問1公道に至るための他の土地の通行権
相隣関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
- イ.境界線の付近において井戸、用水だめ等の掘削工事をするときは、土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 210条1項のとおり → 正しい
民法第210条「その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 238条のとおり → 正しい
民法第238条「土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ袋地の所有者は公道に至るため囲繞地を『通行できる』。境界線付近の掘削工事は『崩壊・漏出防止の注意』をする(210条・238条)。
解説他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、公道に至るためその土地を囲んでいる他の土地(囲繞地)を通行できる(210条1項)。また、境界線付近の掘削工事では土砂の崩壊・水汚液の漏出を防ぐ注意をしなければならない(238条)。公道に至るための通行権を押さえる。
補足袋地の通行権(囲繞地通行権)は法定の通行権で、通行の場所・方法は損害が最も少ないものを選ぶ(211条)。分筆等による袋地では償金を要しない特則がある(213条)。
問2水流に関する工作物の修繕等
水流に関する工作物の修繕等及び公道に至るための通行権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる。
- イ.他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者であっても、公道に至るために、その土地を囲んでいる他の土地を通行することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 216条のとおり → 正しい
民法第216条「工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 囲繞地を通行できる → 『通行することはできない』は誤り
民法第210条「その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる」e-Gov原文
ひっかけ他の土地の工作物の破壊・閉塞で損害が及ぶ等のとき『修繕・除去・予防工事』をさせられる。袋地の所有者は囲繞地を『通行できる』(216条・210条)。
解説他の土地に貯水・排水・引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により自己の土地に損害が及び又はそのおそれがある場合には、その土地の所有者は当該他の土地の所有者に工作物の修繕・障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせられる(216条)。水流に関する工作物の修繕等を押さえる。
補足水流に関する工作物(堰・水路等)の破壊・閉塞による損害の予防・除去を隣地所有者に求められる規定である。境界確定・土地管理に関わる。
問3水流に関する費用の負担についての慣習
水流に関する費用の負担についての慣習及び囲障の設置費用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.水流に関する工作物の設置・保存等の費用の負担について別段の慣習があるときは、その慣習に従う。
- イ.囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 217条のとおり → 正しい
民法第217条「費用の負担について別段の慣習があるときは、その慣習に従う」e-Gov原文
ひっかけ水流に関する費用の負担は別段の『慣習』があればそれに従う。囲障の費用は相隣者が『等しい割合』で負担(217条・226条)。
解説水流に関する工作物の設置・修繕等の費用の負担について別段の慣習があるときは、その慣習に従う(217条)。また、囲障の設置及び保存の費用は相隣者が等しい割合で負担する(226条)。相隣関係の費用負担を押さえる。
補足相隣関係の規定には慣習を優先する規定が多い(217条・219条3項・228条・236条等)。地域の慣行を尊重する趣旨である。
問4雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止
雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止及び水流に関する工作物の修繕等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。
- イ.他の土地に設けられた工作物の破壊等により自己の土地に損害が及ぶおそれがある場合であっても、その所有者は当該他の土地の所有者に予防工事をさせることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 218条のとおり → 正しい
民法第218条「直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 予防工事をさせられる → 『させることはできない』は誤り
民法第216条「必要があるときは予防工事をさせることができる」e-Gov原文
ひっかけ直接に雨水を隣地に注ぐ構造の工作物を『設けてはならない』。損害のおそれがあれば『予防工事』をさせられる(218条・216条)。
解説土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない(218条)。隣地への雨水の直接放流を禁ずる規定である。雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止を押さえる。
補足218条は自然に流れる水(214条の自然水流)と異なり、人工的に雨水を隣地に直接注ぐ工作物を禁ずる。隣地の保護のための規定である。
問5水流の変更
水流の変更及び排水のための低地の通水に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない。
- イ.高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 219条1項のとおり → 正しい
民法第219条「対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 220条のとおり → 正しい
民法第220条「公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる」e-Gov原文
ひっかけ対岸が他人所有のとき水流地の所有者は水路・幅員を『変更できない』。高地の所有者は所定の場合に低地に水を『通過させられる』(219条・220条)。
解説溝・堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは水路又は幅員を変更できない(219条1項)。両岸が水流地所有者に属するときは変更できるが自然の水路に戻す(同条2項)。異なる慣習があればそれに従う(同条3項)。水流の変更を押さえる。
補足対岸が他人所有の場合の水路変更禁止は、下流の他人の水利用への影響を防ぐ趣旨である。両岸が自己所有なら変更可だが交点で自然水路に戻す必要がある。
問6排水のための低地の通水
排水のための低地の通水及び水流の変更に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は所定の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合には、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。
- イ.溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、その水路又は幅員を変更することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 220条のとおり → 正しい
民法第220条「公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 対岸が他人所有のとき変更してはならない → 『変更することができる』は誤り
民法第219条「対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない」e-Gov原文
ひっかけ高地の所有者は所定の場合に低地に水を通過させられる(損害最少の場所方法)。対岸が他人所有のとき水路・幅員は『変更できない』(220条・219条)。
解説高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用・農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで低地に水を通過させられる(220条)。この場合、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。排水のための低地の通水を押さえる。
補足排水のための低地の通水権は、高地の排水を確保しつつ低地の損害を最小化する調整規定である。余水排出のための工作物設置は221条による。
問7通水用工作物の使用
通水用工作物の使用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地の所有者は、その所有地の水を通過させるためであっても、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することはできない。
- イ.土地の所有者は、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができ、この場合には、その利益を受ける割合に応じて工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 工作物を使用できる → 『使用することはできない』は誤り
民法第221条「高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 221条のとおり → 正しい
民法第221条「高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができる」e-Gov原文
ひっかけ土地の所有者は水を通過させるため他人(高地・低地の所有者)の工作物を『使用できる』(利益の割合に応じて費用分担)(221条)。
解説土地の所有者は、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用できる(221条1項)。この場合、他人の工作物を使用する者はその利益を受ける割合に応じて工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない(同条2項)。通水用工作物の使用を押さえる。
補足既存の通水用工作物を利用できることで無駄な工作物の重複を避ける。利益の割合に応じた費用分担が公平を図る。
問8囲障の設置及び保存の費用
囲障の設置及び保存の費用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.囲障の設置及び保存の費用は、その設置を求めた相隣者が全額を負担する。
- イ.囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 相隣者が等しい割合で負担する → 『設置を求めた者が全額負担』は誤り
ひっかけ囲障の設置及び保存の費用は相隣者が『等しい割合』で負担(226条)。
解説二棟の建物がその所有者を異にし、その間に空地があるときは各所有者は共同の費用で境界に囲障を設けられ(225条1項)、その設置及び保存の費用は相隣者が等しい割合で負担する(226条)。囲障の設置及び保存の費用を押さえる。
補足囲障(塀・垣根)は相隣者が共同の費用で設置し、費用は等しく負担する。異なる慣習があればそれに従う(228条)。
問9相隣者の一人による囲障の設置
相隣者の一人による囲障の設置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相隣者の一人は、所定の材料より良好なものを用い、又は所定の高さを増して囲障を設けることはできない。
- イ.相隣者の一人は、所定の材料より良好なものを用い、又は所定の高さを増して囲障を設けることができる。ただし、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 良好な材料・高さを増した囲障を設けられる → 『設けることはできない』は誤り
民法第227条「同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 227条のとおり → 正しい
民法第227条「同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる」e-Gov原文
ひっかけ相隣者の一人は『費用の増加額を負担』して良好な材料・高さを増した囲障を設けられる(227条)。
解説相隣者の一人は、所定の囲障(225条2項)の材料より良好なものを用い、又はその高さを増して囲障を設けられる(227条)。ただし、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない。相隣者の一人による囲障の設置を押さえる。
補足標準的な囲障(板塀・竹垣、高さ2メートル、225条2項)を超える良好・高い囲障を単独で設ける場合、増加費用は設けた者が負担する。
問10囲障の設置等に関する慣習
囲障の設置等に関する慣習及び雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.囲障の設置及び保存の費用の負担、囲障の材料・高さ等について、前三条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
- イ.土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 228条のとおり → 正しい
民法第228条「前三条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 218条のとおり → 正しい
民法第218条「直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない」e-Gov原文
ひっかけ囲障の設置等について前三条と異なる『慣習』があればそれに従う。直接に雨水を隣地に注ぐ工作物は『設けてはならない』(228条・218条)。
解説囲障の設置(225条)・費用(226条)・相隣者の一人による設置(227条)に関し、これらと異なる慣習があるときはその慣習に従う(228条)。相隣関係では地域の慣習が優先される。囲障の設置等に関する慣習を押さえる。
補足囲障に関する規定(225条~227条)は任意規定的性格を持ち、異なる慣習があればそれに従う(228条)。
問11境界線上の障壁の特則
境界線上の障壁の特則及び水流に関する費用の負担についての慣習に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、境界線上に設けた境界標等の共有推定の規定は、適用しない。
- イ.水流に関する工作物の費用の負担について別段の慣習があるときであっても、その慣習に従うことはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 230条1項のとおり → 正しい
民法第230条「一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、前条の規定は、適用しない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 別段の慣習があればその慣習に従う → 『慣習に従うことはできない』は誤り
民法第217条「費用の負担について別段の慣習があるときは、その慣習に従う」e-Gov原文
ひっかけ一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁には『共有推定を適用しない』。水流の費用負担は『慣習』に従う(230条・217条)。
解説一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、境界標・囲障・障壁の共有推定の規定(229条)を適用しない(230条1項)。建物の一部を構成する障壁は建物所有者に帰属するためである。境界線上の障壁の特則を押さえる。
補足229条は境界線上に設けた境界標・囲障・障壁を相隣者の共有と推定するが、建物の一部を構成する障壁はその建物所有者のものとして共有推定が排除される(230条)。
問12共有の障壁の高さを増す工事
共有の障壁の高さを増す工事に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことはできない。
- イ.相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる。ただし、その障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 共有の障壁の高さを増せる → 『増すことはできない』は誤り
民法第231条「相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 231条1項のとおり → 正しい
民法第231条「相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる」e-Gov原文
ひっかけ相隣者の一人は共有の障壁の『高さを増せる』(耐えないときは自己の費用で工作・改築)(231条1項)。
解説相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる(231条1項)。ただし、その障壁が工事に耐えないときは自己の費用で必要な工作を加え又は改築しなければならない。高さを増した部分はその工事をした者の単独所有に属する(同条2項)。共有の障壁の高さを増す工事を押さえる。
補足共有の障壁でも一人が単独で高さを増せるが、耐力不足なら自己費用で補強・改築し、増設部分は単独所有となる。これにより隣人が損害を受ければ償金を請求できる(232条)。
問13障壁の工事による償金請求
障壁の工事による償金請求及び公道に至るための通行権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.共有の障壁の高さを増す工事により隣人が損害を受けたときであっても、隣人は、その償金を請求することができない。
- イ.他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るために、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 損害を受けたとき償金を請求できる → 『請求することができない』は誤り
民法第232条「隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 囲繞地を通行できる → 『通行することができない』は誤り
民法第210条「その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる」e-Gov原文
ひっかけ障壁の高さを増す工事で隣人が損害を受けたとき隣人は『償金を請求』できる。袋地の所有者は囲繞地を『通行できる』(232条・210条)。
解説共有の障壁の高さを増す工事(231条)の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求できる(232条)。単独で工事できる反面、損害を受けた隣人には償金請求権が認められる。障壁の工事による償金請求を押さえる。
補足障壁の高さを増す工事は単独でできるが、隣人が損害(採光・通風の阻害等)を受ければ償金請求により調整される。
問14境界線付近の建築に関する慣習
境界線付近の建築に関する慣習及び雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.境界線付近の建築の距離制限等に関して前二条の規定と異なる慣習があるときであっても、その慣習に従うことはできない。
- イ.土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 異なる慣習があればその慣習に従う → 『慣習に従うことはできない』は誤り
民法第236条「前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 設けてはならない → 『設けることができる』は誤り
民法第218条「直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない」e-Gov原文
ひっかけ境界線付近の建築に関し前二条と異なる『慣習』があればそれに従う。雨水を隣地に注ぐ工作物は『設けてはならない』(236条・218条)。
解説境界線付近の建築の距離制限(234条)・目隠しの設置(235条)に関し、これらと異なる慣習があるときはその慣習に従う(236条)。相隣関係では地域の建築慣行が尊重される。境界線付近の建築に関する慣習を押さえる。
補足建物を築造するには境界線から50センチメートル以上の距離を保つ(234条)が、異なる慣習があればそれに従う(236条)。
問15境界線付近の掘削に関する注意義務
境界線付近の掘削に関する注意義務及び排水のための低地の通水に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.境界線の付近において井戸、用水だめ等の掘削工事をするときであっても、土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐための注意をする必要はない。
- イ.高地の所有者は、その高地が浸水した場合であっても、これを乾かすため、低地に水を通過させることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 崩壊・漏出防止の注意をしなければならない → 『注意をする必要はない』は誤り
民法第238条「土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 低地に水を通過させられる → 『通過させることはできない』は誤り
民法第220条「公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる」e-Gov原文
ひっかけ境界線付近の掘削工事は崩壊・漏出防止の『必要な注意』をしなければならない。高地の所有者は所定の場合に低地に水を『通過させられる』(238条・220条)。
解説境界線の付近において井戸・用水だめ・下水だめ・肥料だめ等の掘削工事(237条)をするときは、土砂の崩壊又は水・汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならない(238条)。境界線付近の掘削に関する注意義務を押さえる。
補足境界線付近の掘削には距離制限(237条)と注意義務(238条)がある。隣地の崩壊・汚染を防ぐための相隣関係規定である。