問1占有権の取得
占有に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
- イ.占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 180条のとおり → 正しい
民法第180条「占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 186条1項のとおり → 正しい
民法第186条「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する」e-Gov原文
ひっかけ占有権は『自己のためにする意思+所持』で取得。占有者は『所有の意思・善意・平穏・公然』と推定される(180条・186条)。
解説占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する(180条)。また、占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定される(186条1項)。これにより、取得時効などで占有者がこれらの要件を立証する負担が軽減される。占有の取得と態様の推定を押さえる。
補足占有の態様の推定(186条1項)により、所有の意思・善意・平穏・公然は推定されるため、これを争う相手方が反証責任を負う。取得時効(162条)の要件立証で重要な役割を果たす。
問2占有の態様等に関する推定
占有に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
- イ.占有権は、他人のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 186条1項のとおり → 正しい
民法第186条「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 占有権は自己のためにする意思で取得 → 『他人のためにする意思』は誤り
民法第180条「占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する」e-Gov原文
ひっかけ占有権は『自己のためにする意思』で取得(他人のためではない)。占有の態様は推定される(180条・186条)。
解説占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する(180条)。「自己のためにする意思」とは、物の所持による事実上の利益を自己に帰属させようとする意思である。また、占有者は所有の意思・善意・平穏・公然と占有をするものと推定される(186条1項)。占有の取得要件(自己のためにする意思+所持)を押さえる。
補足賃借人や受寄者のように、他人の物を所持する者も「自己のためにする意思」を有し占有権を取得する。所持による事実上の支配を保護するのが占有制度であり、所有の意思の有無とは別の問題である。
問3占有の承継
占有の承継及び占有回収の訴えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
- イ.占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 187条1項のとおり → 正しい
民法第187条「占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 200条1項のとおり → 正しい
民法第200条「占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ承継人は『自己の占有のみ/前主の占有を併せて』主張を選べる。占有を奪われたら『占有回収の訴え』(187条・200条)。
解説占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張するか、自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張するかを選べる(187条1項)。前主の占有を併せて主張する場合は、その瑕疵も承継する(同条2項)。また、占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより物の返還及び損害賠償を請求できる(200条1項)。占有の承継と占有訴権を押さえる。
補足占有を併せて主張すれば取得時効に必要な期間を満たしやすくなるが、前主の占有の瑕疵(悪意等)も引き継ぐ。占有回収の訴えは、占有を侵奪された場合の救済で、侵奪者の善意の特定承継人には原則として提起できない(200条2項)。
問4占有の承継と瑕疵
占有の承継及び占有保全の訴えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。
- イ.占有者は、その占有を妨害されるおそれがあるときであっても、占有保全の訴えにより妨害の予防を請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 187条2項のとおり → 正しい
民法第187条「前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 占有保全の訴えで妨害の予防を請求できる → 『請求することはできない』は誤り
民法第199条「占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ前主の占有を併せて主張すれば『瑕疵も承継』。妨害のおそれには『占有保全の訴え』(187条・199条)。
解説占有者の承継人が前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵(悪意・有過失等)も承継する(187条2項)。長期の占有を主張できる反面、瑕疵も引き継ぐ点に注意する。また、占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより妨害の予防又は損害賠償の担保を請求できる(199条)。占有訴権のうち占有保全の訴えを押さえる。
補足占有訴権には、占有保持の訴え(妨害の停止)、占有保全の訴え(妨害の予防)、占有回収の訴え(占有の侵奪に対する返還)の3種がある。妨害の「おそれ」の段階で予防を求められるのが占有保全の訴えである。
問5占有保全の訴え
占有保全の訴え及び境界線付近の掘削の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
- イ.井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには境界線から2メートル以上、池、穴蔵又はし尿だめを掘るには境界線から1メートル以上の距離を保たなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 199条のとおり → 正しい
民法第199条「占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 237条1項のとおり → 正しい
民法第237条「井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには境界線から二メートル以上、池、穴蔵又はし尿だめを掘るには境界線から一メートル以上の距離を保たなければならない」e-Gov原文
ひっかけ妨害のおそれには『占有保全の訴え』。井戸等は境界線から『2メートル以上』、池等は『1メートル以上』(199条・237条)。
解説占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより妨害の予防等を請求できる(199条)。また、井戸・用水だめ・下水だめ・肥料だめを掘るには境界線から2メートル以上、池・穴蔵・し尿だめを掘るには1メートル以上の距離を保たなければならない(237条1項、境界線付近の掘削の制限)。相隣関係における掘削の距離の数値を押さえる。
補足導水管を埋め、又は溝・堀を掘るには、境界線からその深さの2分の1以上の距離を保つ(ただし1メートルを超えることを要しない。237条2項)。掘削物の種類により距離が異なる点に注意する。
問6占有回収の訴え
占有回収の訴え及び占有の承継に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
- イ.占有者の承継人は、自己の占有のみを主張することはできず、必ず前の占有者の占有を併せて主張しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 200条1項のとおり → 正しい
民法第200条「占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 承継人は選択できる → 『必ず併せて主張しなければならない』は誤り
民法第187条「占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる」e-Gov原文
ひっかけ占有を奪われたら『占有回収の訴え』。承継人は自己の占有のみ/併せて主張を『選べる』(必須ではない)(200条・187条)。
解説占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより物の返還及び損害賠償を請求できる(200条1項)。また、占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張するか、前の占有者の占有を併せて主張するかを選べる(187条1項)。併せて主張するかは承継人の任意であり、強制されない。占有回収の訴えと占有の承継の選択を押さえる。
補足占有回収の訴えは、占有を侵奪された者の救済であり、奪われた時から1年以内に提起する必要がある(201条3項)。占有保持・占有保全の訴えとあわせて、占有訴権の出訴期間に注意する。
問7盗品又は遺失物の回復
盗品又は遺失物の回復に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から5年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
- イ.占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 回復請求は盗難・遺失の時から2年間 → 『5年間』は誤り
民法第193条「盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 193条のとおり → 正しい
民法第193条「盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ盗品・遺失物の回復請求は、盗難・遺失の時から『2年間』(193条)。
解説即時取得(192条)が成立する場合でも、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求できる(193条)。即時取得による取得者の保護と、盗難・遺失の被害者の保護を調整する規定である。期間(2年間)と起算点(盗難・遺失の時)を押さえる。
補足占有者が盗品・遺失物を競売や公の市場等で善意で買い受けたときは、被害者等は代価を弁償しなければ回復できない(194条)。即時取得・盗品遺失物の回復・代価弁償の関係を整理して押さえる。
問8境界線付近の掘削の制限
境界線付近の掘削の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには、境界線から1メートル以上の距離を保てばよい。
- イ.井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには境界線から2メートル以上、池、穴蔵又はし尿だめを掘るには境界線から1メートル以上の距離を保たなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 井戸等は境界線から2メートル以上 → 『1メートル以上でよい』は誤り(池等の基準)
民法第237条「井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには境界線から二メートル以上、池、穴蔵又はし尿だめを掘るには境界線から一メートル以上の距離を保たなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 237条1項のとおり → 正しい
民法第237条「井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには境界線から二メートル以上、池、穴蔵又はし尿だめを掘るには境界線から一メートル以上の距離を保たなければならない」e-Gov原文
ひっかけ井戸・用水だめ・下水だめ・肥料だめは『2メートル以上』、池・穴蔵・し尿だめは『1メートル以上』(237条)。
解説井戸・用水だめ・下水だめ・肥料だめを掘るには境界線から2メートル以上、池・穴蔵・し尿だめを掘るには1メートル以上の距離を保たなければならない(237条1項)。掘削物の種類により必要な距離が異なる点に注意する。導水管を埋め、又は溝・堀を掘るには、境界線からその深さの2分の1以上(ただし1メートルを超えることを要しない。同条2項)。相隣関係の数値を押さえる。
補足井戸等(2メートル)と池・穴蔵・し尿だめ(1メートル)の距離の違いを取り違えないこと。これらは隣地への浸水・汚染等を防ぐための相隣関係上の制限である。
問9継続的給付を受けるための設備設置権
継続的給付を受けるための設備の設置権等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地の所有者は、他の土地に設備を設置しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができない場合であっても、他の土地に設備を設置することはできない。
- イ.土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水等の継続的給付を受けられないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 必要な範囲で他の土地に設備設置できる → 『設置することはできない』は誤り
民法第213条の2「継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 213条の2第1項のとおり → 正しい
民法第213条の2「継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる」e-Gov原文
ひっかけライフラインを引けない土地は、必要な範囲で『他の土地に設備設置・他人の設備使用ができる』(213条の2)。
解説土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気・ガス・水道水等の継続的給付を受けられないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人の設備を使用することができる(213条の2第1項、2021年改正で新設)。ライフラインの確保のための相隣関係上の権利である。設備の設置・使用の場所・方法は損害が最も少ないものを選ばなければならない(同条2項)。
補足公道に至るための通行権(210条)と同様、囲まれた土地のライフライン確保を可能にする規定である。設備設置・使用により他の土地等に生じた損害には償金を支払う必要がある。
問10物権の混同
物権の混同及び永小作権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。
- イ.永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 179条1項のとおり → 正しい
民法第179条「同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 270条のとおり → 正しい
民法第270条「永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する」e-Gov原文
ひっかけ所有権と他の物権が同一人に帰属すると他の物権は『混同』で消滅。永小作権は『小作料を払って耕作・牧畜』する権利(179条・270条)。
解説同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は混同により消滅する(179条1項。ただし第三者の権利の目的であるとき等は消滅しない)。また、永小作権は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする用益物権である(270条)。物権の消滅原因の一つである混同と、用益物権の一種である永小作権の内容を押さえる。
補足混同には例外があり、その物又は他の物権が第三者の権利の目的であるときは消滅しない(179条1項ただし書)。また、占有権には混同の規定は適用されない(179条3項)。
問11占有の継続の推定
占有の推定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。
- イ.占有者は、悪意で占有をするものと推定される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 186条2項のとおり → 正しい
民法第186条「前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 占有者は善意で占有すると推定 → 『悪意で占有と推定』は誤り
民法第186条「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する」e-Gov原文
ひっかけ前後両時点の占有の証拠があれば『継続』が推定。占有者は『善意』と推定(悪意ではない)(186条)。
解説前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有はその間継続したものと推定される(186条2項)。これにより、占有の全期間の立証が不要となり、取得時効の主張が容易になる。また、占有者は所有の意思・善意・平穏・公然と占有をするものと推定される(186条1項)。占有の継続と態様の推定を押さえる。
補足186条1項の推定(善意等)と2項の推定(継続)が相まって、取得時効を主張する占有者の立証負担が大きく軽減される。これを争う相手方が、悪意や占有の中断等を反証する必要がある。
問12水流の障害の除去
水流の障害の除去に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、低地の所有者の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をさせることができる。
- イ.水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 高地の所有者が自己の費用で工事できる → 『低地の所有者の費用』は誤り
民法第215条「高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 215条のとおり → 正しい
民法第215条「高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ水流が低地で閉塞したとき、障害除去の工事は『高地の所有者が自己の費用』で行う(215条)。
解説水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる(215条)。水流の便益を受ける高地の所有者が、自らの費用で障害除去をなし得るとする相隣関係の規定である。費用負担の主体(高地の所有者・自己の費用)を押さえる。
補足相隣関係の水に関する規定では、費用負担の主体が問われやすい。自然水流を妨げてはならない(214条)こととあわせて、水流をめぐる土地相互の調整ルールを整理する。
問13堰の設置及び使用
堰の設置及び永小作権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合でも、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その堰を対岸に付着させて設けることはできない。
- イ.永小作人は、小作料を支払うことなく、他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 対岸が他人所有でも堰を付着させて設けられる → 『設けることはできない』は誤り
民法第222条「その堰を対岸に付着させて設けることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 永小作権は小作料を支払って耕作牧畜する権利 → 『支払うことなく』は誤り
民法第270条「永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する」e-Gov原文
ひっかけ対岸が他人所有でも堰を付着させて『設けられる』(償金要)。永小作権は『小作料を支払って』耕作・牧畜する権利(222条・270条)。
解説水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合には、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、その堰を対岸に付着させて設けることができる(222条1項。ただし生じた損害に対して償金を支払う)。また、永小作権は小作料を支払って他人の土地で耕作・牧畜をする用益物権である(270条)。相隣関係の堰の設置と、永小作権の有償性を押さえる。
補足堰を対岸に付着させて設けることが認められるのは、水流の利用を可能にするための相隣関係上の調整であり、対岸所有者への償金支払が条件となる。永小作権は小作料の支払を要素とする点で、無償の地上権と区別される場合がある。
問14地役権の付従性
地役権の付従性及び占有回収の訴えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.地役権は、要役地から分離して、これを譲り渡すことができる。
- イ.占有者がその占有を奪われたときであっても、占有回収の訴えにより、その物の返還を請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 地役権は要役地から分離して譲渡できない → 『分離して譲り渡すことができる』は誤り
民法第281条「地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 占有回収の訴えで返還請求できる → 『請求することはできない』は誤り
民法第200条「占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ地役権は要役地から『分離して譲渡できない』(付従性)。占有を奪われたら占有回収の訴えで『返還請求できる』(281条・200条)。
解説地役権は、要役地の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転する(281条1項本文)。そして、地役権は要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない(同条2項、付従性)。要役地と運命を共にする点が地役権の特徴である。また、占有を奪われたときは占有回収の訴えにより返還請求できる(200条1項)。地役権の付従性を押さえる。
補足地役権の付従性により、要役地を譲渡すれば地役権も移転し、要役地と切り離して地役権だけを処分することはできない。要役地のための便益を確保する権利という性質から導かれる。
問15地役権の不可分性
地役権の不可分性及び物権の混同に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を、単独で消滅させることができる。
- イ.同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属しても、当該他の物権は消滅しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 共有者の一人は持分につき地役権を消滅させられない → 『単独で消滅させることができる』は誤り
民法第282条「土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 混同により他の物権は消滅する → 『消滅しない』は誤り
民法第179条「同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する」e-Gov原文
ひっかけ地役権は『不可分』で、共有者の一人が持分につき消滅させられない。所有権と他の物権の同一人帰属は『混同』で消滅(282条・179条)。
解説土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない(282条1項、地役権の不可分性)。地役権は土地全体について一体的に存続する。また、同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は混同により消滅する(179条1項)。地役権の不可分性と混同による物権消滅を押さえる。
補足地役権の不可分性により、共有地の一部の持分について地役権を消滅させたり、共有者の一人だけが時効取得・時効消滅させたりすることが制限される。要役地・承役地の一体的な利用関係を維持する趣旨である。