問1主物及び従物
主物及び従物に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
- イ.従物は、主物の処分に従う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 87条1項のとおり → 正しい
民法第87条「物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする」e-Gov原文
ひっかけ従物は『常用に供するため附属させた自己の所有物』。従物は『主物の処分に従う』(87条)。
解説物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする(87条1項)。そして、従物は、主物の処分に従う(87条2項)。例えば建物(主物)に対する畳・建具などが従物に当たり、主物である建物を譲渡すれば従物もこれに従う。表示に関する登記でも、主物と従物の関係は物の一体性を考えるうえで基礎となる。
補足従物となるには、主物の常用に供されること、附属させた者の所有に属すること、独立の物であることなどが必要である。主物の処分に従うとは、特段の意思表示がない限り従物も主物とともに処分されるという意味である。
問2物権の創設(物権法定主義)
物権の創設及び即時取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.物権は、民法その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。
- イ.取引行為によって動産の占有を始めた者は、悪意又は過失があるときでも、即時にその動産について行使する権利を取得する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 175条のとおり → 正しい
民法第175条「物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 即時取得は善意・無過失が要件 → 『悪意又は過失があっても取得』は誤り
民法第192条「善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」e-Gov原文
ひっかけ物権は法律で定めたものしか作れない(物権法定主義)。即時取得は『善意・無過失』が要件(175条・192条)。
解説物権は、民法その他の法律に定めるもののほか、創設することができない(175条、物権法定主義)。当事者が契約で自由に新しい物権を作ることはできない。また、取引行為によって平穏・公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する(192条、即時取得)。即時取得には善意かつ無過失が必要である。物権の基本ルールを押さえる。
補足物権法定主義は、物権の種類・内容を法律で限定し、取引の安全と公示を確保する原則である。即時取得は動産取引の安全を図る制度で、不動産には適用されない(不動産は登記による公示に委ねられる)。
問3即時取得
即時取得及び境界標等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
- イ.境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 192条のとおり → 正しい
民法第192条「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 229条のとおり → 正しい
民法第229条「境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する」e-Gov原文
ひっかけ即時取得は『平穏・公然・善意・無過失』。境界線上の境界標等は『相隣者の共有と推定』(192条・229条)。
解説取引行為によって平穏・公然と動産の占有を始めた者は、善意かつ無過失のとき即時取得する(192条)。また、境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する(229条)。境界標等は両隣の土地所有者の共同の利益に資するため、共有と推定される。境界標の管理は土地家屋調査士の実務とも関わる。推定であるから、反証によって覆すことができる。
補足229条は『推定』であり、一方が単独で設置・所有することを証明すれば共有の推定は覆る。境界標の設置費用は相隣者が等しい割合で負担するのが原則である(224条)。
問4自然水流に対する妨害の禁止
相隣関係及び物権の創設に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。
- イ.物権は、当事者が契約によって自由に創設することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 214条のとおり → 正しい
民法第214条「土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 物権は法律に定めるもののほか創設できない → 『契約で自由に創設できる』は誤り
民法第175条「物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない」e-Gov原文
ひっかけ隣地からの自然水流は妨げてはならない。物権は法律で定めたものしか作れない(214条・175条)。
解説土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない(214条、自然水流に対する妨害の禁止)。高地から低地へ自然に流れる水を低地の所有者がせき止めることは許されない。また、物権は法律に定めるもののほか創設することができない(175条、物権法定主義)。相隣関係の水流ルールと物権の基本原則を押さえる。
補足自然水流は妨げてはならないが、人工的に水を流す行為(排水)には別の規律がある。相隣関係の規定は、隣接する土地相互の利用を調整するために所有権を制限するものである。
問5囲障の設置
囲障の設置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。
- イ.囲障の設置について当事者間に協議が調わないときは、その囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ2メートルのものでなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 225条1項のとおり → 正しい
民法第225条「二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 225条2項のとおり → 正しい
民法第225条「前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない」e-Gov原文
ひっかけ境界の囲障は『共同の費用』で設置でき、協議が調わなければ『板塀・竹垣等で高さ2メートル』(225条)。
解説二棟の建物が所有者を異にし、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる(225条1項)。設置や材料について当事者間に協議が調わないときは、その囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のもので、かつ、高さ2メートルのものでなければならない(225条2項)。費用負担(共同)と標準的な囲障の仕様(高さ2メートル)という数字を押さえる。
補足囲障設置の費用は相隣者が等しい割合で負担するのが原則である(226条)。標準を超える良好な囲障を設けたい者は、その増加費用を自ら負担して設けることができる(227条)。
問6境界標等の共有の推定
境界標等及び相隣関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。
- イ.土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを、自由に妨げることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 229条のとおり → 正しい
民法第229条「境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 自然水流を妨げてはならない → 『自由に妨げることができる』は誤り
民法第214条「土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない」e-Gov原文
ひっかけ境界標等は『相隣者の共有と推定』。隣地からの自然水流は妨げてはならない(229条・214条)。
解説境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する(229条)。両隣の土地の境を画する工作物は、双方の利益に資するため共有と推定される。また、土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない(214条)。相隣関係は隣接土地相互の利用を調整するルールであり、境界標の取扱いは土地家屋調査士の業務とも関わる。
補足境界標が共有と推定されることは、その保存・設置費用の負担や、勝手な撤去の制限につながる。境界に関する紛争では、筆界(公法上の境界)と所有権界の区別とあわせて、境界標の帰属が問題となる。
問7竹木の枝の切除及び根の切取り
竹木の枝の切除及び根の切取りに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.隣地の竹木の根が境界線を越えるときであっても、土地の所有者は、その根を自ら切り取ることはできない。
- イ.土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 越境した根は自ら切り取れる → 『切り取ることはできない』は誤り
民法第233条「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 233条1項のとおり → 正しい
民法第233条「土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」e-Gov原文
ひっかけ越境した『枝』は所有者に切除させる、越境した『根』は自ら切り取れる(233条)。
解説土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる(233条1項)。これに対し、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、自らその根を切り取ることができる(233条4項)。枝は原則として相手に切除させ、根は自ら切り取れるという扱いの違いを押さえる。枝と根で結論が異なる点が狙われやすい。
補足枝についても、所有者に催告しても相当期間内に切除しないとき、所有者を知ることができないとき、急迫の事情があるときは、土地の所有者が自ら切り取ることができる(233条3項、2021年改正で追加)。原則と例外をあわせて押さえる。
問8共有物の管理者
共有物の管理者に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.共有物の管理者は、共有者全員の同意を得なくても、共有物に形状又は効用の著しい変更を加えることができる。
- イ.共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 著しい変更には全員の同意が必要 → 『同意なく加えられる』は誤り
民法第252条の2「ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 252条の2第1項本文のとおり → 正しい
民法第252条の2「共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ共有物の管理者は『管理行為』はできるが、『著しい変更』には共有者全員の同意が必要(252条の2)。
解説共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる(252条の2第1項本文)。ただし、共有者全員の同意を得なければ、共有物に著しい変更を加えることはできない(同項ただし書)。管理に関する行為(利用・改良)と、形状・効用の著しい変更とで、必要な同意の有無が分かれる。2021年改正で導入された共有物の管理者の権限の範囲を押さえる。
補足共有物の管理者は、共有者が管理に関する事項を決した場合には、これに従って職務を行わなければならず、これに違反した行為は共有者に対して効力を生じない(252条の2第3項・4項)。管理者は共有者の意思決定に拘束される。
問9共有物に関する負担
共有物に関する負担に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.各共有者は、その持分の多寡にかかわらず、共有物に関する負担を等しい割合で負う。
- イ.各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 共有物の負担は持分に応じて負う → 『持分にかかわらず等しい割合』は誤り
民法第253条「各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 253条1項のとおり → 正しい
民法第253条「各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う」e-Gov原文
ひっかけ共有物の管理費用その他の負担は『持分に応じて』負う(253条)。
解説各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う(253条1項)。負担は頭数で等しくではなく、持分割合に応じて分担される。共有者が1年以内にこの義務を履行しないときは、他の共有者は相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる(同条2項)。持分に応じた負担という原則を押さえる。
補足持分に応じた負担は、共有における利益と負担の均衡を図るものである。負担を怠った共有者の持分を、償金を払って取得できる仕組み(253条2項)は、共有関係の円滑化のための制度である。
問10持分の放棄及び共有者の死亡
共有者の持分及び共有物の分割に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
- イ.共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 255条のとおり → 正しい
民法第255条「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 258条1項のとおり → 正しい
民法第258条「共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ持分の放棄・相続人なき死亡の持分は『他の共有者』に帰属。協議が調わない分割は『裁判所』に請求(255条・258条)。
解説共有者の一人がその持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は他の共有者に帰属する(255条)。国庫ではなく他の共有者に帰属する点が特徴である。また、共有物の分割について協議が調わないとき又は協議をすることができないときは、分割を裁判所に請求することができる(258条1項)。共有関係の解消をめぐる基本ルールを押さえる。
補足相続人がないまま死亡した共有者の持分は、特別縁故者への財産分与(958条の2)がされない場合に、他の共有者に帰属するというのが判例の理解である。裁判による分割では、現物分割・賠償分割・競売による分割が定められている(258条2項・3項)。
問11裁判による共有物の分割
共有物の分割及び共有者の死亡に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
- イ.共有者の一人が死亡して相続人がないときは、その持分は、国庫に帰属する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 258条1項のとおり → 正しい
民法第258条「共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 持分は他の共有者に帰属する → 『国庫に帰属する』は誤り
ひっかけ協議が調わない共有物の分割は『裁判所』に請求。相続人なき死亡の持分は『他の共有者』に帰属(258条・255条)。
解説共有物の分割について協議が調わないとき又は協議をすることができないときは、分割を裁判所に請求することができる(258条1項)。共有はいつでも解消を求められるのが原則である。また、共有者が死亡して相続人がないときは、その持分は他の共有者に帰属する(255条)。一般の相続財産が相続人不存在のとき最終的に国庫に帰属する(959条)のと異なり、共有持分は他の共有者に帰属する点を取り違えないように押さえる。
補足裁判による共有物分割では、まず現物分割・賠償分割を検討し、それができない又は価格を著しく減少させるおそれがあるときに競売(換価分割)が命じられる(258条2項・3項)。分割方法には順序的な考慮がある。
問12所在等不明共有者の持分の取得
所在等不明共有者の持分の取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不動産の共有者は、他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない場合であっても、裁判所にその共有者の持分を自己に取得させる旨の裁判を請求することはできない。
- イ.不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者の所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、所在等不明共有者の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 裁判所の裁判で取得できる → 『請求できない』は誤り
民法第262条の2「不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により」e-Gov原文
- イ.正しい
- 262条の2第1項のとおり → 正しい
民法第262条の2「不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により」e-Gov原文
ひっかけ所在不明の共有者がいる不動産は、裁判所の裁判でその持分を取得できる(262条の2)。
解説不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、所在等不明共有者の持分を取得させる旨の裁判をすることができる(262条の2第1項、2021年改正で新設)。所在不明の共有者がいて共有関係の解消が困難な事態に対応するための制度である。請求した共有者が複数あるときは、持分の割合で按分して取得する。
補足この制度は、所有者不明土地問題への対応として導入された。持分を取得した共有者は、所在等不明共有者に対し、その持分の時価相当額の支払義務を負う(262条の2第4項)。表示に関する登記の実務でも所有者不明土地は重要な論点である。
問13地上権の存続期間
用益物権の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときであっても、地上権者は、その権利を放棄することができない。
- イ.永小作権の存続期間は、設定行為で50年より長い期間を定めれば、その定めた期間とすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 存続期間を定めない地上権はいつでも放棄できる → 『放棄できない』は誤り
民法第268条「設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 永小作権の存続期間は最長50年 → 『50年超を定めた期間にできる』は誤り
民法第278条「永小作権の存続期間は、二十年以上五十年以下とする」e-Gov原文
ひっかけ存続期間を定めない地上権は『いつでも放棄』できる。永小作権の存続期間は『20年以上50年以下』(268条・278条)。
解説設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合に別段の慣習がないときは、地上権者はいつでもその権利を放棄することができる(268条1項。ただし地代を支払うべきときは予告等が必要)。また、永小作権の存続期間は20年以上50年以下であり、50年より長い期間を定めても50年となる(278条1項)。用益物権の存続期間に関する数字を正確に押さえる。
補足存続期間を定めない地上権で地上権者が放棄しないときは、裁判所が20年以上50年以下の範囲で存続期間を定める(268条2項)。永小作権の存続期間を定めなかったときは、別段の慣習がない限り30年となる(278条3項)。
問14永小作権の存続期間
永小作権及び法定地上権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.永小作権の存続期間は、10年以上30年以下とする。
- イ.土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときであっても、その建物について、地上権が設定されたものとはみなされない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 永小作権の存続期間は20年以上50年以下 → 『10年以上30年以下』は誤り
民法第278条「永小作権の存続期間は、二十年以上五十年以下とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 法定地上権が成立する → 『みなされない』は誤り
民法第388条「その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ永小作権の存続期間は『20年以上50年以下』。抵当権実行で土地建物の所有者が分かれると『法定地上権』が成立(278条・388条)。
解説永小作権の存続期間は20年以上50年以下である(278条1項)。また、土地及びその上の建物が同一の所有者に属する場合に、その土地又は建物に抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなす(388条、法定地上権)。建物の存立を保護するための制度である。用益物権の存続期間と法定地上権の成立要件を押さえる。
補足法定地上権は、抵当権設定時に土地と建物が同一所有者であったこと、一方又は双方に抵当権が設定されたこと、競売により所有者が異なるに至ったことを要件とする。地代は当事者の請求により裁判所が定める(388条後段)。
問15法定地上権
法定地上権及び主物・従物に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、土地に抵当権が設定され、その実行により土地と建物の所有者を異にするに至ったときは、建物の所有者は、直ちにその建物を収去して土地を明け渡さなければならない。
- イ.従物は、主物の処分に従わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 建物について地上権が成立する → 『直ちに収去して明け渡す』は誤り
民法第388条「その建物について、地上権が設定されたものとみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 従物は主物の処分に従う → 『従わない』は誤り
ひっかけ抵当権実行で土地建物の所有者が分かれても建物は『法定地上権』で守られる。従物は『主物の処分に従う』(388条・87条)。
解説土地及びその上の建物が同一の所有者に属する場合に、土地に抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、建物について地上権が設定されたものとみなされる(388条、法定地上権)。建物所有者は建物を収去する必要はなく、土地利用権が法律上認められる。また、従物は主物の処分に従う(87条2項)。建物の存立保護(法定地上権)と主物従物の基本ルールを押さえる。
補足法定地上権がなければ、土地と建物の所有者が分離した瞬間に建物は土地利用権を失い収去せざるを得なくなる。これを防ぎ、建物という社会的価値を保護するために法定地上権の制度が設けられている。