問1借地権の存続期間
借地借家法上の借地権の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.借地権の存続期間は30年とし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間となる。
- イ.借地契約を更新する場合の存続期間は、最初の更新もそれ以降も一律10年である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- 一律10年は誤り
借地借家法第4条「更新の日から十年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、二十年)とする」e-Gov原文
ひっかけ更新後を『一律10年』とするのは誤り。最初の更新は20年。
解説借地権の当初の存続期間は30年が下限(30年未満の定めは30年に、長い定めは有効)。更新後は『最初の更新20年・2回目以降10年』が下限。建物がある場合の更新請求・使用継続による法定更新もある。
補足借地権者に不利な特約は無効(9条)。期間を短くする特約は借地権者に不利なので無効になる。
問2借地権の対抗力
借地権の対抗力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
- イ.借地上の建物が滅失した場合でも、一定事項を土地の上の見やすい場所に掲示すれば、滅失があった日から2年間は借地権の対抗力が維持される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 建物登記で対抗
借地借家法第10条第1項「土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 掲示で2年
借地借家法第10条第2項「建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては」e-Gov原文
ひっかけ対抗には『借地権者名義』の建物登記が必要(他人名義では不可)。
解説借地権は、借地権者名義で登記された建物を所有していれば、借地権自体の登記がなくても第三者に対抗できる。建物が滅失しても、必要事項を土地上に掲示すれば滅失日から2年間は対抗力が続き、その間に建物を再築・登記すれば対抗力を維持できる。
補足借家(建物賃貸借)の対抗力は『建物の引渡し』で生じる点(31条)と区別する。
問3借地の強行規定・建物買取請求権
借地に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.借地借家法の借地に関する規定に反する特約は、借地権者に不利なものであっても有効である。
- イ.借地権の存続期間が満了し契約の更新がないときは、借地権者は借地権設定者に対し、建物等を時価で買い取るべきことを請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 片面的強行規定
借地借家法第9条「この節の規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 買取請求可
借地借家法第13条第1項「時価で買い取るべきことを請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ『借地権者に不利でも特約は有効』は誤り。
解説借地借家法の借地の規定は、借地権者に不利な特約を無効とする片面的強行規定。存続期間満了で更新がないとき、借地権者は建物等を時価で買い取らせる『建物買取請求権』を行使できる(形成権で、行使により売買が成立する)。
補足定期借地権(22条等)では、特約により建物買取請求をしないこととすることができる。
問4定期借地権
一般定期借地権(借地借家法22条)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.存続期間を50年以上として借地権を設定する場合には、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、建物買取請求もしないこととする旨を定めることができる。
- イ.アの特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 50年以上が要件
借地借家法第22条「存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合」e-Gov原文
- イ.正しい
- 書面要件
借地借家法第22条「公正証書による等書面によってしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ一般定期借地権は『公正証書に限る』ではない(書面でよい)。事業用は公正証書限定。
解説一般定期借地権は存続期間50年以上で、更新・建物築造による延長・建物買取請求をしない旨を特約でき、その特約は公正証書による『等』書面(公正証書に限らず書面・電磁的記録でよい)で行う。事業用定期借地権(23条)は公正証書に限られる点と区別する。
補足事業用定期借地権(10年以上50年未満・専ら事業用建物)は、公正証書によってしなければならない(23条)。
問5建物賃貸借の期間・対抗力
建物の賃貸借(借家)の存続期間及び対抗力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.期間を1年未満とする建物の賃貸借は、その定めた期間どおりの期間の定めのある賃貸借として有効である。
- イ.建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 短期は無期化
借地借家法第29条第1項「期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす」e-Gov原文
- イ.正しい
- 引渡しで対抗
借地借家法第31条「建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ借家の対抗要件は『建物の引渡し』。借地(登記建物の所有)と混同しない。
解説借家では、期間を1年未満とすると『期間の定めがない賃貸借』とみなされる(借地と異なり最短期間の制限はない)。対抗力は、賃借権の登記がなくても『建物の引渡し』で生じる。借地の対抗力(登記建物の所有)と要件が異なる点が頻出。
補足定期建物賃貸借(38条)では、1年未満の期間も有効に定められる。
問6建物賃貸借の更新拒絶・正当事由
期間の定めがある建物の賃貸借の更新に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者が、期間満了の通知をしなくても、期間の満了によって建物の賃貸借は当然に終了する。
- イ.建物の賃貸人による更新拒絶の通知は、正当の事由がなくてもすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 更新みなし
借地借家法第26条第1項「従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 正当事由必須
借地借家法第28条「正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」e-Gov原文
ひっかけ『通知なしで当然終了』『正当事由不要』はいずれも誤り。
解説期間の定めがある借家は、当事者が期間満了の1年前から6月前までに更新拒絶等の通知をしないと、従前と同一条件(ただし期間は定めなし)で法定更新される。賃貸人からの更新拒絶・解約申入れには『正当の事由』が必要で、立退料の申出等も正当事由の判断に考慮される。
補足賃借人からの解約・更新拒絶には正当事由は不要(正当事由が必要なのは賃貸人側)。
問7建物賃貸借の解約・造作買取請求権
建物の賃貸借(借家)の解約及び造作買取請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。
- イ.賃貸人の同意を得て建物に付加した畳・建具その他の造作がある場合、賃借人は賃貸借の終了時に、賃貸人に対しその造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 6月経過で終了
借地借家法第27条第1項「解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 造作買取請求
借地借家法第33条第1項「その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ賃借人からの解約は申入れ後3月(民法)だが、賃貸人からの借家解約は6月+正当事由。
解説期間の定めのない借家で賃貸人が解約申入れをすると6月の経過で終了する(賃貸人側は正当事由も必要)。賃貸人の同意を得て付加した造作は、終了時に時価での買取を請求できる。ただし造作買取請求権は任意規定で、特約で排除できる点に注意。
補足造作買取請求権を排除する特約は有効(33条は強行規定ではない)。賃貸人の対抗力等の規定(31条等)は強行規定(37条)。
問8定期建物賃貸借
定期建物賃貸借(借地借家法38条)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.定期建物賃貸借は、口頭の合意によっても、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。
- イ.定期建物賃貸借をしようとするときは、賃貸人はあらかじめ賃借人に対し、更新がなく期間満了により賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 書面要件
借地借家法第38条第1項「公正証書による等書面によって契約をするときに限り」e-Gov原文
- イ.正しい
- 事前説明義務
借地借家法第38条第3項「その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ『口頭でも可』は誤り。書面契約+事前の書面説明が必要。
解説定期建物賃貸借(更新がない借家)は、公正証書による『等』書面で契約する必要があり(口頭は不可)、さらに契約前に『更新がなく期間満了で終了する』旨を記載した別個の書面を交付して説明しなければならない。この事前説明を欠くと、更新がない旨の定めは無効となる。
補足事前説明の書面は契約書とは別個独立の書面である必要がある(判例)。説明を欠くと更新なしの定めが無効になる(38条5項)。
問9共用部分の変更・保存行為
建物の区分所有等に関する法律における共用部分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴うもの)は、区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。
- イ.共用部分の保存行為をするには、必ず集会の決議が必要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 4分の3
建物の区分所有等に関する法律第17条第1項「区分所有者及びその議決権の各四分の三」e-Gov原文
- イ.誤り
- 決議不要
建物の区分所有等に関する法律第18条第1項「保存行為は、各共有者がすることができる」e-Gov原文
ひっかけ保存行為に『必ず決議が必要』は誤り。
解説共用部分の『重大変更』は各4分の3以上(規約で過半数〔2分の1超〕まで引下げ可)、『管理』は過半数の集会決議、『保存行為』は各共有者が単独で可能、という3段階を区別する。共用部分の持分は原則として専有部分の床面積割合による。
補足重大変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専有部分所有者の承諾が必要(17条2項)。
問10規約の設定・変更・廃止
区分所有建物の規約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。
- イ.規約の設定・変更・廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その者の承諾を得なければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 規約の設定・変更・廃止は特別決議事項=出席区分所有者・議決権とも各4分の3以上の多数が必要
建物の区分所有等に関する法律第31条第1項「出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議によつてする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 特別決議で足りても、一部区分所有者の権利に特別の影響が及ぶ場合はその者の承諾を別途得なければならない
建物の区分所有等に関する法律第31条第1項「その承諾を得なければならない」e-Gov原文
ひっかけ『特別の影響があっても承諾不要』は誤り。
解説規約の設定・変更・廃止は各4分の3以上の特別決議。さらに、一部の区分所有者の権利に『特別の影響』を及ぼすときは、その者の承諾も必要になる(決議だけでは足りない)。共用部分の重大変更(17条)と同じ4分の3が問われる。
補足規約は書面又は電磁的記録で作成する(30条5項)。
問11集会の招集通知・議事の定数
区分所有建物の集会に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.集会の招集の通知は、会日より少なくとも2週間前に、会議の目的たる事項等を示して発しなければならない。
- イ.集会の議事は、法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上で決する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 1週間前
建物の区分所有等に関する法律第35条第1項「会日より少なくとも一週間前に」e-Gov原文
- イ.誤り
- 過半数
建物の区分所有等に関する法律第39条第1項「及びその議決権の各過半数で決する」e-Gov原文
ひっかけ招集通知『2週間前』、通常決議『4分の3』はいずれも誤り。
解説招集通知は会日の少なくとも1週間前まで(規約で伸長可)。通常の決議は各過半数だが、重大変更・規約変更は各4分の3、建替えは各5分の4と、事項により定数が上がる。数値の置き換えが頻出。
補足区分所有者及び議決権の各5分の1以上で、管理者に集会の招集を請求できる(34条3項)。
問12議決権の行使・決議の効力
区分所有建物の集会及び規約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.集会において、議決権は、書面又は代理人によっても行使することができる。
- イ.規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 書面・代理可
建物の区分所有等に関する法律第39条第2項「議決権は、書面又は代理人によつても行使することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 承継人に効力
建物の区分所有等に関する法律第46条第1項「規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ『特定承継人には規約・決議が及ばない』は誤り。
解説議決権は書面・代理人・(規約等があれば)電磁的方法でも行使できる。規約や集会の決議は、その後に区分所有権を取得した特定承継人(買主等)にも効力が及ぶため、中古マンションの買主も従前の規約・決議に拘束される。占有者(賃借人等)も使用方法について同一の義務を負う。
補足占有者は、使用方法につき区分所有者が規約・決議に基づき負う義務と同一の義務を負う(46条2項)。
問13建替え決議・規約の作成
区分所有建物の建替え決議及び規約の作成に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.建替え決議は、集会において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で行うことができる。
- イ.規約は、書面又は電磁的記録により作成しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 5分の4
建物の区分所有等に関する法律第62条第1項「及び議決権の各五分の四以上の多数で」e-Gov原文
- イ.正しい
- 書面等で作成
建物の区分所有等に関する法律第30条第5項「規約は、書面又は電磁的記録」e-Gov原文
ひっかけ建替え決議を『4分の3』とするのは誤り。5分の4。
解説集会決議の定数は、通常=過半数、共用部分の重大変更・規約の設定変更廃止・管理組合法人の設立=各4分の3、建替え=各5分の4、と段階的に上がる。建替えが最も重い5分の4である点が頻出。規約は書面又は電磁的記録で作成する。
補足一定の耐震・防火等の基準不適合の建物では、建替え決議の定数が4分の3に緩和される場合がある(62条2項)。
問14敷地利用権の分離処分の禁止
区分所有建物の敷地利用権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合でも、区分所有者は、専有部分とその敷地利用権を自由に分離して処分することができる。
- イ.もっとも、規約に別段の定めがあるときは、専有部分とその敷地利用権を分離して処分することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 分離不可が原則
建物の区分所有等に関する法律第22条第1項「分離して処分することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 規約で例外可
建物の区分所有等に関する法律第22条第1項「ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ『自由に分離処分できる』は誤り(原則禁止)。
解説専有部分とその敷地利用権は、原則として一体で処分しなければならず、別々に処分できない(分離処分の禁止)。ただし規約で別段の定めをすれば分離処分も可能。分離処分禁止に反する処分は、原則として善意の第三者に対抗できない(無効を主張できない)点もポイント。
補足分離処分禁止に違反した処分は、分離処分禁止の登記後は無効。善意の相手方には対抗できない(23条)。
問15管理組合法人
管理組合法人に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
- イ.管理組合法人について登記すべき事項は、登記する前であっても、第三者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 善意者保護
建物の区分所有等に関する法律第47条第7項「管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 登記が対抗要件
建物の区分所有等に関する法律第47条第4項「登記した後でなければ、第三者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ登記事項を『登記前でも対抗できる』は誤り。
解説区分所有者の団体は、各4分の3以上の集会決議で法人化を定め、主たる事務所の所在地で登記することにより管理組合法人となる。登記すべき事項は登記後でなければ第三者に対抗できず、代理権への制限は善意の第三者に対抗できない(取引の安全を保護)。
補足管理組合法人の設立には、各4分の3以上の集会決議と登記が必要(47条1項)。
問16共用部分の管理・占有者の義務
区分所有建物の共用部分の管理及び占有者の義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.共用部分の管理に関する事項は、保存行為を除き、原則として集会の決議で決する。
- イ.区分所有者から専有部分を借りている占有者は、建物等の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 管理は決議
建物の区分所有等に関する法律第18条第1項「共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 占有者も拘束
建物の区分所有等に関する法律第46条第2項「区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う」e-Gov原文
ひっかけ占有者は規約・決議に拘束されない、とするのは誤り(使用方法につき同一義務)。
解説共用部分の管理(過半数決議)・重大変更(4分の3)・保存行為(各共有者が単独)の役割分担を押さえる。賃借人などの占有者も、建物の使用方法については規約・決議に基づく区分所有者と同一の義務を負い、集会で意見を述べることもできる(議決権はない)。
補足占有者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合、集会に出席して意見を述べることができる(議決権の行使はできない)。
問17表示に関する登記の申請義務
不動産登記法上の表示に関する登記に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.新築した建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。
- イ.建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 1月以内
不動産登記法第47条第1項「その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 1月以内
不動産登記法第57条「その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ表示登記の申請期間『1月以内』が頻出。権利登記には原則申請義務がない。
解説表示に関する登記(表題登記・滅失登記等)には申請義務があり、原則『1月以内』。新たに生じた土地・新築建物の所有権取得者は取得の日から1月以内に表題登記、建物滅失時は滅失の日から1月以内に滅失登記を申請する。権利に関する登記(保存・移転・抵当権設定等)は原則として申請義務がなく対抗要件にすぎない点と区別。
補足相続による所有権移転登記は、令和6年4月から申請が義務化(取得を知った日から3年以内)された点に注意。
問18権利に関する登記の共同申請
権利に関する登記の申請に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
- イ.相続による権利の移転の登記も、登記権利者及び登記義務者が共同して申請しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 共同申請主義
不動産登記法第60条「登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 単独申請の例外
不動産登記法第63条第2項「相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる」e-Gov原文
ひっかけ相続の移転登記に『共同申請が必要』は誤り(単独でできる)。
解説権利に関する登記は、登記権利者と登記義務者の共同申請が原則。ただし、相続・合併による移転登記、判決による登記、所有権保存登記など、相手方がいない又は真正が担保される場合は単独申請が認められる。共同申請の趣旨は登記の真正の確保。
補足相続人に対する遺贈による所有権移転登記も、登記権利者が単独で申請できる(63条3項)。
問19判決・合併による登記(単独申請)
登記の申請に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.共同して申請すべき者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記であっても、登記は当該者の双方が共同して申請しなければならない。
- イ.法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者及び登記義務者が共同して申請しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 判決で単独
不動産登記法第63条第1項「他方が単独で申請することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 単独申請可
不動産登記法第63条第2項「相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる」e-Gov原文
ひっかけ『判決があっても共同申請』『合併でも共同申請』はいずれも誤り。
解説単独申請が認められる主な場合:①登記手続を命ずる確定判決による登記(勝訴した側が単独で)②相続・合併による権利移転登記③所有権保存登記④相続人に対する遺贈による移転登記。共同申請の例外として整理して覚える。
補足単独申請ができるのは、登記の真正が手続外で担保される場合(判決・相続の公的証明等)に限られる。
問20所有権の保存の登記
所有権の保存の登記に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.所有権の保存の登記は、表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人など、一定の者でなければ申請することができない。
- イ.区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、所有権の保存の登記を申請することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 申請者限定
不動産登記法第74条第1項「表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人」e-Gov原文
- イ.正しい
- 区分建物の特則
不動産登記法第74条第2項「表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる」e-Gov原文
ひっかけ『誰でも保存登記できる』は誤り(申請適格者が限定)。
解説所有権保存登記(権利部の最初の登記)は、表題部所有者・その一般承継人・確定判決で所有権が確認された者・収用で取得した者しか申請できない。区分建物(マンション)は例外的に、表題部所有者からの取得者(買主)も保存登記でき、敷地権付きなら敷地権登記名義人の承諾が必要。
補足敷地権付き区分建物で買主が保存登記をするときは、敷地権の登記名義人の承諾が必要(74条2項後段)。
問21登記識別情報
登記識別情報に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記を申請する場合、申請人は、登記義務者の登記識別情報を提供する必要はない。
- イ.登記官は、登記によって申請人自らが登記名義人となる場合に登記を完了しても、当該申請人に登記識別情報を通知する必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 提供が必要
不動産登記法第22条「登記識別情報を提供しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 通知が必要
不動産登記法第21条「当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ『提供不要』『通知不要』はいずれも誤り。
解説登記識別情報は、登記によって名義人となった者に通知され(旧『登記済証=権利証』に相当)、その後その者が登記義務者として申請する際に本人確認のため提供する。提供できない正当な理由があるときは、事前通知制度等で代替する。
補足登記識別情報を提供できない場合は、登記官による事前通知や資格者代理人による本人確認情報の提供で対応する。
問22仮登記(要件・順位保全)
仮登記に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.権利の設定・移転等に関する請求権(始期付き又は停止条件付きのもの等を含む。)を保全しようとするときは、仮登記をすることができる。
- イ.仮登記に基づいて本登記をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 請求権保全
不動産登記法第105条第2号「請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 順位保全効
不動産登記法第106条「当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による」e-Gov原文
ひっかけ仮登記そのものには対抗力がない(順位保全効があるだけ)。
解説仮登記は、登記申請に必要な情報が整わないとき(1号仮登記)や、将来の権利変動の請求権を保全するとき(2号仮登記)にする。仮登記自体に対抗力はないが、後で本登記をすると、その順位は仮登記の順位にさかのぼる(順位保全効)。
補足仮登記の申請は、仮登記義務者の承諾があるとき等は仮登記権利者が単独で申請できる(107条)。
問23仮登記に基づく本登記・登記原因証明情報
登記に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者があるときでも、その第三者の承諾を得ることなく申請することができる。
- イ.権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 承諾が必要
不動産登記法第109条第1項「当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 原因証明が必要
不動産登記法第61条「登記原因を証する情報を提供しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ所有権仮登記の本登記で『第三者の承諾不要』は誤り。
解説所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がいる場合、その承諾が必須(承諾がないと本登記できない)。権利に関する登記の申請では、原則として登記原因を証する情報(登記原因証明情報)の提供が必要となる。
補足本登記がされると、登記官は職権で、承諾した第三者の権利登記を抹消する(109条2項)。
問24土地の表題登記・申請主義
不動産登記に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。
- イ.登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請等がなくても、登記官が職権で行うのが原則である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 1月以内
不動産登記法第36条「その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 申請主義
不動産登記法第16条第1項「当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない」e-Gov原文
ひっかけ『登記は職権が原則』は誤り(申請主義)。
解説登記は当事者の申請(又は官公署の嘱託)によるのが原則(申請主義)で、登記官が職権でするのは例外。一方、表示に関する登記には申請義務があり、新たに生じた土地・新築建物は取得日から1月以内に表題登記を申請する。申請主義と表示登記の申請義務をセットで押さえる。
補足表示に関する登記は、登記官が職権ですることもできる(28条)。権利に関する登記は原則として職権登記がない。
問25不動産物権変動の対抗要件
不動産の物権変動と対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不動産に関する物権の変動は、その登記をしなければ、原則として第三者に対抗することができない。
- イ.不動産の売買において、売主は買主に対し、登記その他の対抗要件を備えさせる義務を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 登記なければ第三者に対抗不可
民法第177条「その登記をしなければ、第三者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ「売主は対抗要件を備えさせる義務を負わない」は誤り。売主は義務を負う。
解説不動産の物権変動は当事者の意思表示で生じるが(意思主義)、それを第三者に主張するには登記が必要(177条=対抗要件主義)。売主には登記等の対抗要件を備えさせる義務がある(560条)。
補足登記は『効力要件』ではなく『対抗要件』。当事者間では登記がなくても物権変動の効力は生じている。
問26抵当権の設定と効力の及ぶ範囲
抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権を設定するには、債務者又は第三者が目的不動産の占有を抵当権者に移転することが必要である。
- イ.抵当権は、原則として、抵当不動産に付加して一体となっている物にも及ぶ。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 占有移転が必要とするのは誤り
民法第369条「占有を移転しないで債務の担保に供した不動産」e-Gov原文
ひっかけ「占有を移転しなければならない」は質権の発想。抵当権は占有を移さない。
解説抵当権は目的物の占有を設定者に残したまま担保にできる非占有担保(369条)。効力は原則として付加一体物に及ぶ(370条)が、抵当地上の建物には及ばない(土地と建物は別個の不動産)。
補足従物・従たる権利への効力の有無は論点。設定行為で別段の定めも可能(370条ただし書)。
問27賃借権の譲渡・転貸の制限
賃借権の譲渡及び転貸に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
- イ.賃借人が賃貸人に無断で賃借物を第三者に使用又は収益させたときでも、賃貸人は賃貸借契約を解除することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 無断譲渡・転貸は不可が原則
民法第612条「賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し」e-Gov原文
- イ.誤り
- 「解除できない」は誤り
民法第612条「賃貸人は、契約の解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ「無断転貸でも解除できない」は条文に反する。原則は解除可。
解説賃借権の譲渡・転貸には賃貸人の承諾が必要(612条1項)。無断であれば賃貸人は解除できる(同2項)。ただし判例上、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があれば解除は制限される(信頼関係破壊の法理)。
補足適法な転貸の場合、転借人は賃貸人に対し直接義務を負う(613条)。
問28賃貸人たる地位の移転
賃貸不動産が譲渡された場合の賃貸人たる地位の移転に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃貸借の対抗要件を備えた不動産が譲渡された場合、賃貸人たる地位が譲受人に移転するには、賃借人の承諾を得なければならない。
- イ.譲受人は、賃貸物である不動産について所有権移転の登記をしなくても、賃貸人たる地位を賃借人に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 賃借人の承諾を要するとするのは誤り
民法第605条の2「その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 登記不要で対抗できるとするのは誤り
民法第605条の2「所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ「賃借人の承諾が必要」「登記なしで対抗できる」はいずれも誤り。
解説対抗要件を備えた賃貸借では、不動産譲渡で賃貸人たる地位が当然に譲受人へ移る(承諾不要、605条の2第1項)。ただし譲受人が賃料請求等をするには所有権移転登記が必要(同3項)。敷金返還債務・費用償還債務も譲受人が承継する(同4項)。
補足賃貸人と譲受人の合意で地位を譲渡人に留保することもできる(605条の2第2項)。
問29売買の契約不適合責任
売買の目的物が契約の内容に適合しない場合の売主の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.引き渡された目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対して履行の追完を請求することができない。
- イ.種類又は品質に関する契約不適合について、買主は不適合を知った時から5年以内に通知しなければ、原則として追完請求等をすることができなくなる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- イ.誤り
- 「5年以内」は誤り(1年以内)
民法第566条「その不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないとき」e-Gov原文
ひっかけ通知期間を「5年」とするのは誤り。種類・品質は知った時から1年以内。
解説契約不適合(旧・瑕疵担保)では、買主は追完請求(562条)・代金減額・損害賠償・解除ができる。種類・品質の不適合は『知った時から1年以内の通知』を怠ると原則権利を失う(566条)。数量・権利の不適合にはこの1年の通知制限はない。
補足売主が引渡時に不適合を知り、又は重過失で知らなかったときは、この期間制限は適用されない(566条ただし書)。
問30法定相続分と遺産分割の効力
相続分及び遺産分割に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.配偶者及び子が相続人であるときは、配偶者の相続分及び子の相続分は、各2分の1である。
- イ.遺産の分割は、原則として相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 子と配偶者は各2分の1
民法第900条「子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 分割の遡及効
民法第909条「相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ相続分の割合は相続人の組み合わせで変わる。配偶者と子なら各2分の1。
解説法定相続分は、配偶者+子=各1/2、配偶者+直系尊属=2/3対1/3、配偶者+兄弟姉妹=3/4対1/4(900条)。遺産分割は相続開始時にさかのぼって効力を生じる(909条、遡及効)が、第三者の権利は害せない。
補足同順位の子が複数いれば、子の取り分(全体の1/2)を頭数で等分する。
問31制限行為能力者(成年被後見人・被保佐人)
民法上の制限行為能力者に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消すことができる。
- イ.被保佐人が、不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 日用品購入等を除き取り消せる
民法第9条「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 不動産取引等は保佐人の同意を要する
民法第13条「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること」e-Gov原文
ひっかけ成年被後見人は『原則取消可(日常生活除く)』、被保佐人は『重要行為に同意必要』。
解説制限行為能力者の保護のため、成年被後見人の法律行為は原則取り消せる(日常生活の行為を除く。9条)。被保佐人は単独で行為できるが、不動産取引・借財・保証等の重要な行為には保佐人の同意を要し(13条)、同意なくした行為は取り消せる。宅地建物取引で相手が制限行為能力者の場合に重要。
補足制限行為能力者が詐術を用いて能力者と信じさせたときは、取り消せない(21条)。
問32虚偽表示
民法上の虚偽表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効である。
- イ.虚偽表示による意思表示の無効は、善意の第三者に対しても対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 通謀によるうその意思表示は無効
民法第94条「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする」e-Gov原文
ひっかけ虚偽表示は無効だが『善意の第三者には対抗できない』。
解説通謀虚偽表示(94条)は、相手方と通謀した虚偽の意思表示で当事者間では無効。しかし、この無効を信頼した善意の第三者(虚偽表示の外形を信じて取引に入った者)には対抗できない(94条2項)。第三者保護の規定で、不動産の仮装譲渡をめぐる紛争で重要。
補足94条2項の善意の第三者には、原則として無過失までは要求されない(判例)。
問33錯誤による意思表示の取消し
民法上の錯誤に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、いかなる場合であっても、錯誤を理由として意思表示を取り消すことはできない。
- イ.錯誤による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 相手方悪意・共通錯誤なら重過失でも取消可
民法第95条「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 善意無過失の第三者は保護される
民法第95条「善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ重過失の錯誤も『相手方が悪意・共通錯誤』なら取消可。第三者は善意無過失で保護。
解説錯誤(95条)は、法律行為の目的・取引通念に照らして重要な錯誤があれば取り消せる。表意者に重大な過失があると原則取り消せないが、相手方が錯誤につき悪意・重過失だったとき、又は相手方も同一の錯誤に陥っていたときは取り消せる(同3項)。取消しは善意無過失の第三者に対抗できない(同4項)。
補足動機の錯誤は、その事情が法律行為の基礎とされていると表示されていたときに取り消せる(95条2項)。
問34無権代理
民法上の無権代理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなくても、当然に本人に対してその効力を生ずる。
- イ.無権代理行為の追認は、相手方に対してしなければ、相手方がその事実を知った場合であっても、その相手方に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 本人の追認が効力発生の前提
民法第113条「本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 相手方が知れば対抗可
民法第113条「ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ無権代理は『追認がなければ無効』。追認は相手方が知れば対抗可。
解説無権代理(113条)は、本人が追認しなければ本人に効力を生じない(追認すれば遡及的に有効)。追認・追認拒絶は相手方にしなければ対抗できないが、相手方が追認等の事実を知ったときは対抗できる。相手方には催告権・取消権、善意無過失なら無権代理人への責任追及(117条)が認められる。
補足無権代理人が本人を単独相続すると、無権代理行為は当然に有効となる(判例)。
問35所有権の取得時効
民法上の所有権の取得時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
- イ.占有の開始の時に善意であり、かつ、過失がなかった者は、10年間の占有によってその所有権を取得する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 悪意でも20年で時効取得
民法第162条「二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 善意無過失なら期間が10年に短縮
民法第162条「その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する」e-Gov原文
ひっかけ取得時効は『悪意20年・善意無過失10年』。善意無過失は占有開始時で判断。
解説所有権の取得時効は、所有の意思をもって平穏・公然と他人の物を占有することが要件で、占有期間は、占有開始時に善意・無過失なら10年、それ以外(悪意又は有過失)なら20年(162条)。善意・無過失は占有開始時に判断され、途中で悪意になっても10年で足りる。
補足所有の意思の有無は、占有取得の原因(権原)の性質によって客観的に判断される。
問36共有物の使用
民法上の共有物の使用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
- イ.共有物を使用する共有者は、別段の合意があるか否かにかかわらず、自己の持分を超える使用の対価を他の共有者に償還する義務を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 持分に応じて共有物全部を使える
民法第249条「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 別段の合意がなければ対価を償還する
民法第249条「別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う」e-Gov原文
ひっかけ共有物は持分に応じて全部使用可。持分超過使用は『原則対価償還』。
解説共有では、各共有者は持分に応じて共有物の全部を使用できる(249条1項)。2021年改正で、共有物を独占的に使用する共有者は、別段の合意がない限り、自己の持分を超える使用の対価を他の共有者に償還する義務を負うことが明文化された(同2項)。共有者は善管注意義務も負う(同3項)。
補足共有物の管理は持分の過半数、変更(軽微なものを除く)は全員の同意による。
問37法定地上権
民法上の法定地上権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合に、その土地につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至っても、その建物について地上権が設定されたものとはみなされない。
- イ.法定地上権が成立する場合における地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 建物のために地上権が設定されたものとみなす
民法第388条「その建物について、地上権が設定されたものとみなす」e-Gov原文
- イ.正しい
- 地代は協議不調なら裁判所が定める
民法第388条「地代は、当事者の請求により、裁判所が定める」e-Gov原文
ひっかけ法定地上権は『設定時に建物存在+同一所有者+実行で別所有者』で成立。
解説法定地上権(388条)は、①抵当権設定時に土地上に建物が存在し、②土地と建物が同一の所有者に属し、③土地・建物の一方又は双方に抵当権が設定され、④実行により土地と建物の所有者が異なるに至った場合に、建物のために成立する。建物が収去されるのを防ぐ制度で、地代は当事者の請求により裁判所が定める。
補足更地に抵当権を設定した後に建物が建てられた場合は、法定地上権は成立しない。
問38売買の手付と土地工作物責任
民法上の売買の手付及び土地工作物責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.買主が売主に手付を交付したときは、相手方が契約の履行に着手した後であっても、買主はその手付を放棄して契約を解除することができる。
- イ.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じた場合、その工作物の占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときであっても、占有者がその損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 相手方の履行着手後は手付解除不可
民法第557条「その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 占有者が注意を尽くせば所有者が賠償する
民法第717条「占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ手付解除は『相手方の履行着手まで』。工作物責任の所有者は『無過失責任』。
解説手付(557条)は、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付放棄・売主は手付倍返しで解除できる。土地工作物責任(717条)は、まず占有者が責任を負うが、占有者が損害防止に必要な注意をしたときは免責され、所有者が無過失責任(中間責任なし)を負う。
補足手付倍返しによる解除は、現実の提供が必要(口頭の提供では足りない)。
問39先取特権の物上代位と抵当権への準用
民法上の物上代位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.先取特権者は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても物上代位権を行使できるが、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
- イ.物上代位に関する民法第304条の規定は、抵当権について準用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 差押え前に金銭が支払われると物上代位できない
民法第304条「その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 抵当権者も物上代位できる
民法第372条「第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する」e-Gov原文
ひっかけ物上代位は『払渡し前の差押え』が必要、規定は抵当権にも準用。
解説物上代位は、担保目的物の売却代金・賃料・保険金等の価値変形物に担保権を行使できる制度で、先取特権について定められ(304条)、抵当権にも準用される(372条)。物上代位をするには、その払渡し又は引渡しの前に目的債権を差し押さえる必要がある(差押えにより第三者との優劣を確保する)。
補足賃貸不動産の抵当権者は、賃料債権に物上代位することができる。
問40共有物の管理と分割請求
民法上の共有に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.共有物の管理に関する事項(軽微な変更を含み、共有物に重大な変更を加えるものを除く。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
- イ.各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができるが、10年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 管理行為は持分の過半数で決定
民法第252条「各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 不分割の特約は最長5年
民法第256条「五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない」e-Gov原文
ひっかけ管理は『持分の過半数』、不分割の特約は『最長5年』。
解説共有物の管理に関する事項(賃貸借の設定等の利用・改良行為、軽微な変更を含む)は持分の価格の過半数で決し、共有物の重大な変更や処分は共有者全員の同意を要する。保存行為は各共有者が単独でできる(252条)。共有物の分割はいつでも請求できるが、5年を超えない範囲で不分割の特約ができる(256条、更新も5年まで)。
補足共有物に対する保存行為(修繕等)は、各共有者が単独で行うことができる。
問41保証契約の書面性と連帯保証の抗弁
民法上の保証に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証契約は、口頭の合意によってもその効力を生ずる。
- イ.連帯保証人は、催告の抗弁及び検索の抗弁を有しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 口頭の保証は無効
民法第446条「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 連帯保証は主たる債務者に先に請求せよと言えない
民法第454条「主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない」e-Gov原文
ひっかけ保証契約は『書面が必要』、連帯保証人は『催告・検索の抗弁なし』。
解説保証契約は、保証人保護のため書面(又は電磁的記録)でしなければ効力を生じない要式契約である(446条)。通常の保証人は、債権者がまず主たる債務者に請求すべき旨を求める催告の抗弁(452条)、主たる債務者に資力があり執行が容易なことを示す検索の抗弁(453条)を有するが、連帯保証人はこれらの抗弁を有しない(454条)。
補足連帯保証人には分別の利益もなく、債権者は連帯保証人に全額を請求できる。
問42使用者責任と共同不法行為
民法上の不法行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.ある事業のために他人を使用する者は、被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたときであっても、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を免れることはできない。
- イ.数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えた場合において、共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときは、各自は連帯して損害を賠償する責任を負わず、現実に損害を加えた者のみが責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 選任監督を尽くせば使用者責任を免れうる
民法第715条「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 誰が加えたか不明でも全員が連帯して責任
民法第719条「共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする」e-Gov原文
ひっかけ使用者責任は『免責の余地あり』、共同不法行為は『加害者不明でも連帯責任』。
解説使用者責任は、被用者が事業の執行について第三者に与えた損害を使用者が賠償する責任で、選任・監督に相当の注意をしたとき等は免責される(715条。もっとも実務上免責は容易に認められない)。共同不法行為では、各加害者が連帯して全額の賠償責任を負い、共同行為者のうち誰が損害を加えたか不明のときも同様である(719条)。
補足使用者が被害者に賠償したときは、被用者に対して求償することができる(715条3項)。
問43催告による解除と解除における第三者の保護
民法上の契約の解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
- イ.契約の解除により各当事者が相手方を原状に復させる義務を負う場合、この原状回復によって第三者の権利を害することもできる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 相当期間の催告後に不履行なら解除可
民法第541条「相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 解除前の第三者は保護される
民法第545条「ただし、第三者の権利を害することはできない」e-Gov原文
ひっかけ催告解除は『相当期間の催告後』、原状回復は『第三者の権利を害せない』。
解説債務不履行による解除には、相当の期間を定めて催告した上で行う催告解除(541条。不履行が軽微なときは不可)と、催告を要しない無催告解除(542条)がある。解除により各当事者は原状回復義務を負うが、解除前に現れた第三者の権利を害することはできない(545条1項ただし書)。
補足解除によって保護される第三者は、解除前に登記等の対抗要件を備えている必要がある(判例)。
問44相続の放棄の効力と抵当権消滅請求
民法上の相続の放棄及び抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続の放棄をした者は、その相続に関しては、相続の開始の時に遡って相続人となる。
- イ.抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 放棄者は最初から相続人でなかった扱い
民法第939条「初めから相続人とならなかったものとみなす」e-Gov原文
- イ.正しい
- 第三取得者は抵当権消滅請求権を持つ
民法第379条「抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ相続放棄は『初めから相続人でなかった扱い』、第三取得者は『抵当権消滅請求可』。
解説相続の放棄をした者は、初めから相続人とならなかったものとみなされ(939条)、その放棄により次順位の者が相続人となる(代襲相続は生じない)。抵当不動産を買い受けた第三取得者は、抵当権者に対し一定の金額を提供して抵当権の消滅を求める抵当権消滅請求をすることができる(379条・383条)。
補足相続の放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述する。
問45連帯債務の絶対的効力と相対的効力の原則
民法上の連帯債務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
- イ.連帯債務者の一人について生じた事由は、更改、相殺及び混同等の例外を除き、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 更改は絶対的効力を持つ
民法第438条「連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 原則は相対的効力
民法第441条「連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない」e-Gov原文
ひっかけ絶対効は『更改・相殺・混同』のみ、それ以外は『相対効が原則』。
解説連帯債務では、絶対的効力が認められるのは更改(438条)・相殺(439条)・混同(440条)に限られ、それ以外の事由(履行の請求・免除・時効の完成等)は相対的効力にとどまる(441条、相対的効力の原則)。改正前は履行の請求等にも絶対的効力があったが、現行法では当事者が別段の意思を表示しない限り相対的効力となる。
補足債権者と他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、その意思に従う(441条ただし書)。
問46債権譲渡の対抗要件
民法上の債権の譲渡に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
- イ.債権譲渡の通知又は承諾は、確定日付のある証書によらなくても、債務者以外の第三者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 通知・承諾がないと対抗できない
民法第467条「譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 第三者対抗要件は確定日付のある証書
民法第467条「確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ債務者対抗は『通知・承諾』、第三者対抗は『確定日付のある証書』が必要。
解説債権譲渡を債務者・第三者に対抗するには、譲渡人から債務者への通知又は債務者の承諾が必要で(467条1項)、さらに債務者以外の第三者に対抗するには、その通知・承諾が確定日付のある証書(内容証明郵便等)によることを要する(同2項)。二重譲渡の優劣は確定日付のある通知の到達の先後で決まる(判例)。
補足確定日付のある通知が同時に到達した場合、各譲受人は債務者に全額を請求できる(判例)。
問47譲渡制限の意思表示と危険負担
民法上の譲渡制限の意思表示及び危険負担に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときは、その債権の譲渡は、その効力を妨げられ、無効となる。
- イ.当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- イ.正しい
- 危険負担で反対給付の履行を拒否できる
民法第536条「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」e-Gov原文
ひっかけ譲渡制限があっても譲渡は『有効』、双方無責の履行不能は『反対給付を拒める』。
解説譲渡制限の意思表示(譲渡禁止特約)があっても、債権の譲渡自体は有効である(466条2項)。ただし、悪意・重過失の譲受人に対しては、債務者は履行を拒み、譲渡人への弁済等を対抗できる(同3項)。危険負担では、双方の責めに帰せない事由で債務が履行不能になったとき、債権者は反対給付(代金等)の履行を拒むことができる(536条1項)。
補足債権者の責めに帰すべき事由による履行不能では、債権者は反対給付の履行を拒めない(536条2項)。
問48留置権の成立要件
民法上の留置権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権が弁済期にない場合であっても、その物を留置することができる。
- イ.占有が不法行為によって始まった場合であっても、その物に関して生じた債権を有するときは、留置権が成立する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 弁済期未到来では留置できない
民法第295条「その債権が弁済期にないときは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 不法占有者に留置権は認められない
民法第295条「占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ留置権は『弁済期到来』が必要、『不法占有』では成立しない。
解説留置権は、他人の物の占有者がその物に関して生じた債権(牽連性のある債権)を有し、かつその債権が弁済期にあるときに成立し、弁済を受けるまで物を留置できる(295条1項)。占有が不法行為によって始まった場合には成立しない(同2項)。留置権者は債権全部の弁済を受けるまで留置物の全部について権利を行使できる(296条、不可分性)。
補足留置権者は、債権全部の弁済を受けるまで留置物の全部を留置できる(296条、不可分性)。
問49相殺の要件と相殺の遡及効
民法上の相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。
- イ.相殺の意思表示は、その意思表示をした時からその効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 相殺適状にあれば相殺できる
民法第505条「双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 相殺は相殺適状の時に遡って効力が生じる
民法第506条「双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ相殺は『相殺適状で可』、効力は『相殺適状時に遡及』。
解説相殺は、二人が互いに同種の目的の債務を負担し双方が弁済期にあるとき(相殺適状)に、一方からの意思表示によってする(505条・506条1項。条件・期限は付せない)。その効力は、双方の債務が相殺に適するようになった時(相殺適状時)にさかのぼって生ずる(506条2項、遡及効)。
補足相殺の意思表示には、条件又は期限を付することができない(506条1項後段)。
問50受領権者としての外観を有する者に対する弁済と弁済による代位
民法上の弁済に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であれば、過失があっても、その効力を有する。
- イ.債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 善意無過失でなければ弁済は有効とならない
民法第478条「その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 弁済者は債権者の権利を取得する
民法第499条「債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する」e-Gov原文
ひっかけ外観への弁済は『善意かつ無過失』、弁済者は『債権者に代位』する。
解説受領権者としての外観を有する者(債権者らしい外観の者)に対する弁済は、弁済者が善意かつ無過失のときに限り有効となる(478条、表見受領権者への弁済)。債務者のために弁済をした者は、弁済によって債権者に代位し(499条)、債権者が有していた担保権等を行使できる(弁済による代位)。
補足弁済による代位をした者は、求償できる範囲内で債権者が有していた権利を行使できる(501条)。
問51債権者代位権の要件と範囲
民法上の債権者代位権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは債務者に属する権利を行使することができるが、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利については、被代位権利として行使することができない。
- イ.債権者が被代位権利を行使する場合において、被代位権利の目的が可分であるときは、債権者は自己の債権の額にかかわらず被代位権利の全部を行使することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 423条1項ただし書が代位の対象から除く
民法第423条「債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 423条の2が範囲を自己の債権額に限定
民法第423条の2「被代位権利の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ」e-Gov原文
ひっかけ代位できる範囲は『自己の債権額の限度』。可分でも全部はダメ。
解説債権者代位権は、債権者が自己の債権を保全するため必要があるときに、債務者に属する権利(被代位権利)を行使する制度(423条1項)。①一身専属権・差押禁止権利は対象外(同項ただし書)、②被代位権利が可分なら自己の債権額の限度でのみ行使できる(423条の2)、③債権の期限が未到来の間は原則行使できない(保存行為を除く。423条2項)。
補足債権が強制執行により実現できないものであるときは、被代位権利を行使できない(423条3項)。
問52詐害行為取消権の要件
民法上の詐害行為取消権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権者は、その債権が、債務者が債権者を害することを知ってした行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、詐害行為取消請求をすることができる。
- イ.詐害行為取消請求は、財産権を目的としない行為については、することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 424条3項が被保全債権の発生時期を限定
民法第424条「その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り」e-Gov原文
- イ.正しい
- 424条2項が身分行為等を除外
民法第424条「前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ詐害行為取消しは必ず『裁判所に請求』。受益者が善意なら取消し不可。
解説詐害行為取消権は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求する制度(424条1項本文)。①受益者が行為時に善意なら取り消せない(同項ただし書)、②財産権を目的としない行為は対象外(同条2項)、③被保全債権は詐害行為の前の原因に基づくことが必要(同条3項)。必ず裁判所に請求して行う。
補足債権が強制執行により実現できないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない(424条4項)。
問53同時履行の抗弁権
民法上の同時履行の抗弁に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.双務契約の当事者の一方は、相手方の債務が弁済期にない場合であっても、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。
- イ.双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 533条ただし書が弁済期前の相手方には抗弁を否定
民法第533条「ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ相手方が『弁済期前』なら同時履行の抗弁は使えない。
解説同時履行の抗弁は、双務契約で相手方が債務の履行(履行に代わる損害賠償を含む)を提供するまで自己の債務の履行を拒める権利(533条本文)。ただし相手方の債務が弁済期にないとき(自分が先履行義務を負うとき)は主張できない(同条ただし書)。
補足相手方が一度履行の提供をしても、その後提供をやめれば同時履行の抗弁は復活する(判例)。
問54公道に至るための他の土地の通行権
民法上の相隣関係(公道に至るための他の土地の通行権)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るためにその土地を囲んでいる他の土地を通行するには、囲んでいる土地の所有者の承諾を得なければならず、承諾がなければ通行することができない。
- イ.公道に至るための通行権を有する者は、その通行する他の土地に損害が生じても、その損害に対して償金を支払う必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 210条1項が法律上当然に通行権を認める
民法第210条「公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 212条本文が償金支払義務を定める
民法第212条「その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない」e-Gov原文
ひっかけ袋地の通行権は『当然に発生』。ただし償金は必要。
解説袋地(他の土地に囲まれて公道に通じない土地)の所有者は、囲繞地を通行できる(210条1項)。通行権は法律上当然に発生し承諾は不要だが、①場所・方法は損害が最も少ないものを選ぶ(211条1項)、②通行地の損害に対し償金を支払う(212条本文)。
補足土地の分割によって袋地が生じたときは、その土地の所有者は他の分割者の所有地のみを通行でき、この場合は償金を支払う必要がない(213条)。
問55時効の援用と時効利益の放棄
民法上の時効の援用等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.時効は、当事者が援用しない場合であっても、その完成により権利の得喪が確定するから、裁判所は当事者の援用を待たずに職権で時効によって裁判をすることができる。
- イ.時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 145条が援用を要件とする
民法第145条「援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 146条が事前放棄を禁止
民法第146条「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない」e-Gov原文
ひっかけ時効は『援用』が必要。完成前の利益放棄は不可。
解説時効は、当事者(消滅時効では保証人・物上保証人・第三取得者等を含む)が援用してはじめて裁判上考慮される(145条)。また時効の利益はあらかじめ放棄できない(146条)が、時効完成後の放棄は可能である。
補足消滅時効では、保証人・物上保証人・第三取得者など権利の消滅について正当な利益を有する者も時効を援用できる(145条かっこ書)。
問56根抵当権の意義と被担保債権の範囲
民法上の根抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.根抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するために設定することができる。
- イ.根抵当権の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との間に生ずる一切の債権とすることができ、取引の種類等によって限定する必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 398条の2第1項が根抵当権を定義
民法第398条の2「一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 398条の2第2項が範囲の限定を要求
民法第398条の2「債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない」e-Gov原文
ひっかけ根抵当の被担保債権は『一切の債権』ではダメ。範囲を限定する。
解説根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保する抵当権(398条の2第1項)。①被担保債権の範囲は特定の継続的取引契約等に限定して定める(同条2項、包括根抵当は不可)、②確定した元本に加え利息・遅延損害金の全部を極度額の限度で担保する(398条の3第1項)。
補足根抵当権者は、確定した元本のほか利息その他の定期金・遅延損害金の全部について、極度額を限度として行使できる(398条の3第1項。普通抵当の最後の2年分の制限は及ばない)。
問57自己契約・双方代理
民法上の自己契約・双方代理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同一の法律行為について当事者双方の代理人としてした行為は、原則として、代理権を有しない者がした行為(無権代理)とみなされる。
- イ.債務の履行については、双方代理に当たる場合であっても、代理権を有しない者がした行為とはみなされない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 108条1項本文が自己契約・双方代理を無権代理とみなす
民法第108条「当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす」e-Gov原文
- イ.正しい
- 108条1項ただし書が債務の履行等を除外
民法第108条「債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ双方代理でも『債務の履行』『本人の事前許諾』は有効。
解説自己契約(相手方の代理人となる)・双方代理(当事者双方の代理人となる)は、本人と代理人(又は本人相互)の利益が衝突するため、原則として無権代理とみなされる(108条1項本文)。例外として、①債務の履行、②本人があらかじめ許諾した行為は有効(同項ただし書)。代理人と本人の利益が相反する行為も無権代理とみなされる(同条2項)。
補足無権代理とみなされても、本人が追認すれば有効となる(113条・116条)。
問58詐欺・強迫による意思表示と第三者保護
民法上の詐欺・強迫による意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.強迫による意思表示は、取り消すことができる。
- イ.強迫による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 96条1項が詐欺・強迫を取消事由とする
民法第96条「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 96条3項の第三者保護は詐欺取消しに限定される
民法第96条「詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ第三者保護は『詐欺』だけ。強迫の取消しは第三者に対抗できる。
解説詐欺・強迫による意思表示はいずれも取り消せる(96条1項)。ただし第三者保護のあり方が異なる。①詐欺取消しは善意無過失の第三者に対抗できない(同条3項)。②強迫取消しにはこの制限がなく、善意無過失の第三者にも対抗できる(強迫された者は詐欺より手厚く保護される)。③相手方のある意思表示に第三者が詐欺をした場合は、相手方が悪意・有過失のときに限り取り消せる(同条2項)。
補足取消し後に登場した第三者との関係は、取消しによる復帰的物権変動と対抗問題(177条)で処理される(判例)。
問59即時取得と盗品・遺失物の回復
民法上の即時取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取引行為によって平穏かつ公然と不動産の占有を始めた者は、善意でかつ過失がないときは、即時取得によりその不動産について行使する権利を取得する。
- イ.占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 192条が即時取得の対象を動産に限定
民法第192条「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 193条が盗品・遺失物の2年間の回復請求を認める
民法第193条「盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ即時取得は『動産』だけ。不動産には成立しない。
解説即時取得は、取引行為により平穏・公然・善意・無過失で動産の占有を始めた者が、即時にその動産について行使する権利を取得する制度(192条)。対象は動産に限られ不動産には及ばない。例外として、占有物が盗品・遺失物のときは、被害者・遺失者は盗難・遺失の時から2年間、回復を請求できる(193条)。
補足占有者が盗品等を競売・公の市場等で善意取得したときは、被害者は代価を弁償しなければ回復できない(194条)。
問60履行遅滞の起算点と損害賠償の範囲
民法上の債務不履行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務の履行について確定期限があるときであっても、債務者は、債権者から履行の請求を受けるまでは遅滞の責任を負わない。
- イ.特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 412条1項が確定期限の遅滞を期限到来時とする
民法第412条「その期限の到来した時から遅滞の責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 416条2項が予見可能性を要件に特別損害を認める
民法第416条「当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ確定期限は『到来時』に当然遅滞。請求は要らない。
解説履行遅滞の起算点は、①確定期限=期限到来時(412条1項、請求不要)、②不確定期限=期限到来後に請求を受けた時か到来を知った時の早い方(同条2項)、③期限の定めなし=請求を受けた時(同条3項)。損害賠償の範囲は、通常生ずべき損害(416条1項)に加え、当事者が予見すべきであった特別損害(同条2項)に及ぶ。
補足不確定期限の遅滞は、期限到来後の請求又は到来を知った時のいずれか早い時から始まる(412条2項)。
問61賃貸借の存続期間と敷金
民法上の賃貸借(存続期間・敷金)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。なお、借地借家法の適用は考慮しないものとする。
- ア.賃貸借の存続期間は50年を超えることができないが、契約で60年と定めたときは、その約定どおり存続期間は60年となる。
- イ.賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 604条1項が存続期間の上限を50年とする
民法第604条「五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 622条の2第2項が賃貸人の敷金充当権を定める
民法第622条の2「賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる」e-Gov原文
ひっかけ民法の賃貸借は上限50年。敷金充当を求められるのは賃貸人だけ。
解説民法上の賃貸借の存続期間は最長50年で、超える定めは50年に短縮される(604条1項。更新も更新時から50年が上限)。敷金は賃貸借に基づく賃借人の金銭債務を担保する金銭(622条の2第1項かっこ書)で、①賃貸借終了かつ明渡し後に未払債務を控除した残額を返還、②賃料等の不履行時は賃貸人が敷金を弁済に充当でき、賃借人側からの充当請求はできない(同条2項)。
補足敷金返還債務は、賃貸借終了かつ賃貸物の返還(明渡し)を受けたときに発生する。明渡しが先履行で、同時履行の関係には立たない(622条の2第1項1号)。
問62請負(注文者の解除と割合的報酬)
民法上の請負に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
- イ.注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなった場合、既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときであっても、請負人は報酬を一切請求することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 641条が注文者の任意解除権を定める
民法第641条「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 634条が割合に応じた報酬請求を認める
民法第634条「請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ完成前でも、可分な出来高で利益を受けるなら割合的報酬は請求できる。
解説請負では、①注文者は仕事完成前ならいつでも損害を賠償して契約を解除できる(641条、任意解除権)。②注文者の責めに帰せない事由で完成不能となった場合や仕事完成前に解除された場合でも、既履行の可分部分で注文者が利益を受けるときは、その部分を完成とみなし、請負人は利益の割合に応じた報酬を請求できる(634条)。
補足注文者の供した材料の性質や注文者の与えた指図によって生じた不適合は、原則として請負人の担保責任の対象外(636条本文。ただし請負人が不適当と知りながら告げなかったときは責任を負う)。
問63第三者の弁済
民法上の第三者の弁済に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務の弁済は、原則として、債務者でない第三者もすることができる。
- イ.弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反する場合であっても、常に有効に弁済をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 474条1項が第三者弁済を原則として認める
民法第474条「債務の弁済は、第三者もすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 474条2項が正当な利益のない第三者の弁済を制限
民法第474条「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない」e-Gov原文
ひっかけ『正当な利益のない第三者』は債務者・債権者の意思に反して弁済できない。
解説弁済は原則として第三者もできる(474条1項)。ただし弁済について正当な利益を有しない第三者は、①債務者の意思に反して弁済できない(同条2項本文。債権者が善意なら例外的に有効)、②債権者の意思に反して弁済できない(同条3項)。債務の性質が許さないときや当事者が禁止・制限の意思表示をしたときは第三者弁済できない(同条4項)。
補足物上保証人・抵当不動産の第三取得者・借地上建物の賃借人などは『正当な利益を有する第三者』にあたり、債務者の意思に反しても弁済できる。
問64弁済の提供の方法と受領遅滞
民法上の弁済の提供・受領遅滞に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.弁済の提供は、債権者があらかじめその受領を拒んでいる場合であっても、常に債務の本旨に従って現実にしなければならない。
- イ.債権者が債務の履行を受けることを拒んだことによって履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 493条ただし書が口頭の提供を認める
民法第493条「ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 413条2項が受領遅滞時の増加費用を債権者負担とする
ひっかけ受領拒絶があれば『口頭の提供』でよい。常に現実の提供は不要。
解説弁済の提供は債務の本旨に従い現実にするのが原則(493条本文)。ただし債権者があらかじめ受領を拒み、又は履行に債権者の行為を要するときは、準備を通知して受領を催告する『口頭の提供』で足りる(同条ただし書)。受領遅滞があると、①特定物の保存義務が自己の財産と同一の注意に軽減(413条1項)、②増加した履行費用は債権者の負担となる(同条2項)。
補足受領遅滞中に当事者双方の責めに帰せない事由で履行不能となったときは、債権者の責めに帰すべき事由とみなされる(413条の2第2項)。
問65委任(善管注意義務と任意解除)
民法上の委任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.受任者は、報酬を受ける特約の有無にかかわらず、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。
- イ.委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 644条が報酬の有無を問わず善管注意義務を課す
民法第644条「委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 651条1項が委任の任意解除権を定める
民法第651条「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ委任の善管注意義務は『無償でも』負う。解除はいつでも可。
解説委任では、受任者は報酬の有無を問わず善良な管理者の注意義務を負う(644条)。委任は信頼関係に基づくため各当事者がいつでも解除できる(651条1項)が、相手方に不利な時期の解除や受任者の利益をも目的とする委任の解除では、やむを得ない事由がない限り損害賠償を要する(同条2項)。
補足受任者は、委任事務の処理に当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない(646条1項)。
問66配偶者居住権
民法上の配偶者居住権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.配偶者は、配偶者居住権を第三者に譲渡することができる。
- イ.被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合には、配偶者は配偶者居住権を取得しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 1032条2項が譲渡を禁止
民法第1032条「配偶者居住権は、譲渡することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 1028条1項ただし書が共有の場合を除外
民法第1028条「被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ配偶者居住権は『譲渡できない』。共有建物では取得できない。
解説配偶者居住権は、被相続人の建物に相続開始時に居住していた配偶者が、遺産分割又は遺贈によりその建物全部を無償で使用収益できる権利(1028条1項)。被相続人が配偶者以外と共有していた建物では取得できない(同項ただし書)。①譲渡できない(1032条2項)、②配偶者は善管注意義務を負い、所有者の承諾なく増改築や第三者への使用収益をさせられない(同条1項・3項)。
補足配偶者居住権は登記をすることができ、登記を備えれば第三者に対抗できる(1031条)。
問67抵当建物使用者の引渡しの猶予
民法上の抵当建物使用者の引渡しの猶予に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物を競売手続の開始前から使用する者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
- イ.この引渡しの猶予は、抵当権者に対抗することができる賃貸借により建物を使用する者に対して認められる制度である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 395条1項が6か月の引渡し猶予を定める
民法第395条「その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 395条1項は対抗できない賃貸借の使用者を対象とする
民法第395条「抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者」e-Gov原文
ひっかけ猶予は『対抗できない』賃貸借の使用者の話。期間は6か月。
解説抵当建物使用者の引渡しの猶予は、抵当権者に対抗できない賃貸借で建物を使う者(競売開始前からの使用者等)が、買受人の買受けの時から6か月は建物の引渡しを猶予される制度(395条1項)。猶予期間中の建物使用の対価につき、買受人が相当の期間を定めて1か月分以上の支払を催告し、その期間内に支払がないときは猶予されない(同条2項)。
補足旧法の短期賃貸借制度(建物3年)は廃止され、現在は引渡しの猶予(6か月)に置き換えられている。
問68債権等の消滅時効期間
民法上の債権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から10年間行使しないときに、時効によって消滅する。
- イ.債権は、権利を行使することができる時から10年間行使しないときに、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 166条1項1号は主観的起算点から5年とする
民法第166条「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 166条1項2号が客観的起算点から10年とする
民法第166条「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」e-Gov原文
ひっかけ『知った時から5年/行使できる時から10年』。早く来た方で完成。
解説債権の消滅時効は、①債権者が権利を行使できることを知った時(主観的起算点)から5年、②権利を行使できる時(客観的起算点)から10年のいずれか早い方の経過で完成する(166条1項)。債権・所有権以外の財産権は、行使できる時から20年で消滅する(同条2項)。
補足人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、客観的起算点からの期間が20年に伸長される(167条)。