問1留置権の内容
民法の担保物権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。
- イ.動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 295条1項のとおり → 正しい
民法第295条「その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 352条のとおり → 正しい
民法第352条「動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ留置権は『その物に関して生じた債権』を有するとき成立。動産質は『継続占有』が対抗要件(295条・352条)。
解説他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまでその物を留置できる(295条1項。被担保債権が弁済期にないときを除く)。また、動産質権者は継続して質物を占有しなければ質権を第三者に対抗できない(352条)。留置権の内容と動産質の対抗要件を押さえる。
補足留置権は物と債権の牽連性(その物に関して生じた債権)を要する法定担保物権である。占有が不法行為で始まった場合は成立しない(295条2項)。
問2留置権の不可分性
留置権の不可分性に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。
- イ.他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有していなくても、その物を留置することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 296条のとおり → 正しい
民法第296条「留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- その物に関して生じた債権を有するときに留置できる → 『債権を有していなくても留置できる』は誤り
民法第295条「その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる」e-Gov原文
ひっかけ留置権者は債権『全部』の弁済まで留置物『全部』について権利を行使できる(不可分性)。留置には『その物に関して生じた債権』が必要(296条・295条)。
解説留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使できる(296条、留置権の不可分性)。一部弁済があっても留置物全部を留置できる。留置権は物に関して生じた債権を要する(295条1項)。留置権の不可分性を押さえる。
補足不可分性は留置権・先取特権・質権・抵当権に共通する担保物権の通有性である。被担保債権の一部が残れば目的物全部に権利が及ぶ。
問3留置権者による果実の収取
留置権者による果実の収取及び不動産質権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。
- イ.不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 297条1項のとおり → 正しい
民法第297条「留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 356条のとおり → 正しい
民法第356条「不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ留置権者は留置物の『果実を収取』し優先弁済に充当できる。不動産質権者は目的不動産を『使用収益』できる(297条・356条)。
解説留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立ってこれを自己の債権の弁済に充当できる(297条1項。まず利息、次に元本に充当)。また、不動産質権者は質権の目的である不動産の使用及び収益ができる(356条)。果実の収取と不動産質の使用収益を押さえる。
補足不動産質権者は使用収益できる代わりに、原則として被担保債権の利息を請求できない(358条)。占有移転を伴う点で抵当権と異なる。
問4留置権者による留置物の保管等
留置権者による留置物の保管等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならず、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。
- イ.留置権者は、債権の一部の弁済を受けたときは、その弁済を受けた割合に応じて、留置物の一部についてのみその権利を行使することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 298条のとおり → 正しい
民法第298条「債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 債権全部の弁済まで留置物全部について行使できる → 『一部についてのみ行使できる』は誤り
民法第296条「留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる」e-Gov原文
ひっかけ留置権者は『善管注意義務』を負い、承諾なき使用・賃貸・担保供与は不可(違反は消滅請求)。留置権は『不可分』(298条・296条)。
解説留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有しなければならず、債務者の承諾を得なければ留置物を使用・賃貸・担保供与できない(298条1項・2項。保存に必要な使用を除く)。違反すれば債務者は留置権の消滅を請求できる(同条3項)。留置物の保管等を押さえる。
補足留置権者が保存に必要な範囲を超えて承諾なく使用等すると、債務者は留置権の消滅を請求できる(298条3項)。
問5留置権者による費用の償還請求
留置権者による費用の償還請求及び質権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。
- イ.質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 299条1項のとおり → 正しい
民法第299条「留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 342条のとおり → 正しい
民法第342条「その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」e-Gov原文
ひっかけ留置権者は留置物の『必要費』を所有者に償還させられる。質権者は受け取った物を占有し『優先弁済』を受ける(299条・342条)。
解説留置権者は、留置物について必要費を支出したときは所有者にその償還をさせられる(299条1項。有益費は価格の増加が現存する限り、所有者の選択により支出額又は増価額を償還、同条2項)。質権者は担保として受け取った物を占有し優先弁済を受ける権利を有する(342条)。費用の償還請求と質権の内容を押さえる。
補足留置権者の費用償還請求権も「その物に関して生じた債権」として留置権で担保される。質権は占有移転を効力要件とする約定担保物権である。
問6占有の喪失による留置権の消滅
占有の喪失による留置権の消滅及び留置権者による果実の収取に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する。
- イ.留置権者は、留置物から生ずる果実を収取することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 302条のとおり → 正しい
民法第302条「留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 果実を収取し弁済に充当できる → 『収取することはできない』は誤り
民法第297条「留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる」e-Gov原文
ひっかけ留置権は『占有喪失』によって消滅する。留置権者は留置物の『果実を収取』できる(302条・297条)。
解説留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって消滅する(302条。承諾を得て賃貸・質入れした場合等を除く)。占有が留置権の存続要件である。また、留置権者は留置物の果実を収取できる(297条1項)。占有の喪失による留置権の消滅を押さえる。
補足留置権は占有を失うと消滅する(抵当権が占有を伴わないのと対照的)。ただし債務者の承諾を得て賃貸・質入れしたときは占有を失っても消滅しない。
問7先取特権の内容
先取特権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.先取特権者は、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有しない。
- イ.先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 優先弁済を受ける権利を有する → 『有しない』は誤り
民法第303条「他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 303条のとおり → 正しい
民法第303条「他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」e-Gov原文
ひっかけ先取特権者は債務者の財産について『他の債権者に先立って』弁済を受ける権利を有する(303条)。
解説先取特権者は、民法その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する(303条)。先取特権は法律の定める特定の債権について当然に生ずる法定担保物権である。先取特権の内容を押さえる。
補足先取特権には一般の先取特権・動産の先取特権・不動産の先取特権があり、それぞれ法律の定める債権について公示なく優先弁済権が認められる。
問8先取特権に基づく物上代位
先取特権に基づく物上代位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.先取特権は、その目的物の売却等によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができ、その払渡し又は引渡しの後であっても、差押えをして行使することができる。
- イ.先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 払渡し又は引渡しの前に差押えを要する → 『払渡し後でも差押えできる』は誤り
民法第304条「その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 304条1項のとおり → 正しい
民法第304条「その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ物上代位の行使には『払渡し又は引渡しの前』の差押えが必要(304条1項)。
解説先取特権は、目的物の売却・賃貸・滅失・損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物(売却代金・賃料・損害賠償金・保険金等)に対しても行使できる(物上代位)。ただし先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない(304条1項)。物上代位を押さえる。
補足物上代位は先取特権・質権・抵当権に共通し、いずれも払渡し前の差押えを要する(304条は質権・抵当権に準用される)。
問9質権の内容
質権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有するが、その物について他の債権者に優先して自己の債権の弁済を受ける権利は有しない。
- イ.質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 優先弁済を受ける権利を有する → 『優先弁済権は有しない』は誤り
民法第342条「その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 342条のとおり → 正しい
民法第342条「その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」e-Gov原文
ひっかけ質権者は受け取った物を『占有』し、『他の債権者に先立って』弁済を受ける権利を有する(342条)。
解説質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつその物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する(342条)。質権は占有(留置的効力)と優先弁済権を内容とする。質権の内容を押さえる。
補足質権は留置的効力(質物の留置による弁済の心理的強制)と優先弁済的効力を持つ。第三者(物上保証人)が質物を提供することもできる。
問10質権の設定
質権の設定及び先取特権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
- イ.先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 344条のとおり → 正しい
民法第344条「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 303条のとおり → 正しい
民法第303条「他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」e-Gov原文
ひっかけ質権の設定は『目的物の引渡し』によって効力を生ずる(要物契約)。先取特権者は『優先弁済』を受ける(344条・303条)。
解説質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによってその効力を生ずる(344条、要物契約)。占有改定による引渡しは認められない。先取特権者は債務者の財産について優先弁済を受ける(303条)。質権の設定を押さえる。
補足質権は要物契約であり、目的物の引渡しが効力要件である。質権設定者による代理占有(占有改定)では効力を生じない(345条)。
問11質物の留置
質物の留置及び質権の設定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.質権者は、被担保債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。ただし、この権利は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することができない。
- イ.質権の設定は、当事者の合意のみによって効力を生じ、目的物の引渡しを要しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 347条のとおり → 正しい
民法第347条「質権者は、前条に規定する債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 引渡しによって効力を生ずる → 『合意のみで効力を生じ引渡しを要しない』は誤り
民法第344条「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ質権者は弁済まで『質物を留置』できる(優先権者には対抗不可)。質権設定は『引渡し』が効力要件(347条・344条)。
解説質権者は、被担保債権の弁済を受けるまでは質物を留置できる(347条、留置的効力。ただし自己に優先する債権者には対抗できない)。質権の設定は目的物の引渡しによって効力を生ずる(344条)。質物の留置を押さえる。
補足質権の留置的効力は、質物を手元に留めることで債務者に弁済を促す。ただし先順位の質権者等優先権者には対抗できない。
問12転質
転質に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.質権者は、その権利の存続期間内であっても、質物について転質をすることはできない。
- イ.質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができ、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 自己の責任で転質をできる → 『転質をすることはできない』は誤り
民法第348条「自己の責任で、質物について、転質をすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 348条のとおり → 正しい
民法第348条「自己の責任で、質物について、転質をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ質権者は存続期間内に『自己の責任で転質』でき、不可抗力による損失も責任を負う(348条)。
解説質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で質物について転質をすることができる(348条、責任転質)。この場合、転質によって生じた損失については不可抗力によるものであってもその責任を負う(責任が加重される)。転質を押さえる。
補足責任転質では質権者の責任が加重され、転質しなければ生じなかった損失について不可抗力でも責任を負う。設定者の承諾を得る承諾転質もある。
問13流質契約の禁止
契約による質物の処分の禁止及び留置権の消滅に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを約することができる。
- イ.留置権は、留置権者が留置物の占有を失っても、消滅しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 流質契約を約することはできない → 『約することができる』は誤り
民法第349条「設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ」e-Gov原文
- イ.誤り
- 占有喪失によって消滅する → 『占有を失っても消滅しない』は誤り
民法第302条「留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する」e-Gov原文
ひっかけ弁済期前の『流質契約』は禁止。留置権は『占有喪失』で消滅(349条・302条)。
解説質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、又は法律に定める方法によらず質物を処分させることを約することができない(349条、流質契約の禁止)。債務者保護のための規定である。流質契約の禁止を押さえる。
補足弁済期前の流質契約は債務者が窮状で不利な約定を強いられるおそれがあるため禁止される。弁済期後の合意や商事質(商法515条)では認められる。
問14動産質の対抗要件
動産質の対抗要件及び留置権者による費用の償還請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.動産質権者は、質物の占有を継続しなくても、その質権をもって第三者に対抗することができる。
- イ.留置権者は、留置物について必要費を支出したときであっても、所有者にその償還をさせることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 継続占有しなければ対抗できない → 『占有を継続しなくても対抗できる』は誤り
民法第352条「継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 必要費を所有者に償還させられる → 『償還させることはできない』は誤り
民法第299条「留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる」e-Gov原文
ひっかけ動産質は『継続占有』が対抗要件。留置権者は『必要費』を所有者に償還させられる(352条・299条)。
解説動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗できない(352条。占有を失うと対抗力を失う)。また、留置権者は留置物の必要費を所有者に償還させられる(299条1項)。動産質の対抗要件を押さえる。
補足動産質は引渡しが効力要件(344条)で、継続占有が対抗要件(352条)である。占有を奪われたときは占有回収の訴え(200条)によってのみ回復できる。
問15不動産質権者による使用及び収益
不動産質権者による使用及び収益並びに質物の留置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不動産質権者は、質権の目的である不動産を使用し、又は収益することができない。
- イ.質権者は、被担保債権の弁済を受ける前であっても、質物を留置することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 使用及び収益ができる → 『使用収益できない』は誤り
民法第356条「質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 弁済を受けるまで質物を留置できる → 『留置することはできない』は誤り
民法第347条「質権者は、前条に規定する債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる」e-Gov原文
ひっかけ不動産質権者は目的不動産を『使用収益』できる。質権者は弁済まで『質物を留置』できる(356条・347条)。
解説不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従いその使用及び収益をすることができる(356条)。その代わり原則として被担保債権の利息を請求できない(358条)。また、質権者は弁済を受けるまで質物を留置できる(347条)。不動産質権者の使用及び収益を押さえる。
補足不動産質権者は使用収益できる代わりに利息を請求できず、管理費用も負担する(357条・358条)。存続期間は10年を超えられない(360条)。