問1債務名義
民事執行法上の債務名義について、次のア・イの記述の正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.確定判決のほか、仮執行の宣言を付した判決も、強制執行の債務名義となる。
- イ.金銭の一定の額の支払等を目的とする請求について公証人が作成した公正証書(執行証書)も、債務名義となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
ひっかけ執行証書になるのは『金銭等の給付』請求のみ。建物明渡し等は執行証書にできない。
解説強制執行は債務名義により行う(22条)。確定判決・仮執行宣言付判決・仮執行宣言付支払督促・和解調書・執行証書(金銭等の給付について強制執行認諾文言のある公正証書)等が債務名義となる。執行証書を作れるのは金銭・代替物・有価証券の一定数量の給付請求に限られる。
補足債務名義に基づき強制執行するには、原則として執行文の付与が必要(25条)。
問2強制執行の実施と執行文の付与
民事執行法上の執行文等について、次のア・イの記述の正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.強制執行は、原則として、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。
- イ.執行証書についての執行文は、事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が付与する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
ひっかけ執行証書の執行文は『公証人』、それ以外は『裁判所書記官』。
解説強制執行は、原則として執行文の付された債務名義の正本に基づき実施する(25条、少額訴訟判決・支払督促は執行文不要)。執行文は、執行証書以外の債務名義については記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する(26条1項)。
補足条件成就執行文・承継執行文は、その事由を証する文書等が必要となる。
問3不動産執行の方法と開始決定
民事執行法上の不動産執行について、次のア・イの記述の正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不動産に対する強制執行(不動産執行)は、強制競売の方法によってのみ行うことができる。
- イ.執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 強制競売のみとするのは誤り
民事執行法第43条「強制競売又は強制管理の方法により行う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 開始決定で差押えを宣言
民事執行法第45条「債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ不動産執行は『競売』だけでなく『管理』もある。両者は併用可。
解説不動産執行は、目的物を売却して配当する『強制競売』と、賃料等の収益から弁済を受ける『強制管理』があり、併用もできる(43条)。強制競売は、執行裁判所が開始決定をして差押えを宣言し、開始決定は債務者に送達される(45条)。差押えの効力は債務者への送達又は差押登記の時に生じる。
補足強制競売の申立てを却下する裁判には、執行抗告ができる(45条3項)。
問4売却に伴う権利の消滅等
不動産の競売による権利の消長について、次のア・イの記述の正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不動産の上に存する抵当権は、その不動産の売却(競売)によっても消滅しない。
- イ.不動産の上に存する留置権は、その不動産の売却により消滅し、買受人がその被担保債権を弁済する責めを負うことはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- イ.誤り
- 消滅・弁済責めなしとするのは誤り
民事執行法第59条「買受人は、これらによつて担保される債権を弁済する責めに任ずる」e-Gov原文
ひっかけ抵当権は『消滅』、留置権は『引受け』。担保物権で扱いが分かれる。
解説競売では、先取特権・一定の質権・抵当権は売却により消滅し(消除主義、59条1項)、買受人は負担のない所有権を取得する。これに対し留置権や一定の質権は消滅せず、買受人が被担保債権を弁済する責めを負う(引受主義、同4項)。担保物権ごとに消除主義・引受主義の別を押さえる。
補足差押えに対抗できない用益権・仮処分等も、売却により効力を失う(59条2項・3項)。
問5動産執行の開始と執行官の弁済受領
民事執行法上の動産執行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.動産に対する強制執行(動産執行)は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する。
- イ.動産執行においては、執行官は、差押債権者のためにその債権及び執行費用の弁済を受領することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 動産執行の主体は執行官
民事執行法第122条「執行官の目的物に対する差押えにより開始する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 執行官が弁済を受領できる
民事執行法第122条「執行官は、差押債権者のためにその債権及び執行費用の弁済を受領することができる」e-Gov原文
ひっかけ動産執行の執行機関は『執行官』。不動産・債権執行は『執行裁判所』。
解説動産執行は執行官が主体となり、目的物の差押え(占有取得)により開始する(122条)。不動産執行・債権執行が執行裁判所を執行機関とするのと対照的。執行官は差押債権者のために弁済を受領できる。
補足債務者の占有する動産は執行官が占有して差し押さえる。
問6債権差押命令の内容と効力発生時期
民事執行法上の債権差押命令に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
- イ.債権差押えの効力は、差押命令が債務者に送達された時に生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 二重の禁止で差押えを実効化
民事執行法第145条「債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 効力は第三債務者送達時に生じる
民事執行法第145条「差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる」e-Gov原文
ひっかけ差押えの効力発生は『第三債務者への送達時』。債務者送達時ではない。
解説債権執行の差押命令は、債務者には債権の取立て・処分を、第三債務者には債務者への弁済を禁止する(145条1項)。差押えの効力は第三債務者に送達された時に生じる(145条5項)。第三債務者への送達が効力の起点である点が重要。
補足差押債権者は、債務者への差押命令送達日から1週間経過後に取立てができる。
問7債権差押命令の審尋と不服申立て
民事執行法上の債権差押命令の手続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋した上で発しなければならない。
- イ.差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 事前の審尋は不要(隠匿防止)
民事執行法第145条「差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 不服申立ては執行抗告による
民事執行法第145条「差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ差押命令は『無審尋』で発令。不服は『執行抗告』。
解説債権差押命令は、財産の隠匿・取立てを防ぐため、債務者・第三債務者を審尋しないで発せられる(145条2項)。差押命令の申立てについての裁判には執行抗告ができる(145条6項)。密行性(無審尋)が債権執行の特徴。
補足第三債務者は、供託(権利供託・義務供託)により二重弁済の危険を免れることができる。
問8財産開示手続の実施決定の要件
民事執行法上の財産開示手続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.財産開示手続は、執行力のある債務名義の正本を有しない金銭債権の債権者であっても、その申立てにより実施する旨の決定がされる。
- イ.財産開示手続は、その債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときであっても、実施する旨の決定がされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 債務名義を持つ債権者の申立てが必要
民事執行法第197条「執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより」e-Gov原文
- イ.誤り
- 強制執行が開始できる状態が前提
民事執行法第197条「当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ財産開示は『債務名義を持つ債権者』が前提。強制執行を開始できる状態が必要。
解説財産開示手続は、債務者の財産状況を裁判所で陳述させる手続で、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権者、又は一般の先取特権を有する者の申立てによる(197条)。債務名義に基づく強制執行を開始できる状態が前提(開始できないときは実施しない)。
補足2019年改正で、第三者からの情報取得手続(金融機関・登記所等への照会)も新設された。
問9執行抗告と執行異議
民事執行法上の不服申立てに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる。
- イ.執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 法に定めがある裁判についてのみ執行抗告できる
民事執行法第10条「民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 執行抗告の対象外は執行異議で争う
民事執行法第11条「執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる」e-Gov原文
ひっかけ執行抗告は『特別の定めがある場合のみ』、それ以外は『執行異議』。
解説民事執行の手続に関する裁判に対する不服申立てには、執行抗告(法に特別の定めがある場合に限る。10条)と執行異議(執行抗告ができない執行処分や執行官の処分・遅怠に対し執行裁判所に申し立てる。11条)がある。執行抗告は上級審への抗告、執行異議は執行裁判所自身への不服申立てである。
補足執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、執行異議を申し立てることができる(11条1項後段)。
問10執行抗告の期間と請求異議の訴え
民事執行法上の執行抗告及び請求異議の訴えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.執行抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
- イ.債務名義に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 執行抗告の期間は告知から1週間
民事執行法第10条「執行抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 債務者が請求権を争う訴えは請求異議
民事執行法第35条「請求異議の訴えを提起することができる」e-Gov原文
ひっかけ執行抗告は『1週間』、請求権を争う債務者の訴えは『請求異議の訴え』。
解説執行抗告は、裁判の告知から1週間の不変期間内に抗告状を原裁判所に提出して行う(10条2項。理由書も提出を要する)。債務名義に表示された請求権の存在・内容を争う債務者は、強制執行の不許を求めて請求異議の訴えを提起する(35条。確定判決の異議事由は口頭弁論終結後に生じたものに限る)。第三者異議の訴え(38条)とは主体・対象が異なる。
補足確定判決についての請求異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限られる(35条2項)。
問11請求異議の異議事由と第三者異議の訴え
民事執行法上の請求異議の訴え及び第三者異議の訴えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.確定判決についての請求異議の異議の事由は、口頭弁論の終結前に生じたものに限られる。
- イ.強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 終結後の事由でなければ請求異議で主張できない
民事執行法第35条「確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る」e-Gov原文
- イ.正しい
- 第三者が自己の権利を守るための訴え
民事執行法第38条「強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる」e-Gov原文
ひっかけ請求異議は『債務者が請求権を争う・終結後の事由』、第三者異議は『第三者が目的物の権利を主張』。
解説請求異議の訴えは、債務名義の請求権の存在・内容を争う債務者の訴えで、確定判決についての異議事由は口頭弁論の終結後に生じたものに限られる(35条)。第三者異議の訴えは、強制執行の目的物について所有権等の権利を有する第三者が、その執行の不許を求める訴えである(38条)。誰が何を争うかで両者を区別する。
補足第三者異議の訴えは、執行裁判所が管轄する(38条3項)。
問12不動産の引渡し等の強制執行の方法
民事執行法上の不動産の引渡しの強制執行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行裁判所が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
- イ.不動産等の引渡しの強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭しなくても、することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 引渡し執行の主体は執行官
民事執行法第168条「執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 占有を取得する債権者側の出頭が必要
民事執行法第168条「債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる」e-Gov原文
ひっかけ引渡し執行は『執行官が実施』、『債権者の出頭が必要』。
解説不動産等の引渡し・明渡しの強制執行は、執行官が債務者の占有を解いて債権者に占有を取得させる方法(直接強制)により行う(168条1項)。占有を取得する債権者側の協力が必要なため、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り実施できる(同3項)。目的物でない動産は取り除いて債務者等に引き渡す。
補足執行官は、占有者を特定するため、不動産等に在る者に質問し又は文書の提示を求めることができる(168条2項)。
問13間接強制と不動産担保権の実行の方法
民事執行法上の間接強制及び担保権の実行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.作為又は不作為を目的とする債務で直接強制ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行うことができる。
- イ.不動産担保権の実行は、担保不動産競売の方法に限られ、担保不動産収益執行の方法によることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 金銭支払の命令で履行を促す
民事執行法第172条「債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 競売だけでなく収益執行も選べる
民事執行法第180条「次に掲げる方法であつて債権者が選択したものにより行う」e-Gov原文
ひっかけ間接強制は『金銭支払の命令』、不動産担保権実行は『競売又は収益執行を選択』。
解説作為・不作為債務で直接強制も代替執行もできないものは、執行裁判所が金銭の支払を命じて履行を心理的に強制する間接強制による(172条)。不動産担保権の実行は、担保不動産競売(売却して配当)と担保不動産収益執行(賃料等の収益から弁済)の2方法があり、債権者がいずれかを選択する(180条)。
補足間接強制の決定をする場合、執行裁判所は申立ての相手方を審尋しなければならない(172条3項)。
問14執行官の処分に対する不服と執行抗告の理由書
民事執行法上の執行官の処分に対する不服及び執行抗告の手続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.執行官の執行処分及びその遅怠に対しては、執行裁判所に執行抗告を申し立てることができる。
- イ.抗告状に執行抗告の理由の記載がないときは、抗告人は、抗告状を提出した日から1週間以内に、執行抗告の理由書を原裁判所に提出しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 執行官の処分への不服は執行異議
民事執行法第11条「執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 理由書の提出期限は抗告状提出から1週間
民事執行法第10条「抗告人は、抗告状を提出した日から一週間以内に、執行抗告の理由書を原裁判所に提出しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ執行官の処分は『執行異議』、執行抗告の理由書は『提出日から1週間以内』。
解説執行官の執行処分及びその遅怠に対する不服は、執行抗告ではなく執行異議による(11条1項後段)。執行抗告では、抗告状に理由の記載がないときは、抗告状提出の日から1週間以内に理由書を原裁判所に提出しなければならず、これを怠ると執行抗告は却下される(10条3項・5項)。手続の厳格さに注意。
補足理由書を提出しないときは、原裁判所が執行抗告を却下しなければならない(10条5項1号)。
問15配当要求
民事執行法上の不動産執行における配当要求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.強制競売の開始決定に係る差押えの登記後に登記された仮差押債権者は、配当要求をすることができる。
- イ.配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 51条1項が配当要求権者を列挙する
民事執行法第51条「強制競売の開始決定に係る差押えの登記後に登記された仮差押債権者」e-Gov原文
- イ.誤り
- 51条2項が執行抗告を認める
民事執行法第51条「配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ配当要求できるのは『債務名義ある債権者・差押登記後の仮差押債権者・一般先取特権者』。
解説不動産執行で配当要求ができるのは、①執行力のある債務名義の正本を有する債権者、②差押えの登記後に登記された仮差押債権者、③一般の先取特権を証明した債権者に限られる(51条1項)。配当要求を却下する裁判には執行抗告ができる(同条2項)。一般債権者は債務名義がなければ配当要求できない点が重要である。
補足配当要求の終期は、原則として差押えの効力が生じた時から一定期間を経た後の日に定められる。
問16差押禁止債権
民事執行法上の差押禁止債権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権については、その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分は、差し押さえてはならない。
- イ.債権者が扶養義務等に係る金銭債権を請求する場合における差押禁止の範囲は、給付の2分の1に相当する部分とされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 152条1項が給与の差押禁止範囲を定める
民事執行法第152条「その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分」e-Gov原文
- イ.正しい
- 152条3項が扶養義務等の特例を定める
民事執行法第152条「前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする」e-Gov原文
ひっかけ給料の差押禁止は『4分の3』。養育費等の請求では『2分の1』に縮減。
解説給料・賃金・退職年金・賞与等の給与債権は、生活保障のため、その支払期に受けるべき給付の4分の3(政令で定める額を上限とする)が差押禁止とされる(152条1項。退職手当も4分の3。同条2項)。ただし、債権者が扶養義務等に係る金銭債権(養育費等)を請求する場合は、差押禁止の範囲が2分の1に縮減される(同条3項)。
補足差押禁止額には政令で定める上限があり、高額所得者では一定額を超える部分は差押え可能となる(152条1項かっこ書)。
問17扶養義務等に係る定期金債権の特例
民事執行法上の扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.扶養義務等に係る確定期限の定めのある定期金債権について、その一部に不履行があるときであっても、確定期限が到来していない部分については、債権執行を開始することができない。
- イ.この特例により開始する債権執行においては、各定期金債権について、その確定期限の到来後に弁済期が到来する給料その他継続的給付に係る債権のみを差し押さえることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 151条の2第1項が期限未到来分への執行を認める
民事執行法第151条の2「当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 151条の2第2項が差押対象を限定する
民事執行法第151条の2「その確定期限の到来後に弁済期が到来する給料その他継続的給付に係る債権のみを差し押さえることができる」e-Gov原文
ひっかけ養育費等は『一部不履行で将来分も執行開始』できる特例がある。
解説養育費・婚姻費用等の扶養義務等に係る確定期限の定めのある定期金債権は、一部に不履行があれば、まだ確定期限が到来していない将来分についても債権執行を開始できる(151条の2第1項、将来分の一括執行)。この場合、差押えの対象は、各定期金の確定期限到来後に弁済期が来る給料等の継続的給付債権に限られる(同条2項)。継続的に履行を確保する趣旨である。
補足この特例は、債務者の継続的な収入から将来の養育費等を確保するための制度で、給与等の差押えで実効性を高める。
問18子の引渡しの強制執行
民事執行法上の子の引渡しの強制執行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.子の引渡しの強制執行は、執行裁判所が決定により執行官に子の引渡しを実施させる方法によることはできず、間接強制の方法によらなければならない。
- イ.執行裁判所は、執行官に子の引渡しを実施させる旨の決定をする場合には、いかなる場合であっても債務者を審尋することを要しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 174条1項が直接的な強制執行と間接強制を定める
民事執行法第174条「執行裁判所が決定により執行官に子の引渡しを実施させる方法」e-Gov原文
- イ.誤り
- 174条3項が原則として債務者の審尋を求める
ひっかけ子の引渡しは『直接的な強制執行』も可能。決定時は原則『債務者を審尋』。
解説子の引渡しの強制執行は、①執行裁判所の決定により執行官に引渡しを実施させる方法(直接的な強制執行)、②間接強制のいずれかによる(174条1項)。直接的な強制執行は、間接強制の決定確定から2週間経過等の要件を満たす場合に申し立てられる(同条2項)。執行裁判所はこの決定の際、原則として債務者を審尋しなければならない(同条3項、子の急迫の危険等は例外)。
補足子の引渡しでは、子の心身への配慮が重視され、原則として債務者と子が共にいる場面で執行官が実施する。
問19第三者からの情報取得手続(不動産・預貯金)
民事執行法上の第三者からの情報取得手続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者は、執行裁判所に対し、債務者の預貯金債権に関する情報の提供を銀行等に命じるよう申し立てることができる。
- イ.債務者の不動産に係る情報の取得の申立ては、財産開示期日における手続が実施されていなくても、することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 207条1項が預貯金債権に係る情報取得を定める
民事執行法第207条「執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより」e-Gov原文
- イ.誤り
- 205条2項が財産開示の実施を要件とする
民事執行法第205条「財産開示期日における手続が実施された場合」e-Gov原文
ひっかけ不動産・給与情報の取得は『財産開示の前置』が必要。預貯金情報は前置不要。
解説第三者からの情報取得手続(2019年改正で新設)は、金銭債権の債権者が、執行裁判所を通じて第三者から債務者の財産情報を取得する制度。①不動産情報(登記所。205条)、②給与債権情報(市町村・年金機構等。206条)、③預貯金・振替社債等情報(銀行等・振替機関等。207条)がある。不動産情報・給与情報の取得は、財産開示期日から3年以内(財産開示の前置)が要件である。
補足預貯金債権・振替社債等情報の取得(207条)には財産開示の前置は不要で、より迅速に利用できる。
問20第三者からの情報取得手続(給与債権)
民事執行法上の債務者の給与債権に係る情報の取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者の給与債権に係る情報の取得は、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者であれば、その債権の種類を問わず、誰でも申し立てることができる。
- イ.債務者の給与債権に係る情報の提供を命じる相手方には、日本年金機構や地方公務員共済組合等が含まれる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 206条1項が申立権者を限定する
民事執行法第206条「第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者の申立てにより」e-Gov原文
- イ.正しい
- 206条1項各号が情報提供を命じる第三者を定める
民事執行法第206条「日本年金機構、国家公務員共済組合、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合」e-Gov原文
ひっかけ給与情報の取得は『養育費等・生命身体侵害』の債権者だけ。相手方は市町村・年金機構等。
解説給与債権に係る情報の取得(206条)は、給与差押えにより実効性が高い反面、債務者への影響が大きいため、申立権者が①扶養義務等(養育費等)に係る請求権、②人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の債権者に限定されている。情報提供を命じる相手方は、市町村・日本年金機構・各共済組合等である。預貯金情報(207条)と異なり財産開示の前置が必要である。
補足養育費の履行確保や、犯罪被害者の損害賠償の実現を支援する趣旨で、給与情報の取得が認められている。
問21強制競売における差押えの効力
民事執行法上の強制競売における差押えの効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.差押えの効力は、原則として、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる。
- イ.差押えがされると、債務者は、差押えの後は当該不動産を通常の用法に従って使用し、又は収益することができなくなる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 46条1項が差押えの効力発生時期を定める
民事執行法第46条「差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 46条2項が差押え後の使用収益を認める
民事執行法第46条「債務者が通常の用法に従つて不動産を使用し、又は収益することを妨げない」e-Gov原文
ひっかけ差押えは『送達時に効力』。通常の使用収益は妨げない。
解説強制競売における差押えの効力は、開始決定が債務者に送達された時に生ずるのが原則だが、差押えの登記が送達前にされたときは登記時に生ずる(46条1項)。差押えは処分を制限するものであり、債務者による通常の用法に従った使用・収益までは妨げない(同条2項)。
補足差押え後に債務者がした処分は、差押債権者に対抗できない(手続相対効)。
問22売却基準価額と買受可能価額
民事執行法上の売却基準価額に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.執行裁判所は、評価人の評価に基づいて、不動産の売却の額の基準となるべき価額(売却基準価額)を定めなければならない。
- イ.買受けの申出の額は、売却基準価額からその10分の2に相当する額を控除した価額(買受可能価額)以上でなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 60条1項が売却基準価額の決定を定める
民事執行法第60条「執行裁判所は、評価人の評価に基づいて、不動産の売却の額の基準となるべき価額」e-Gov原文
- イ.正しい
- 60条3項が買受可能価額の下限を定める
民事執行法第60条「買受けの申出の額は、売却基準価額からその十分の二に相当する額を控除した価額」e-Gov原文
ひっかけ買受けの下限は『売却基準価額の8割(2割引き)』=買受可能価額。
解説執行裁判所は、評価人の評価に基づいて売却基準価額を定める(60条1項)。買受けの申出は、売却基準価額からその10分の2を控除した買受可能価額以上でなければならない(同条3項)。つまり、売却基準価額の8割が買受けの下限となる。低額売却を防ぎつつ、ある程度幅をもたせる仕組みである。
補足保証として、原則として買受可能価額の10分の2に相当する額を提供しなければならない(66条)。
問23不動産の売却の方法
民事執行法上の不動産の売却の方法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不動産の売却は、執行官の定める売却の方法により行う。
- イ.不動産の売却の方法は、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める方法による。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 64条1項が売却方法の決定権者を裁判所書記官とする
民事執行法第64条「不動産の売却は、裁判所書記官の定める売却の方法により行う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 64条2項が売却の方法を定める
民事執行法第64条「不動産の売却の方法は、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める」e-Gov原文
ひっかけ売却方法を定めるのは『裁判所書記官』、実施するのは『執行官』。
解説不動産の売却の方法は、裁判所書記官が定める(64条1項)。具体的方法は、入札(期間入札・期日入札)又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める(同条2項)。入札・競り売りによる場合、裁判所書記官は日時・場所を定めて執行官に売却を実施させる(同条3項)。役割分担に注意を要する。
補足売却基準価額や売却の日時・場所は、裁判所書記官が公告する(64条5項)。
問24売却不許可事由
民事執行法上の売却不許可事由に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.最高価買受申出人が暴力団員等であるときは、執行裁判所は、売却不許可決定をしなければならない。
- イ.最高価買受申出人が、その強制競売の手続において代金の納付をしなかった者であっても、売却不許可事由には当たらない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 71条5号が暴力団員等を売却不許可事由とする
民事執行法第71条「次に掲げる事由があると認めるときは、売却不許可決定をしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 71条4号ロが代金不納付者を不許可事由とする
ひっかけ暴力団員等・代金不納付歴のある者は売却不許可。
解説執行裁判所は、71条各号の事由があるときは売却不許可決定をしなければならない。手続の続行をすべきでないこと(1号)、買受資格・能力の欠如(2号)、過去に代金を納付しなかった者であること(4号ロ)、暴力団員等であること(5号)、手続の重大な誤り(7号・8号)などが列挙される。暴力団員等の排除は2019年改正で導入された。
補足買受申出をしようとする者は、自己が暴力団員等に該当しない旨を陳述しなければならない(65条の2)。
問25引渡命令
民事執行法上の引渡命令に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.引渡命令は、代金を納付した買受人のほか、買受けの申出をした者も、申し立てることができる。
- イ.買受人は、原則として、代金を納付した日から6月を経過したときは、引渡命令の申立てをすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 83条1項が引渡命令の申立権者を定める
民事執行法第83条「代金を納付した買受人の申立てにより」e-Gov原文
ひっかけ引渡命令は『代金納付した買受人』が『6月以内』に申し立てる。
解説引渡命令は、代金を納付して所有権を取得した買受人が、債務者や占有者に対し不動産の引渡しを求める簡易な手続である(83条1項)。ただし、買受人に対抗できる権原で占有する者には及ばない。申立ては、原則として代金納付の日から6月(抵当建物使用者が占有していた建物は9月)以内にしなければならない(同条2項)。
補足債務者以外の占有者に引渡命令を発するには、原則としてその者を審尋しなければならない(83条3項)。
問26不動産担保権の実行の開始
民事執行法上の不動産担保権の実行の開始に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.担保権の登記がされた不動産についての不動産担保権の実行は、担保権の存在を証する確定判決の謄本を提出しなければ開始することができない。
- イ.一般の先取特権に基づく不動産担保権の実行は、いかなる場合も開始することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 181条1項1号が登記による実行開始を認める
民事執行法第181条「がされた不動産についての不動産担保権の実行の申立て」e-Gov原文
- イ.誤り
- 181条1項2号ハが一般先取特権の実行開始を認める
民事執行法第181条「一般の先取特権にあつては、その存在を証する文書又は電磁的記録」e-Gov原文
ひっかけ登記された担保権は『登記+申立て』で実行可(債務名義不要)。
解説不動産担保権の実行(担保不動産競売・担保不動産収益執行)は、①担保権の登記がされた不動産については実行の申立て、②担保権の存在を証する確定判決・公正証書の謄本等、③一般の先取特権についてはその存在を証する文書等の提出があったときに開始される(181条1項)。抵当権など登記された担保権は、登記があれば債務名義がなくても実行できる点が強制執行と異なる。
補足抵当証券の所持人が実行を申し立てるには、抵当証券を提出しなければならない(181条2項)。
問27二重開始決定
民事執行法上の二重開始決定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.競売の開始決定がされた不動産について更に強制競売の申立てがあったときは、執行裁判所は、更に強制競売の開始決定をする。
- イ.先の開始決定に係る競売の申立てが取り下げられたときは、後の強制競売の開始決定は当然に失効し、手続は終了する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 47条1項が二重開始決定を定める
民事執行法第47条「更に強制競売の開始決定をするものとする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 47条2項が手続の続行を定める
民事執行法第47条「後の強制競売の開始決定に基づいて手続を続行しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ二重開始決定があれば、先の申立てが取り下げられても『後の開始決定で続行』。
解説既に競売開始決定がされている不動産についても、別の債権者の申立てにより更に強制競売の開始決定がされる(二重開始決定・47条1項)。これにより、先の手続が取り下げ・取消しで終了しても、後の開始決定に基づいて手続を続行でき(同条2項)、手続のやり直しを避けられる。
補足後の開始決定が配当要求の終期後の申立てによるものであるときは、新たに配当要求の終期が定められる(47条3項)。
問28剰余を生ずる見込みのない場合の措置
民事執行法上の剰余を生ずる見込みのない場合の措置(剰余主義)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.執行裁判所は、不動産の買受可能価額が手続費用(優先債権があればその見込額を加えた額)を超えない等のときは、その旨を差押債権者に通知しなければならない。
- イ.差押債権者が、通知を受けた日から1週間以内に、一定の申出及び保証の提供をしないときは、執行裁判所は、その強制競売の手続を取り消さなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 63条1項が無剰余の通知を定める
民事執行法第63条「次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その旨を差押債権者」e-Gov原文
- イ.正しい
- 63条2項が無剰余時の手続取消しを定める
民事執行法第63条「差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない」e-Gov原文
ひっかけ無剰余なら通知。差押債権者が買受申出・保証をしないと手続は『取消し』。
解説差押債権者に配当される剰余が見込めない場合(無剰余)、優先する債権者を害して無益な競売を進めないため、執行裁判所は差押債権者に通知する(剰余主義・63条1項)。差押債権者が1週間以内に自ら買い受ける旨の申出と保証提供等をしないときは、強制競売の手続が取り消される(同条2項)。優先債権者の利益を保護する規律である。
補足差押債権者が無剰余に当たらないことを証明したときは、手続は取り消されない(63条2項ただし書)。
問29売却のための保全処分
民事執行法上の売却のための保全処分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.執行裁判所は、債務者又は不動産の占有者が価格減少行為をするときであっても、買受人が代金を納付した後でなければ、保全処分を命ずることができない。
- イ.執行裁判所は、債務者又は不動産の占有者が価格減少行為をするときは、差押債権者の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、所定の保全処分を命ずることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- イ.正しい
- 55条1項が売却のための保全処分を定める
民事執行法第55条「の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間」e-Gov原文
ひっかけ価格減少行為には『差押債権者の申立て』で売却のための保全処分ができる。
解説債務者や占有者が不動産の価格を減少させる行為(価格減少行為)をするときは、執行裁判所は差押債権者の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、その行為の禁止や、占有を解いて執行官に引き渡すこと(引渡命令類似の保全処分)等を命ずることができる(売却のための保全処分・55条)。適正な売却価額を確保するための制度である。
補足価格の減少又はそのおそれの程度が軽微であるときは、保全処分を命ずることができない(55条1項ただし書)。
問30配当異議の訴え
民事執行法上の配当異議の訴えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.配当異議の申出をした債権者は、配当異議の訴えを提起しなければならない。
- イ.配当異議の訴えは、配当異議の申出をした者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 90条1項が配当異議の訴えを定める
民事執行法第90条「配当異議の訴えを提起しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 90条2項が配当異議の訴えの管轄を定める
民事執行法第90条「前項の訴えは、執行裁判所が管轄する」e-Gov原文
ひっかけ配当異議の訴えは『執行裁判所』が管轄し、1週間以内に訴え提起を証明する。
解説配当表に不服がある債権者・債務者は、配当期日において配当異議の申出をし、その実体的な当否を争うには配当異議の訴えを提起しなければならない(90条1項)。この訴えは執行裁判所が管轄する(同条2項)。配当異議の申出をした者が、配当期日から1週間以内に訴え提起の証明をしないときは、申出を取り下げたものとみなされる(同条6項)。
補足執行力のある債務名義の正本を有する債権者に対しては、債務者は請求異議の訴えによる(90条5項)。
問31差押債権者による金銭債権の取立て
民事執行法上の差押債権者による金銭債権の取立てに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から直ちに、その債権を取り立てることができる。
- イ.差押債権者が金銭債権を取り立てることができる範囲は、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 155条1項が取立ての始期を定める
民事執行法第155条「差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 155条1項ただし書が取立ての範囲を限定する
民事執行法第155条「差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない」e-Gov原文
ひっかけ差押債権者の取立ては『送達から1週間経過後』、範囲は『自己の債権+執行費用』まで。
解説債権執行では、差押債権者は、債務者に差押命令が送達された日から1週間を経過すれば、第三債務者から直接取り立てることができる(155条1項)。ただし、取り立てられるのは自己の債権及び執行費用の額の範囲に限られる。差押禁止債権(給料等)に係るものは、原則として4週間を経過しなければ取り立てられない(同条2項)。
補足差押債権者が第三債務者から支払を受けたときは、その限度で債務者の債務が弁済されたものとみなされる(155条3項)。
問32転付命令
民事執行法上の転付命令に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.転付命令は、差押債権者の申立てがなくても、執行裁判所が職権で発することができる。
- イ.転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について他の債権者が差押え等をしても、転付命令の効力に影響はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 159条1項が転付命令を申立てによるものとする
民事執行法第159条「執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令」e-Gov原文
- イ.誤り
- 159条3項が転付命令の効力発生の障害を定める
民事執行法第159条「他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない」e-Gov原文
ひっかけ転付命令は『申立て』により、送達前に他の差押え等があると『効力を生じない』。
解説転付命令は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差押えに係る金銭債権を差押債権者に移転させる命令である(159条1項)。これにより独占的満足を得られるが、第三債務者への送達時までに他の債権者が差押え・配当要求をしていると効力を生じない(同条3項)。確定して初めて効力を生じる(同条5項)。
補足転付命令が効力を生ずると、第三債務者の無資力の危険は差押債権者が負担する(券面額での弁済とみなされる)。