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行政手続法・第15

企業活動と地域社会・行政等とのかかわりの問題(10問)

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この章で扱う論点10論点

企業と行政・地域社会の関わりをあつかう章です。独占禁止法の執行(排除措置命令・課徴金・リニエンシー)、行政手続法(審査基準・理由提示・行政指導・不利益処分の聴聞)、公益通報者保護、環境保全における事業者の責務を収録しています。行政の手続ルールと、企業が負う公的な責務が論点で、根拠は各法令とe-Govで照合しています。

独占禁止法の執行課徴金納付命令の下限と主体課徴金減免制度行政手続法上の審査基準申請拒否処分の理由提示行政指導の一般原則不利益処分の手続公益通報者保護環境保全における事業者の責務申請に対する審査・応答の義務

問題と解説を読む10

e-Gov逐語照合済み2026年6月時点の法令に準拠
1独占禁止法の執行(排除措置命令と課徴金納付命令)

独占禁止法の執行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公正取引委員会は、独占禁止法に違反する行為があるときは、当該行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。
  • 不当な取引制限をした事業者に対しては、公正取引委員会が課徴金の納付を命ずる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
独禁法7条の排除措置命令

独占禁止法第7条第1項違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができるe-Gov原文

正しい
独禁法7条の2の課徴金

独占禁止法第7条の2第1項課徴金を国庫に納付することを命じなければならないe-Gov原文

ひっかけ違反の制裁は刑事罰だけ、と思うと行政処分であるイを見落とす。公取委は行政処分として課徴金を命じる。

解説独占禁止法の執行は公正取引委員会が担う。違反行為に対しては、それを排除するための排除措置命令(独占禁止法7条)と、不当な取引制限等に対する課徴金納付命令(7条の2)という二本立ての行政処分がある。アは排除措置、イは課徴金で、ともに正しい。

補足令和元年改正で確約手続が導入され、公取委が示した懸念について事業者が自主的な改善計画を申請し認定を受ければ、排除措置命令等によらずに事件を解決できる道も開かれた。

2課徴金納付命令の下限と主体

課徴金納付命令に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 課徴金の額が100万円未満であるときは、公正取引委員会はその納付を命ずることができない。
  • 課徴金の納付は、公正取引委員会ではなく裁判所が命ずるものとされている。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
独禁法7条の2第1項ただし書

独占禁止法第7条の2第1項ただし書その額が百万円未満であるときは、その納付を命ずることができないe-Gov原文

誤り
独禁法7条の2の主体は公取委

独占禁止法第7条の2第1項公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、当該事業者に対しe-Gov原文

ひっかけ金銭的制裁は裁判所が決める、と思い込むとイを正しいと誤る。課徴金を命じるのは公取委。

解説課徴金納付命令は公正取引委員会が行う行政処分で、課徴金額が100万円未満のときは納付を命じることができない(独占禁止法7条の2第1項ただし書)。アは下限の定めどおりで正しく、イは命令主体を裁判所とした点で誤り。課徴金は行政処分であって刑事罰ではない。

補足課徴金の額は、原則として違反行為に係る売上額に一定率(不当な取引制限では原則10%)を乗じて算定され、違反の抑止を狙った金銭的不利益として位置づけられる。

3課徴金減免制度(リニエンシー)

課徴金減免制度に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 独占禁止法には課徴金の減免制度はなく、違反行為をした事業者は常に全額の課徴金を負担する。
  • 違反行為について最初に公正取引委員会に事実の報告及び資料の提出を行った事業者は、課徴金の納付を命じられないことがある。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
独禁法7条の4の課徴金減免

独占禁止法第7条の4第1項課徴金の納付を命じないものとするe-Gov原文

正しい
独禁法7条の4の自主申告による免除

独占禁止法第7条の4第1項第1号最初に公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行つた者e-Gov原文

ひっかけ違反したら必ず満額の課徴金、と考えるとアを正しいと誤る。自主申告による減免の道がある。

解説独占禁止法には課徴金減免制度(リニエンシー)があり、違反行為を自主的に公正取引委員会へ申告した事業者の課徴金を減免する。最初に事実の報告・資料提出をした事業者は課徴金の納付を命じられない(独占禁止法7条の4)。アは減免制度を否定した点で誤り、イはリニエンシーどおりで正しい。

補足減免は申告順位に応じて段階的で、調査開始前の最初の申告者は全額免除、以降は減算率が下がる。さらに調査協力の度合いに応じて減算する仕組みも併用される。

4行政手続法上の審査基準

申請に対する処分の手続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政庁は審査基準を定めるものとされ、行政上特別の支障があるときを除き、これを公にしておかなければならない。
  • 審査基準は行政庁の内部基準にすぎないため、これを公にする必要はない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
行手法5条の審査基準

行政手続法第5条行政庁は、審査基準を定めるものとするe-Gov原文

誤り
行手法5条3項の公開原則

行政手続法第5条第3項審査基準を公にしておかなければならないe-Gov原文

ひっかけ基準は役所の内部資料、と考えるとイを正しいと取り違える。審査基準は原則として公にされる。

解説行政庁は、申請に対する許認可等の判断について審査基準を定めるものとされ(行政手続法5条1項)、特別の支障がある場合を除き審査基準を公にしておかなければならない(同条3項)。判断の公正・透明を確保する趣旨。アは原則どおりで正しく、イを内部基準で非公開でよいとした点で誤り。

補足申請に対する処分の審査基準(5条)に対し、不利益処分については処分基準を定める努力義務がある(12条)。申請側は「定めるもの」、不利益処分側は「努めるもの」で義務の強さが異なる。

5申請拒否処分の理由提示

申請に対する処分の理由提示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政庁が申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合でも、その理由を示す必要はない。
  • 行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、申請者に対し、原則として同時に当該処分の理由を示さなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
行手法8条の理由提示

行政手続法第8条第1項当該処分の理由を示さなければならないe-Gov原文

正しい
行手法8条の理由提示義務

行政手続法第8条第1項申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならないe-Gov原文

ひっかけ断るだけなら理由は不要、と考えるとアを正しいと誤る。拒否処分にこそ理由提示が求められる。

解説行政庁が申請に対する許認可等を拒否する処分をするときは、申請者に対し、原則として同時にその理由を示さなければならない(行政手続法8条1項)。判断過程を明らかにし、不服申立ての便宜を図る趣旨。アは理由提示を不要とした点で誤り、イは原則どおりで正しい。

補足理由提示は形式的に条文番号を挙げれば足りるものではなく、判例上、いかなる事実関係にいかなる規範を適用したかを申請者が理解できる程度の記載が必要とされる。

6行政指導の一般原則

行政指導に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政指導は、その内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものでなければならない。
  • 行政機関は、相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
行手法32条1項の任意性

行政手続法第32条第1項行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならないe-Gov原文

誤り
行手法32条2項

行政手続法第32条第2項従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないe-Gov原文

ひっかけ指導に従わせるため不利益を課せる、と考えるとイを正しいと誤る。行政指導はあくまで任意。

解説行政指導は相手方の任意の協力によってのみ実現されるべきもので(行政手続法32条1項)、行政指導に従わなかったことを理由に不利益な取扱いをしてはならない(同条2項)。アは任意性の原則どおりで正しく、イは不服従を理由とする不利益取扱いを認めた点で誤り。

補足法令に違反する行為の是正を求める行政指導を受けた者は、その行政指導が法律の要件に適合しないと思うときは、行政機関にその中止等を求めることができる(36条の2)。

7不利益処分の手続(聴聞・弁明の機会)

不利益処分の手続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政庁は、不利益処分をしようとする場合でも、相手方に意見陳述のための手続を執る必要はない。
  • 許認可等を取り消す不利益処分をしようとする場合でも、聴聞の手続を執る必要はない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
行手法13条1項

行政手続法第13条第1項意見陳述のための手続を執らなければならないe-Gov原文

誤り
行手法13条1項1号イの聴聞

行政手続法第13条第1項第1号イ許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときe-Gov原文

ひっかけ行政が決めることに相手の言い分は要らない、と考えると両方とも誤る。不利益処分には意見を述べる機会が保障される。

解説行政庁は、不利益処分をしようとするときは、聴聞又は弁明の機会の付与という意見陳述の手続を執らなければならない(行政手続法13条1項)。とくに許認可等の取消しのように重い処分では聴聞が必要になる(同項1号イ)。アは手続不要、イは取消処分でも聴聞不要とした点で、いずれも誤り。

補足意見陳述には、許認可取消し等の重い処分で行う聴聞と、それ以外で行う弁明の機会の付与の2種類があり、聴聞は口頭・対面、弁明は原則書面によるという違いがある。

8公益通報者保護(解雇の無効)

公益通報者の保護に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 労働者が公益通報をしたことを理由とする解雇であっても、使用者の裁量により有効とすることができる。
  • 一定の要件を満たす公益通報をしたことを理由として事業者が行った解雇は、無効となる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
公益通報者保護法3条

公益通報者保護法第3条解雇は、無効とするe-Gov原文

正しい
公益通報者保護法3条の解雇無効

公益通報者保護法第3条が行った解雇は、無効とするe-Gov原文

ひっかけ内部告発した社員は会社の判断で辞めさせられる、と考えるとアを正しいと誤る。要件を満たす公益通報を理由とする解雇は無効。

解説労働者である公益通報者が、法の定める要件を満たす公益通報をしたことを理由として事業者が行った解雇は、無効とされる(公益通報者保護法3条)。内部告発を行った労働者を不利益から守る趣旨。アは使用者の裁量で有効にできるとした点で誤り、イは解雇無効どおりで正しい。

補足令和2年改正で、常時使用する労働者が300人を超える事業者には、公益通報に適切に対応するための体制整備(内部通報窓口の設置等)が義務づけられた(11条)。

9環境保全における事業者の責務

環境保全に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 事業者は、その事業活動に伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
  • 事業者は、その製品その他の物が廃棄物となった場合に、その適正な処理が図られるよう必要な措置を講ずる責務を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
環境基本法8条1項の事業者の責務

環境基本法第8条第1項公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有するe-Gov原文

正しい
環境基本法8条2項の責務

環境基本法第8条第2項その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有するe-Gov原文

ひっかけ環境対策は国や自治体の仕事、と考えるとアやイを誤りと取り違える。事業者自身にも法律上の責務がある。

解説環境基本法8条は事業者の責務を定める。事業活動に伴う公害の防止・自然環境の保全に必要な措置を講ずる責務(1項)に加え、製品等が廃棄物となった場合の適正処理に配慮する責務(2項)も負う。アもイも条文どおりで正しい。

補足8条2項は、製品が使われ廃棄された後の段階まで事業者に配慮を求めるもので、製造者が製品のライフサイクル全体に責任を負うという拡大生産者責任の考え方につながっている。

10申請に対する審査・応答の義務

申請に対する審査・応答に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない。
  • 申請が形式上の要件に適合しない場合でも、行政庁は補正を求めることなくこれを放置してよい。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
行手法7条の審査開始義務

行政手続法第7条申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならずe-Gov原文

誤り
行手法7条の補正・拒否義務

行政手続法第7条当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならないe-Gov原文

ひっかけ不備のある申請は受け取らず放っておける、と考えるとイを正しいと誤る。補正要求か拒否の応答が必要。

解説行政庁は、申請が事務所に到達したときは遅滞なく審査を開始しなければならず、形式上の要件に適合しない申請については、相当の期間を定めて補正を求めるか、許認可等を拒否しなければならない(行政手続法7条)。申請を握りつぶす対応を防ぐ趣旨。アは審査開始義務どおりで正しく、イは放置を認めた点で誤り。

補足行政庁は、申請が事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準処理期間を定めるよう努め、定めたときは公にしておかなければならない(6条)。応答の迅速化を促す仕組み。

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