問1民法上の賃貸借の意義
賃貸借及び共同不法行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
- イ.数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 601条のとおり → 正しい
民法第601条「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 719条1項のとおり → 正しい
民法第719条「各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ賃貸借は『使用収益・賃料支払・返還』の約定で成立。共同不法行為者は『各自連帯』して賠償(601条・719条)。
解説賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方が賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約終了時に返還することを約することによって効力を生ずる(601条)。2020年改正で返還の合意が明文化された。民法上の賃貸借の意義を押さえる。
補足賃貸借は諾成・双務・有償契約である。マンションの賃貸や、管理組合が第三者に共用部分の一部を賃貸する場合等に関連する。
問2賃貸借の存続期間
賃貸借の存続期間及び賃貸借の意義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができず、契約でこれより長い期間を定めたときであつても、その期間は、五十年とする。
- イ.賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約するのみで、賃料を支払うことの約定がなくても、その効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 604条1項のとおり → 正しい
民法第604条「賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 賃料支払の約定を要する → 『賃料の約定がなくても効力を生ずる』は誤り
民法第601条「相手方がこれに対してその賃料を支払うこと」e-Gov原文
ひっかけ賃貸借の存続期間の上限は『50年』(更新後も50年が上限)。賃料支払の約定がなければ賃貸借でなく使用貸借(604条・601条)。
解説賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は50年とする(604条1項)。存続期間は更新できるが、更新の時から50年を超えることができない(同条2項)。賃貸借の存続期間を押さえる。
補足民法上の賃貸借の存続期間の上限は50年である。借地借家法が適用される建物賃貸借にはこの上限は適用されない(借地借家法の特則)。
問3賃貸人による修繕等
賃貸人による修繕等及び土地の工作物の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
- イ.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、まずその工作物の占有者が損害を賠償する責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 606条1項のとおり → 正しい
民法第606条「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 717条1項のとおり → 正しい
民法第717条「占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ賃貸人は『修繕義務』を負う(賃借人の帰責事由による場合を除く)。工作物責任は占有者が第一次・占有者免責なら所有者が『無過失責任』(606条・717条)。
解説賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う(606条1項本文)。ただし賃借人の責めに帰すべき事由による修繕は除く。マンションの専有部分の賃貸で賃貸人が修繕義務を負う。賃貸人による修繕等を押さえる。
補足工作物責任(717条)は、マンションの外壁落下・設備故障等による事故で管理組合(占有者・所有者)の責任が問われる重要規定である。所有者は免責されない無過失責任を負う。
問4賃借人による費用の償還請求
賃借人による費用の償還請求及び賃貸借の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
- イ.賃貸借の存続期間は、契約で定めれば五十年を超えることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 608条1項のとおり → 正しい
民法第608条「賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 50年を超えられない → 『契約で定めれば50年を超えられる』は誤り
民法第604条「賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない」e-Gov原文
ひっかけ必要費は『直ちに』償還請求できる。有益費は賃貸借『終了時』に償還。存続期間の上限は『50年』(608条・604条)。
解説賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し直ちにその償還を請求できる(608条1項)。有益費は賃貸借終了時に価格の増加が現存する場合に償還される(同条2項)。賃借人による費用の償還請求を押さえる。
補足必要費(保存に必要な費用)は直ちに、有益費(価値を増加させる費用)は終了時に償還請求できる。必要費と有益費で償還の時期・要件が異なる。
問5賃借物の一部滅失等による賃料の減額等
賃借物の一部滅失等による賃料の減額及び売買に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
- イ.売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 611条1項のとおり → 正しい
民法第611条「賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される」e-Gov原文
- イ.正しい
- 555条のとおり → 正しい
民法第555条「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ賃借物の一部が帰責事由なく使用不能になると、賃料は割合に応じて『当然に減額』される(請求不要)。売買は『財産権移転』と『代金支払』で成立(611条・555条)。
解説賃借物の一部が滅失その他の事由により使用収益できなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料はその使用収益できなくなった部分の割合に応じて減額される(611条1項)。2020年改正で「請求」でなく「当然減額」に変更された。賃借物の一部滅失等による賃料の減額等を押さえる。
補足改正前は賃料減額の「請求」だったが、改正後は当然に減額される。残存部分では目的を達せない場合は賃借人は契約を解除できる(611条2項)。
問6賃借権の譲渡及び転貸の制限
賃借権の譲渡及び転貸の制限並びに賃貸人の修繕義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができず、これに違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
- イ.賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 612条のとおり → 正しい
民法第612条「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 修繕義務を負う → 『修繕義務を負わない』は誤り
民法第606条「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」e-Gov原文
ひっかけ賃借権の譲渡・転貸は『賃貸人の承諾』が必要、無断譲渡転貸で賃貸人は『解除』できる。賃貸人は『修繕義務』を負う(612条・606条)。
解説賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない(612条1項)。賃借人が無断で第三者に使用収益させたときは、賃貸人は契約を解除できる(同条2項)。ただし判例上、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除できない。賃借権の譲渡及び転貸の制限を押さえる。
補足無断譲渡転貸は解除事由だが、判例は賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があれば解除を認めない(信頼関係破壊の法理)。
問7転貸の効果
転貸の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人が適法に賃借物を転貸したときであつても、転借人は、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負うことはない。
- イ.賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 賃貸人に直接義務を負う → 『直接履行する義務を負うことはない』は誤り
民法第613条「賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 613条1項のとおり → 正しい
民法第613条「賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う」e-Gov原文
ひっかけ適法な転貸では転借人が『賃貸人に直接』義務を負う(賃借人の債務の範囲を限度)。賃料の前払は賃貸人に対抗できない(613条)。
解説賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない(613条1項)。転貸の効果を押さえる。
補足適法転貸で転借人は賃貸人に直接賃料支払義務を負う。賃貸人は賃借人(転貸人)にも権利を行使でき(同条2項)、賃貸借を合意解除しても原則として転借人に対抗できない(同条3項)。
問8賃借人の原状回復義務
賃借人の原状回復義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人は、賃貸借が終了したときは、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗や経年変化も含めて、その損傷を原状に復する義務を負う。
- イ.賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた損耗並びに経年変化を除く。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 通常損耗・経年変化は除く → 『これらも含めて回復義務を負う』は誤り
民法第621条「賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 621条のとおり → 正しい
民法第621条「賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う」e-Gov原文
ひっかけ賃借人の原状回復義務は『通常損耗・経年変化を除く』損傷が対象(賃借人の帰責事由によらない損傷も除く)(621条)。
解説賃借人は、賃借物を受け取った後に生じた損傷(通常の使用収益によって生じた損耗並びに経年変化を除く)がある場合、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただしその損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない(621条)。賃借人の原状回復義務を押さえる。
補足2020年改正で通常損耗・経年変化が原状回復義務の対象外であることが明文化された。賃貸マンションの敷金返還・原状回復トラブルの判断基準となる。
問9民法上の売買の意義
売買及び不法行為による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約するのみで、相手方が代金を支払うことの約定がなくても、その効力を生ずる。
- イ.故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 代金支払の約定を要する → 『代金の約定がなくても効力を生ずる』は誤り
民法第555条「相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 709条のとおり → 正しい
民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ売買は『財産権移転』と『代金支払』の約定で成立(代金がなければ贈与)。不法行為は『故意又は過失』で成立(709条・555条)。
解説売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって効力を生ずる(555条)。マンションの分譲(区分所有権の売買)に関連する。民法上の売買の意義を押さえる。
補足売買は諾成・双務・有償契約である。マンションの分譲は区分所有権(専有部分+共用部分の共有持分+敷地利用権)の売買であり、契約不適合責任(562条以下)が適用される。
問10買主の追完請求権
買主の追完請求権及び賃貸借の意義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。
- イ.賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がその賃料を支払うこと等を約することによって、その効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 562条1項のとおり → 正しい
民法第562条「買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 601条のとおり → 正しい
民法第601条「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し」e-Gov原文
ひっかけ契約不適合では買主は『修補・代替物・不足分の引渡し』による追完を請求できる(562条)。
解説引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる(562条1項)。分譲マンションの契約不適合に関連する。買主の追完請求権を押さえる。
補足2020年改正で瑕疵担保責任が契約不適合責任に再構成された。買主は追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除ができる。追完方法は原則として買主が選択する。
問11買主の代金減額請求権
買主の代金減額請求権及び買主の追完請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
- イ.引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであつても、買主は、売主に対し、履行の追完を請求することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 563条1項のとおり → 正しい
民法第563条「買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 追完を請求できる → 『追完を請求できない』は誤り
民法第562条「買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ代金減額請求は原則『追完の催告』後に追完がないとき可能(追完不能・拒絶明示等は無催告で可)(563条)。
解説契約不適合の場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる(563条1項)。ただし追完不能・売主の追完拒絶の明示等の場合は無催告で代金減額を請求できる(同条2項)。買主の代金減額請求権を押さえる。
補足代金減額請求は原則として追完の催告を要する(追完が第一次的救済のため)。追完不能・追完拒絶の明示・定期行為の徒過等の場合は催告不要である。
問12不法行為による損害賠償
不法行為による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、故意がある場合に限り損害賠償責任を負い、過失による場合には責任を負わない。
- イ.故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 故意又は過失で責任を負う → 『過失の場合は責任を負わない』は誤り
民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」e-Gov原文
- イ.正しい
- 709条のとおり → 正しい
民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ一般不法行為は『故意又は過失』で成立する(過失責任の原則)(709条)。
解説故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(709条、過失責任の原則)。一般不法行為の要件は故意過失・権利利益侵害・損害の発生・因果関係である。不法行為による損害賠償を押さえる。
補足不法行為は過失責任が原則である。工作物責任(717条)の所有者の無過失責任のような特殊不法行為は例外である。マンションでの事故・騒音等で問題となる。
問13使用者等の責任
使用者等の責任及び賃借物の一部滅失等による賃料の減額に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に損害を加えたときは、被用者の選任及び監督について相当の注意をしたか否かにかかわらず、常にその損害を賠償する責任を負う。
- イ.賃借物の一部が賃借人の責めに帰することができない事由で使用及び収益をすることができなくなつたときは、賃料は、当然には減額されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 免責事由がある → 『常に責任を負う』は誤り
民法第715条「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき」e-Gov原文
- イ.誤り
- 割合に応じて減額される → 『当然には減額されない』は誤り
民法第611条「賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される」e-Gov原文
ひっかけ使用者責任は選任監督に相当の注意をしたとき等『免責』される(中間責任)。一部使用不能では賃料は『当然に減額』(715条・611条)。
解説ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(715条1項本文)。ただし使用者が被用者の選任・監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは免責される(同項ただし書、中間責任)。使用者等の責任を押さえる。
補足使用者責任は免責事由がある中間責任だが、実際には免責はほとんど認められない。管理会社(使用者)はその従業員(被用者)の職務執行上の不法行為につき責任を負いうる。
問14土地の工作物等の占有者及び所有者の責任
土地の工作物等の占有者及び所有者の責任並びに賃借人の原状回復義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたか否かにかかわらず、常に占有者がその損害を賠償する責任を負う。
- イ.賃借人は、賃貸借が終了したときは、通常の使用及び収益によって生じた損耗についても、原状に復する義務を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 占有者免責時は所有者が賠償 → 『常に占有者が責任を負う』は誤り
民法第717条「占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 通常損耗は除く → 『通常損耗も回復義務を負う』は誤り
民法第621条「賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う」e-Gov原文
ひっかけ工作物責任は占有者が『第一次責任』(免責あり)、占有者が免責されると『所有者が無過失責任』。原状回復に通常損耗は含まれない(717条・621条)。
解説土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者が被害者に対して損害を賠償する責任を負う。ただし占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない(717条1項)。土地の工作物等の占有者及び所有者の責任を押さえる。
補足工作物責任では占有者が免責されると所有者が無過失責任を負う(免責されない)。マンションの外壁・設備の瑕疵による事故で、区分所有者(所有者)や管理組合の責任が問われる。共用部分の瑕疵は区分所有者全員が責任を負う(区分所有法9条の特則)。
問15共同不法行為者の責任
共同不法行為者の責任及び不法行為による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が自己の関与の割合に応じて分割してその損害を賠償する責任を負う。
- イ.過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、損害賠償責任を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 各自連帯して賠償する → 『関与の割合に応じて分割して賠償する』は誤り
民法第719条「各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 故意又は過失で責任を負う → 『過失で責任を負わない』は誤り
民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」e-Gov原文
ひっかけ共同不法行為者は『各自連帯』して全額の賠償責任を負う(分割ではない)。不法行為は『故意又は過失』で成立(719条・709条)。
解説数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者が損害を加えたかを知ることができないときも同様である(719条1項)。教唆者・幇助者も共同行為者とみなされる(同条2項)。共同不法行為者の責任を押さえる。
補足共同不法行為者は連帯して被害者に全額の賠償責任を負い、内部で負担部分に応じて求償し合う。被害者保護のため各自が全額責任を負う点が重要である。