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民法・第11

権利関係(賃貸借 修繕・費用・一部滅失・転貸②)の問題(15問)

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この章で確認する論点

11章では、賃貸借・不動産賃貸借の対抗力・賃貸人の修繕義務・賃借人の意思に反する保存行為・賃借人による修繕を中心に15問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

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問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2026年6月時点の法令に準拠
1賃貸借

賃貸借に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
  • 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
601条のとおり → 正しい

民法第601条賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずるe-Gov原文

正しい
606条1項のとおり → 正しい

民法第606条賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うe-Gov原文

ひっかけ賃貸借は『賃料を支払う』有償契約。賃貸人は『修繕義務』を負う(601条・606条)。

解説賃貸借は、当事者の一方が物の使用収益をさせることを約し、相手方が賃料を支払い契約終了時に物を返還することを約することによって効力を生ずる有償・諾成契約である(601条)。賃貸人は、賃貸物の使用収益に必要な修繕をする義務を負う(606条1項。ただし賃借人の責めに帰すべき事由による修繕は除く)。賃貸借の成立と賃貸人の修繕義務を押さえる。

補足賃貸借は『賃料』を支払う有償契約で、無償の使用貸借(593条)と区別される。修繕義務は原則賃貸人にあるが、賃借人の帰責事由による修繕は賃貸人の義務でない(606条1項ただし書)。

2不動産賃貸借の対抗力

不動産賃貸借の対抗力及び賃貸人の修繕義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
  • 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負わない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
605条のとおり → 正しい

民法第605条不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができるe-Gov原文

誤り
賃貸人は修繕義務を負う → 『義務を負わない』は誤り

民法第606条賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うe-Gov原文

ひっかけ不動産賃貸借は『登記』で第三者に対抗できる。賃貸人は『修繕義務』を負う(605条・606条)。

解説不動産の賃貸借は、登記をすれば、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗できる(605条)。また、賃貸人は賃貸物の使用収益に必要な修繕義務を負う(606条1項)。賃貸借の対抗力と賃貸人の修繕義務を押さえる。

補足民法605条の登記のほか、借地借家法では建物の引渡し(借家)や借地上建物の登記(借地)で対抗力が認められる。賃貸人の修繕義務は使用収益を可能にするための基本的義務である。

3賃貸人の修繕義務

賃貸人の修繕義務及び賃借人の通知義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
  • 賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
606条1項のとおり → 正しい

民法第606条賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うe-Gov原文

正しい
615条のとおり → 正しい

民法第615条賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならないe-Gov原文

ひっかけ賃貸人は『修繕義務』を負い、賃借人は修繕の要否等を『遅滞なく通知』する義務を負う(606条・615条)。

解説賃貸人は賃貸物の使用収益に必要な修繕義務を負う(606条1項)。一方、賃借物が修繕を要し、又は権利を主張する者があるときは、賃借人は遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない(615条本文。賃貸人が既に知るときを除く)。賃貸人の修繕義務と賃借人の通知義務を押さえる。

補足賃借人の通知義務は、賃貸人が修繕等に対応できるようにするためのもの。賃貸人が既に事実を知っているときは通知不要である(615条ただし書)。

4賃借人の意思に反する保存行為

賃借人の意思に反する保存行為及び対抗力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
  • 不動産の賃貸借は、これを登記しても、その不動産について物権を取得した第三者に対抗することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
607条のとおり → 正しい

民法第607条賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができるe-Gov原文

誤り
登記すれば第三者に対抗できる → 『対抗することができない』は誤り

民法第605条不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができるe-Gov原文

ひっかけ賃貸人の保存行為で『賃借目的を達せられなくなる』とき賃借人は解除可。不動産賃貸借は『登記』で対抗できる(607条・605条)。

解説賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとし、そのために賃借人が賃借の目的を達せられなくなるときは、賃借人は契約を解除できる(607条)。賃借人は賃貸人の保存行為自体は拒めない(606条2項)が、目的を達せられないほどの場合は解除が認められる。また、不動産賃貸借は登記で第三者に対抗できる(605条)。保存行為と解除、対抗力を押さえる。

補足賃借人は賃貸人の保存に必要な行為を拒めない(606条2項)が、それにより賃借目的が達せられなくなる場合の救済として解除権が認められる(607条)。

5賃借人による修繕

賃借人による修繕及び賃貸借の解除の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃借物の修繕が必要である場合において、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず相当の期間内に必要な修繕をしないとき、又は急迫の事情があるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
  • 賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
607条の2のとおり → 正しい

民法第607条の2賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができるe-Gov原文

正しい
620条のとおり → 正しい

民法第620条賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずるe-Gov原文

ひっかけ賃貸人が修繕しないとき・急迫の事情があれば『賃借人が修繕』できる。賃貸借の解除は『将来効』(非遡及)(607条の2・620条)。

解説賃借物の修繕が必要な場合、賃借人が通知し又は賃貸人が知ったのに相当期間内に修繕しないとき、又は急迫の事情があるときは、賃借人が自ら修繕できる(607条の2)。また、賃貸借の解除は将来に向かってのみ効力を生ずる(620条、非遡及)。賃借人による修繕と賃貸借解除の将来効を押さえる。

補足賃貸借のような継続的契約の解除(解約告知)は、すでに経過した期間の法律関係を覆さず将来に向かって効力を生ずる(620条)。売買等の解除(遡及効)と区別される。

6賃借人の費用償還請求

賃借人の費用償還請求及び保存行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
  • 賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときであっても、賃借人は、契約の解除をすることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
608条1項のとおり → 正しい

民法第608条賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができるe-Gov原文

誤り
賃借目的を達せられなくなるとき賃借人は解除できる → 『解除することができない』は誤り

民法第607条賃借人は、契約の解除をすることができるe-Gov原文

ひっかけ必要費は『直ちに』償還請求できる。保存行為で賃借目的を達せられなくなれば『解除』できる(608条・607条)。

解説賃借人は、賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは直ちにその償還を請求できる(608条1項)。有益費は賃貸借終了時に償還される(同条2項)。また、賃貸人の保存行為により賃借の目的を達せられなくなるときは賃借人が解除できる(607条)。費用償還の時期(必要費=直ちに/有益費=終了時)と保存行為による解除を押さえる。

補足必要費は『直ちに』、有益費は『賃貸借終了時』に償還請求できる点の違いが頻出である。有益費は価格の増加が現存する場合に196条2項に従って償還される。

7減収による賃料の減額請求

減収による賃料の減額請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときであっても、賃料の減額を請求することができない。
  • 耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
不可抗力の減収で賃料減額を請求できる → 『請求することができない』は誤り

民法第609条その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができるe-Gov原文

正しい
609条のとおり → 正しい

民法第609条耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ耕作・牧畜目的の土地の賃借人は、不可抗力の減収で『収益額に至るまで賃料減額』を請求できる(609条)。

解説耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで賃料の減額を請求できる(609条)。農地等の収益が天候等の不可抗力で減少した場合の救済である。減収による賃料減額請求の対象(耕作・牧畜目的の土地)を押さえる。

補足609条は耕作・牧畜目的の土地(農地等)に特有の規定である。一般の賃貸借における賃借物の一部滅失による減額(611条)とは要件・対象が異なる。

8賃借物の一部滅失等による賃料の減額

賃借物の一部滅失による賃料の減額に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃借物の一部が賃借人の責めに帰することができない事由により使用及び収益をすることができなくなった場合であっても、賃料は減額されない。
  • 賃借物の一部が賃借人の責めに帰することができない事由により使用及び収益をすることができなくなったときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
帰責なき一部使用不能で賃料は当然に減額される → 『減額されない』は誤り

民法第611条賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額されるe-Gov原文

正しい
611条1項のとおり → 正しい

民法第611条賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額されるe-Gov原文

ひっかけ帰責のない一部使用不能では、賃料は使用できない『部分の割合に応じて当然に減額』される(611条1項)。

解説賃借物の一部が、賃借人の責めに帰することができない事由により使用収益できなくなったときは、賃料はその使用収益できなくなった部分の割合に応じて当然に減額される(611条1項、2017年改正で『減額される』に)。賃借人の請求を待たず当然に減額される点に注意する。一部滅失等による賃料の減額を押さえる。

補足改正前は『減額を請求できる』だったが、現行法は『減額される』と当然減額に変わった。賃借人の帰責事由による場合は減額されない。

9賃借物の一部滅失等による解除

賃借物の一部滅失による解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときであっても、賃借人は、契約の解除をすることができない。
  • 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
残存部分で目的を達せられないとき賃借人は解除できる → 『解除することができない』は誤り

民法第611条残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができるe-Gov原文

正しい
611条2項のとおり → 正しい

民法第611条残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができるe-Gov原文

ひっかけ一部滅失で『残存部分では目的を達せられない』とき、賃借人は契約を解除できる(611条2項)。

解説賃借物の一部が滅失その他の事由で使用収益できなくなり、残存部分のみでは賃借の目的を達せられないときは、賃借人は契約を解除できる(611条2項)。この解除は賃借人の帰責事由の有無を問わず認められる。一部滅失による賃料減額(611条1項)と解除(同条2項)をあわせて押さえる。

補足611条1項(賃料の当然減額)は賃借人に帰責事由がない場合に限るが、2項(解除)は帰責事由を問わず、残存部分で目的を達せられないことが要件である。

10転貸の効果

転貸の効果及び対抗力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。
  • 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
613条1項のとおり → 正しい

民法第613条賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負うe-Gov原文

正しい
605条のとおり → 正しい

民法第605条不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができるe-Gov原文

ひっかけ適法な転貸では、転借人は賃貸人に『直接履行義務』を負う(賃借人の債務の範囲を限度)(613条1項)。

解説賃借人が適法に転貸したときは、転借人は賃貸人・賃借人間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対し転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う(613条1項。賃料の前払をもって賃貸人に対抗できない)。賃貸人は賃借人との賃貸借を合意解除しても、原則として転借人に対抗できない(同条3項)。転貸の効果を押さえる。

補足転借人は賃貸人に対し直接賃料支払義務等を負うが、その範囲は『賃借人(転貸人)の賃貸人に対する債務の範囲』が上限である。賃貸借が賃借人の債務不履行で解除されると転貸借も終了する。

11賃借人の通知義務

賃借人の通知義務及び転貸の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。
  • 賃借人が適法に賃借物を転貸したときであっても、転借人は、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負わない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
615条のとおり → 正しい

民法第615条賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならないe-Gov原文

誤り
転借人は賃貸人に直接履行義務を負う → 『義務を負わない』は誤り

民法第613条賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負うe-Gov原文

ひっかけ賃借人は修繕の要否等を『遅滞なく通知』。適法な転貸で転借人は賃貸人に『直接履行義務』を負う(615条・613条)。

解説賃借物が修繕を要し、又は権利を主張する者があるときは、賃借人は遅滞なく賃貸人に通知しなければならない(615条)。また、賃借人が適法に転貸したときは、転借人は賃貸人に対し直接履行義務を負う(613条1項)。賃借人の通知義務と転貸の効果を押さえる。

補足賃借人の通知義務は、賃貸人が修繕や権利保全の対応をできるようにするため。転借人の直接履行義務は、賃貸人が転借人に直接賃料請求等をできる根拠となる。

12賃貸借の更新の推定

賃貸借の更新の推定(黙示の更新)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃貸借の期間が満了した後、賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合に賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときであっても、賃貸借が更新されたものとは推定されない。
  • 賃貸借の期間が満了した後、賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
異議を述べなければ更新したものと推定される → 『推定されない』は誤り

民法第619条賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定するe-Gov原文

正しい
619条1項のとおり → 正しい

民法第619条賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定するe-Gov原文

ひっかけ期間満了後も使用を続け賃貸人が異議を述べなければ、従前と同一条件で『更新したものと推定』(黙示の更新)(619条1項)。

解説賃貸借の期間満了後に賃借人が使用収益を継続し、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定される(619条1項、黙示の更新)。この場合、各当事者は617条により解約の申入れができる。また、従前の担保は期間満了で消滅するが、敷金は消滅しない(同条2項)。黙示の更新を押さえる。

補足黙示の更新後の賃貸借は期間の定めのないものとなり、各当事者は解約の申入れができる。従前の担保(保証等)は消滅するが、敷金は更新後も存続する点に注意する。

13賃貸借の解除の効力

賃貸借の解除の効力及び賃貸借の成立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃貸借の解除をした場合には、その解除は、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。
  • 賃貸借は、当事者の一方が物を無償で相手方に使用及び収益をさせることを約することによって、その効力を生ずる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
賃貸借の解除は将来に向かってのみ効力を生ずる → 『契約の時にさかのぼる』は誤り

民法第620条賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずるe-Gov原文

誤り
賃貸借は賃料を支払う有償契約 → 『無償で使用収益させる』は誤り(それは使用貸借)

民法第601条相手方がこれに対してその賃料を支払うことe-Gov原文

ひっかけ賃貸借の解除は『将来効』(さかのぼらない)。賃貸借は『賃料を支払う』有償契約(無償は使用貸借)(620条・601条)。

解説賃貸借の解除をした場合、その解除は将来に向かってのみ効力を生ずる(620条、非遡及。損害賠償請求は妨げない)。継続的契約である賃貸借では、すでに経過した使用関係を覆さない。また、賃貸借は賃料を支払う有償契約であり(601条)、無償の使用貸借とは区別される。賃貸借の解除の将来効と有償性を押さえる。

補足賃貸借・雇用・委任など継続的契約の解除(解約告知)は将来効である点が、売買等の解除(遡及効・原状回復)と対照的である。賃貸借は有償、使用貸借は無償という違いも頻出。

14賃借人の原状回復義務

賃借人の原状回復義務及び費用償還に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 賃借人は、賃借物の通常の使用及び収益によって生じた損耗並びに賃借物の経年変化についても、賃貸借が終了したときは、これを原状に復する義務を負う。
  • 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときであっても、賃貸借が終了するまでは、その償還を請求することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
通常損耗・経年変化は原状回復義務から除かれる → 『これらも原状回復義務を負う』は誤り

民法第621条通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除くe-Gov原文

誤り
必要費は直ちに償還請求できる → 『終了するまで請求できない』は誤り

民法第608条賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ原状回復義務から『通常損耗・経年変化』は除かれる。必要費は『直ちに』償還請求できる(621条・608条)。

解説賃借人は、賃借物を受け取った後に生じた損傷がある場合、賃貸借終了時にこれを原状に復する義務を負うが、通常の使用収益による損耗及び経年変化は対象から除かれる(621条本文。損傷が賃借人の帰責によらないときも除く)。また、必要費は直ちに償還請求できる(608条1項)。原状回復義務の範囲と費用償還の時期を押さえる。

補足通常損耗・経年変化(自然な劣化)は賃料に含まれるとの考えから原状回復義務の対象外とされる。賃借人の帰責によらない損傷も原状回復義務を負わない(621条ただし書)。

15不動産の賃借人による妨害の停止の請求

不動産の賃借人による妨害の停止の請求及び賃借人による修繕に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 対抗要件を備えた不動産の賃借人であっても、その不動産の占有を第三者が妨害しているときに、その第三者に対し妨害の停止を請求することはできない。
  • 賃借物の修繕が必要である場合に、急迫の事情があるときであっても、賃借人が自らその修繕をすることはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
対抗要件を備えた賃借人は妨害停止を請求できる → 『請求することはできない』は誤り

民法第605条の4その第三者に対する妨害の停止の請求e-Gov原文

誤り
急迫の事情があれば賃借人が修繕できる → 『することはできない』は誤り

民法第607条の2賃借人は、その修繕をすることができるe-Gov原文

ひっかけ対抗要件を備えた賃借人は第三者に『妨害停止』を請求できる。急迫の事情があれば賃借人が自ら『修繕』できる(605条の4・607条の2)。

解説対抗要件を備えた不動産の賃借人は、その不動産の占有を第三者が妨害しているときは妨害の停止を、第三者が占有しているときは返還を請求できる(605条の4)。また、賃借物の修繕が必要な場合に、賃貸人が相当期間内に修繕しないとき又は急迫の事情があるときは、賃借人が自ら修繕できる(607条の2)。賃借人の妨害排除請求と自力修繕を押さえる。

補足605条の4は対抗要件を備えた不動産賃借権に基づく妨害排除請求権を明文化したもの(賃借権に基づく物権的請求権類似の保護)。賃借人の自力修繕は急迫の事情等の要件を満たす場合に限られる。