問1相続開始の原因
相続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続は、死亡によって開始する。
- イ.相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- イ.正しい
- 939条のとおり → 正しい
民法第939条「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ相続は『死亡』によって開始する。相続放棄者は『初めから相続人とならなかった』ものとみなす(882条・939条)。
解説相続は、死亡によって開始する(882条)。失踪宣告による死亡擬制の場合も相続が開始する。また、相続放棄者はその相続に関して初めから相続人とならなかったものとみなされる(939条、遡及効。代襲相続も生じない)。相続開始の原因を押さえる。
補足相続は死亡(失踪宣告による擬制死亡を含む)で開始する。相続放棄には遡及効があり、放棄者の子への代襲相続も生じない(欠格・廃除と異なる)。
問2相続に関する胎児の権利能力
相続に関する胎児の権利能力及び相続開始の原因に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
- イ.相続は、被相続人の死亡のほか、失踪宣告がなくても長期の行方不明によって当然に開始する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 886条1項のとおり → 正しい
民法第886条「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 死亡によって開始する → 『行方不明によって当然に開始する』は誤り
ひっかけ胎児は相続については『既に生まれたものとみなす』。相続は『死亡』によって開始する(886条・882条)。
解説胎児は、相続については既に生まれたものとみなす(886条1項)。ただし胎児が死体で生まれたときは適用しない(同条2項)。胎児にも相続権が認められる。相続に関する胎児の権利能力を押さえる。
補足胎児は相続・遺贈・不法行為による損害賠償請求について既に生まれたものとみなされる。死産の場合は遡って権利能力がなかったことになる(停止条件説・解除条件説の対立がある)。
問3子及びその代襲者等の相続権
子及びその代襲者等の相続権並びに法定相続分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は欠格若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
- イ.子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 887条2項のとおり → 正しい
民法第887条「その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 900条1号のとおり → 正しい
民法第900条「子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする」e-Gov原文
ひっかけ子が相続開始前の死亡・欠格・廃除で相続権を失うとその子が『代襲相続』する。子と配偶者は『各2分の1』(887条・900条)。
解説被相続人の子が相続開始以前に死亡したとき、又は欠格・廃除によって相続権を失ったときは、その者の子(被相続人の孫)が代襲して相続人となる(887条2項。相続放棄は代襲原因でない)。ただし被相続人の直系卑属でない者を除く。子及びその代襲者等の相続権を押さえる。
補足代襲原因は相続開始以前の死亡・欠格・廃除の3つで、相続放棄は含まれない。子の代襲は再代襲(ひ孫)も可能だが、兄弟姉妹の代襲は一代限り(甥姪まで)である。
問4直系尊属及び兄弟姉妹の相続権
直系尊属及び兄弟姉妹の相続権並びに胎児の権利能力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被相続人の直系尊属及び兄弟姉妹は、被相続人の子(その代襲者を含む。)がない場合には、直系尊属、兄弟姉妹の順位の順序に従って相続人となる。
- イ.胎児は、相続については、既に生まれたものとはみなされず、出生するまで相続人となる資格を有しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 889条1項のとおり → 正しい
民法第889条「第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には」e-Gov原文
- イ.誤り
- 既に生まれたものとみなす → 『みなされず資格を有しない』は誤り
民法第886条「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ直系尊属・兄弟姉妹は子(代襲者含む)が『ない場合』に、直系尊属→兄弟姉妹の順位で相続人となる。胎児は『既に生まれたものとみなす』(889条・886条)。
解説被相続人の直系尊属及び兄弟姉妹は、第887条により相続人となるべき者(子及びその代襲者)がない場合に、直系尊属を第一順位、兄弟姉妹を第二順位として相続人となる(889条1項。直系尊属は親等の近い者が先)。直系尊属及び兄弟姉妹の相続権を押さえる。
補足血族相続人の順位は、第一順位が子(及び代襲者)、第二順位が直系尊属、第三順位が兄弟姉妹(及びその子の代襲)である。配偶者は常に相続人となる。
問5配偶者の相続権
配偶者の相続権及び相続の承認又は放棄をすべき期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、子や直系尊属等の血族相続人があるときは、その者と同順位とする。
- イ.相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- イ.正しい
- 915条1項のとおり → 正しい
民法第915条「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に」e-Gov原文
ひっかけ配偶者は『常に』相続人となり血族相続人と同順位。承認・放棄は相続開始を知った時から『3箇月以内』(890条・915条)。
解説被相続人の配偶者は常に相続人となり、子・直系尊属・兄弟姉妹等の血族相続人があるときはその者と同順位となる(890条)。相続人は自己のために相続開始を知った時から3箇月以内に承認又は放棄をしなければならない(915条1項。熟慮期間)。配偶者の相続権を押さえる。
補足配偶者は血族相続人の有無にかかわらず常に相続人となる。承認・放棄の熟慮期間3箇月は家庭裁判所が伸長できる(915条1項ただし書)。
問6相続人の欠格事由
相続人の欠格事由及び直系尊属等の相続権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者は、相続人となることができない。
- イ.被相続人の直系尊属及び兄弟姉妹は、被相続人の子がある場合であっても、その子と同順位で相続人となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 891条のとおり → 正しい
民法第891条「次に掲げる者は、相続人となることができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 子がない場合に相続人となる → 『子があっても同順位で相続人となる』は誤り
民法第889条「第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には」e-Gov原文
ひっかけ故意に被相続人等を死亡させ刑に処せられた者等は『相続人となることができない』(欠格)。直系尊属・兄弟姉妹は子が『ない場合』に相続人(891条・889条)。
解説故意に被相続人又は先順位・同順位の者を死亡させ又は死亡させようとして刑に処せられた者、詐欺・強迫で遺言を妨げた者、遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者等は、相続人となることができない(891条、相続欠格)。相続人の欠格事由を押さえる。
補足欠格は法律上当然に相続資格を失う制度で、家庭裁判所の手続を要する廃除(892条)と異なる。欠格・廃除の場合は代襲相続が生じる。
問7相続の一般的効力
相続の一般的効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続人は、相続開始の時から、被相続人の一身に専属したものを含め、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
- イ.相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 一身専属のものは承継しない → 『一身専属のものを含め承継する』は誤り
民法第896条「被相続人の一身に専属したものは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 896条のとおり → 正しい
民法第896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」e-Gov原文
ひっかけ相続人は相続開始の時から一切の権利義務を承継するが、『一身に専属したもの』は承継しない(896条)。
解説相続人は、相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する(896条本文、包括承継)。ただし被相続人の一身に専属したもの(扶養請求権・生活保護受給権・雇用契約上の地位等)は承継しない(同条ただし書)。相続の一般的効力を押さえる。
補足相続は包括承継であり、積極財産だけでなく債務も承継される。一身専属権(帰属上の一身専属権)は承継されない点が例外である。
問8法定相続分
法定相続分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.子及び配偶者が相続人であるときは、配偶者の相続分は三分の二とし、子の相続分は三分の一とする。
- イ.子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 子と配偶者は各2分の1 → 『配偶者3分の2・子3分の1』は誤り
民法第900条「子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 900条1号のとおり → 正しい
民法第900条「子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする」e-Gov原文
ひっかけ子と配偶者が相続人のときは『各2分の1』(配偶者3分の2は直系尊属と相続する場合)(900条)。
解説同順位の相続人が数人あるときの法定相続分は、子及び配偶者では各2分の1、配偶者及び直系尊属では配偶者3分の2・直系尊属3分の1、配偶者及び兄弟姉妹では配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1である(900条)。同順位の子・直系尊属・兄弟姉妹が複数のときは各自均等が原則。法定相続分を押さえる。
補足配偶者の相続分は相続人の組合せで変わる(子と=2分の1、直系尊属と=3分の2、兄弟姉妹と=4分の3)。混同しやすいため正確に押さえる。
問9代襲相続人の相続分
代襲相続人の相続分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代襲して相続人となる直系卑属の相続分は、被代襲者である直系尊属が受けるべきであったものとは無関係に、他の相続人と均等とする。
- イ.代襲して相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属(被代襲者)が受けるべきであったものと同じとする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 被代襲者が受けるべきであったものと同じ → 『他の相続人と均等』は誤り
民法第901条「その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 901条1項のとおり → 正しい
民法第901条「その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする」e-Gov原文
ひっかけ代襲相続人の相続分は『被代襲者が受けるべきであったものと同じ』(数人あれば頭割り)(901条1項)。
解説代襲して相続人となる直系卑属の相続分は、被代襲者である直系尊属が受けるべきであったものと同じとする(901条1項)。代襲者が数人あるときは、被代襲者が受けるべきであった部分について頭割りする。代襲相続人の相続分を押さえる。
補足代襲相続人は被代襲者の相続分を承継する(株分け)。代襲者が複数の場合はその相続分を均等に分ける。兄弟姉妹の子の代襲にも準用される(901条2項)。
問10遺言による相続分の指定
遺言による相続分の指定及び胎児の権利能力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被相続人は、法定相続分の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。
- イ.胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 902条1項のとおり → 正しい
民法第902条「遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 886条1項のとおり → 正しい
民法第886条「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ被相続人は遺言で『相続分を指定』し又は第三者に委託できる(法定相続分に優先)。胎児は『既に生まれたものとみなす』(902条・886条)。
解説被相続人は、法定相続分の規定にかかわらず、遺言で共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託できる(902条1項、指定相続分)。指定相続分は法定相続分に優先する。遺言による相続分の指定を押さえる。
補足指定相続分は法定相続分に優先するが、遺留分を侵害する指定も直ちに無効とはならず、遺留分侵害額請求の対象となる。
問11遺産の分割の基準
遺産の分割の基準及び配偶者の相続権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
- イ.被相続人の配偶者は、子や直系尊属等の相続人があるときは、相続人とならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 906条のとおり → 正しい
民法第906条「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 配偶者は常に相続人となる → 『血族相続人があるとき相続人とならない』は誤り
ひっかけ遺産分割は物の種類性質・相続人の事情その他『一切の事情を考慮』して行う。配偶者は『常に』相続人となる(906条・890条)。
解説遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態・生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする(906条、遺産分割の基準)。遺産の分割の基準を押さえる。
補足遺産分割は906条の基準に従い、協議(907条1項)が調わないときは家庭裁判所の審判による。分割の効力は相続開始の時にさかのぼる(909条)。
問12遺産の分割の効力
遺産の分割の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.遺産の分割は、分割の時から将来に向かってその効力を生ずる。
- イ.遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 相続開始の時にさかのぼる → 『分割の時から将来に向かって生ずる』は誤り
民法第909条「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 909条のとおり → 正しい
民法第909条「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ遺産分割は『相続開始の時にさかのぼって』効力を生ずる(第三者の権利を害せない)(909条)。
解説遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる(909条本文、遡及効。分割宣言主義)。ただし第三者の権利を害することはできない(同条ただし書)。遺産の分割の効力を押さえる。
補足遺産分割の遡及効により、分割で取得した財産は相続開始時から取得していたことになる。ただし分割前に生じた第三者の権利は害されない。
問13相続の承認又は放棄をすべき期間
相続の承認又は放棄をすべき期間及び相続開始の原因に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から一年以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
- イ.相続は、被相続人の意思表示によって開始する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 3箇月以内 → 『一年以内』は誤り
民法第915条「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に」e-Gov原文
- イ.誤り
- 死亡によって開始する → 『意思表示によって開始する』は誤り
ひっかけ相続の承認・放棄は相続開始を知った時から『3箇月以内』(熟慮期間)。相続は『死亡』によって開始(915条・882条)。
解説相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、単純承認・限定承認又は放棄をしなければならない(915条1項、熟慮期間)。この期間は利害関係人・検察官の請求により家庭裁判所が伸長できる。相続の承認又は放棄をすべき期間を押さえる。
補足熟慮期間3箇月は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算する。相続財産の状況が不明なときは家庭裁判所が期間を伸長できる。
問14法定単純承認
法定単純承認及び法定相続分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときであっても、保存行為であるか否かにかかわらず、単純承認をしたものとはみなされない。
- イ.配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は三分の一とし、直系尊属の相続分は三分の二とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 処分したときは単純承認とみなす → 『みなされない』は誤り
民法第921条「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」e-Gov原文
- イ.誤り
- 配偶者3分の2・直系尊属3分の1 → 『配偶者3分の1・直系尊属3分の2』は誤り
民法第900条「配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする」e-Gov原文
ひっかけ相続財産を『処分』したときは単純承認とみなす(保存行為等を除く)。配偶者及び直系尊属では配偶者『3分の2』(921条・900条)。
解説相続財産の全部又は一部を処分したとき(保存行為・短期賃貸を除く)、熟慮期間内に限定承認・放棄をしなかったとき、限定承認・放棄後に財産を隠匿・消費等したときは、単純承認をしたものとみなされる(921条、法定単純承認)。法定単純承認を押さえる。
補足法定単純承認事由に該当すると、単純承認したものとみなされ限定承認・放棄ができなくなる。相続財産の処分は保存行為・短期賃貸を除き該当する。
問15相続の放棄の効力
相続の放棄の効力及び遺産の分割の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続の放棄をした者は、その相続に関しては、放棄の時から相続人でなかったものとみなされる。
- イ.遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼらず、分割の時からその効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 初めから相続人とならなかったものとみなす → 『放棄の時から相続人でなかったものとみなす』は誤り
民法第939条「初めから相続人とならなかったものとみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 相続開始の時にさかのぼる → 『分割の時から効力を生ずる』は誤り
民法第909条「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ相続放棄者は『初めから』相続人とならなかったものとみなす。遺産分割は『相続開始の時にさかのぼって』効力を生ずる(939条・909条)。
解説相続の放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなす(939条)。放棄には遡及効があり、放棄者の子への代襲相続も生じない。放棄は撤回できない。相続の放棄の効力を押さえる。
補足相続放棄は家庭裁判所への申述により行い(938条)、初めから相続人でなかったものとみなされる。他の共同相続人の相続分が増加し、放棄者の子への代襲相続は生じない。