問1不法行為による損害賠償
不法行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- イ.他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、損害賠償責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 709条のとおり → 正しい
民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 710条のとおり → 正しい
民法第710条「財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ不法行為は『故意又は過失』による権利侵害で成立。財産以外の損害(慰謝料)も賠償する(709条・710条)。
解説故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(709条、一般不法行為)。また、身体・自由・名誉の侵害や財産権の侵害を問わず、財産以外の損害(精神的損害=慰謝料)に対しても賠償責任を負う(710条)。一般不法行為の成立要件と慰謝料を押さえる。
補足709条の成立には、故意又は過失・権利等の侵害・損害の発生・因果関係が必要である。財産的損害だけでなく精神的損害(慰謝料)も710条により賠償対象となる。
問2財産以外の損害の賠償
不法行為による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の名誉を侵害した場合又は財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、損害賠償責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
- イ.過失によって他人の権利を侵害した場合は、故意による場合と異なり、損害賠償責任を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 710条のとおり → 正しい
民法第710条「財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 不法行為は故意又は過失で成立する → 『過失では責任を負わない』は誤り
民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ財産以外の損害(慰謝料)も賠償する。不法行為は『故意又は過失』で成立(過失でも責任あり)(710条・709条)。
解説損害賠償責任を負う者は、身体・自由・名誉・財産権いずれの侵害かを問わず、財産以外の損害(慰謝料)についても賠償しなければならない(710条)。また、不法行為は故意又は過失によって成立する(709条)。過失による侵害でも損害賠償責任を負う。慰謝料と過失責任を押さえる。
補足709条は過失責任主義に基づき、故意・過失のいずれでも成立する。慰謝料(財産以外の損害)も710条により賠償対象である。
問3責任無能力者の監督義務者の責任
監督義務者の責任及び不当利得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
- イ.法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 714条1項のとおり → 正しい
民法第714条「その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 703条のとおり → 正しい
民法第703条「その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」e-Gov原文
ひっかけ責任無能力者の『監督義務者』が損害賠償責任を負う。不当利得は『利益の存する限度』で返還(714条・703条)。
解説責任無能力者が責任を負わない場合、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、加えた損害を賠償する責任を負う(714条1項。義務を怠らなかったとき等を除く)。また、法律上の原因なく利益を受け他人に損失を及ぼした者は、利益の存する限度で返還義務を負う(703条、善意の受益者)。監督義務者の責任と不当利得を押さえる。
補足監督義務者は、監督義務を怠らなかったこと又は怠らなくても損害が生じたことを証明すれば免責される(714条1項ただし書、中間責任)。不当利得の返還は善意の受益者は現存利益、悪意の受益者は利息付き(704条)である。
問4注文者の責任
注文者の責任及び財産以外の損害に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。
- イ.不法行為の損害賠償責任を負う者は、財産以外の損害(精神的損害)については、賠償する必要がない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 716条のとおり → 正しい
民法第716条「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 財産以外の損害(慰謝料)も賠償する → 『賠償する必要がない』は誤り
民法第710条「財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ注文者は『原則責任なし』(注文・指図に過失あれば責任)。財産以外の損害(慰謝料)も『賠償する』(716条・710条)。
解説注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を原則として負わない(716条本文)。ただし、注文又は指図について注文者に過失があったときは責任を負う(同条ただし書)。また、財産以外の損害(慰謝料)も賠償しなければならない(710条)。注文者の責任と慰謝料を押さえる。
補足注文者は使用者(715条)と異なり、原則として請負人の不法行為について責任を負わない(請負人は独立して仕事をするため)。注文・指図の過失がある場合のみ例外的に責任を負う。
問5動物の占有者の責任
動物の占有者の責任及び不法原因給付に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
- イ.不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 718条1項のとおり → 正しい
民法第718条「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 708条のとおり → 正しい
民法第708条「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ動物の占有者は損害賠償責任を負う(相当の注意で免責)。不法原因給付は『返還請求できない』(718条・708条)。
解説動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負うが、動物の種類・性質に従い相当の注意をもって管理したときは免責される(718条1項、中間責任)。また、不法な原因のために給付をした者は、その給付の返還を請求できない(708条。不法な原因が受益者のみにあるときを除く)。動物占有者の責任と不法原因給付を押さえる。
補足動物占有者の責任は、相当の注意をもって管理したことを証明すれば免責される中間責任である。不法原因給付(708条)は、不法な目的で給付した者の返還請求を信義則上認めない制度である。
問6不法行為における過失相殺
不法行為における過失相殺及び注文者の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不法行為について被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
- イ.注文者は、注文又は指図についての過失の有無にかかわらず、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 722条2項のとおり → 正しい
民法第722条「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 注文者は原則責任を負わない(注文指図の過失があるときのみ責任)→ 『過失の有無にかかわらず責任を負う』は誤り
民法第716条「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない」e-Gov原文
ひっかけ不法行為で被害者に過失があれば裁判所が賠償額を『考慮できる』(過失相殺)。注文者は『原則責任なし』(722条・716条)。
解説不法行為について被害者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して損害賠償額を定めることができる(722条2項、過失相殺)。また、注文者は請負人の仕事による損害について原則責任を負わず、注文・指図に過失があったときのみ責任を負う(716条)。過失相殺と注文者の責任を押さえる。
補足不法行為の過失相殺(722条2項)は『考慮することができる』(任意的・裁量的)であり、債務不履行の過失相殺(418条、必要的)と表現が異なる点に注意する。
問7名誉を侵害した場合の原状回復
名誉を侵害した場合の処分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の名誉を侵害した者に対しては、裁判所は損害賠償を命じることができるのみで、名誉を回復するのに適当な処分を命じることはできない。
- イ.他人の名誉を侵害した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 裁判所は名誉回復に適当な処分も命じられる → 『命じることはできない』は誤り
民法第723条「損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 723条のとおり → 正しい
民法第723条「損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる」e-Gov原文
ひっかけ名誉侵害には、裁判所が損害賠償に代えて/とともに『名誉回復に適当な処分』を命じられる(723条)。
解説他人の名誉を侵害した者に対しては、裁判所は被害者の請求により、損害賠償に代えて又はともに、名誉を回復するのに適当な処分(謝罪広告等)を命じることができる(723条)。金銭賠償だけでなく原状回復的な救済も認められる点が特徴である。名誉侵害の救済を押さえる。
補足不法行為の損害賠償は金銭賠償が原則(722条1項・417条準用)だが、名誉侵害については例外的に原状回復的処分(謝罪広告等)が認められる(723条)。
問8不法行為による損害賠償請求権の消滅時効
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から10年間行使しないときに、時効によって消滅する。
- イ.不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間、又は不法行為の時から20年間行使しないときに、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 知った時から3年で時効消滅 → 『10年間』は誤り
民法第724条「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 724条のとおり → 正しい
民法第724条「不法行為の時から二十年間行使しないとき」e-Gov原文
ひっかけ不法行為の損害賠償請求権は『知った時から3年』『不法行為の時から20年』で時効消滅(724条)。
解説不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間(人の生命・身体を害する不法行為は5年。724条の2)、又は不法行為の時から20年間行使しないときに、時効によって消滅する(724条)。主観的起算点(3年)と客観的起算点(20年)の数値を押さえる。
補足通常の不法行為は『知った時から3年』だが、人の生命・身体を害する不法行為は『5年』に伸長される(724条の2)。客観的期間(不法行為の時から20年)は両者共通である。
問9事務管理
事務管理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、自己の利益に最も適合する方法によって、その事務の管理をすればよい。
- イ.義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 事務管理は最も本人の利益に適合する方法で行う → 『自己の利益に適合する方法でよい』は誤り
- イ.正しい
- 697条1項のとおり → 正しい
民法第697条「その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって」e-Gov原文
ひっかけ事務管理は『最も本人の利益に適合する方法』で行う(自己の利益ではない)(697条1項)。
解説義務なく他人のために事務の管理を始めた者(管理者)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって事務管理をしなければならない(697条1項)。本人の意思を知り又は推知できるときはその意思に従う(同条2項)。事務管理の管理方法を押さえる。
補足事務管理は義務なく他人のために事務を行うことで、本人の利益に適合する管理が求められる。管理開始は遅滞なく本人に通知し(699条)、有益な費用は償還請求できる(702条)。
問10管理者の通知義務
事務管理者の通知義務及び悪意の受益者に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでない。
- イ.悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 699条のとおり → 正しい
民法第699条「管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 704条のとおり → 正しい
民法第704条「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ事務管理者は管理開始を『遅滞なく本人に通知』。悪意の受益者は『利息を付して返還』(699条・704条)。
解説管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない(699条本文。本人が既に知るときを除く)。また、悪意の受益者は受けた利益に利息を付して返還し、なお損害があるときは賠償責任も負う(704条)。事務管理の通知義務と悪意の受益者の返還義務を押さえる。
補足善意の受益者は現存利益のみ返還(703条)、悪意の受益者は利息付き+損害賠償(704条)と、善意・悪意で返還の範囲が異なる。
問11管理者による費用の償還請求
事務管理者の費用償還請求及び通知義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
- イ.管理者は、事務管理を始めたことを本人に通知する義務を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 702条1項のとおり → 正しい
民法第702条「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 管理者は管理開始を遅滞なく通知すべき → 『通知義務を負わない』は誤り
民法第699条「管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ管理者は『有益な費用の償還』を請求できる。管理開始を『遅滞なく通知』する義務を負う(702条・699条)。
解説管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対しその償還を請求できる(702条1項)。ただし、本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度でのみ償還を請求できる(同条3項)。また、管理開始を遅滞なく本人に通知すべき義務がある(699条)。費用償還請求と通知義務を押さえる。
補足事務管理者は報酬請求権は原則としてないが、有益な費用の償還は請求できる。本人の意思に反する管理の場合は現存利益の限度に制限される(702条3項)。
問12不当利得の返還義務
不当利得の返還義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の額にかかわらず、常に受けた利益の全額を返還しなければならない。
- イ.法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 703条の受益者は利益の存する限度(現存利益)で返還 → 『常に全額返還』は誤り
民法第703条「その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 703条のとおり → 正しい
民法第703条「その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」e-Gov原文
ひっかけ(善意の)不当利得は『利益の存する限度』(現存利益)で返還する(常に全額ではない)(703条)。
解説法律上の原因なく他人の財産・労務によって利益を受け他人に損失を及ぼした者(受益者)は、その利益の存する限度において返還義務を負う(703条)。これは善意の受益者についての規律で、現存利益の返還で足りる。悪意の受益者は利息を付して返還し損害賠償責任も負う(704条)。不当利得の返還範囲を押さえる。
補足703条(善意)は現存利益の返還、704条(悪意)は利息付き返還+損害賠償と、善意・悪意で返還範囲が異なる点が要点である。
問13悪意の受益者の返還義務
悪意の受益者及び動物の占有者の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.悪意の受益者は、その受けた利益を返還すれば足り、これに利息を付して返還する必要はない。
- イ.動物の占有者は、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたかどうかにかかわらず、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 悪意の受益者は利息を付して返還すべき → 『利息を付す必要はない』は誤り
民法第704条「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 相当の注意をもって管理したときは責任を免れる → 『注意の有無にかかわらず責任を負う』は誤り
民法第718条「動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ悪意の受益者は『利息を付して』返還する。動物の占有者は『相当の注意』で免責される(704条・718条)。
解説悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならず、なお損害があるときは賠償責任も負う(704条)。また、動物の占有者は動物が加えた損害を賠償する責任を負うが、動物の種類・性質に従い相当の注意をもって管理したときは免責される(718条1項、中間責任)。悪意の受益者の返還義務と動物占有者の責任を押さえる。
補足悪意の受益者は善意の受益者(現存利益のみ)より重い責任(利息付き+損害賠償)を負う。動物占有者の責任は相当の注意の立証で免責される中間責任である。
問14債務の不存在を知ってした弁済
債務の不存在を知ってした弁済及び監督義務者の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときであっても、その給付したものの返還を請求することができる。
- イ.責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その監督義務を怠らなかったときであっても、責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 債務の不存在を知ってした弁済は返還請求できない → 『返還を請求することができる』は誤り
民法第705条「その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 監督義務を怠らなかったときは免責される → 『怠らなくても責任を負う』は誤り
民法第714条「監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ債務がないと知ってした弁済は『返還請求できない』(705条)。監督義務者は義務を怠らなければ『免責』(714条)。
解説債務の弁済として給付をした者が、その時に債務が存在しないことを知っていたときは、その給付の返還を請求できない(705条、非債弁済)。また、責任無能力者の監督義務者は、監督義務を怠らなかったとき又は怠らなくても損害が生ずべきであったときは免責される(714条1項ただし書、中間責任)。非債弁済と監督義務者の免責を押さえる。
補足705条は、債務がないと知りながらあえて給付した者を保護しない(不当利得の返還を認めない)。714条の監督義務者責任は、義務を怠らなかったことの立証で免責される中間責任である。
問15不法原因給付
不法原因給付及び過失相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができる。
- イ.不法行為について被害者に過失があったときであっても、裁判所は、これを考慮して損害賠償の額を定めることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 不法原因給付は返還請求できない → 『返還を請求することができる』は誤り
民法第708条「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 被害者に過失があれば裁判所は考慮して賠償額を定められる → 『定めることはできない』は誤り
民法第722条「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」e-Gov原文
ひっかけ不法原因給付は『返還請求できない』。不法行為で被害者に過失があれば裁判所は『考慮して賠償額を定められる』(708条・722条)。
解説不法な原因のために給付をした者は、その給付の返還を請求できない(708条本文。不法な原因が受益者のみにあるときを除く)。また、不法行為について被害者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して損害賠償額を定めることができる(722条2項、過失相殺)。不法原因給付と過失相殺を押さえる。
補足708条は、自ら不法な給付をした者の返還請求をクリーンハンズの原則から認めない。不法な原因が受益者にのみある場合は例外的に返還請求できる(708条ただし書)。