問1心裡留保による意思表示
意思表示及び契約の解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.意思表示は、表意者がその真意ではないことを知つてしたときであつても、そのためにその効力を妨げられないが、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
- イ.債務の全部の履行が不能であるとき等には、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- イ.正しい
- 542条1項のとおり → 正しい
民法第542条「債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ心裡留保は『原則有効』、相手方が悪意・有過失なら『無効』(善意の第三者に対抗不可)。履行不能等は『無催告解除』(93条・542条)。
解説意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない(93条1項本文)。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は無効とする(同項ただし書)。この無効は善意の第三者に対抗できない(同条2項)。心裡留保による意思表示を押さえる。
補足心裡留保は表意者が真意でないと知りつつする意思表示で、原則有効(相手方保護)だが、相手方が悪意・有過失なら無効となる。虚偽表示(94条、常に無効)と区別する。
問2虚偽表示
虚偽表示及び催告によらない解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効であり、その無効は、善意の第三者に対抗することができない。
- イ.債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときであつても、債権者は、催告をしなければ契約の解除をすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 94条のとおり → 正しい
民法第94条「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 催告なしで直ちに解除できる → 『催告をしなければ解除できない』は誤り
民法第542条「債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ通謀虚偽表示は『無効』だが善意の第三者に対抗できない。全部の履行拒絶の明示は『無催告解除』(94条・542条)。
解説相手方と通じてした虚偽の意思表示(通謀虚偽表示)は、無効とする(94条1項)。この無効は、善意の第三者に対抗することができない(同条2項)。虚偽表示を押さえる。
補足通謀虚偽表示は当事者間で常に無効だが、これを信頼した善意の第三者は保護される(94条2項)。マンションの区分所有権の仮装譲渡等で問題となりうる。
問3錯誤による意思表示
錯誤及び催告による解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.意思表示は、所定の錯誤に基づくものであつて、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
- イ.当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 95条1項のとおり → 正しい
民法第95条「その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 541条のとおり → 正しい
民法第541条「相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ錯誤は『重要なもの』であるとき『取り消すことができる』(改正で無効から取消しに)。債務不履行は相当期間を定めた『催告解除』が原則(95条・541条)。
解説意思表示は、意思表示に対応する意思を欠く錯誤、又は表意者が法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤)に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる(95条1項)。錯誤による意思表示を押さえる。
補足2020年改正で錯誤の効果が無効から取消しに変更された。動機の錯誤は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り取り消せる(95条2項)。
問4詐欺又は強迫による意思表示
詐欺又は強迫による意思表示及び催告による解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.詐欺又は強迫による意思表示は取り消すことができ、詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
- イ.催告による解除において、相当の期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときであつても、相手方は契約の解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 96条のとおり → 正しい
民法第96条「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 軽微なときは解除できない → 『軽微でも解除できる』は誤り
民法第541条「その契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ『詐欺』取消しは善意無過失の第三者に対抗不可(強迫は第三者にも対抗可)。催告解除は不履行が『軽微』なときはできない(96条・541条)。
解説詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる(96条1項)。第三者が詐欺を行った場合は、相手方が悪意又は有過失のときに限り取り消せる(同条2項)。詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗できない(同条3項。強迫にはこの制限がない)。詐欺又は強迫による意思表示を押さえる。
補足詐欺取消しは善意無過失の第三者に対抗できないが、強迫取消しは第三者にも対抗できる(強迫の被害者を厚く保護)。第三者による詐欺は相手方が悪意有過失のときのみ取り消せる。
問5代理行為の要件及び効果
代理行為の要件及び効果並びに債務不履行による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
- イ.債務者がその債務の本旨に従つた履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによつて生じた損害の賠償を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 99条1項のとおり → 正しい
民法第99条「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 415条1項のとおり → 正しい
民法第415条「債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ代理は『権限内』+『顕名』で効果が本人に直接帰属。債務不履行は債権者が『損害賠償』を請求可(帰責事由がない場合を除く)(99条・415条)。
解説代理人がその権限内において本人のためにすることを示して(顕名)した意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる(99条1項)。相手方が代理人に対してした意思表示についても同様である(同条2項)。代理行為の要件及び効果を押さえる。
補足代理の効果が本人に帰属するには、代理権の存在・権限内の行為・顕名の3要件が必要である。管理組合が管理者を通じて契約する場面等で問題となる。
問6代理行為の瑕疵
代理行為の瑕疵及び代理行為の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情の認識によつて影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
- イ.代理人がその権限内において本人のためにすることを示さないでした意思表示であつても、常に本人に対して直接にその効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 101条1項のとおり → 正しい
民法第101条「その事実の有無は、代理人について決するものとする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 顕名してした場合に本人に効力を生ずる → 『顕名しなくても常に本人に効力を生ずる』は誤り
民法第99条「本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ代理行為の瑕疵(錯誤・詐欺・善意悪意等)の有無は原則『代理人について』決する。代理の効果帰属には『顕名』が必要(101条・99条)。
解説代理人が相手方に対してした意思表示の効力が、意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと・過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする(101条1項)。代理行為の瑕疵を押さえる。
補足代理行為で意思表示をするのは代理人なので、意思の欠缺・瑕疵・善意悪意は代理人を基準に判断する。ただし特定の法律行為を委託された代理人が本人の指図に従った場合は本人の悪意等も考慮される(101条3項)。
問7自己契約及び双方代理等
自己契約及び双方代理等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為であつても、代理権を有しない者がした行為とみなされる。
- イ.同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、原則として、代理権を有しない者がした行為とみなす。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 債務の履行・事前許諾は例外 → 『これらもみなされる』は誤り
民法第108条「債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 108条1項のとおり → 正しい
民法第108条「当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす」e-Gov原文
ひっかけ自己契約・双方代理は原則『無権代理とみなす』が、『債務の履行』『本人の事前許諾』は例外(108条)。
解説同一の法律行為について、相手方の代理人として(自己契約)、又は当事者双方の代理人として(双方代理)した行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない(108条1項)。自己契約及び双方代理等を押さえる。
補足自己契約・双方代理は本人の利益を害するおそれがあるため原則無権代理扱いだが、既存債務の履行(新たな利害対立がない)や本人の事前許諾がある場合は許される。利益相反行為も同様に無権代理とみなされる(108条2項)。
問8権限外の行為の表見代理
権限外の行為の表見代理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理人がその権限外の行為をした場合においては、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときであつても、本人はその責任を負わない。
- イ.代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、本人がその責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 正当な理由があれば本人が責任を負う → 『責任を負わない』は誤り
民法第110条「第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 110条のとおり → 正しい
民法第110条「第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する」e-Gov原文
ひっかけ権限外の行為でも、第三者に代理権があると信ずべき『正当な理由』があれば、本人が責任を負う(権限外の行為の表見代理)(110条)。
解説代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、109条1項本文の規定を準用し、本人がその責任を負う(110条、権限外の行為の表見代理)。権限外の行為の表見代理を押さえる。
補足表見代理には、代理権授与の表示による表見代理(109条)、権限外の行為の表見代理(110条)、代理権消滅後の表見代理(112条)がある。いずれも代理権を信頼した第三者を保護する制度である。
問9民法上の無権代理
無権代理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人が追認をしなくても、当然に本人に対してその効力を生ずる。
- イ.代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 追認がなければ効力を生じない → 『追認しなくても当然に効力を生ずる』は誤り
民法第113条「本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 113条1項のとおり → 正しい
民法第113条「本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない」e-Gov原文
ひっかけ無権代理行為は本人の『追認』がなければ本人に効力を生じない(本人は追認拒絶もできる)(113条)。
解説代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない(113条1項)。追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければその相手方に対抗できない(同条2項)。民法上の無権代理を押さえる。
補足無権代理行為は本人の追認により有効となり(116条、契約時に遡及)、追認拒絶により無効に確定する。相手方には催告権・取消権、無権代理人には無権代理人の責任(117条)がある。
問10無権代理行為の追認
無権代理行為の追認及び心裡留保に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼつてその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
- イ.意思表示は、表意者がその真意ではないことを知つてしたときであつても、そのためにその効力を妨げられない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 116条のとおり → 正しい
民法第116条「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ無権代理の追認は別段の意思表示がなければ『契約時に遡及』(第三者の権利は害せない)。心裡留保は『原則有効』(116条・93条)。
解説追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない(116条)。無権代理行為の追認を押さえる。
補足無権代理の追認は原則として契約時に遡及して効力を生じ、追認により無権代理行為が本人に帰属する。ただし遡及により第三者の既得権を害することはできない。
問11所有権の取得時効
所有権の取得時効及び債権等の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.二十年間、所有の意思をもつて、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
- イ.十年間、所有の意思をもつて、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に善意であつたが過失があつた場合でも、その所有権を取得する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 162条1項のとおり → 正しい
民法第162条「二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 善意かつ無過失を要する → 『過失があっても取得する』は誤り
民法第162条「善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する」e-Gov原文
ひっかけ取得時効は原則『20年』(所有の意思・平穏・公然)。占有開始時に『善意かつ無過失』なら『10年』(162条)。
解説20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する(162条1項)。10年間、所有の意思をもって平穏公然に他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する(同条2項)。所有権の取得時効を押さえる。
補足取得時効は所有の意思のある占有(自主占有)が要件で、賃借人のような他主占有では成立しない。10年の短期取得時効は占有開始時の善意無過失が要件である。
問12民法上の債権等の消滅時効
債権等の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権は、債権者が権利を行使することができることを知つた時から十年間行使しないときは、時効によつて消滅する。
- イ.債権は、権利を行使することができる時から十年間行使しないときは、時効によつて消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 知った時から5年 → 『知った時から十年間』は誤り
民法第166条「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 166条1項2号のとおり → 正しい
民法第166条「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」e-Gov原文
ひっかけ債権の消滅時効は『知った時から5年(主観的起算点)』又は『行使できる時から10年(客観的起算点)』のいずれか早い方(166条)。
解説債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する(166条1項)。債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは時効消滅する(同条2項)。民法上の債権等の消滅時効を押さえる。
補足2020年改正で債権の消滅時効は主観的起算点5年・客観的起算点10年の二本立てとなった。所有権は消滅時効にかからない。賃料債権・管理費債権等の消滅時効に関連する。
問13民法上の債務不履行による損害賠償
債務不履行による損害賠償及び催告による解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者がその債務の本旨に従つた履行をしないときは、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであつても、債権者は常に損害賠償を請求することができる。
- イ.催告による解除において、当事者の一方がその債務を履行しない場合であつても、相手方が催告をすれば、相当の期間を定めなくても直ちに契約の解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 帰責事由によらないときは請求できない → 『常に請求できる』は誤り
民法第415条「債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 相当の期間を定めた催告が必要 → 『相当の期間を定めず直ちに解除できる』は誤り
民法第541条「相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ債務不履行の損害賠償は、債務者に『帰責事由がない』ときは請求できない。催告解除は『相当の期間を定めた催告』が必要(415条・541条)。
解説債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない(415条1項)。民法上の債務不履行による損害賠償を押さえる。
補足債務不履行による損害賠償は、債務者に帰責事由がないときは免責される(過失責任的な構成)。管理委託契約の不履行等で問題となる。
問14民法上の催告による解除
催告による解除及び所有権の取得時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めて催告をすれば、その期間内に履行があつたときであつても、相手方は契約の解除をすることができる。
- イ.二十年間、所有の意思をもつて、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者であつても、その所有権を取得することはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 期間内に履行がないときに解除できる → 『期間内に履行があっても解除できる』は誤り
民法第541条「その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 所有権を取得する → 『取得することはない』は誤り
民法第162条「二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する」e-Gov原文
ひっかけ催告解除は催告期間内に『履行がない』ときに可能(履行があれば解除できない)。20年の占有で所有権を『取得する』(541条・162条)。
解説当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない(541条)。民法上の催告による解除を押さえる。
補足催告解除は、相当期間を定めた催告→期間内に履行なし→解除、という流れである。期間内に履行があれば解除できず、不履行が軽微なときも解除できない。
問15民法上の催告によらない解除
催告によらない解除及び虚偽表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務の全部の履行が不能である場合であつても、債権者は、相当の期間を定めて催告をしなければ、契約の解除をすることができない。
- イ.相手方と通じてした虚偽の意思表示は有効であり、当事者間においてもその効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 催告なしで直ちに解除できる → 『催告をしなければ解除できない』は誤り
民法第542条「債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 無効である → 『有効であり効力を生ずる』は誤り
民法第94条「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする」e-Gov原文
ひっかけ『履行の全部不能』『全部の履行拒絶の明示』等は『無催告解除』(催告不要)。通謀虚偽表示は『無効』(542条・94条)。
解説次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。すなわち、債務の全部の履行が不能であるとき、債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき、残存部分のみでは契約目的を達することができないとき等である(542条1項)。民法上の催告によらない解除を押さえる。
補足催告解除(541条、相当期間の催告が必要)と無催告解除(542条、催告不要)を区別する。履行不能・確定的な履行拒絶・定期行為の徒過等は催告しても無意味なため無催告で解除できる。