参加の申出について準用する」e-Gov原文
ひっかけ共同訴訟参加は『合一確定』の場合に当事者の一方側に加わる。申出は書面。
解説共同訴訟参加は、訴訟物が当事者の一方と第三者との間で合一にのみ確定すべき場合(必要的共同訴訟となるべき関係)に、その第三者が共同訴訟人として加わる制度(52条1項)。参加の申出には、独立当事者参加の書面性・送達の規定(47条2項3項)が準用される(同条2項)。当事者として既存当事者の一方に加わる点で、独立当事者参加と異なる。
補足共同訴訟参加は既存当事者の一方の側に立つのに対し、独立当事者参加は当事者の双方又は一方を相手方とする点が異なる。
問24訴訟告知
民事訴訟法上の訴訟告知に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることはできない。
- イ.訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、参加的効力の適用については、参加することができた時に参加したものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 53条2項が再告知を認める
民事訴訟法第53条「訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 53条4項が参加的効力のみなしを定める
民事訴訟法第53条「参加することができた時に参加したものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ訴訟告知を受けた者は『更に告知可』。参加しなくても参加的効力が及ぶ。
解説訴訟告知は、当事者が訴訟係属中に、参加できる第三者にその訴訟を告知する制度(53条1項)。告知を受けた者は更に訴訟告知できる(同条2項)。告知は理由・訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してする(同条3項)。告知を受けた者が参加しなかった場合でも、参加できた時に参加したものとみなされ、参加的効力(46条)が及ぶ(同条4項)。
補足参加的効力は、敗訴責任を分担させる効力で、後の求償訴訟等で被告知者は判決の理由中の判断を争えなくなる。
問25訴訟手続の中断と受継
民事訴訟法上の訴訟手続の中断及び受継に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者が死亡した場合には、訴訟代理人があるときであっても、訴訟手続は中断する。
- イ.当事者が死亡した場合には、相続人は、相続の放棄をすることができる間であっても、直ちに訴訟手続を受け継がなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 124条2項が訴訟代理人がある場合の不中断を定める
民事訴訟法第124条「前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 124条3項が熟慮期間中の受継を制限する
民事訴訟法第124条「相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができない」e-Gov原文
ひっかけ訴訟代理人がいれば死亡でも『中断しない』。相続放棄できる間は受継不可。
解説当事者の死亡・法人の合併消滅・訴訟能力の喪失等があると訴訟手続は中断し、相続人等が受け継ぐ(124条1項)。ただし、①訴訟代理人があるときは中断しない(同条2項。代理権は本人の死亡で消滅しないため)、②死亡の場合、相続人は相続放棄ができる間は受継できない(同条3項)。中断中は期間が進行せず、当事者は訴訟行為をできない。
補足中断した訴訟手続は、受継の申立て又は裁判所の続行命令によって進行を再開する(126条・129条)。
問26上告の理由
民事訴訟法上の上告の理由に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
- イ.最高裁判所への上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときにも、することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 312条1項が憲法違反を上告理由とする
民事訴訟法第312条「判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするとき」e-Gov原文
- イ.誤り
- 312条3項が法令違反の上告を高裁への上告に限定する
民事訴訟法第312条「高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる」e-Gov原文
ひっかけ最高裁への上告理由は『憲法違反・絶対的上告理由』のみ。一般の法令違反は上告受理申立て。
解説上告理由は、①憲法違反(312条1項)、②絶対的上告理由(判決裁判所の構成の違法、専属管轄違反、代理権の欠缺、公開違反、理由不備・理由齟齬等。同条2項)に限られる。これに対し、判決に影響を及ぼすことが明らかな一般の法令違反は、高等裁判所への上告では理由となるが(同条3項)、最高裁判所への上告では理由とならず、上告受理の申立て(318条)の事由となる。
補足最高裁は、法令解釈に関する重要事項を含む事件を、上告受理の申立てに基づき裁量で受理できる(318条)。
問27再審の事由
民事訴訟法上の再審に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.再審の事由がある場合には、当事者が控訴又は上告によってその事由を主張したときであっても、確定判決に対し再審の訴えを提起することができる。
- イ.控訴審において事件につき本案判決をしたときは、第一審の判決に対し再審の訴えを提起することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 338条1項ただし書が再審の補充性を定める
民事訴訟法第338条「当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 338条3項が第一審判決への再審を制限する
民事訴訟法第338条「控訴審において事件につき本案判決をしたときは、第一審の判決に対し再審の訴えを提起することができない」e-Gov原文
ひっかけ再審は補充的。上訴で主張した(し得た)事由は不可。
解説再審は、確定した終局判決に重大な瑕疵(判決裁判所の構成の違法、代理権の欠缺、可罰的行為による自白、証拠の偽造、判断の遺脱、判決の抵触等。338条1項各号)がある場合の非常の不服申立て。ただし、その事由を上訴で主張したか、知りながら主張しなかったときは再審できない(補充性。同項ただし書)。また控訴審で本案判決があれば第一審判決には再審できない(同条3項)。
補足可罰的行為(4号〜7号)を理由とする再審は、原則として有罪判決の確定等があるときに限り提起できる(338条2項)。
問28訴訟代理権の範囲
民事訴訟法上の訴訟代理権の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.訴訟代理人は、委任を受けた事件について、反訴、参加、強制執行等に関する訴訟行為をし、かつ、弁済を受領することができる。
- イ.訴訟代理人は、訴えの取下げや和解、請求の放棄・認諾についても、特別の委任を受けることなく行うことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 55条1項が訴訟代理権の範囲を定める
民事訴訟法第55条「反訴、参加、強制執行、仮差押え及び仮処分に関する訴訟行為をし、かつ、弁済を受領することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 55条2項が特別委任事項を定める
民事訴訟法第55条「訴えの取下げ、和解、請求の放棄若しくは認諾」e-Gov原文
ひっかけ訴えの取下げ・和解・請求の放棄認諾・上訴は『特別の委任』が必要。
解説訴訟代理人(弁護士等)は、委任を受けた事件について、反訴・参加・強制執行・仮差押え・仮処分や弁済の受領など、訴訟追行に必要な行為を当然に行える(55条1項)。一方、訴えの取下げ・和解・請求の放棄認諾・上訴・代理人の選任など、依頼者に重大な影響を及ぼす事項については、特別の委任を要する(同条2項)。
補足弁護士である訴訟代理人の代理権は制限できないが、弁護士でない者については制限できる(55条3項)。
問29中間判決
民事訴訟法上の中間判決に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.裁判所は、独立した攻撃又は防御の方法その他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間判決をすることができる。
- イ.請求の原因及び数額について争いがある場合には、その原因についても中間判決をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 245条前段が中間判決を定める
民事訴訟法第245条「独立した攻撃又は防御の方法その他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間判決をすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 245条後段が原因判決を認める
民事訴訟法第245条「請求の原因及び数額について争いがある場合におけるその原因についても、同様とする」e-Gov原文
ひっかけ中間判決は『独立した攻撃防御方法・中間の争い・請求の原因』についてできる。
解説中間判決は、終局判決の前提となる争点(独立した攻撃防御方法、中間の争い、請求の原因など)について、審理の途中で裁判所がする判断である(245条)。例えば損害賠償請求で、まず責任(原因)の有無について中間判決をし、その後に損害額(数額)を審理することで、審理を整理できる。中間判決には既判力はなく、終局判決とともに上訴の対象となる。
補足中間判決をするかどうかは裁判所の裁量に委ねられている。
問30自由心証主義
民事訴訟法上の自由心証主義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.裁判所は、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断するに当たり、証拠調べの結果のみによらなければならず、口頭弁論の全趣旨を斟酌してはならない。
- イ.裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果を斟酌して、自由な心証により事実認定をする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 247条が全趣旨と証拠調べの結果を斟酌対象とする
民事訴訟法第247条「口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して」e-Gov原文
- イ.正しい
- 247条が自由心証主義を定める
民事訴訟法第247条「自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する」e-Gov原文
ひっかけ自由心証主義では『口頭弁論の全趣旨』も事実認定の材料となる。
解説自由心証主義は、裁判所が事実認定をするに当たり、証拠の証明力の評価を法律で画一的に定めず、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果を斟酌して自由な心証により判断する原則である(247条)。「口頭弁論の全趣旨」には、当事者の弁論態度や攻撃防御の経過なども含まれる。法定証拠主義に対する原則である。
補足自由心証主義の下でも、文書の成立の真正など一部に証拠法則の例外がある。
問31仮執行の宣言
民事訴訟法上の仮執行の宣言に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.財産権上の請求に関する判決については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、仮執行をすることができることを宣言することができる。
- イ.仮執行の宣言は、判決の主文に掲げる必要はなく、判決理由中で示せば足りる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 259条1項が仮執行の宣言を定める
民事訴訟法第259条「申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 259条4項が仮執行宣言を主文事項とする
民事訴訟法第259条「仮執行の宣言は、判決の主文に掲げなければならない」e-Gov原文
ひっかけ仮執行の宣言は『判決の主文』に掲げる。手形小切手は原則職権で付す。
解説仮執行の宣言は、未確定の判決に基づいて強制執行を可能にする裁判である。財産権上の請求の判決には、申立て又は職権で仮執行宣言を付すことができ(259条1項)、手形・小切手金請求の判決には原則として職権で付さなければならない(同条2項)。仮執行の宣言は判決主文に掲げる(同条4項)。上級審で本案判決が取り消されると、仮執行宣言も失効する。
補足敗訴者は、担保を立てて仮執行を免れることを宣言するよう求めることができる(259条3項)。
問32不利益変更禁止の原則
民事訴訟法上の控訴審における判決の変更の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.控訴審は、第一審判決を、控訴をした者にとって不服申立ての限度を超えて、より不利益に変更することができる。
- イ.第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 304条が不利益変更禁止を定める
民事訴訟法第304条「第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 304条が控訴審の判断範囲を画する
民事訴訟法第304条「不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる」e-Gov原文
ひっかけ控訴審は『不服申立ての限度』でのみ判断(不利益変更も利益変更も禁止)。
解説控訴審における第一審判決の取消し・変更は、不服申立ての限度においてのみすることができる(304条)。これにより、控訴した者を、その控訴の範囲を超えて第一審判決よりも不利益に変更することはできず(不利益変更禁止)、また有利に変更することもできない(利益変更禁止)。処分権主義のあらわれである。
補足相手方が附帯控訴をすれば、不服申立ての範囲が広がり、不利益変更禁止の制約は及ばなくなる。
問33自白の擬制の例外
民事訴訟法上の自白の擬制に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合でも、その事実を自白したものとみなされることはない。
- イ.当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合は、公示送達による呼出しを受けたときであっても、相手方の主張した事実を自白したものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- イ.誤り
- 159条3項ただし書が公示送達の場合を除く
民事訴訟法第159条「その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ擬制自白は欠席者にも及ぶが、『公示送達による呼出し』の場合は成立しない。
解説相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない当事者は、その事実を自白したものとみなされる(擬制自白・159条1項)。期日に出頭しない当事者にもこれが準用されるが(同条3項本文)、公示送達による呼出しを受けた者には適用されない(同項ただし書)。公示送達では現実に呼出しが届いていないため、欠席を自白とみなすのは酷だからである。なお、知らない旨の陳述は争ったものと推定される(同条2項)。
補足相手方の主張を「知らない」と陳述した場合は、その事実を争ったものと推定される(159条2項)。