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法の適用に関する通則法・第16

国際法務(渉外法務)の問題(20問)

この章を解く(20問)→

国際法務は、どの国の法と裁判所かを先に決める

国境をまたぐ取引の法務(渉外法務)をあつかう章です。準拠法の選択(当事者自治と最密接関係地法、消費者契約の特例、不法行為)、国際裁判管轄(被告の住所・管轄合意)、外国判決の承認、仲裁(妨訴抗弁・仲裁判断の効力)を収録しています。どの国の法・どの国の裁判所によるかという、国内取引にはない判断軸が中心で、法の適用に関する通則法・民事訴訟法・仲裁法を根拠に照合しています。

第16章は準拠法、国際裁判管轄、外国判決、仲裁です。国内法務と違い、内容に入る前に、どの国の法で判断し、どの裁判所や仲裁で解決するかが問題になります。

  • 準拠法は当事者自治と最密接関係地法を分ける。
  • 消費者契約や不法行為には特例がある。
  • 外国判決の承認と仲裁判断の効力を分ける。

この章で確認する論点

16章では、国際裁判管轄・国際裁判管轄の合意・仲裁合意と本案訴訟・準拠法の選択・準拠法の選択がない場合を中心に20問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

  • 国際契約の準拠法は法律で一律に決まる、と思うとイを正しいと誤る。原則は当事者が選べる。
  • 準拠法を決めていなければ日本の裁判所では日本法、と考えるとアを正しいと誤る。最密接関係地法による。
  • 不法行為は起きた場所の法、あるいは日本の裁判なら日本法、という思い込みで両方とも誤る。原則は結果発生地法。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

法の適用に関する通則法4条7条8条10条11条13条17条22条

民事訴訟法3条の23条の33条の7118条

仲裁法14条45条

問題と解説を読む20問・答え付き

答え・解説つきで20問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2026年6月〜2026年6月時点の法令に準拠
1準拠法の選択(当事者自治の原則)

国際的な契約の準拠法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 法律行為の成立及び効力は、当事者がその法律行為の当時に選択した地の法による。
  • 国際的な取引契約であっても、当事者が契約の準拠法を選択することはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
国際契約では複数国の法が関係し得るため、まず当事者が契約時に選んだ地の法を尊重する。当事者自治により、準拠法の予測可能性を確保する。

法の適用に関する通則法第7条法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法によるe-Gov原文

誤り
当事者が準拠法を選べないとすると、契約後にどの国の法が適用されるか不安定になる。通則法7条は、法律行為の成立・効力について当事者の選択を認めている。

法の適用に関する通則法第7条当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法によるe-Gov原文

ひっかけ国際契約の準拠法は法律で一律に決まる、と思うとイを正しいと誤る。原則は当事者が選べる。

解説国際的な契約の準拠法は、原則として当事者が選択した地の法による(法の適用に関する通則法7条)。これを当事者自治の原則という。どの国の法を適用するかを当事者が契約で決められる。アは当事者自治どおりで正しく、イは選択できないとした点で誤り。

補足もっとも当事者自治には修正があり、消費者契約(11条)や労働契約(12条)では、弱い立場の当事者を守るため、選択した法のほかに常居所地法・最密接関係地法の強行規定が割り込む。

2準拠法の選択がない場合(最密接関係地法)

準拠法の選択がない場合に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 当事者による準拠法の選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、常に法廷地である日本の法による。
  • 当事者による準拠法の選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、その法律行為に最も密接な関係がある地の法による。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
準拠法の選択がない場合でも、裁判所が日本にあるというだけで常に日本法になるわけではない。契約や法律行為と最も密接な関係を持つ地を探す。

法の適用に関する通則法第8条第1項当該法律行為に最も密接な関係がある地の法によるe-Gov原文

正しい
当事者の選択がないときの補充ルールは、法廷地法ではなく最密接関係地法である。取引の実質的な中心地に近い法を適用する発想で整理する。

法の適用に関する通則法第8条第1項当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法によるe-Gov原文

ひっかけ準拠法を決めていなければ日本の裁判所では日本法、と考えるとアを正しいと誤る。最密接関係地法による。

解説当事者が準拠法を選択していないときは、法廷地法(日本法)に直行するのではなく、その法律行為に最も密接な関係がある地の法による(法の適用に関する通則法8条1項)。アは常に日本法とした点で誤り、イは最密接関係地法どおりで正しい。

補足最密接関係地は、特徴的な給付を一方のみが行う契約では、その給付を行う当事者の常居所地法(事業者なら事業所所在地法)が最密接関係地法と推定される(8条2項)。

3不法行為の準拠法

渉外的な不法行為の準拠法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、常に加害行為が行われた地の法による。
  • 渉外的な不法行為には準拠法という概念がなく、日本の裁判所では常に日本法が適用される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
通則法17条本文は結果発生地法

法の適用に関する通則法第17条加害行為の結果が発生した地の法によるe-Gov原文

誤り
通則法17条が不法行為の準拠法を定める

法の適用に関する通則法第17条不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法によるe-Gov原文

ひっかけ不法行為は起きた場所の法、あるいは日本の裁判なら日本法、という思い込みで両方とも誤る。原則は結果発生地法。

解説渉外的な不法行為によって生ずる債権の成立・効力は、原則として加害行為の結果が発生した地の法による(法の適用に関する通則法17条本文)。準拠法の概念がないわけでも、加害行為地に固定されるわけでもない。アは加害行為地に固定した点で誤り、イは準拠法概念を否定した点で誤り。

補足ただし結果の発生がその地で通常予見できないものであったときは、例外的に加害行為が行われた地の法による(17条ただし書)。結果発生地が原則、加害行為地が例外の関係になる。

4消費者契約の準拠法の特例

渉外的な消費者契約の準拠法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 消費者契約について選択された準拠法が消費者の常居所地法以外の法であっても、消費者がその常居所地法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を事業者に表示したときは、その強行規定も適用される。
  • 消費者契約の成立及び効力について当事者による準拠法の選択がないときは、消費者の常居所地法による。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
消費者契約では、事業者に有利な準拠法選択だけで消費者の常居所地法上の強行保護を排除させない。消費者の意思表示により強行規定が割り込む。

法の適用に関する通則法第11条第1項消費者がその常居所地法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を事業者に対し表示したときはe-Gov原文

正しい
準拠法選択がない消費者契約では、通常の最密接関係地法ではなく、消費者の生活拠点である常居所地法を適用して保護を図る。

法の適用に関する通則法第11条第2項第七条の規定による選択がないときは、第八条の規定にかかわらず、当該消費者契約の成立及び効力は、消費者の常居所地法によるe-Gov原文

ひっかけ選んだ準拠法がすべてを支配する、と考えるとアやイの消費者保護の割り込みを見落とす。

解説消費者契約には準拠法の特例がある。事業者に有利な法が選択されても、消費者が常居所地法中の強行規定の適用意思を表示すれば、その強行規定も適用される(法の適用に関する通則法11条1項)。選択がないときは最密接関係地法ではなく消費者の常居所地法による(同条2項)。アもイも特例どおりで正しい。

補足同様の保護は労働契約にもあり、選択された法が最密接関係地法以外でも、労働者が最密接関係地法中の強行規定の適用意思を表示すれば、その強行規定が適用される(12条)。

5国際裁判管轄(被告の住所等)

国際裁判管轄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 人に対する訴えについて、その被告の住所が日本国内にあるときは、日本の裁判所が管轄権を有する。
  • 法人に対する訴えについては、その主たる事務所又は営業所が日本国内にあるときは、日本の裁判所が管轄権を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
国際裁判管轄の基本は、被告が日本に生活上の本拠を持つかどうかで判断する。被告の住所が日本にあれば、日本の裁判所で応訴を求めても不意打ちになりにくい。

民事訴訟法第3条の2第1項その住所が日本国内にあるときe-Gov原文

正しい
法人の場合は自然人の住所に当たる拠点として、主たる事務所又は営業所を見る。日本に主要拠点があれば、日本の裁判所に管轄を認める基礎がある。

民事訴訟法第3条の2第3項その主たる事務所又は営業所が日本国内にあるときe-Gov原文

ひっかけ国際取引の裁判はどこの国でも起こせる、と考えると管轄の基準を見落とす。原則は被告の所在地国。

解説国際裁判管轄の基本は被告の所在地にある。人に対する訴えは被告の住所が日本国内にあるとき(民事訴訟法3条の2第1項)、法人に対する訴えは主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき(同条3項)に、日本の裁判所が管轄権を持つ。アもイも条文どおりで正しい。

補足被告の所在地以外にも、契約上の債務履行地(3条の3)や不法行為地などの特別の管轄原因があり、さらに事案により日本での審理が当事者間の衡平を欠くときは、訴えが却下されることもある(特別の事情による却下。3条の9)。

6国際裁判管轄の合意

国際裁判管轄の合意に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に訴えを提起することができるかについて定めることができる。
  • 国際裁判管轄に関する合意は、口頭による合意であっても効力を生じる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
国際取引では、紛争になったときにどの国の裁判所へ行くかを事前に決める必要性が高い。民訴法は、一定の範囲で管轄裁判所の合意を認めている。

民事訴訟法第3条の7第1項いずれの国の裁判所に訴えを提起することができるかについて定めることができるe-Gov原文

誤り
管轄合意は紛争処理の場所を左右する重要な合意なので、後から言った言わないにならないよう書面性が要求される。口頭だけでは効力を生じない。

民事訴訟法第3条の7第2項書面でしなければ、その効力を生じないe-Gov原文

ひっかけ口約束でも管轄を決められる、と考えるとイを正しいと誤る。管轄合意には書面が要る。

解説当事者は、合意によりどの国の裁判所に訴えを提起できるかを定めることができる(民事訴訟法3条の7第1項)が、その合意は一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ書面でしなければ効力を生じない(同条2項)。アは合意の自由どおりで正しく、イは口頭でも有効とした点で誤り。

補足合意を記録した電磁的記録によってされたときも書面によるものとみなされる(3条の7第3項)。メール等の電子データでの合意も書面要件を満たしうる。

7外国判決の承認

外国裁判所の確定判決の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 外国裁判所の確定判決は、要件を問わず、当然に日本においてその効力を有する。
  • 外国判決が日本で効力を有するためには、その判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないことが必要である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
外国判決を無条件に日本で通用させると、日本の手続保障や公序に反する判断まで受け入れることになる。118条の承認要件をすべて満たす場合に限られる。

民事訴訟法第118条次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有するe-Gov原文

正しい
公序要件は、外国判決の結論や手続が日本の基本的な法秩序と相容れない場合に承認を拒むための安全弁である。承認要件の一つとして確認する。

民事訴訟法第118条第3号判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないことe-Gov原文

ひっかけ外国の判決でも確定すればそのまま日本で通用する、と考えるとアを正しいと誤る。承認には4つの要件がある。

解説外国裁判所の確定判決は、自動的に日本で効力を持つわけではなく、民事訴訟法118条の各号の要件(外国裁判所の裁判権、被告への送達又は応訴、公序良俗に反しないこと、相互の保証)をすべて満たす場合に限り効力を有する。アは無条件に効力を認めた点で誤り、イは公序要件どおりで正しい。

補足118条の要件を満たせば判決の効力は自動的に承認されるが、強制執行をするには別に日本の裁判所の執行判決を得る必要がある。承認と執行は別の段階になる。

8仲裁合意と本案訴訟(妨訴抗弁)

仲裁合意に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 仲裁合意の対象となる民事上の紛争について訴えが提起されたときは、受訴裁判所は、被告の申立てにより、原則として訴えを却下しなければならない。
  • 仲裁合意があっても、その対象となる紛争について訴えが提起されれば、裁判所は常に本案について審理しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
仲裁合意は、紛争を裁判所ではなく仲裁で解決するという合意である。被告がその合意を援用すれば、裁判所は原則として本案に入らず訴えを却下する。

仲裁法第14条第1項受訴裁判所は、被告の申立てにより、訴えを却下しなければならないe-Gov原文

誤り
仲裁合意があるのに裁判所が常に本案審理をするなら、仲裁を選んだ意味がなくなる。妨訴抗弁により、被告の申立てで訴えは却下され得る。

仲裁法第14条第1項訴えを却下しなければならないe-Gov原文

ひっかけ仲裁の約束があっても裁判は受けてもらえる、と考えるとイを正しいと誤る。被告が求めれば訴えは却下される。

解説仲裁合意がある紛争について一方が裁判所に訴えを提起しても、相手方(被告)が申し立てれば、受訴裁判所は原則として訴えを却下しなければならない(仲裁法14条1項)。これを仲裁合意の妨訴抗弁という。アは妨訴抗弁どおりで正しく、イは常に本案審理が必要とした点で誤り。

補足ただし却下されないのは、仲裁合意が無効・取消し等で効力を有しないときや、被告が本案について弁論をした後に申し立てたときなどで(14条1項各号)、抗弁のタイミングも問われる。

9仲裁判断の効力

仲裁判断の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 仲裁判断は、当事者間の合意にすぎず、確定判決のような効力を持つものではない。
  • 仲裁判断は、仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わず、確定判決と同一の効力を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
仲裁判断は私的な和解や単なる合意とは異なり、法律上、確定判決と同一の効力を認められる。仲裁を選ぶ実益は、この最終的な拘束力にある。

仲裁法第45条第1項確定判決と同一の効力を有するe-Gov原文

正しい
仲裁判断の効力は、仲裁地が日本国内か国外かだけで切り分けられない。条文は仲裁地を問わず確定判決と同一の効力を認める。

仲裁法第45条第1項仲裁判断(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。以下この章において同じ。)は、確定判決と同一の効力を有するe-Gov原文

ひっかけ仲裁はあくまで私的な話し合いの結果、と考えるとアを正しいと誤る。仲裁判断は確定判決と同じ効力を持つ。

解説仲裁判断は、仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わず、確定判決と同一の効力を有する(仲裁法45条1項)。単なる当事者間の合意ではなく、裁判の確定判決に匹敵する効力が認められる。アは効力を否定した点で誤り、イは条文どおりで正しい。

補足ただし仲裁判断に基づいて強制執行するには、別に裁判所の執行決定を得る必要がある(46条)。確定判決と同一の効力があることと、執行のために決定が要ることは別の問題になる。

10準拠法の選択がない場合の推定(特徴的給付・不動産)

準拠法の選択がない場合の最密接関係地法の推定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 準拠法の選択がない契約で、特徴的な給付を当事者の一方のみが行うときは、その給付を行う当事者の常居所地法が最密接関係地法と推定される。
  • 準拠法の選択がない場合でも、不動産を目的物とする法律行為については、その不動産の所在地法が最密接関係地法と推定される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
通則法8条2項の特徴的給付の推定

法の適用に関する通則法第8条第2項その給付を行う当事者の常居所地法e-Gov原文

正しい
通則法8条3項の不動産の推定

法の適用に関する通則法第8条第3項その不動産の所在地法を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定するe-Gov原文

ひっかけ最密接関係地は裁判官が裁量で決める、と考えると条文上の推定規定を見落とす。給付や目的物の種類で推定が働く。

解説準拠法の選択がない場合の最密接関係地法は、推定規定で具体化される。特徴的な給付を一方のみが行う契約ではその給付を行う当事者の常居所地法(法の適用に関する通則法8条2項)、不動産を目的物とする法律行為ではその不動産の所在地法(同条3項)が、それぞれ最密接関係地法と推定される。アもイも推定規定どおりで正しい。

補足物権そのものの準拠法は別に定められており、動産・不動産に関する物権は、契約の準拠法とは切り離して、その目的物の所在地法による(13条)。

11物権の準拠法(目的物の所在地法)

渉外的な物権の準拠法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法による。
  • 物権の準拠法は、契約の場合と同様に、当事者が合意により自由に選択することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
通則法13条1項の所在地法主義

法の適用に関する通則法第13条第1項動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法によるe-Gov原文

誤り
通則法13条1項は所在地法で、当事者自治の対象外

法の適用に関する通則法第13条第1項その目的物の所在地法によるe-Gov原文

ひっかけ契約で準拠法を選べるなら物権も選べる、と考えるとイを正しいと誤る。物権は所在地法で固定される。

解説物権の準拠法は、契約(法律行為)の準拠法と異なり、当事者の選択ではなく、その目的物の所在地法による(法の適用に関する通則法13条1項)。物がどの国にあるかで適用法が決まる。アは所在地法主義どおりで正しく、イは物権を当事者自治の対象とした点で誤り。

補足物権変動(権利の得喪)については、その原因となる事実が完成した当時の目的物の所在地法による(13条2項)。物が国境を越えて移動した場合に、どの時点の所在地法によるかを定めている。

12人の行為能力の準拠法(本国法)

渉外的な人の行為能力の準拠法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 人の行為能力は、行為が行われた地の法(行為地法)によって定めるのが原則である。
  • 本国法によれば行為能力の制限を受ける者であっても、行為地法によれば行為能力者となるべきときは、その法律行為の当時にそのすべての当事者が法を同じくする地に在った場合に限り、その者は行為能力者とみなされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
行為能力は、その人がどの法体系のもとで能力を持つかという身分的な問題なので、原則は行為地法ではなく本国法で判断する。

法の適用に関する通則法第4条第1項人の行為能力は、その本国法によって定めるe-Gov原文

正しい
本国法では制限能力者でも、行為地法上は能力者に見える場合、取引相手を保護する必要がある。全当事者が同一法地域にいた場合に限って能力者とみなす。

法の適用に関する通則法第4条第2項すべての当事者が法を同じくする地に在った場合に限り、当該法律行為をした者は、前項の規定にかかわらず、行為能力者とみなすe-Gov原文

ひっかけ能力は取引した国の法で決まる、と考えるとアを正しいと誤る。原則は本人の本国法。

解説人の行為能力は、原則としてその本国法によって定める(法の適用に関する通則法4条1項)。ただし取引の相手方を保護するため、本国法では制限行為能力者でも行為地法では行為能力者となるべきときは、当該法律行為の当時にすべての当事者が法を同じくする地に在った場合に限り、行為能力者とみなされる(同条2項)。アは行為地法を原則とした点で誤り、イは取引保護の特則どおりで正しい。

補足この取引保護の特則(4条2項)は、親族法・相続法の規定によるべき法律行為や、行為地と異なる地に在る不動産に関する法律行為には適用されない(同条3項)。家族関係や外国不動産の取引は対象外になる。

13法律行為の方式の準拠法

渉外的な法律行為の方式の準拠法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 法律行為の方式は、その法律行為の成立について適用すべき法(成立の準拠法)による。
  • 成立の準拠法によらない場合でも、行為地法に適合する方式は、有効とされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
方式は、法律行為が有効に成立するための形式面の問題であるため、まずその法律行為の成立について適用される法に従うのが原則となる。

法の適用に関する通則法第10条第1項法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法e-Gov原文

正しい
方式違反で法律行為を無効にしすぎると国際取引が不安定になる。そこで、成立準拠法に合わなくても、行為地法に合う方式なら有効とする余地を認めている。

法の適用に関する通則法第10条第2項行為地法に適合する方式は、有効とするe-Gov原文

ひっかけ方式は成立準拠法に厳密に従わなければ無効、と考えるとイを誤りと取り違える。行為地法に適合すれば有効になる。

解説法律行為の方式は、その法律行為の成立について適用すべき法による(法の適用に関する通則法10条1項)のが原則だが、これにかかわらず、行為地法に適合する方式も有効とされる(同条2項)。方式は成立準拠法か行為地法のいずれかに適合すれば有効になる。アもイも条文どおりで正しい。

補足もっとも、動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利を設定・処分する法律行為の方式には、この緩やかな扱い(行為地法でも有効とする規定)は適用されない(10条5項)。

14不法行為の準拠法と日本法の累積適用

不法行為について外国法が準拠法となる場合の日本法による制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 不法行為について外国法によるべき場合に、その事実が日本法によれば不法とならないときであっても、その外国法に基づく損害賠償その他の処分の請求をすることができる。
  • 不法行為について外国法によるべき場合に、その事実が外国法及び日本法の双方で不法となるときは、被害者は、外国法により認められる損害賠償その他の処分を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
通則法22条1項の日本法による制限

法の適用に関する通則法第22条第1項日本法によれば不法とならないときは、当該外国法に基づく損害賠償その他の処分の請求は、することができないe-Gov原文

誤り
通則法22条2項の日本法による制限

法の適用に関する通則法第22条第2項被害者は、日本法により認められる損害賠償その他の処分でなければ請求することができないe-Gov原文

ひっかけ準拠法が外国法ならその外国法の内容がそのまま通る、と考えると両方とも誤る。日本法が成立面・効果面の双方で枠をはめる。

解説不法行為の準拠法が外国法になる場合でも、日本法による二重の制限がかかる。第一に、その事実が日本法によれば不法とならないときは、外国法に基づく請求はできない(法の適用に関する通則法22条1項)。第二に、双方で不法となるときでも、被害者は日本法により認められる損害賠償その他の処分しか請求できない(同条2項)。アは1項の制限を、イは2項の制限を見落としており、いずれも誤り。

補足この仕組みは、日本の裁判所が外国法に基づく不法行為責任を判断する際に、日本法を最低限の基準として累積的に適用するもので、懲罰的損害賠償のように日本法が認めない救済を制限する役割を持つ。

15国際裁判管轄(契約上の債務の履行地)

国際裁判管轄における特別の管轄原因に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 契約上の債務の履行の請求を目的とする訴えは、契約において定められた当該債務の履行地が日本国内にあるときは、日本の裁判所に提起することができる。
  • 不法行為に関する訴えは、加害行為を行った被告が日本の国籍を有するときに限り、日本の裁判所に提起することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
民訴法3条の3第1号の債務履行地管轄

民事訴訟法第3条の3第1号契約において定められた当該債務の履行地が日本国内にあるときe-Gov原文

誤り
民訴法3条の3第8号は不法行為地が基準

民事訴訟法第3条の3第8号不法行為があった地が日本国内にあるときe-Gov原文

ひっかけ外国人相手の裁判は被告がどこの国の人かで決まる、と考えるとイを正しいと誤る。管轄は当事者の国籍ではなく事件と日本との地理的な結び付きで決まる。

解説被告の住所地(民事訴訟法3条の2)のほかにも、事件の内容に応じた特別の管轄原因がある。契約上の債務の履行の請求を目的とする訴えは、契約で定められた債務の履行地が日本国内にあれば日本の裁判所に提起でき(3条の3第1号)、不法行為に関する訴えは、不法行為があった地が日本国内にあれば提起できる(同条8号)。アは債務履行地管轄どおりで正しく、イは管轄原因を被告の国籍にすり替えた点で誤り。

補足これらの管轄原因があっても、日本の裁判所が審理することが当事者間の衡平や適正・迅速な審理を妨げる特別の事情があるときは、訴えが却下されることがある(3条の9)。

16法律行為の方式と準拠法

法律行為の方式の準拠法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 法律行為の方式は、原則として、その法律行為の成立について適用すべき法による。
  • 行為地法に適合する方式は、通則法上も有効とされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
法律行為の方式

法の適用に関する通則法第10条第1項法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法e-Gov原文

正しい
行為地法

法の適用に関する通則法第10条第2項行為地法に適合する方式は、有効とするe-Gov原文

ひっかけ方式は成立準拠法に厳密に従わなければ無効、と考えるとイを取り違える。行為地法に適合する方式も有効になる。

解説法律行為の方式は、その法律行為の成立について適用すべき法(成立の準拠法)によるのが原則である(法の適用に関する通則法10条1項)。もっとも、これにかかわらず、行為地法に適合する方式も有効とされる(同条2項)。つまり方式は、成立準拠法と行為地法のいずれかに適合すれば有効になり、アは原則どおり、イは選択的な有効化どおりで、ア・イとも正しい。

補足ただし、動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利を設定・処分する法律行為の方式には、この行為地法でも有効とする緩やかな扱いは適用されない(10条5項)。

17消費者契約の準拠法特例

消費者契約の準拠法特例に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 消費者契約について準拠法の選択がないときは、通則法8条にかかわらず、消費者の常居所地法による。
  • 消費者契約に当事者の準拠法選択がある場合、消費者の常居所地法中の強行規定が適用される余地はない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
消費者契約

法の適用に関する通則法第11条第2項消費者の常居所地法によるe-Gov原文

誤り
強行規定

法の適用に関する通則法第11条第1項その強行規定をも適用するe-Gov原文

ひっかけ選んだ準拠法がすべてを支配する、と考えるとイを正しいと誤る。消費者が求めれば常居所地法の強行規定が割り込む。

解説消費者契約には準拠法の特例がある。当事者が準拠法を選択していないときは、最密接関係地法(法の適用に関する通則法8条)ではなく消費者の常居所地法による(同11条2項)。アはこのとおりで正しい。また当事者が準拠法を選択している場合でも、消費者が常居所地法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を事業者に表示すれば、その強行規定も適用される(同条1項)。イは強行規定が適用される余地はないとした点で、この特例に反し誤り。

補足ただし、事業者が消費者の常居所地を知らず、かつ知らなかったことに相当の理由があるとき等は、この消費者保護の特例は適用されない(11条6項)。

18国際裁判管轄の合意(第16章・biz2-ch16-0018)

国際裁判管轄に関する合意に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に訴えを提起できるかを定めることができる。
  • 管轄権に関する合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関するもので、かつ書面でなければ効力を生じない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
管轄合意

民事訴訟法第3条の7第1項いずれの国の裁判所に訴えを提起することができるかについて定めることができるe-Gov原文

正しい
書面要件

民事訴訟法第3条の7第2項一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければe-Gov原文

ひっかけ管轄の合意は口約束でも自由にできる、と考えるとイを取り違える。合意には対象の限定と書面が要る。

解説当事者は、合意により、どの国の裁判所に訴えを提起できるかを定めることができる(民事訴訟法3条の7第1項)。アはこの合意の自由どおりで正しい。もっとも、その合意は一定の法律関係に基づく訴えに関するもので、かつ書面でしなければ効力を生じない(同条2項)。イはこの要件どおりで正しく、ア・イとも正しい。

補足合意が電磁的記録によってされたときも書面によるものとみなされる(3条の7第3項)ので、メール等の電子データによる管轄合意も書面要件を満たしうる。

19仲裁合意と本案訴訟

仲裁合意と本案訴訟に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 仲裁合意の対象となる民事上の紛争について訴えが提起されたとき、裁判所は一定の場合を除き、被告の申立てにより訴えを却下しなければならない。
  • 仲裁合意が無効である場合でも、裁判所は必ず訴えを却下しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
仲裁合意

仲裁法第14条第1項被告の申立てにより、訴えを却下しなければならないe-Gov原文

誤り
却下の例外

仲裁法第14条第1項第1号仲裁合意が無効、取消しその他の事由により効力を有しないときe-Gov原文

ひっかけ仲裁の約束があれば裁判所は常に訴えを却下する、と考えるとイを正しいと誤る。仲裁合意が無効なら却下されない。

解説仲裁合意がある紛争について訴えが提起されても、被告が申し立てれば、受訴裁判所は原則として訴えを却下しなければならない(仲裁法14条1項)。アは一定の場合を除くと正しく述べている。もっとも、仲裁合意が無効・取消しその他の事由により効力を有しないときは却下されない(同項1号)。イは無効な場合でも必ず却下されるとした点で、この例外を見落としており誤り。

補足却下されない例外は、仲裁合意の無効等のほか、被告が本案について弁論をした後に申し立てた場合などがある(14条1項各号)。妨訴抗弁を出すタイミングも要件になる。

20仲裁判断の承認と執行決定

仲裁判断の承認と執行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 仲裁判断は、仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わず、原則として確定判決と同一の効力を有する。
  • 仲裁判断に基づく民事執行をするには、執行決定は不要である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
仲裁判断の承認

仲裁法第45条第1項確定判決と同一の効力を有するe-Gov原文

誤り
執行決定

仲裁法第45条第1項民事執行をするには、次条の規定による執行決定がなければならないe-Gov原文

ひっかけ確定判決と同じ効力があるならそのまま強制執行できる、と考えるとイを正しいと誤る。執行には別に裁判所の執行決定が要る。

解説仲裁判断は、仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わず、原則として確定判決と同一の効力を有する(仲裁法45条1項本文)。アはこのとおりで正しい。もっとも、その仲裁判断に基づいて民事執行をするには、次条の執行決定がなければならない(同項ただし書・46条)。イは執行決定は不要とした点で誤り。確定判決と同一の効力があることと、強制執行に執行決定が要ることは別の段階になる。

補足執行決定を得た仲裁判断は債務名義となり、これに基づいて強制執行ができる(民事執行法22条6号の2)。

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