問1意思能力
意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
- イ.意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 3条の2のとおり → 正しい
民法第3条の2「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 97条1項のとおり → 正しい
民法第97条「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ意思能力を欠く法律行為は『無効』。意思表示は『到達した時』に効力(到達主義)(3条の2・97条)。
解説法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効である(3条の2)。意思能力とは、自己の行為の結果を判断できる能力をいう。また、意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生ずる(97条1項、到達主義)。意思能力と意思表示の効力発生時期を押さえる。
補足意思能力を欠く者の法律行為は無効、制限行為能力者の法律行為は取消し(5条等)という効果の違いに注意する。到達主義の例外として、相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは到達したものとみなされる(97条2項)。
問2意思表示の効力発生時期
意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
- イ.法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときであっても、その法律行為は有効である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 97条1項のとおり → 正しい
民法第97条「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 意思能力を欠く法律行為は無効 → 『有効である』は誤り
民法第3条の2「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」e-Gov原文
ひっかけ意思表示は『到達した時』に効力。意思能力を欠く法律行為は『無効』(97条・3条の2)。
解説意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生ずる(97条1項、到達主義)。隔地者間の契約の申込み・承諾の効力発生時期の基本である。また、意思能力を有しない者がした法律行為は無効である(3条の2)。意思表示の効力発生時期と意思能力を押さえる。
補足到達とは、相手方の了知可能な状態に置かれることをいい、現実に了知することまでは不要である。意思表示の通知後に表意者が死亡・意思能力喪失・行為能力制限を受けても、意思表示の効力は妨げられない(97条3項)。
問3心裡留保
心裡留保及び追認に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
- イ.取り消すことができる行為は、所定の追認権者が追認したときは、以後、取り消すことができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 93条1項のとおり → 正しい
民法第93条「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 122条のとおり → 正しい
民法第122条「取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない」e-Gov原文
ひっかけ心裡留保は『原則有効』(相手方が悪意・有過失なら無効)。追認すれば『以後取り消せない』(93条・122条)。
解説心裡留保(表意者が真意でないことを知ってした意思表示)は、原則として有効である(93条1項本文)。ただし、相手方がその真意でないことを知り、又は知ることができたとき(悪意・有過失)は無効となる(同項ただし書)。また、取り消すことができる行為は、追認権者が追認すると以後取り消すことができない(122条)。心裡留保の効果と追認を押さえる。
補足心裡留保の無効は善意の第三者に対抗できない(93条2項)。追認は、取消権の放棄として、取り消すことができる行為を確定的に有効にする行為である。
問4条件が成就した場合の効果
条件及び意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
- イ.意思表示は、表意者がその通知を発した時からその効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 127条1項のとおり → 正しい
民法第127条「停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 意思表示は到達した時に効力(到達主義)→ 『発した時』(発信主義)は誤り
民法第97条「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ停止条件は『成就した時』に効力発生。意思表示は『到達した時』に効力(発信主義ではない)(127条・97条)。
解説停止条件付法律行為は停止条件が成就した時から効力を生じ(127条1項)、解除条件付法律行為は解除条件が成就した時から効力を失う(同条2項)。また、意思表示は到達した時から効力を生ずる(97条1項、到達主義)。条件成就の効果と、意思表示の到達主義を押さえる。
補足停止条件は『成就すると効力が生じる』、解除条件は『成就すると効力が消滅する』という対応を押さえる。当事者が条件成就の効果を成就前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う(127条3項)。
問5不法な条件
条件及び取消権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不法な条件を付した法律行為は、無効とする。
- イ.取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 132条のとおり → 正しい
民法第132条「不法な条件を付した法律行為は、無効とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 126条のとおり → 正しい
民法第126条「取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする」e-Gov原文
ひっかけ不法な条件付きの法律行為は『無効』。取消権は『追認できる時から5年・行為時から20年』で時効消滅(132条・126条)。
解説不法な条件を付した法律行為は無効であり、不法な行為をしないことを条件とするものも同様に無効である(132条)。また、取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないとき、又は行為の時から20年を経過したときは、時効によって消滅する(126条)。条件の制限と取消権の期間を押さえる。
補足取消権の期間制限は『追認をすることができる時から5年』と『行為の時から20年』の2つで、いずれか早く満了した方で消滅する。期間の数値を正確に押さえる。
問6期限の利益及びその放棄
期限の利益及び条件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
- イ.不法な条件を付した法律行為であっても、有効である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 136条1項のとおり → 正しい
民法第136条「期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 不法な条件を付した法律行為は無効 → 『有効である』は誤り
民法第132条「不法な条件を付した法律行為は、無効とする」e-Gov原文
ひっかけ期限は『債務者の利益』のためと推定。不法な条件付きの法律行為は『無効』(136条・132条)。
解説期限は、債務者の利益のために定めたものと推定される(136条1項)。期限の利益は放棄することができるが、相手方の利益を害することはできない(同条2項)。また、不法な条件を付した法律行為は無効である(132条)。期限の利益と条件の制限を押さえる。
補足期限の利益は債務者にあると推定されるため、債務者は期限前に弁済(放棄)できる。ただし、利息付きの貸金などでは相手方(債権者)の利益を害しない範囲に限られる。
問7期限の利益の喪失
期限の利益の喪失に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者が破産手続開始の決定を受けたときであっても、債務者は、期限の利益を主張することができる。
- イ.債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたときは、債務者は、期限の利益を主張することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 破産手続開始決定で期限の利益を主張できない → 『主張することができる』は誤り
民法第137条「次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない」e-Gov原文
民法第137条「債務者が破産手続開始の決定を受けたとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 137条のとおり → 正しい
民法第137条「債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき」e-Gov原文
ひっかけ破産手続開始決定・担保の毀損・担保提供義務の不履行があれば、債務者は『期限の利益を主張できない』(137条)。
解説債務者は、次の場合には期限の利益を主張することができない(137条)。すなわち、破産手続開始の決定を受けたとき、担保を滅失・損傷・減少させたとき、担保を供する義務を負うのにこれを供しないときである。債務者の信用を悪化させる事情がある場合に、債権者が直ちに履行を請求できるようにする趣旨である。期限の利益喪失事由を押さえる。
補足137条の喪失事由は法定のものであり、実務では契約上さらに広い期限の利益喪失約款(期限の利益喪失特約)が定められることが多い。法定事由(破産・担保毀損・担保不提供)を押さえる。
問8任意代理人による復代理人の選任
復代理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.委任による代理人は、本人の許諾を得なくても、自由に復代理人を選任することができる。
- イ.委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 任意代理人は許諾等がなければ復代理人を選任できない → 『自由に選任できる』は誤り
民法第104条「委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 104条のとおり → 正しい
民法第104条「委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない」e-Gov原文
ひっかけ任意代理人は『本人の許諾又はやむを得ない事由』がなければ復代理人を選任できない(104条)。
解説委任による代理人(任意代理人)は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない(104条)。本人の信任に基づく任意代理では、復代理人の選任が制限される。これに対し、法定代理人は自己の責任で自由に復代理人を選任できる(105条)。任意代理と法定代理の復代理選任要件の違いを押さえる。
補足復代理人を選任しても代理人の代理権は消滅せず、復代理人は本人を直接代理する。任意代理人(制限あり)と法定代理人(原則自由)の違いが問われやすい。
問9代理権の消滅事由
代理権の消滅に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.本人の死亡によっては、代理権は消滅しない。
- イ.代理権は、本人の死亡、又は代理人の死亡若しくは代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたことによって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 本人の死亡で代理権は消滅する → 『消滅しない』は誤り
- イ.正しい
- 111条1項のとおり → 正しい
民法第111条「代理権は、次に掲げる事由によって消滅する」e-Gov原文
ひっかけ代理権は『本人の死亡』『代理人の死亡・破産・後見開始』で消滅(111条)。
解説代理権は、本人の死亡、又は代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判を受けたことによって消滅する(111条1項)。委任による代理権は、これらのほか委任の終了によっても消滅する(同条2項)。本人と代理人とで消滅事由が異なる(本人は死亡のみ、代理人は死亡・破産・後見開始)点に注意して押さえる。
補足代理人の『破産・後見開始』は消滅事由だが、本人の破産・後見開始は111条1項の消滅事由に挙げられていない。本人側と代理人側の消滅事由の違いが問われやすい。
問10代理権授与の表示による表見代理
表見代理及び条件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
- イ.解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 109条1項のとおり → 正しい
民法第109条「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 127条2項のとおり → 正しい
民法第127条「解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う」e-Gov原文
ひっかけ代理権授与の表示をした者は、表示した範囲の行為に『責任を負う』。解除条件成就で『効力を失う』(109条・127条)。
解説第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その表示した代理権の範囲内でその他人が第三者との間でした行為について責任を負う(109条1項本文、代理権授与の表示による表見代理)。ただし、第三者が代理権の不存在を知り又は過失で知らなかったとき(悪意・有過失)は責任を負わない。また、解除条件付法律行為は条件成就で効力を失う(127条2項)。表見代理と条件を押さえる。
補足表見代理には、代理権授与の表示(109条)、権限外の行為(110条)、代理権消滅後(112条)の3類型がある。いずれも本人に帰責性があり、相手方が善意無過失であることを要する点が共通する。
問11権限外の行為の表見代理
表見代理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、本人はその行為について責任を負う。
- イ.第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内の行為についても、責任を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 110条のとおり → 正しい
民法第110条「代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるとき」e-Gov原文
- イ.誤り
- 表示した範囲の行為について責任を負う → 『責任を負わない』は誤り
民法第109条「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ権限外の行為でも『正当な理由』があれば本人が責任(110条)。代理権授与の表示をした者は表示した範囲の行為に『責任を負う』(109条)。
解説代理人が権限外の行為をした場合において、第三者が代理人に権限があると信ずべき正当な理由があるときは、本人が責任を負う(110条、権限外の行為の表見代理)。基本代理権の存在と、第三者の善意無過失(正当な理由)が要件である。また、代理権授与の表示をした者は、表示した範囲の行為について責任を負う(109条1項)。表見代理の各類型を押さえる。
補足110条の『正当な理由』は、第三者の善意無過失と理解される。何らかの基本代理権が存在することが前提であり、まったく代理権のない者の行為には110条は適用されない。
問12代理権消滅後の表見代理
代理権消滅後の表見代理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理権の消滅後にその代理権の範囲内でされた代理行為について、本人は、代理権の消滅の事実を知らなかった善意無過失の第三者に対しても、責任を負わない。
- イ.他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内でその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 代理権消滅の事実を知らない第三者に本人は責任を負う → 『責任を負わない』は誤り
民法第112条「代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 112条1項のとおり → 正しい
民法第112条「代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ代理権の消滅後でも、消滅を知らない『善意無過失の第三者』には本人が責任を負う(112条)。
解説他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその範囲内でその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対して責任を負う(112条1項本文、代理権消滅後の表見代理)。ただし、第三者が過失によって消滅の事実を知らなかったときは責任を負わない。本人の帰責性と第三者の善意無過失を要件とする表見代理である。
補足代理権消滅後の表見代理(112条)は、かつて代理権があった者がその消滅後に代理行為をした場合に、消滅を知らない善意無過失の第三者を保護する。表見代理3類型(109条・110条・112条)を整理して押さえる。
問13無権代理の相手方の催告権
無権代理及び期限の利益に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.無権代理行為について、相手方が本人に対し相当の期間を定めて追認するかどうかの催告をし、本人がその期間内に確答をしないときは、本人は追認したものとみなされる。
- イ.期限の利益は、放棄することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 確答しないときは追認を拒絶したものとみなす → 『追認したものとみなす』は誤り
民法第114条「本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 期限の利益は放棄できる → 『放棄することができない』は誤り
ひっかけ無権代理の催告に本人が確答しないと『追認拒絶』とみなす。期限の利益は『放棄できる』(114条・136条)。
解説無権代理行為について、相手方は本人に対し相当の期間を定めて追認するかどうかの催告ができ、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる(114条)。本人の沈黙を追認拒絶と扱う点に注意する。また、期限の利益は放棄することができる(136条2項)。無権代理の催告権と期限の利益の放棄を押さえる。
補足無権代理の相手方には、催告権(114条、善意悪意を問わない)のほか、取消権(115条、善意の相手方に限る)が認められる。催告に対する本人の沈黙は『追認拒絶』とみなされる点を押さえる。
問14取り消すことができる行為の追認
追認及び復代理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取り消すことができる行為は、所定の追認権者が追認した後であっても、なお取り消すことができる。
- イ.委任による代理人は、やむを得ない事由がある場合であっても、復代理人を選任することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 追認した後は取り消せない → 『なお取り消すことができる』は誤り
民法第122条「取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- やむを得ない事由があれば復代理人を選任できる → 『選任できない』は誤り
民法第104条「委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない」e-Gov原文
ひっかけ追認すれば『以後取り消せない』。任意代理人はやむを得ない事由があれば復代理人を『選任できる』(122条・104条)。
解説取り消すことができる行為は、追認権者(120条に規定する者)が追認したときは、以後取り消すことができない(122条)。追認は取消権の放棄であり、法律行為を確定的に有効にする。また、委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときは、復代理人を選任することができる(104条)。追認の効果と復代理人選任の要件を押さえる。
補足追認は『取消権者が取消しの原因となっていた状況が消滅した後』にすることを要する(124条)。やむを得ない事由(本人と連絡が取れない緊急時等)があれば、任意代理人も復代理人を選任できる。
問15取消権の期間の制限
取消権の期間及び心裡留保に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取消権は、追認をすることができる時から10年間行使しないときに、時効によって消滅する。
- イ.表意者がその真意ではないことを知ってした意思表示は、原則として無効である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 取消権は追認できる時から5年で時効消滅 → 『10年間』は誤り
民法第126条「取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 心裡留保は原則有効(相手方が悪意有過失なら無効)→ 『原則として無効』は誤り
民法第93条「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない」e-Gov原文
ひっかけ取消権は追認できる時から『5年』(行為時から20年)で時効消滅。心裡留保は『原則有効』(93条・126条)。
解説取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないとき、又は行為の時から20年を経過したときに時効によって消滅する(126条)。また、心裡留保による意思表示は原則として有効であり、相手方が表意者の真意でないことを知り又は知ることができたとき(悪意・有過失)に限り無効となる(93条1項)。取消権の期間制限と心裡留保の効果を押さえる。
補足取消権の期間(5年・20年)と、債権の消滅時効(権利行使できることを知った時から5年・権利行使できる時から10年。166条1項)を混同しないこと。心裡留保は原則有効である点も狙われやすい。