問1時効の効力
時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
- イ.債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- イ.正しい
- 166条1項のとおり → 正しい
民法第166条「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」e-Gov原文
ひっかけ時効の効力は『起算日にさかのぼる』。債権は『主観5年・客観10年』で時効消滅(144条・166条)。
解説時効の効力はその起算日にさかのぼる(144条、遡及効)。取得時効では起算日から所有していたことになり、消滅時効では起算日に遡って権利が消滅する。時効の効力を押さえる。
補足時効の遡及効により、時効完成の効果は起算日に遡って生じる。援用によって確定的に効力が生じる(145条)。
問2時効の援用
時効の援用及び時効の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
- イ.時効の効力は、時効が援用された時から将来に向かって生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 145条のとおり → 正しい
民法第145条「が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 起算日にさかのぼる → 『援用された時から将来に向かって生ずる』は誤り
ひっかけ時効は当事者等が『援用』しなければ裁判の基礎とできない。時効の効力は『起算日にさかのぼる』(145条・144条)。
解説時効は、当事者(消滅時効では保証人・物上保証人・第三取得者その他正当な利益を有する者を含む)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない(145条)。時効の完成だけでなく援用が必要である。時効の援用を押さえる。
補足時効は完成しただけでは効果が確定せず、当事者の援用によって初めて裁判上考慮される。消滅時効では正当な利益を有する者も援用権者となる。
問3時効の利益の放棄
時効の利益の放棄及び承認による時効の更新に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
- イ.時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 146条のとおり → 正しい
民法第146条「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 152条1項のとおり → 正しい
民法第152条「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」e-Gov原文
ひっかけ時効の利益は『あらかじめ放棄できない』。権利の承認により時効は『更新』される(146条・152条)。
解説時効の利益は、あらかじめ放棄することができない(146条)。時効完成前の放棄を認めると債権者が放棄を強要するおそれがあるためである。時効完成後の放棄は可能である。時効の利益の放棄を押さえる。
補足時効の利益の放棄は完成前はできないが、完成後はできる。完成後に債務の承認をすると、時効完成を知らなくても信義則上援用できなくなる(判例)。
問4裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新
裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新並びに時効の利益の放棄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.裁判上の請求、支払督促等の事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決等によって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
- イ.時効の利益は、あらかじめ放棄することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- あらかじめ放棄できない → 『あらかじめ放棄することができる』は誤り
民法第146条「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない」e-Gov原文
ひっかけ裁判上の請求等の事由がある間は時効は『完成しない』(確定判決で権利確定すれば更新)。時効の利益は『あらかじめ放棄できない』(147条・146条)。
解説裁判上の請求・支払督促・和解・調停・破産手続参加等の事由がある場合には、その事由が終了するまでの間は時効は完成しない(147条1項、完成猶予)。確定判決等によって権利が確定したときは、その終了時から新たに時効が進行する(同条2項、更新)。裁判上の請求等による完成猶予及び更新を押さえる。
補足裁判上の請求は、係属中は完成猶予、確定判決で権利確定すれば更新となる。権利が確定せず終了(訴え却下・取下げ)した場合は終了から6箇月間の完成猶予にとどまる。
問5強制執行等による時効の完成猶予及び更新
強制執行等による時効の完成猶予及び更新並びに夫婦間の権利の時効の完成猶予に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.強制執行、担保権の実行等の事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
- イ.夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 148条1項のとおり → 正しい
民法第148条「申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては」e-Gov原文
- イ.正しい
- 159条のとおり → 正しい
民法第159条「婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」e-Gov原文
ひっかけ強制執行等の事由がある間は時効は『完成しない』(手続完了で更新)。夫婦間の権利は婚姻解消時から『6箇月』完成猶予(148条・159条)。
解説強制執行・担保権の実行・形式的競売・財産開示手続等の事由がある場合には、その事由が終了するまでの間は時効は完成せず(148条1項、完成猶予)、手続が完了すれば更新される(同条2項)。ただし申立ての取下げ・取消しで終了したときは終了から6箇月間の完成猶予にとどまる。強制執行等による完成猶予及び更新を押さえる。
補足強制執行等も裁判上の請求と同様、手続完了で時効が更新される。取下げ・取消しの場合は更新されず6箇月の完成猶予にとどまる点に注意する。
問6仮差押え等による時効の完成猶予
仮差押え等による時効の完成猶予及び裁判上の請求による完成猶予に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.仮差押え又は仮処分の事由がある場合には、その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
- イ.裁判上の請求により権利が確定することなくその事由が終了した場合には、その終了の時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 149条のとおり → 正しい
民法第149条「その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 終了から6箇月を経過するまで → 『一年を経過するまで』は誤り
ひっかけ仮差押え・仮処分は事由終了時から『6箇月』完成猶予(更新の効力はない)。裁判上の請求も権利未確定終了なら終了から『6箇月』(149条・147条)。
解説仮差押え又は仮処分の事由がある場合には、その事由が終了した時から6箇月を経過するまでの間は時効は完成しない(149条)。仮差押え・仮処分は完成猶予の効力のみを有し、更新の効力はない。仮差押え等による完成猶予を押さえる。
補足仮差押え・仮処分は暫定的な保全手続であるため、完成猶予(6箇月)の効力はあるが更新(新たな進行)の効力はない点が強制執行等と異なる。
問7催告による時効の完成猶予
催告による時効の完成猶予に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、更に六箇月の時効の完成猶予の効力を有する。
- イ.催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。ただし、猶予期間中にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 再度の催告は効力を有しない → 『更に六箇月の効力を有する』は誤り
民法第150条「再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 150条のとおり → 正しい
民法第150条「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」e-Gov原文
ひっかけ催告は『6箇月』の完成猶予。ただし猶予期間中の『再度の催告』は効力を有しない(150条)。
解説催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は時効は完成しない(150条1項)。ただし、催告により完成が猶予されている間にされた再度の催告は、完成猶予の効力を有しない(同条2項)。催告の繰り返しで完成を延ばすことはできない。催告による完成猶予を押さえる。
補足催告は6箇月の完成猶予のみで更新の効力はない。この6箇月内に裁判上の請求等をすれば更新につなげられるが、催告を繰り返しても猶予は延びない。
問8協議を行う旨の合意による時効の完成猶予
協議を行う旨の合意による時効の完成猶予に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.権利についての協議を行う旨の合意は、口頭でされた場合であっても、時効の完成猶予の効力を有する。
- イ.権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、所定の時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 書面でされたとき効力を有する → 『口頭でも効力を有する』は誤り
民法第151条「権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは」e-Gov原文
- イ.正しい
- 151条1項のとおり → 正しい
民法第151条「権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは」e-Gov原文
ひっかけ協議を行う旨の合意は『書面』でされたとき完成猶予の効力を有する(口頭では不可)(151条1項)。
解説権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、合意から1年経過時・協議期間経過時・協議続行拒絶の通知から6箇月経過時のいずれか早い時までの間は時効は完成しない(151条1項)。協議による完成猶予を押さえる。
補足協議の合意による完成猶予は平成29年改正で新設された。書面(電磁的記録を含む)が要件で、通算5年を超えない範囲で再度の合意による延長ができる。
問9承認による時効の更新
承認による時効の更新に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.時効は、権利の承認があったときであっても、更新されない。
- イ.時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。この承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 承認により新たに進行を始める → 『更新されない』は誤り
民法第152条「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」e-Gov原文
- イ.正しい
- 152条のとおり → 正しい
民法第152条「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」e-Gov原文
ひっかけ権利の承認により時効は『更新』され新たに進行を始める(承認に処分の能力・権限は不要)(152条)。
解説時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める(152条1項、更新)。承認をするには相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない(同条2項。管理能力・権限は必要)。承認による時効の更新を押さえる。
補足承認は債務の一部弁済・利息の支払・支払猶予の申入れ等が典型で、時効を更新する。処分能力は不要だが管理能力は必要とされる。
問10未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予
未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予及び時効の援用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その者に対して、時効は、完成しない。
- イ.時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 158条1項のとおり → 正しい
民法第158条「時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは」e-Gov原文
- イ.正しい
- 145条のとおり → 正しい
民法第145条「が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」e-Gov原文
ひっかけ満了前6箇月内に法定代理人がない未成年者等は、行為能力者となった時等から『6箇月』完成猶予。時効は『援用』が必要(158条・145条)。
解説時効の期間の満了前6箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その者が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、その者に対して時効は完成しない(158条1項)。制限行為能力者を保護する完成猶予事由である。未成年者等と完成猶予を押さえる。
補足制限行為能力者が時効の管理をできない状況を保護するため、法定代理人不在の場合に完成猶予が認められる。財産管理者に対する権利についても同様の猶予がある(158条2項)。
問11夫婦間の権利の時効の完成猶予
夫婦間の権利の時効の完成猶予及び仮差押え等による完成猶予に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
- イ.仮差押え又は仮処分の事由がある場合には、その事由が終了した時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 159条のとおり → 正しい
民法第159条「婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 終了時から6箇月を経過するまで → 『一年を経過するまで』は誤り
民法第149条「その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」e-Gov原文
ひっかけ夫婦間の権利は婚姻解消時から『6箇月』完成猶予。仮差押え・仮処分も事由終了時から『6箇月』(159条・149条)。
解説夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6箇月を経過するまでの間は時効は完成しない(159条)。婚姻中は権利行使が事実上困難なことを考慮した完成猶予事由である。夫婦間の権利の完成猶予を押さえる。
補足婚姻中の夫婦間では権利行使をためらいがちなため、離婚等による婚姻解消後6箇月間の完成猶予が認められる。相続財産(160条)も同様の趣旨で猶予がある。
問12相続財産に関する時効の完成猶予
相続財産に関する時効の完成猶予に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
- イ.相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 相続人確定時等から6箇月を経過するまで → 『一年を経過するまで』は誤り
民法第160条「相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 160条のとおり → 正しい
民法第160条「相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」e-Gov原文
ひっかけ相続財産は相続人確定時・管理人選任時・破産手続開始決定時から『6箇月』完成猶予(160条)。
解説相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から6箇月を経過するまでの間は、時効は完成しない(160条)。相続人不確定の間は権利義務の管理者がいないことを考慮した完成猶予事由である。相続財産に関する完成猶予を押さえる。
補足相続開始後に相続人が確定するまでは相続財産の管理者が不在となりうるため、相続人確定等から6箇月間の完成猶予が認められる。
問13天災等による時効の完成猶予
天災等による時効の完成猶予及び時効の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため所定の手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
- イ.時効の効力は、その起算日にさかのぼらず、時効が援用された時から生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 障害消滅時から3箇月を経過するまで → 『六箇月を経過するまで』は誤り
民法第161条「その障害が消滅した時から三箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 起算日にさかのぼる → 『援用時から生ずる』は誤り
ひっかけ天災等による障害が消滅した時から『3箇月』完成猶予(他の完成猶予が6箇月なのと異なる)。時効の効力は『起算日にさかのぼる』(161条・144条)。
解説時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため裁判上の請求・強制執行等の手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から3箇月を経過するまでの間は時効は完成しない(161条)。天災等による完成猶予を押さえる。
補足天災等による完成猶予は3箇月と短い(他の完成猶予事由の多くは6箇月)。数値の違いに注意する。
問14債権等の消滅時効
債権等の消滅時効及び時効の利益の放棄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- イ.時効の利益は、あらかじめ放棄することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 主観的起算点から5年間 → 『十年間』は誤り(十年間は客観的起算点)
民法第166条「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」e-Gov原文
- イ.誤り
- あらかじめ放棄できない → 『あらかじめ放棄することができる』は誤り
民法第146条「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない」e-Gov原文
ひっかけ債権は主観的起算点から『5年』・客観的起算点から『10年』で時効消滅。時効の利益は『あらかじめ放棄できない』(166条・146条)。
解説債権は、債権者が権利を行使できることを知った時(主観的起算点)から5年間、又は権利を行使できる時(客観的起算点)から10年間行使しないときは時効消滅する(166条1項)。債権又は所有権以外の財産権は行使できる時から20年間で消滅する(同条2項。所有権は消滅時効にかからない)。債権等の消滅時効を押さえる。
補足平成29年改正で債権の消滅時効は主観5年・客観10年の二重期間となった。人の生命身体の侵害による損害賠償請求権は客観的起算点が20年に伸長される(167条)。
問15判決で確定した権利の消滅時効
判決で確定した権利の消滅時効及び承認による時効の更新に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものは、その短い時効期間による。
- イ.時効は、権利の承認があったときであっても、更新されず、その完成が猶予されるにとどまる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 時効期間は10年とする → 『短い時効期間による』は誤り
民法第169条「十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 承認により更新される → 『猶予されるにとどまる』は誤り
民法第152条「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」e-Gov原文
ひっかけ確定判決等で確定した権利の時効期間は『10年』(10年より短い定めがあっても10年)。承認は『更新』(猶予ではない)(169条・152条)。
解説確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は10年とする(169条1項)。短期消滅時効にかかる債権も確定判決で10年に伸長される。判決で確定した権利の消滅時効を押さえる。
補足確定判決等で確定した権利の時効は10年に統一される。ただし確定時に弁済期が未到来の債権にはこの規定は適用されない(169条2項)。