問1商標権の存続期間と更新
商標権の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年をもって終了する。
- イ.商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 商標法19条1項は、商標権の存続期間を設定登録の日から10年とする。特許権のような出願日起算ではない点も含めて正しい。
商標法第19条第1項「商標権の存続期間は、設定の登録の日から十年をもつて終了する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 商標法19条2項は、商標権者の更新登録の申請による存続期間の更新を認めている。10年で必ず権利が終わるわけではない。
商標法第19条第2項「商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる」e-Gov原文
ひっかけ10年の起算点は設定登録の日。そのうえで更新できる、というのが19条1項・2項。
解説商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年で終了する(商標法19条1項)。起算点が出願日でも査定日でもなく設定登録の日である点が、アの正誤を決める。そしてこの存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新できる(同19条2項)から、イも正しい。更新を繰り返す限り維持できるため、商標権は満了で消える特許権・意匠権と違い、半永久的に存続しうる。アが期間の長さ、イが更新の可否で、両方とも条文どおりなので『アー正、イー正』になる。
補足ただし更新で延々と残せる一方、継続して3年以上日本国内で使用していない登録商標は、不使用取消審判で取り消されうる(商標法50条)。
問2存続期間の更新登録の申請期間
商標権の存続期間の更新に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.更新登録の申請は、原則として、商標権の存続期間の満了前6月から満了の日までの間にしなければならない。
- イ.商標権は存続期間の満了によって当然に消滅し、更新は一切認められない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 申請期間
商標法第20条第2項「更新登録の申請は、商標権の存続期間の満了前六月から満了の日までの間にしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 更新可能
商標法第19条第2項「商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる」e-Gov原文
ひっかけアは更新申請の時期(満了前6月〜満了日)、イは更新の可否そのもの。論点が別。
解説更新できること自体と、更新申請の時期は別の論点。更新登録の申請は、原則として商標権の存続期間の満了前6月から満了の日までの間にしなければならない(商標法20条2項)ので、この時期を述べたアは正しい。一方、更新は商標法19条2項で認められているから、更新を一切認めず満了で当然消滅するとしたイは誤り。したがって『アー正、イー誤』。更新が「できるか」(イ)と「いつ申請するか」(ア)を切り分けると、正誤がそのまま決まる。
補足この原則期間を過ぎても、満了後6月以内なら割増登録料を納めて申請でき、さらに正当な理由がある場合の回復手続も用意されている(商標法21条)。
問3商標登録の要件
商標登録の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であっても、自己の業務に係るものであれば当然に商標登録を受けることができる。
- イ.自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標は、一定の不登録事由に該当しない限り、商標登録を受けることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 識別力なし
商標法第3条第1項第1号「その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」e-Gov原文
- イ.正しい
- 登録の原則
商標法第3条第1項「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる」e-Gov原文
ひっかけ「自分の商品名だから当然登録できる」は通らない。普通名称のみの標章は3条1項1号で原則拒絶。
解説識別力の有無で正誤が分かれる。自己の業務に係る商品・役務について使用する商標は、不登録事由に該当しない限り商標登録を受けられる(商標法3条1項柱書)ので、登録の原則を述べたイは正しい。これに対し、その商品・役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、自他商品・役務を区別する力(識別力)を欠くため、3条1項1号により原則登録できない。よって「自己の商品なら当然登録できる」とするアは誤りで、『アー誤、イー正』。普通名称のみか否かが、アの分かれ目になる。
補足もっとも、登録時に識別力を欠く商標でも、使用された結果、需要者が誰の業務に係る商品・役務か認識できるに至れば、3条2項で登録が認められうる。
問4商標権の効力
商標権の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。
- イ.商標権の効力は、登録の際に指定した商品・役務の区分とは無関係に、あらゆる商品・役務に及ぶ。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 専用権
商標法第25条「商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 指定が基準
商標法第25条「商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する」e-Gov原文
ひっかけ専有の射程は「指定商品・指定役務」。区分と無関係に全分野へ及ぶ、はここで切れる。
解説商標権者は、指定商品または指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する(商標法25条)。専有の対象が「指定商品・指定役務」に係留されている点が、この問題の軸になる。アはこの専用権の内容そのものなので正しい。イは、区分と無関係にあらゆる商品・役務へ効力が及ぶとするが、25条は指定商品・役務を基準に効力を画しているので誤り。したがって『アー正、イー誤』。出願時に何を指定したかが権利範囲を決め、無限定には広がらない。
補足なお、登録商標を指定商品・役務に使う専用権(25条)とは別に、その類似範囲への他人の使用を排除できる禁止権が37条で定められている。
問5先使用による商標の使用をする権利
先使用権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の商標登録出願前から不正競争の目的でなくその商標を使用し、出願の際に需要者の間に広く認識されていた者は、継続使用などの要件を満たせば、その商標を使用する権利を有する。
- イ.商標権者又は専用使用権者は、先使用権を有する者に対し、混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 先使用権
商標法第32条第1項「現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは」e-Gov原文
商標法第32条第1項「その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 混同防止
商標法第32条第2項「混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ先に使い、出願時に周知だった者は使い続けられる。ただし混同防止表示を求められる余地がある。
解説他人の商標登録出願前から、日本国内で不正競争の目的でなくその商標を使用し、出願の際に自己の業務に係る商品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識(周知)されていた者は、継続使用などの要件を満たせば、その商品・役務についてその商標を使用する権利を有する(先使用権。商標法32条1項)。アはこの要件をなぞっているので正しい。そして商標権者または専用使用権者は、先使用権者に対し混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求できる(同32条2項)から、イも正しく、『アー正、イー正』。先使用権が成立しても出所混同のリスクは残るため、32条2項で表示請求という調整がかかる。
補足先使用権の成立には出願時に「周知」であることまで必要で、単に出願前から使っていたというだけでは32条1項の要件を満たさない。
問6商標の意義と存続期間
商標に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商標法上の「商標」には、文字や図形は含まれるが、音は一切含まれない。
- イ.商標権の存続期間は更新することができないため、設定登録から10年で確定的に消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 音商標等
商標法第2条第1項「「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」e-Gov原文
- イ.誤り
- 更新可能
商標法第19条第2項「商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる」e-Gov原文
ひっかけアは「商標は文字や図形だけ」、イは「10年で確定消滅」。どちらの思い込みも条文で崩れる。
解説商標の定義と存続期間の両方に誤りを仕込んだ問題で、結論は両方とも誤。商標法2条1項は、商標を、人の知覚によって認識できるもののうち、文字・図形・記号・立体的形状・色彩またはこれらの結合、音その他政令で定めるもの(標章)で、業として商品・役務に使用するものと定めるので、音を一切含まないとするアは誤り。商標権の存続期間は19条2項により更新登録の申請で更新できるから、10年で確定的に消滅するとしたイも誤り。よって『アー誤、イー誤』。アは「音が入るか」、イは「更新できるか」で、いずれも条文がそれを認めている。
補足音・色彩のみ・動き・ホログラム・位置の5つの「新しいタイプの商標」は、2015年4月1日施行の改正で登録できるようになった。
問7商標の先願主義
商標登録出願の先後関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同一又は類似の商品・役務について使用をする同一又は類似の商標について異なった日に2以上の商標登録出願があったときは、最先の出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
- イ.同一又は類似の商品・役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に2以上の出願があったときは、出願人の協議により定めた一の出願人のみが商標登録を受けることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 先願主義
商標法第8条第1項「同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 同日出願の処理
商標法第8条第2項「同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に二以上の商標登録出願があつたときは、商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる」e-Gov原文
ひっかけ両肢とも条文どおりの正しい記述。商品・役務と商標の「同一又は類似」という二重の要件を含んだまま読めるかが分かれ目。
解説同一又は類似の商品・役務について使用をする同一又は類似の商標について異なった日に2以上の商標登録出願があったときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる(商標法8条1項)。同日に2以上の出願があったときは、出願人の協議により定めた一の出願人のみが登録を受けられる(同8条2項)。アは8条1項、イは8条2項の文言に沿っており、ともに正しい。商標の先願も、商品・役務と商標の双方が同一又は類似であることを軸に競合を判定する。よって『アー正、イー正』。
補足同日出願で協議が成立しないときは、最終的にくじで一人を定める(8条5項)。先願か後願かだけでなく、商品・役務の類似まで含めて競合を見る。
問8商標登録を受けることができない商標
商標の不登録事由に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であっても、識別力さえあれば商標登録を受けることができる。
- イ.他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標は、商標登録を受けることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 不登録事由
商標法第4条第1項「次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない」e-Gov原文
商標法第4条第1項第7号「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」e-Gov原文
- イ.正しい
- 混同防止
商標法第4条第1項第15号「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」e-Gov原文
ひっかけアは「識別力さえあれば登録できる」とする肢。識別力(3条)を満たしても、公序良俗違反(4条1項7号)なら登録できない。
解説公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標は、識別力の有無を問わず商標登録を受けることができない(商標法4条1項7号)。識別力さえあれば登録できるとするアは誤り。他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標も登録を受けられない(同4条1項15号)から、イは正しい。識別力を定める3条とは別に、4条1項が一連の不登録事由を並べており、3条をクリアしても4条に当たれば登録は認められない。よって『アー誤、イー正』。
補足4条1項には他にも、他人の周知商標と紛らわしい商標(10号)、他人の登録商標と同一・類似の商標(11号)など、混同のおそれ(15号)以外の不登録事由が並ぶ。
問9商標権の効力が及ばない範囲
商標権の効力が及ばない範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商標権の効力は、自己の氏名を普通に用いられる方法で表示する商標にも、当然に及ぶ。
- イ.商標権の効力は、指定商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する商標には及ばない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 効力の制限
商標法第26条第1項「商標権の効力は、次に掲げる商標」e-Gov原文
商標法第26条第1項第1号「自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標」e-Gov原文
- イ.正しい
- 記述的表示
商標法第26条第1項「商標権の効力は、次に掲げる商標」e-Gov原文
商標法第26条第1項第2号「普通に用いられる方法で表示する商標」e-Gov原文
ひっかけ自分の名前を普通に表示しただけなら、他人の商標権では止められない。
解説商標権は強い独占権だが、誰もが普通に使う表示まで独占させると不当なので、効力が及ばない範囲が定められている。自己の肖像・氏名・名称等を普通に用いられる方法で表示する商標(商標法26条1項1号)には、登録商標と同一・類似であっても商標権の効力は及ばない。アは『自己の氏名の普通の表示にも当然に効力が及ぶ』とするが、この1号により及ばないため誤り。イは指定商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する商標(同2号)に効力が及ばないとしており正しい。よって『アー誤、イー正』。
補足効力が及ばないのは氏名や普通名称の表示にとどまらない。慣用されている商標(26条1項4号)や、商品が当然に備える特徴のみからなる商標(同5号)にも及ばない。
問10専用使用権・通常使用権
商標権の利用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができ、専用使用権者は設定行為で定めた範囲内において登録商標の使用をする権利を専有する。
- イ.商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 専用使用権
商標法第30条第1項「商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができる」e-Gov原文
商標法第30条第2項「専用使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 通常使用権
商標法第31条第1項「商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる」e-Gov原文
ひっかけ専用使用権は範囲内で『専有』、通常使用権は非独占。同じライセンスでも独占の有無が違う。
解説商標権者は、商標を自ら使うほか、他人に使わせる形でも活用できる。専用使用権を設定すると、専用使用権者は設定行為で定めた範囲内で登録商標を使用する権利を専有する(商標法30条1項・2項)。アはこの専用使用権の設定と専有をそのまま述べたもので正しい。イは商標権者が他人に通常使用権を許諾できるとしており、同31条1項のとおりで正しい。よって『アー正、イー正』。専用使用権者の権利は『専有』である一方、通常使用権は非独占的である点が両者を分ける。
補足専用使用権は契約だけでは生じず、特許庁への登録が効力発生の要件である(30条4項)。設定された範囲では、商標権者自身もその範囲で登録商標を使えなくなる。
問11団体商標
団体商標に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.一般社団法人や事業協同組合等は、その構成員に使用をさせる商標について、団体商標の商標登録を受けることができる。
- イ.団体商標の商標登録を受けようとする者は、出願人が一定の法人であることを証明する書面を特許庁長官に提出しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 団体商標
商標法第7条第1項「その構成員に使用をさせる商標について、団体商標の商標登録を受けることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 出願の要件
商標法第7条第3項「商標登録出願人が第一項に規定する法人であることを証明する書面を特許庁長官に提出しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ団体商標は、団体が登録して構成員に使わせるブランドです。
解説団体商標は、一般社団法人その他の社団(法人格のないもの及び会社を除く)や事業協同組合等が、自らではなくその構成員に使用をさせる商標について登録を受ける制度である(商標法7条1項)。アはこの主体の説明として正しい。イも正しく、団体商標の出願人は、自分が7条1項の法人であることを証明する書面を特許庁長官に提出しなければならない(同条3項)。自己の業務に使う通常の商標とは、使わせる相手が構成員である点で出発点が違う。
補足団体商標とは別に、地域名と商品名からなる商標を組合等が登録できる地域団体商標の制度もある(7条の2)。
問12不使用による商標登録の取消審判
商標の不使用取消審判に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不使用を理由とする商標登録の取消審判を請求できるのは、その商標について利害関係を有する者に限られる。
- イ.継続して3年以上日本国内において商標権者等のいずれもが指定商品・指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、その商標登録の取消審判を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 請求人
商標法第50条第1項「何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 3年不使用
商標法第50条第1項「継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないとき」e-Gov原文
ひっかけ不使用取消審判は利害関係人に限らず、誰でも請求できます。
解説継続して3年以上、日本国内で商標権者・専用使用権者・通常使用権者のいずれもが各指定商品・役務について登録商標を使用していないとき、その商標登録の取消審判を請求できる(商標法50条1項)。この審判は「何人も」請求できるため、利害関係人に限るとするアは誤り。3年不使用を取消事由とするイは正しい。請求があると、商標権者の側が使用の事実を証明できない限り取消しを免れない(同2項)。
補足審判の請求前3月から請求登録の日までの「駆け込み使用」は、原則として使用と認められない(50条3項)。
問13防護標章登録
防護標章登録に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.防護標章登録は、登録商標が需要者の間に広く認識されているか否かにかかわらず、誰でも受けることができる。
- イ.商標権者は、登録商標が自己の指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合に、混同のおそれがある非類似の商品・役務について、その登録商標と同一の標章の防護標章登録を受けることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 著名性が前提
商標法第64条第1項「その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 効力範囲の拡張
商標法第64条第1項「その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる」e-Gov原文
ひっかけ防護標章登録は、著名なブランドの商標権者だけが使える仕組みです。
解説アは誤り。防護標章登録は『誰でも』受けられるものではなく、登録商標が需要者の間に広く認識されている(著名な)ことを前提に、その商標権者が受ける(商標法64条1項)。イは正しく、商標権者は、登録商標が自己の指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合に、混同のおそれがある非類似の商品・役務について、同一の標章の防護標章登録を受けられる(同64条1項)。商標権の効力は本来、指定商品・役務とその類似範囲にとどまるが、防護標章登録はその外側の非類似領域にまで他人の使用を禁じる効果を与え、著名商標の保護範囲を実質的に広げる。よってアー誤、イー正。防護標章はそれ自体を商標として使うものではなく、登録に基づく権利は10年ごとの更新登録の出願によって維持する。
補足指定商品の包装に登録防護標章を付して譲渡目的で所持する行為は、商標権の侵害とみなされる(同67条)。
問14商標権の侵害とみなす行為
商標権の侵害に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.登録商標と同一の商標の使用のみが商標権侵害となり、これに類似する商標の使用が侵害とみなされることはない。
- イ.指定商品又は指定役務についての登録商標に類似する商標の使用は、商標権を侵害するものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- みなし侵害
商標法第37条「次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす」e-Gov原文
商標法第37条第1号「指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用」e-Gov原文
- イ.正しい
- 類似範囲
商標法第37条第1号「指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用」e-Gov原文
ひっかけアは「同一の使用だけが侵害、類似は侵害でない」と言い切る肢。37条1号は類似商標の使用も侵害とみなしており、この言い切りが誤り。
解説商標権者は指定商品・役務について登録商標の使用を専有する(商標法25条)が、保護を実効的にするため、商標法37条は一定の行為を侵害とみなす。指定商品・役務についての登録商標に類似する商標の使用も、その一つ(同37条1号)である。だから侵害を同一商標の使用のみに限り、類似の使用は侵害とみなされないとするアは誤り。逆に、指定商品・役務についての登録商標に類似する商標の使用を侵害とみなすとするイは正しい。同一の使用だけでなく類似の範囲まで取り込む点が、みなし侵害の核心である。よって『アー誤、イー正』。
補足37条が侵害とみなすのは類似商標の使用にとどまらない。侵害品を所持・引渡し・輸出する行為や、登録商標を表示した物を製造・輸入する行為なども、別の号で侵害とみなされる。
問15商標の侵害とみなす行為(所持等)
商標権の侵害に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.登録商標を付した侵害品を、譲渡や引渡しのために所持する行為は、実際に譲渡しない限り、商標権侵害とみなされることはない。
- イ.指定商品又は指定役務についての登録商標に類似する商標の使用は、商標権を侵害するものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 予備的行為
商標法第37条「次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす」e-Gov原文
- イ.正しい
- 類似範囲
商標法第37条第1号「指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用」e-Gov原文
ひっかけアは「持っているだけでは、譲渡しない限り侵害でない」とする肢。37条は譲渡前の所持も侵害とみなしており、この限定が誤り。
解説商標法37条は、侵害品(登録商標等を付した商品)を譲渡・引渡し・輸出のために所持する行為も侵害とみなす。だから、所持は実際に譲渡しない限り侵害とみなされないとするアは誤り。一方、指定商品・役務についての登録商標に類似する商標の使用は侵害とみなされる(同37条1号)から、イは正しい。実際の使用・譲渡の前段階にある所持・製造・輸入といった予備的行為まで侵害に取り込むことで、商品が市場に流れ出る前の差止め等を可能にしている。よって『アー誤、イー正』。
補足所持のほか、登録商標を表示する物を使用・製造・輸入する行為なども号ごとに侵害とみなされる。流通に乗る前でも差止めの対象になるため、在庫を抱えた段階で止められる。
問16商標権侵害における損害額の推定
商標権侵害による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商標権侵害による損害賠償請求では、侵害者がその侵害行為により利益を受けていても、その利益額を商標権者の損害額と推定する規定はない。
- イ.商標権侵害で侵害者がその侵害行為により利益を受けているときは、その利益の額が商標権者の受けた損害の額と推定される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 推定規定
商標法第38条第2項「その利益の額は、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額と推定する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 立証負担の軽減
商標法第38条第2項「その利益の額は、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額と推定する」e-Gov原文
ひっかけ「利益額を損害と推定する規定はない」が誤り。条文は現に置かれている。
解説商標権侵害の損害額は本来権利者が立証しなければならないが、それが難しいため算定を助ける規定が置かれている。その一つが、侵害者がその侵害行為により受けた利益の額を商標権者が受けた損害の額と推定する規定(商標法38条2項)である。アは「その推定規定はない」と言い切るので誤り、イは利益額を損害額と推定するとしていて正しい。同じ38条の中に、侵害品の譲渡数量に単価を乗じる算定(1項)や使用料相当額の請求(3項)も並んでいる。
補足侵害者の利益を損害と推定するこの仕組みは商標法に固有のものではなく、特許法102条2項・不正競争防止法5条2項にも同型の規定がある。
問17商標の損害額の推定(総合)
商標権侵害による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商標権侵害では、侵害者がその侵害行為により受けた利益の額を、商標権者の損害額と推定する規定はない。
- イ.商標権者は、登録商標の使用に対し受けるべき金銭(使用料相当額)を、自己が受けた損害の額として賠償請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 推定規定
商標法第38条第2項「その利益の額は、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額と推定する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 使用料相当額
商標法第38条第3項「その登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ「推定規定はない」「使用料は請求できない」を二つ並べた肢。どちらも条文に反する。
解説アは「侵害者が受けた利益の額を商標権者の損害額と推定する規定はない」と言うが、商標法38条2項にその推定規定が現にあるので誤り。イは「使用料相当額を損害額として賠償請求できない」とするが、登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として請求できる規定が38条3項にあるので、これも誤り。利益額の推定(2項)と使用料相当額の請求(3項)が並び、さらに譲渡数量に基づく算定(1項)もあって、権利者は立証の負担を軽くできる。
補足使用料相当額の請求(38条3項)は、侵害者に利益が出ていなくても認められる最低限の救済として機能する点で、利益額の推定(2項)とは役割が違う。
問18商標登録出願の変更
商標登録出願の変更に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商標登録出願人は、団体商標の商標登録出願を通常の商標登録出願に変更すること等ができるが、その出願について査定又は審決が確定した後は、変更することができない。
- イ.商標登録出願の変更があっても、もとの商標登録出願は取り下げられたものとはみなされず、両方の出願が併存する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 変更の時期制限
商標法第11条第4項「前三項の規定による商標登録出願の変更は、商標登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- もとの出願の取下げ
商標法第11条第5項「もとの商標登録出願は、取り下げたものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ出願を別種類に変更した瞬間、元の出願は取下げ扱いで消え、二本立てにはならない。
解説アは時期的制限の話で正しい。通常・団体商標・地域団体商標の各出願は相互に変更できるが(商標法11条1項~3項)、その出願について査定又は審決が確定した後は変更できない(同条4項)。イは効果の話で誤り。出願の変更があったとき、もとの商標登録出願は取り下げたものとみなされる(同条5項)。両方の出願が併存することはない。出願の種類を後から選び直せる反面、変更すれば元の出願は消える。
補足変更後の出願はもとの出願の時にしたものとみなされ、出願日は維持される。
問19商標登録出願の変更(総合)
商標登録出願の変更に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商標登録出願の変更は、その出願について査定又は審決が確定した後であっても、いつでも行うことができる。
- イ.出願の変更があっても、もとの商標登録出願は取り下げられたものとはみなされない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 時期制限
商標法第11条第4項「前三項の規定による商標登録出願の変更は、商標登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- もとの出願の取下げ
商標法第11条第5項「もとの商標登録出願は、取り下げたものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ変更は査定確定後にはできず、変更すれば元の出願は消える。両方を否定した肢なので誤・誤。
解説アは「いつでも行うことができる」が誤り。商標登録出願の変更は、その出願について査定又は審決が確定した後はできない(商標法11条4項)。イも誤りで、変更があったときはもとの商標登録出願が取り下げたものとみなされる(同条5項)ため、「取り下げられたものとはみなされない」は条文と逆。前問(chizai-c3-0018)の正しい記述を裏返した肢で、時期制限ともとの出願の消滅という二点を否定しており、組み合わせは誤・誤。
補足通常・団体商標・地域団体商標は相互に変更できるが(11条1項~3項)、補正による種類の付け替えではなく別出願への切替えである点が前提。
問20商標権の差止請求権
商標権の差止請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.差止請求は、現に侵害が行われている場合に限られ、侵害するおそれがあるにすぎない者に対しては請求することができない。
- イ.商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 条文が侵害のおそれにも予防請求を認める
商標法第36条第1項「侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 条文が「侵害するおそれがある者」を対象に含む
商標法第36条第1項「自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し」e-Gov原文
ひっかけ「侵害するおそれがある者」の一語を落とすと、相手方が現実の侵害者だけに縮む。
解説第36条第1項は、商標権者又は専用使用権者が、自己の権利を「侵害する者又は侵害するおそれがある者」に対し、侵害の停止又は予防を請求できると定める。イはこの文言どおりで正しい。アは差止請求を現に侵害が行われている場合に限定するが、条文は「侵害するおそれがある者」も相手方に含めており、侵害前の予防請求が認められる。だからアは誤り。請求の相手方を、現に侵害する者だけに絞れるかどうかがアとイの分かれ目になっている。
補足差止請求は侵害者の故意・過失を要件としない。これに対し損害賠償では、特許法103条の準用により過失が推定される(商標法39条)。
問21商標権侵害に対する廃棄除却請求
商標権の差止請求に伴う措置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.侵害の行為を組成した物の廃棄や侵害の行為に供した設備の除却の請求は、差止請求とは無関係に、単独でのみ行うことができる。
- イ.商標権者又は専用使用権者は、差止請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄や侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 条文が「前項の規定による請求をするに際し」と定める
商標法第36条第2項「前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄」e-Gov原文
- イ.正しい
- 条文が廃棄・除却等の請求を認める
商標法第36条第2項「侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ2項冒頭の「前項の規定による請求をするに際し」を外すと、廃棄だけを単発でできると読めてしまう。
解説第36条第2項は、廃棄除却等の請求を「前項の規定による請求をするに際し」できると定める。前項とは差止請求のことだから、侵害組成物の廃棄や侵害供用設備の除却は、差止請求に付随して行う措置である。イはこの構造どおりで、侵害の予防に必要な行為として請求できるとしており正しい。アは廃棄・除却を差止請求と無関係に単独でのみ行えるとするが、条文が差止請求との同時行使を前提にしている以上、単独行使に限るという理解は誤り。「するに際し」の四文字が付随性を決めている。
補足廃棄・除却の対象は、侵害を組成した物と侵害に供した設備に限られ、その他の物には及ばない。
問22商標権の存続期間と更新
商標権の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年をもって終了する。
- イ.商標権の存続期間は、更新登録の申請により更新することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 商標法19条1項どおり、商標権は設定登録の日から10年で終了する。起算点を出願日とする特許権との混同に注意する。
商標法第19条第1項「商標権の存続期間は、設定の登録の日から十年をもつて終了する。」e-Gov原文
- イ.正しい
- 商標法19条2項は更新登録の申請による更新を認めているため、最初の10年が満了しただけで必ず保護が終わるわけではない。
商標法第19条第2項「商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる。」e-Gov原文
ひっかけ商標は『登録から10年』だが、更新で半永久に持てる。
解説商標権の存続期間は、設定登録の日から10年で終了する(商標法19条1項)。ただし更新登録の申請により更新でき(同条2項)、これを繰り返せば半永久的に権利を維持できる。商標は『出所表示』という機能を保護するため、使い続ける限り守られる点が、特許・意匠(期間満了で消滅)と大きく異なる。だからア・イとも正しい。結論はアー正、イー正。
補足更新の申請期間は満了前6か月から満了日まで(過ぎても6か月以内なら割増で可)。商標は使い続ける限り保護される点が他の産業財産権と異なる。
問23立体商標・商標の構成(標章の種類)
商標法上の商標を構成する標章に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.文字や図形だけでなく、商品や包装などの立体的形状も、商標を構成する標章となり、立体商標として登録を受けることができる。
- イ.音は、商標法上の商標を構成する標章には含まれない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 立体的形状も標章
商標法第2条第1項「文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」e-Gov原文
- イ.誤り
- 音も標章に含まれる
商標法第2条第1項「文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」e-Gov原文
ひっかけ商標は文字や図形だけではない。立体や音も対象になる。
解説商標を構成する標章は、文字・図形・記号だけではない。商標法2条1項は、標章として文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるものを挙げている。したがって商品の立体的形状は立体商標として登録の対象になり(アは正しい)、音も音商標として登録の対象になる(『音は含まれない』とするイは誤り)。マークや文字だけが商標だという思い込みが、そのまま誤りの選択肢になる。
補足色彩のみからなる商標や動き商標、ホログラム商標なども、法改正で登録の対象に加えられている。いずれも2条1項の『その他政令で定めるもの』などで受けている。
問24小売等役務商標
小売業者等が使用する商標に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供は、商標法上の役務には含まれない。
- イ.商品の品揃えや陳列など、小売の業務において顧客に提供する便益について使用する商標は、役務商標(小売等役務商標)として登録を受けることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 役務に含まれる
商標法第2条第2項「前項第二号の役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 役務商標として登録できる
商標法第2条第2項「前項第二号の役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする」e-Gov原文
ひっかけ「商品を売る店」の看板も、役務商標として守れる。
解説商標法2条2項は、役務(第2条1項2号の役務)には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする、と定める。つまり店舗での品揃え・陳列・接客といった小売のサービスは商標法上の役務に当たる(『含まれない』とするアは誤り)。そして、その便益について使用する商標は、商品の商標とは別に役務商標(小売等役務商標)として登録を受けることができる(イは正しい)。商品を売る行為そのものにブランドの保護を及ぼせる制度である。
補足小売等役務商標は2006年改正で導入された。総合小売(百貨店・スーパー等)と特定小売(特定商品の専門店)で、指定役務の考え方や登録の扱いに違いがある。
問25コンセント制度(承諾による登録)
先に出願された他人の登録商標と同一又は類似の商標の登録に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.先願に係る他人の登録商標と同一又は類似の商標であっても、その他人の承諾を得ており、かつ、両者の間で出所の混同を生ずるおそれがないものは、登録を受けられる場合がある。
- イ.この承諾による登録が認められるには、他人の承諾を得ていることに加えて、両者の商品又は役務の間で混同を生ずるおそれがないことが必要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 承諾+非混同で登録できる
商標法第4条第4項「その商標登録出願人が、商標登録を受けることについて同号の他人の承諾を得ており」e-Gov原文
- イ.正しい
- 承諾に加え非混同も必要
商標法第4条第4項「混同を生ずるおそれがないものについては、同号の規定は、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ承諾さえあれば通る、ではない。混同のおそれがないことも要る。
解説先に出願された他人の登録商標と同一又は類似の商標は、原則として登録を受けられない(商標法4条1項11号)。もっとも、令和の改正で導入されたコンセント制度により、その商標登録出願人が同号の他人の承諾を得ており、かつ、両者の商品・役務の間で混同を生ずるおそれがないものについては、同号の規定は適用されず、登録を受けられる(同条4項)。要件は『承諾を得ていること』と『混同を生ずるおそれがないこと』の二つで、承諾だけでは足りない。アもイもこの仕組みどおりで正しい。
補足コンセント制度は令和の商標法改正で導入された。承諾を得て登録された後に不正競争の目的で混同が生じた場合には、他人が混同防止表示の請求をできる仕組みもあわせて設けられている。