問1株式会社の設立の方法
会社法上の株式会社の設立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける方法(発起設立)又は引受人を募集する方法(募集設立)のいずれかにより設立することができる。
- イ.各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 設立方法は2種類
会社法第25条「株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 発起人は必ず株式を引き受ける
会社法第25条「各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない」e-Gov原文
ひっかけ設立は発起設立・募集設立の2方法。各発起人は1株以上引受け。
解説株式会社は、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける発起設立、又は発起人が一部を引き受けほかに引受人を募集する募集設立のいずれかの方法により設立することができる(25条1項)。各発起人は、設立に際し、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない(同2項)。
補足発起設立は発起人のみが株式を引き受け、募集設立は発起人以外の株式引受人を募集する点で異なる。
問2株主総会の権限
会社法上の株主総会の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主総会は、会社法に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
- イ.取締役会設置会社においても、株主総会は、株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 取締役会非設置会社では万能機関
会社法第295条「株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 取締役会設置会社では権限が限定される
会社法第295条「株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ株主総会は万能機関だが、取締役会設置会社では法定+定款事項に限る。
解説株主総会は、会社法に規定する事項及び株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる(万能機関。295条1項)。ただし、取締役会設置会社においては、株主総会は会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができる(同2項)。
補足取締役会非設置会社では株主総会が万能機関だが、取締役会設置会社では株主総会の権限が法定事項と定款所定事項に限定される。
問3株式会社の機関と役員の選任
会社法上の株式会社の機関及び役員の選任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.役員(取締役、会計参与及び監査役)及び会計監査人は、取締役会の決議によって選任する。
- イ.株式会社には、1人又は2人以上の取締役を置かなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- イ.正しい
- 取締役は必置機関
会社法第326条「株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない」e-Gov原文
ひっかけ取締役は必置。役員は株主総会の決議で選任(取締役会ではない)。
解説株式会社には、1人又は2人以上の取締役を置かなければならない(326条1項。取締役は必置機関)。役員(取締役・会計参与・監査役)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する(329条1項)。取締役会の決議で選任するのではない。
補足取締役会設置会社・監査役会設置会社などでは取締役の員数が3人以上必要となるが、取締役会非設置会社では取締役1人でもよい。
問4取締役会の権限
会社法上の取締役会設置会社における取締役会の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代表取締役は、株主総会が、取締役の中から選定しなければならない。
- イ.取締役会は、重要な財産の処分及び譲受けの決定を、各取締役に委任することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 代表取締役の選定は取締役会の権限
会社法第362条「取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 重要事項は取締役会が決定する
会社法第362条「重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない」e-Gov原文
ひっかけ代表取締役は取締役会が選定。重要な業務執行の決定は取締役に委任不可。
解説取締役会は、すべての取締役で組織し、業務執行の決定・取締役の職務執行の監督・代表取締役の選定解職を行う(362条1項・2項)。取締役会は取締役の中から代表取締役を選定しなければならない(同3項)。重要な財産の処分・多額の借財等の重要な業務執行の決定は、取締役に委任することができない(同4項)。
補足重要な業務執行の決定を取締役に委任できないのは、取締役会設置会社の重要事項について慎重な意思決定を確保するためである。
問5監査役の権限と株主の権利
会社法上の監査役の権限及び株主の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.監査役は、取締役の職務の執行を監査し、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
- イ.株主は、剰余金の配当を受ける権利、残余財産の分配を受ける権利及び株主総会における議決権その他の権利を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- イ.正しい
- 株主の基本的権利
会社法第105条「一剰余金の配当を受ける権利二残余財産の分配を受ける権利三株主総会における議決権」e-Gov原文
ひっかけ監査役は取締役の職務執行を監査。株主は配当・残余財産・議決権を持つ。
解説監査役は、取締役(会計参与設置会社では取締役及び会計参与)の職務の執行を監査し、監査報告を作成しなければならない(381条1項)。株主は、剰余金の配当を受ける権利、残余財産の分配を受ける権利、株主総会における議決権その他の権利を有する(105条1項)。
補足監査役の監査は、業務監査と会計監査に及ぶ(公開会社でない一定の会社では会計監査に限定できる)。
問6株主の権利の制限と株式の譲渡制限
会社法上の株主の権利及び株式の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主に、剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の定めも、その効力を有する。
- イ.株式会社は、その発行する全部の株式の内容として、譲渡による株式の取得について会社の承認を要すること(譲渡制限)を定めることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 両権利の全部剥奪は許されない
会社法第105条「株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 株式の譲渡制限が可能
会社法第107条「譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」e-Gov原文
ひっかけ配当・残余財産の権利を全部奪う定款は無効。株式に譲渡制限を付せる。
解説株主に、剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない(105条2項)。株式会社は、発行する全部の株式の内容として、譲渡による株式の取得について会社の承認を要すること(譲渡制限)等を定めることができる(107条)。
補足全部の株式に譲渡制限を付した会社を非公開会社(株式譲渡制限会社)という。一部の株式のみに譲渡制限を付すこともできる。
問7株主総会の普通決議と特別決議
会社法上の株主総会の決議の方法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主総会の普通決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
- イ.定款変更等の一定の重要事項に係る特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 普通決議の要件
会社法第309条「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う」e-Gov原文
ひっかけ普通決議は過半数出席・過半数。特別決議は過半数出席・3分の2以上。
解説株主総会の普通決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数をもって行う(309条1項)。定款変更・合併等の重要事項に係る特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の多数をもって行う(同2項)。
補足特別決議が必要な事項には、定款変更、事業譲渡、合併・会社分割等の組織再編、募集株式の有利発行などがある。
問8取締役の忠実義務と競業取引の制限
会社法上の取締役の義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
- イ.取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、会社の承認を受ける必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 取締役は忠実義務を負う
会社法第355条「株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない」e-Gov原文
ひっかけ取締役は忠実義務を負う。競業取引には会社の承認が必要。
解説取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない(忠実義務。355条)。取締役が自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引(競業取引)をしようとするときは、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)において重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない(356条1項1号)。
補足競業取引の承認は、取締役会設置会社では取締役会の承認による(365条1項)。承認なく競業した場合、その取引で得た利益額が会社の損害額と推定される。
問9取締役の報酬と剰余金の配当
会社法上の取締役の報酬及び剰余金の配当に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役の報酬等についての事項は、定款にこれを定めていない場合であっても、取締役会が決定することができる。
- イ.株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 報酬の決定は取締役会ではない
会社法第361条「定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」e-Gov原文
- イ.正しい
- 剰余金配当の原則
会社法第453条「株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ取締役の報酬は定款又は株主総会で定める。配当は自己株式を除く株主に。
解説取締役の報酬等についての事項(額・算定方法等)は、定款に定めていないときは、株主総会の決議によって定める(361条1項)。取締役会が自由に決定できるのではない。株式会社は、その株主(自己株式を除く)に対し、剰余金の配当をすることができる(453条)。
補足取締役の報酬を定款又は株主総会の決議で定めるのは、取締役自身が報酬を決定する『お手盛り』を防ぐためである。
問10配当等の制限と株式の譲渡
会社法上の剰余金の配当等の制限及び株式の譲渡に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、剰余金の配当により株主に交付する金銭等の帳簿価額の総額が分配可能額を超える場合であっても、剰余金の配当をすることができる。
- イ.株主は、原則として、その有する株式を譲渡することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- イ.誤り
- 株式譲渡自由が原則
会社法第127条「株主は、その有する株式を譲渡することができる」e-Gov原文
ひっかけ配当は分配可能額を超えてはならない。株式は原則自由に譲渡できる。
解説剰余金の配当等により株主に交付する金銭等の帳簿価額の総額は、その効力発生日における分配可能額を超えてはならない(461条。財源規制)。株主は、その有する株式を譲渡することができる(株式譲渡自由の原則。127条)。
補足分配可能額を超える配当(違法配当)がされた場合、金銭等の交付を受けた株主や業務執行者は会社に対し連帯して支払義務を負う。
問11利益相反取引の制限と株主代表訴訟
会社法上の利益相反取引の制限及び株主による責任追及等の訴えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするときは、株主総会において当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
- イ.6箇月前から引き続き株式を有する株主は、株式会社に対し、取締役等の責任を追及する訴えの提起を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 利益相反取引は承認を要する
会社法第356条「取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき」e-Gov原文
ひっかけ利益相反取引には会社の承認が必要。代表訴訟は6箇月保有株主が請求。
解説取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき(利益相反取引)は、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)において重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない(356条1項2号)。6箇月前から引き続き株式を有する株主は、会社に対し、取締役等の責任追及等の訴えの提起を請求することができる(株主代表訴訟。847条)。
補足株主代表訴訟は、会社が取締役の責任を追及しない場合に、株主が会社に代わって取締役等の責任を追及する制度である。
問12株主代表訴訟の原告適格と取締役の報酬の決定
会社法上の株主による責任追及等の訴え及び取締役の報酬に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社において責任追及等の訴えの提起を請求することができるのは、総株主の議決権の3分の1以上を有する株主に限られる。
- イ.取締役の報酬等についての事項は、定款にこれを定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- イ.正しい
- 報酬は株主総会の決議で定める
会社法第361条「定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」e-Gov原文
ひっかけ代表訴訟は持株割合要件のない単独株主権。報酬は株主総会で定める。
解説株主による責任追及等の訴え(株主代表訴訟)の提起を請求できるのは、6箇月前から引き続き株式を有する株主であり、持株割合の要件はない(単独株主権。847条)。取締役の報酬等についての事項は、定款に定めていないときは、株主総会の決議によって定める(361条)。
補足公開会社では6箇月の保有要件があるが、非公開会社ではこの保有要件は不要である。いずれも持株割合の要件はない。
問13株式の譲渡の対抗要件
会社法上の株式の譲渡の対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
- イ.株券発行会社においては、株式の譲渡は、株主名簿の名義書換をしなければ株式会社に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 130条1項が名義書換を対抗要件とする
会社法第130条「株式会社その他の第三者に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 130条2項が株券発行会社の対抗要件を読み替える
会社法第130条「「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする」e-Gov原文
ひっかけ株式譲渡の対抗要件は『名義書換』。株券発行会社では第三者対抗は『株券の交付』。
解説株式の譲渡の対抗要件は、株主名簿の名義書換である(130条1項)。株券を発行しない会社では、名義書換が会社・第三者の双方に対する対抗要件となる。株券発行会社では、名義書換は会社に対する対抗要件にとどまり、第三者に対する対抗要件は株券の交付である(130条2項)。
補足譲渡制限株式の譲渡には、別途会社の承認が必要である(136条以下)。
問14株主による株主総会の招集の請求
会社法上の株主による株主総会の招集の請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社においては、総株主の議決権の100分の3(定款で下回る割合を定めた場合はその割合)以上の議決権を6箇月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の招集を請求することができる。
- イ.株主が招集を請求したにもかかわらず遅滞なく招集の手続が行われない場合でも、株主自らが株主総会を招集することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 297条1項が少数株主の招集請求権を定める
- イ.誤り
- 297条4項が株主による招集を認める
会社法第297条「裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる」e-Gov原文
ひっかけ少数株主の招集請求は『100分の3・6箇月』。応じられなければ裁判所の許可で自ら招集。
解説総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6箇月前から引き続き有する株主(少数株主)は、取締役に対し株主総会の招集を請求できる(297条1項)。公開会社でない会社では、6箇月の保有要件はない(同条2項)。請求後、遅滞なく招集手続が行われない等の場合、株主は裁判所の許可を得て自ら株主総会を招集できる(同条4項)。
補足公開会社でない株式会社では、6箇月前からの継続保有要件は課されない(297条2項)。
問15役員の解任
会社法上の役員の解任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.役員は、その任期が満了するまでは、株主総会の決議によっても解任することができない。
- イ.役員が正当な理由なく解任されたときは、その役員は、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 339条1項が役員の解任を定める
会社法第339条「役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 339条2項が不当解任の損害賠償を定める
会社法第339条「解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ役員は『いつでも』解任可。ただし正当理由なき解任は『損害賠償』の対象。
解説役員(取締役・会計参与・監査役)及び会計監査人は、いつでも株主総会の決議によって解任できる(339条1項)。会社と役員の信頼関係を重視するためである。ただし、正当な理由なく解任された役員は、解任によって生じた損害(残任期分の報酬等)の賠償を会社に請求できる(同条2項)。
補足監査役・累積投票で選任された取締役の解任は、株主総会の特別決議による(309条2項7号)。
問16募集株式の発行(募集事項の決定)
会社法上の募集株式の発行における募集事項の決定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.募集株式の募集事項の決定は、いかなる場合も取締役会の決議のみで行うことができる。
- イ.募集株式の払込金額が引き受ける者に特に有利な金額である場合でも、取締役は株主総会でその理由を説明する必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 199条2項が募集事項の決定を株主総会の決議とする
会社法第199条「決定は、株主総会の決議によらなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 199条3項が有利発行の理由説明義務を定める
会社法第199条「当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ募集事項は原則『株主総会』決議。有利発行は『理由説明』が必要。
解説募集株式の発行では、募集事項(募集株式の数・払込金額・払込期日等)を定める必要があり、その決定は原則として株主総会の決議による(199条1項・2項)。払込金額が引受人に特に有利な金額である有利発行の場合は、取締役が株主総会でその必要性の理由を説明しなければならない(同条3項)。公開会社では、有利発行でない限り取締役会で募集事項を決定できる(201条)。
補足公開会社では、有利発行に当たらない募集事項の決定は取締役会で行うことができる(201条1項)。
問17役員等の株式会社に対する損害賠償責任
会社法上の役員等の株式会社に対する損害賠償責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(役員等)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- イ.取締役が利益相反取引(356条1項の取引)をして会社に損害が生じた場合であっても、当該取締役の任務懈怠が推定されることはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 423条1項が役員等の任務懈怠責任を定める
会社法第423条「その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 423条3項が利益相反取引での任務懈怠を推定する
会社法第423条「次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する」e-Gov原文
ひっかけ役員等は任務懈怠で会社に賠償責任。利益相反取引は任務懈怠が『推定』される。
解説役員等(取締役・会計参与・監査役・執行役・会計監査人)は、任務を怠ったときは、会社に対し損害賠償責任を負う(423条1項)。利益相反取引で会社に損害が生じたときは、取引をした取締役等の任務懈怠が推定される(同条3項)。また、競業取引による会社の損害は、取締役等が得た利益の額と推定される(同条2項)。
補足役員等の責任は、総株主の同意で全部免除、又は株主総会の特別決議等で一部免除できる(424条・425条)。
問18自己株式の取得
会社法上の自己株式の取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、いかなる理由があっても、自己の株式を取得することはできない。
- イ.株式会社が株主との合意により自己の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の決議によって、取得する株式の数等の事項を定めなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 155条が自己株式取得の許容事由を列挙する
会社法第155条「当該株式会社の株式を取得することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 156条1項が取得事項の株主総会決議を求める
会社法第156条「あらかじめ、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない」e-Gov原文
ひっかけ自己株式は『155条各号の場合に限り』取得可。株主合意の取得は株主総会決議が必要。
解説株式会社は、原則として自己株式の取得が制限されるが、155条各号に掲げる場合(株主との合意による取得、取得請求権付株式の取得、合併による承継等)に限り取得できる。株主との合意により有償取得する場合は、あらかじめ株主総会の決議で、取得する株式の数・交付する金銭等の総額・取得期間(1年以内)を定める必要がある(156条1項)。
補足自己株式の取得は、分配可能額による財源規制(461条)の対象となる。
問19定款の絶対的記載事項
会社法上の株式会社の定款の記載又は記録事項に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社の定款には、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額を記載し、又は記録しなければならない。
- イ.株式会社の定款には、発起人の氏名又は名称及び住所を記載し、又は記録しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 27条4号が絶対的記載事項とする
会社法第27条「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」e-Gov原文
ひっかけ絶対的記載事項は『目的・商号・本店・出資財産の価額・発起人』の5つ。
解説株式会社の定款の絶対的記載事項(必ず記載しないと定款が無効となる事項)は、①目的、②商号、③本店の所在地、④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、⑤発起人の氏名又は名称及び住所である(27条)。これらに加え、発行可能株式総数も定款で定める必要がある(37条)。
補足変態設立事項(28条)は相対的記載事項であり、定款に記載しなければ効力を生じない。
問20現物出資等に関する検査役の調査
会社法上の変態設立事項に関する検査役の調査に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.発起人は、定款に変態設立事項(現物出資・財産引受け等)の記載があるときは、原則として、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
- イ.現物出資財産等について定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合であっても、検査役の調査を省略することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 33条1項が検査役の選任申立てを義務づける
会社法第33条「裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 33条10項1号が少額の現物出資を調査の対象外とする
会社法第33条「定款に記載され、又は記録された価額の総額が五百万円を超えない場合」e-Gov原文
ひっかけ現物出資は原則『検査役調査』。500万円以下・有価証券・専門家証明なら省略可。
解説現物出資・財産引受け等の変態設立事項(28条)がある場合、発起人は原則として裁判所に検査役の選任を申し立てる必要がある(33条1項)。ただし、①現物出資財産等の価額総額が500万円を超えない場合、②市場価格のある有価証券で定款価額が市場価格以下の場合、③弁護士・公認会計士等の証明(不動産は不動産鑑定士の鑑定評価も)を受けた場合は、検査役の調査が不要となる(同条10項)。
補足発起人や財産の譲渡人等は、価額相当性の証明をすることができない(33条11項)。
問21議決権の代理行使
会社法上の株主総会における議決権の代理行使に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主は、代理人によってその議決権を行使することはできず、必ず自ら株主総会に出席しなければならない。
- イ.株主が代理人によって議決権を行使する場合、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 310条1項が議決権の代理行使を認める
会社法第310条「株主は、代理人によってその議決権を行使することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 310条1項が代理権を証明する書面の提出を求める
会社法第310条「代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ議決権は代理行使できる。委任状の提出が必要で、授与は『総会ごと』。
解説株主は、代理人によって議決権を行使することができる(310条1項)。その場合、株主又は代理人は代理権を証明する書面(委任状)を会社に提出しなければならず、代理権の授与は株主総会ごとにしなければならない(同条2項)。会社は、株主総会に出席できる代理人の数を制限することができる(同条5項)。
補足会社は、代理権を証明する書面を株主総会の日から3箇月間、本店に備え置く必要がある(310条6項)。
問22取締役等の説明義務
会社法上の株主総会における取締役等の説明義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役は、株主総会において株主から説明を求められた場合、その事項が株主総会の目的である事項に関しないものであっても、必ず説明をしなければならない。
- イ.株主総会において説明義務を負うのは取締役のみであり、監査役は株主総会における説明義務を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 314条ただし書が説明義務の例外を定める
会社法第314条「当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合」e-Gov原文
- イ.誤り
- 314条が説明義務者に監査役を含める
会社法第314条「取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において」e-Gov原文
ひっかけ説明義務者は『取締役・会計参与・監査役・執行役』。目的外事項は説明不要。
解説取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会で株主から特定の事項について説明を求められたときは、必要な説明をしなければならない(314条=説明義務)。ただし、その事項が株主総会の目的事項に関しない場合、説明により株主共同の利益を著しく害する場合、その他正当な理由がある場合は、説明を要しない。
補足説明義務違反は、株主総会決議の取消事由(手続の法令違反)となり得る(831条)。
問23取締役の任期
会社法上の取締役の任期に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役の任期は、原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである。
- イ.公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社等を除く)であっても、定款によって取締役の任期を選任後10年まで伸長することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 332条1項が取締役の任期を定める
会社法第332条「選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 332条2項が非公開会社の任期伸長を認める
会社法第332条「選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない」e-Gov原文
ひっかけ取締役の任期は原則『2年』。非公開会社は定款で『10年』まで伸長可。
解説取締役の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである(332条1項)。公開会社でない会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)では、定款で最長10年まで伸長できる(同条2項)。監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社の取締役の任期は1年である(同条3項・6項)。
補足監査役の任期は原則4年で、短縮できない(336条)点が取締役と異なる。
問24取締役会の決議
会社法上の取締役会の決議に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役も、その決議の議決に加わることができる。
- イ.取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 369条2項が特別利害関係取締役の議決参加を禁止する
会社法第369条「特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 369条1項が取締役会の決議要件を定める
会社法第369条「議決に加わることができる取締役の過半数」e-Gov原文
ひっかけ取締役会は『議決権ある取締役の過半数出席・過半数』で決議。特別利害関係者は議決に加われない。
解説取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う(369条1項。定款で要件を加重できる)。決議について特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができず(同条2項)、その者は定足数の計算からも除外される。議事録に異議をとどめない取締役は決議に賛成したものと推定される(同条5項)。
補足取締役は、株主総会の議決権の代理行使(310条)と異なり、取締役会では代理人による議決はできない。
問25株式会社の設立方法
会社法上の株式会社の設立方法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.発起設立・募集設立のいずれの方法による場合でも、各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。
- イ.募集設立の場合、発起人は設立時発行株式を引き受けることができず、株式引受人の募集のみを行う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 25条2項が発起人の株式引受けを定める
会社法第25条「各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 25条1項2号が募集設立を定める
会社法第25条「発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法」e-Gov原文
ひっかけ設立は『発起設立』と『募集設立』。どちらでも各発起人は1株以上引き受ける。
解説株式会社の設立には、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける発起設立(25条1項1号)と、発起人が一部を引き受けるほか株式引受人を募集する募集設立(同項2号)の2つの方法がある。いずれの場合も各発起人は1株以上を引き受けなければならない(同条2項)。募集設立でも発起人が株式を引き受ける点に注意する。
補足募集設立では、創立総会の開催など発起設立にはない手続が必要となる。
問26設立時の出資の履行
会社法上の設立時の出資の履行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた株式につき、出資に係る金銭の全額を払い込み、又は金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。
- イ.出資に係る金銭の払込みは、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 34条1項が出資の履行を定める
会社法第34条「その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 34条2項が払込みの場所を定める
会社法第34条「払込みの取扱いの場所においてしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ出資は『遅滞なく全額払込み・全部給付』、払込みは『銀行等』で行う。
解説発起人は、株式の引受け後遅滞なく、金銭出資は全額を払い込み、現物出資は財産の全部を給付しなければならない(34条1項)。金銭の払込みは、発起人が定めた銀行等の払込取扱場所で行う(同条2項)。出資の履行をしない発起人は、期日を定めた催告を経て、設立時発行株式の株主となる権利を失う(36条)。
補足募集設立では、払込取扱機関に払込金保管証明を請求できる。
問27株式会社の機関設計
会社法上の株式会社の機関設計に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.すべての株式会社は、取締役会を置かなければならない。
- イ.株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人等を置くことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 326条1項が取締役の設置のみを義務づける
会社法第326条「株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 326条2項が任意機関の設置を定める
会社法第326条「定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる」e-Gov原文
ひっかけ必置は『取締役(1人以上)』。取締役会・監査役等は定款で任意設置。
解説株式会社に必ず置かなければならない機関は、株主総会と取締役(1人以上)である(326条1項)。取締役会・会計参与・監査役・監査役会・会計監査人・監査等委員会・指名委員会等は、定款の定めにより任意に置くことができる(同条2項)。ただし、公開会社は取締役会を置かなければならないなど、会社の規模・性質に応じた設置義務がある。
補足公開会社は取締役会の設置が義務づけられ、取締役会設置会社には監査役等の設置も原則必要となる。
問28監査役の権限
会社法上の監査役の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.監査役は、取締役の職務の執行を監査し、監査報告を作成しなければならない。
- イ.監査役は、取締役や使用人に対して事業の報告を求めることはできるが、会社の業務及び財産の状況を調査する権限はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 381条1項が監査役の職務を定める
会社法第381条「監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 381条2項が監査役の調査権を定める
会社法第381条「監査役設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ監査役は『業務・財産の状況を調査』できる(報告徴求だけではない)。
解説監査役は、取締役の職務の執行を監査し、監査報告を作成する(業務監査・会計監査、381条1項)。その権限として、いつでも事業の報告を求め、業務及び財産の状況を調査でき(同条2項)、子会社に対する調査権も有する(同条3項)。取締役の違法行為に対しては、差止請求(385条)などの権限も認められる。
補足監査役は、取締役会への出席義務があり、必要があれば意見を述べなければならない(383条)。
問29監査役の監査範囲の限定
会社法上の監査役の監査範囲の限定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社であっても、定款の定めにより、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定することができる。
- イ.公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く)は、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 389条1項が会計限定を非公開会社に限る
会社法第389条「その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 389条1項が非公開会社の会計限定を認める
会社法第389条「監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる」e-Gov原文
ひっかけ監査範囲の『会計限定』ができるのは『非公開会社』のみ(公開会社は不可)。
解説監査役の監査は本来、業務監査と会計監査の両方に及ぶ(381条)。ただし、公開会社でない株式会社(監査役会設置会社・会計監査人設置会社を除く)は、定款で監査役の監査範囲を会計監査に限定できる(389条1項)。会計限定監査役には、子会社調査権などの業務監査に関する規定が適用されない(同条7項)。
補足会計限定監査役を置く会社は、登記事項として監査の範囲が会計に限定されている旨が登記される。
問30剰余金の配当
会社法上の剰余金の配当に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、剰余金の配当をしようとするときは、原則として、取締役会の決議によって配当に関する事項を定めなければならない。
- イ.取締役会設置会社は、定款の定めがなくても、一事業年度に何回でも取締役会の決議によって中間配当をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 454条1項が配当事項の決定を株主総会の決議とする
会社法第454条「株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 454条5項が中間配当を定款の定めと一回限りとする
会社法第454条「一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当」e-Gov原文
ひっかけ剰余金の配当は原則『株主総会の決議』。中間配当は『定款+一事業年度に一回』。
解説剰余金の配当は、原則として、その都度株主総会の決議(普通決議)で、配当財産の種類・総額、割当て、効力発生日を定めて行う(454条1項)。例外として、取締役会設置会社は、定款の定めがあれば、一事業年度に一回に限り取締役会の決議で中間配当(金銭配当)ができる(同条5項)。配当は分配可能額の範囲内でしか行えない(財源規制)。
補足会計監査人設置会社で一定の要件を満たす場合は、定款の定めにより剰余金配当を取締役会の権限とすることもできる(459条)。