ホーム土地家屋調査士章別対策>第3
民法・第3

民法(不動産・相隣関係)の問題(15問)

この章を解く(15問)→

問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2026年6月時点の法令に準拠
1隣地の使用(目的・住家への立入りと事前通知)

民法上の隣地の使用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 土地の所有者は、境界又はその付近における障壁等の築造・収去・修繕などの目的のため必要な範囲内で隣地を使用することができるが、住家については、その居住者の承諾がなければ立ち入ることはできない。
  • 隣地を使用する者は、原則としてあらかじめ目的・日時・場所・方法を隣地の所有者等に通知しなければならず、あらかじめ通知することが困難なときであっても、使用を開始する前に必ず通知しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
目的内で隣地使用は可 → 住家は別枠 → 居住者の承諾なしに立入り不可

民法第209条住家については、その居住者の承諾がなければe-Gov原文

誤り
原則は事前通知 → 困難なときは例外 → 開始後遅滞なくで足りる → 「開始前に必ず」は誤り

民法第209条使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りるe-Gov原文

ひっかけ隣地使用は『目的限定+必要な範囲』が原則。住家立入りだけは承諾が必須で、ここを一般の隣地使用と混同させる出題が多い。

解説2023年改正後の209条は、(1)障壁等の築造・収去・修繕、(2)境界標の調査・境界測量、(3)233条3項の枝の切取り、の各目的のため必要な範囲で隣地使用を認める。ただし住家への立入りには居住者の承諾が必要(1項ただし書)。また、使用の日時・場所・方法は隣地所有者・隣地使用者の損害が最も少ないものを選び(2項)、原則として事前に通知するが、困難なときは使用開始後遅滞なく通知すれば足りる(3項)。損害が生じたときは償金請求ができる(4項)。承諾が必要なのは『住家への立入り』であって隣地使用一般ではない点、通知が事後で足りる例外がある点を正確に押さえる。

補足境界標の調査や境界測量も、隣地使用が認められる目的に含まれる(209条1項2号)。

2公道に至るための通行権(通行の場所・方法と通路の開設)

公道に至るための他の土地の通行権(いわゆる囲繞地通行権)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公道に至るための通行権を有する者は、その通行の便益のためであっても、通路を開設することはできない。
  • 通行の場所及び方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
通行権を有する → 必要があるとき → 通路を開設できる → 「できない」は誤り

民法第211条必要があるときは、通路を開設することができるe-Gov原文

正しい
通行権者に必要 → かつ他の土地の損害が最少 → その範囲で場所・方法を選ぶ

民法第211条他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならないe-Gov原文

ひっかけ囲繞地通行権では『通路の開設は可(211条2項)』と『損害最少の場所・方法を選ぶ(211条1項)』をセットで押さえる。開設の可否を逆にする引っかけが頻出。

解説他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、公道に至るため囲繞地を通行できる(210条1項)。池沼・河川・水路・海や著しい高低差で公道に至れないときも同様(210条2項)。通行の場所・方法は、通行権者に必要であり、かつ他の土地の損害が最も少ないものを選ばなければならず(211条1項)、必要があるときは通路を開設できる(211条2項)。通行権は袋地所有者の権利として法律上当然に生じるが、他の土地への負担を最小化する制約が課されている点が要点。

補足210条2項により、崖等で著しい高低差があり公道に至れない場合も通行権が認められる。

3通行権の償金と分割によって生じた袋地の無償通行

公道に至るための他の土地の通行権と償金に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公道に至るための通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して、原則として償金を支払わなければならない。
  • 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は他の分割者の所有地のみを通行することができ、この場合においては、償金を支払うことを要しない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
210条の通行権を行使 → 他の土地に損害 → その損害に対し償金を支払う義務

民法第212条その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならないe-Gov原文

正しい
分割で袋地が発生 → 通行先は他の分割者の所有地のみ → この場合は償金不要

民法第213条この場合においては、償金を支払うことを要しないe-Gov原文

ひっかけ通行権の償金は『原則は有償(212条)/分割で生じた袋地は無償(213条)』。どちらが有償でどちらが無償かを入れ替える出題が典型。

解説210条の通行権は他の土地に負担を課すため、原則として通行する他の土地の損害に対し償金を支払う(212条本文。ただし通路開設による損害を除き1年ごとの支払も可)。これに対し、もともと一体だった土地を分割した結果、公道に通じない土地が生じたときは、その所有者は他の分割者の所有地のみを通行でき、この場合は償金を支払うことを要しない(213条1項)。土地の一部譲渡の場合も準用される(213条2項)。分割・一部譲渡で袋地を作った当事者間の通行は無償、という例外を正確に区別する。

補足213条の無償通行が及ぶのは『他の分割者の所有地』であり、無関係の第三者の土地には及ばない。

4境界標の設置とその費用の負担

民法上の境界標の設置及び費用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 土地の所有者は、隣地の所有者の関与なく単独の費用で、隣地との境界に境界標を設けることができる。
  • 境界標の設置及び保存の費用は、その土地の広狭に応じて相隣者が分担する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
223条は共同設置権を定める → 相手方の関与・共同費用が前提 → 「単独で」は誤り

民法第223条隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができるe-Gov原文

誤り
設置・保存費用は等しい割合 → 広狭按分は測量費用 → 両者を取り違える記述は誤り

民法第224条相隣者が等しい割合で負担するe-Gov原文

ひっかけ境界標の費用は『設置・保存は等分/測量は広狭按分』。この2つの費用区分を入れ替える出題が定番。

解説土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で境界標を設けることができる(223条)。これは隣地所有者と共同で設置する権利であり、相手方の関与なく単独で設置できるという趣旨ではない。費用については、境界標の設置及び保存の費用は相隣者が等しい割合で負担するのが原則だが、測量の費用だけはその土地の広狭に応じて分担する(224条)。『設置・保存=等分』『測量=広狭按分』の対応を正確に覚える。

補足224条ただし書により、測量費用のみは土地の広狭に応じた分担となる。

5境界線付近の建築の制限(離隔距離と目隠し)

境界線付近の建築の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 建物を築造するには、原則として境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。
  • 境界線から一メートル以上の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
234条1項 → 建物築造は境界から五十センチメートル以上 → 記述どおり正しい

民法第234条境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならないe-Gov原文

誤り
235条1項は『一メートル未満』が要件 → 一メートル以上では義務なし → 「以上」は誤り

民法第235条一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできるe-Gov原文

ひっかけ境界線付近の数字は『建物=五十センチメートル以上(234条)』『目隠し=一メートル未満(235条)』。距離と『以上/未満』の組合せを入れ替える出題が頻出。

解説建物を築造するには、原則として境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならず(234条1項)、これに違反する建築には隣地所有者が中止・変更を求めることができる(同条2項。ただし着手から1年経過又は完成後は損害賠償請求のみ)。また、境界線から一メートル未満の距離で他人の宅地を見通せる窓又は縁側(ベランダを含む)を設ける者は目隠しを付けなければならない(235条1項)。距離の数値(五十センチメートル/一メートル)と『以上・未満』の別を正確に押さえることが得点の鍵。

補足目隠し義務の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線で境界線まで測って算出する(235条2項)。

6共有物の使用

共有物の使用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
  • 共有物を使用する共有者は、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負わない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
持分は共有物全体に及ぶ→特定部分でなく全部について使用できる

民法第249条共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができるe-Gov原文

誤り
持分を超える使用は他の共有者の持分の利用→原則として超過分の対価を償還する義務あり→『負わない』は誤り

民法第249条自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負うe-Gov原文

ひっかけ『全部について持分に応じて使用できる』=249条1項。『持分を超える使用は対価を償還する義務を負う』=2項(令和3年改正で明文化)。

解説共有物は、各共有者が全部について持分に応じた使用をすることができる(249条1項)。もっとも、自己の持分を超えて使用した場合には、別段の合意がない限り、超過分の対価を他の共有者に償還する義務を負う(同条2項)。さらに、共有物を使用する共有者は善良な管理者の注意をもって使用しなければならない(同条3項)。『使用できる』ことと『対価を償還しなくてよい』ことは別問題である点に注意する。

補足別段の合意があるときは、持分を超える使用であっても対価の償還義務を負わないことがある(249条2項)。

7共有物の変更

共有物の変更に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 各共有者は、共有物にその形状又は効用の著しい変更を伴わない変更(いわゆる軽微変更)を加える場合であっても、他の共有者全員の同意を得なければならない。
  • 各共有者は、共有物にその形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加えるには、他の共有者の同意を得なければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
軽微変更は『著しい変更を伴わないものを除く』→全員同意の対象外→管理として過半数で決する

民法第251条その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除くe-Gov原文

正しい
形状・効用の著しい変更を伴う→『同意を得なければ…加えることができない』→他の共有者の同意が必要

民法第251条他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更e-Gov原文

ひっかけ『その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)を除く』が251条1項のポイント。軽微変更は管理(252条・過半数)。

解説令和3年改正により、共有物の変更は『その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)』を除いて他の共有者の同意が必要とされた(251条1項)。軽微変更は『変更』から外れ、管理に関する事項として持分の価格の過半数で決する(252条1項)。重大変更=他の共有者全員の同意、軽微変更・管理=持分の価格の過半数、保存行為=各共有者が単独、という段階を区別して押さえる。

補足他の共有者を知ることができず又はその所在を知ることができないときは、裁判所の裁判により残りの共有者の同意で変更を加えることができる(251条2項)。

8共有物の管理

共有物の管理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
  • 各共有者は、共有物の保存行為を単独ですることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
管理は頭数でなく持分の価格を基準→その過半数で決する

民法第252条各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決するe-Gov原文

正しい
保存行為は現状を維持する行為で他の共有者の不利益が小さい→過半数の決定なく単独で可能

民法第252条保存行為をすることができるe-Gov原文

ひっかけ管理=持分の価格の過半数(頭数ではない)。保存行為=各共有者が単独で可能(5項)。

解説共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する(252条1項)。共有者の頭数ではなく持分の価格で判断する点に注意する。一方、保存行為は現状を維持する行為であり、各共有者が単独ですることができる(同条5項)。共有物に一定期間を超えない短期の賃借権等を設定することも管理として過半数で決し得る(同条4項)。重大変更=全員同意、管理・軽微変更=過半数、保存=単独、の三段階で整理する。

補足他の共有者を知ることができず又はその所在を知ることができないとき等は、裁判により残りの共有者の持分の価格の過半数で管理に関する事項を決し得る(252条2項)。

9共有物の分割請求と裁判による分割

共有物の分割に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 共有者は、分割をしない旨の契約をすることができるが、その期間は十年を超えることができない。
  • 裁判所は、共有物の分割を命ずる場合には、いかなる場合であっても、まず競売による分割を命じなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
不分割特約の上限は五年→『十年』とするのは誤り

民法第256条五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約e-Gov原文

誤り
裁判分割は現物分割・賠償分割が原則→不能等のとき競売を命じ『できる』にとどまる→必ずまず競売は誤り

民法第258条裁判所は、その競売を命ずることができるe-Gov原文

ひっかけ不分割契約は『五年を超えない』(更新可、更新後も五年まで)。裁判分割は現物・賠償が原則で、競売は補充的。

解説各共有者はいつでも分割を請求できるが、五年を超えない期間で不分割の契約をすることができ、更新もできるが更新後の期間も五年を超えられない(256条)。協議が調わない等のときは裁判所に分割を請求でき、裁判所は①現物分割、②賠償分割(共有者に債務を負担させて他の共有者の持分を取得させる方法)を命じ得る(258条2項)。これらの方法で分割できないとき、又は分割により価格を著しく減少させるおそれがあるときに限り、競売(代金分割)を命じ得る(同条3項)。競売は補充的な手段である点が頻出。

補足裁判所は分割の裁判において、当事者に対し金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることもできる(258条4項)。

10不動産の付合

不動産の付合に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。
  • 他人が権原によってその物を不動産に附属させた場合であっても、不動産の所有者は当然にその物の所有権を取得し、附属させた他人の権利は妨げられる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
従として付合し独立性を失う→不動産の所有者がその所有権を取得する

民法第242条その不動産に従として付合した物の所有権を取得するe-Gov原文

誤り
賃借権等の権原に基づき附属→ただし書で他人の権利を妨げない→当然取得・権利消滅とするのは誤り

民法第242条権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げないe-Gov原文

ひっかけ付合は原則『不動産の所有者が取得』。ただし権原(賃借権等)による附属は他人の権利を妨げない(242条ただし書)。

解説不動産に従として付合し、その独立性を失った物は、不動産の所有者がその所有権を取得する(242条本文・付合)。ただし、賃借権や地上権などの権原に基づいて他人がその物を附属させたときは、その他人の権利は妨げられない(同条ただし書)。例えば借地人が植えた樹木は、権原に基づくため借地人に帰属し得る。『従として』付合したか、すなわち独立性を失ったかどうかが帰属判断の鍵となる。

補足権原があっても、付合により独立性を失い不動産の構成部分と評価される場合には、ただし書が適用されず不動産の所有者に帰属することがある(242条ただし書の解釈)。

11不動産物権変動の対抗要件

不動産に関する物権変動の対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
  • 不動産に関する物権変動は、登記をしなければ、当事者間においてもその効力を生じない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
登記がなければ第三者に対抗できない → 対抗要件主義

民法第177条その登記をしなければ、第三者に対抗することができないe-Gov原文

誤り
177条は『第三者に対抗』の規定 → 当事者間の効力発生要件ではない

民法第177条第三者に対抗することができないe-Gov原文

ひっかけ『登記がないと当事者間でも効力なし』は、対抗要件と効力発生要件を取り違えた典型的なひっかけ。

解説民法177条は、不動産の物権変動を第三者に対抗するには登記が必要だとする対抗要件主義を定める。物権変動そのものは当事者の意思表示によって生じ(意思主義)、登記は効力発生要件ではなく対抗要件である。したがって当事者間では登記がなくても物権変動を主張でき、第三者に対して主張する場面で初めて登記の有無が問題となる。

補足対抗の相手方は『第三者』であり、当事者やその包括承継人は『第三者』に当たらない。

12所有権の取得時効

所有権の取得時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その物の所有権を取得する。
  • 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に善意かつ無過失であれば、その物の所有権を取得する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
20年の占有で取得時効完成(善意悪意を問わない)

民法第162条所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得するe-Gov原文

正しい
短期取得時効は占有開始時の善意無過失が要件 → 10年

民法第162条善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得するe-Gov原文

ひっかけ10年で取得できるのは『占有開始時に善意かつ無過失』のときだけ。善意でも過失があれば20年必要。

解説所有権の取得時効には2種類ある。162条1項は占有者の善意・悪意を問わず20年の占有で完成し、2項は占有開始の時に善意かつ無過失であれば10年で完成する。善意・無過失は『占有開始の時』に判定し、途中で悪意になっても10年の期間には影響しない。いずれも『所有の意思・平穏・公然』の占有が共通の要件である。

補足『所有の意思』の有無は、占有取得の原因(権原)の性質によって外形的・客観的に判断される。

13地役権の内容(設定行為)

地役権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 地役権者は、設定行為で定めた目的にかかわらず、他人の土地を自己の便益のため自由に使用することができる。
  • 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
『目的にかかわらず自由に』は280条に反する → 誤り

民法第280条設定行為で定めた目的に従いe-Gov原文

正しい
要役地の便益のため承役地を利用する用益物権

民法第280条他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有するe-Gov原文

ひっかけ地役権の利用範囲は『設定行為で定めた目的』に限られる。目的を外れた使用はできない。

解説地役権は、設定行為で定めた一定の目的(通行・引水・眺望など)の範囲内で、他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益に供する用益物権である。利用は設定行為で定めた目的に拘束され、目的を超えた自由な使用は認められない。要役地という土地の便益に供する点で、特定の人の便益のための権利とは区別される。

補足便益を受ける土地を要役地、便益に供される土地を承役地という。

14地役権の時効取得

地役権の時効取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
  • 地役権は、継続的に行使されるものであれば、外形上認識することができないものであっても、時効によって取得することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
継続+表現の地役権のみ時効取得できる

民法第283条継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限りe-Gov原文

誤り
『継続』だけでは足りず『表現(外形上認識可能)』も必要 → 誤り

民法第283条外形上認識することができるものに限りe-Gov原文

ひっかけ地役権の時効取得は『継続』と『表現(外形上認識可能)』の両方が必要。片方だけでは取得できない。

解説地役権の時効取得は、地役権が『継続的に行使され(継続)』かつ『外形上認識することができる(表現)』ものに限って認められる(283条)。たとえば通路を開設して継続的に通行している場合のように、継続性と外形的認識可能性の両方を満たす必要があり、どちらかを欠くと時効取得はできない。

補足『限り』という限定の文言が、時効取得の要件を厳格に絞っていることを示す。

15地上権の内容

地上権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 地上権は、他人の土地において耕作又は牧畜をするため、その土地を使用する権利である。
  • 地上権者は、他人の土地において工作物を所有することはできるが、竹木を所有するためにその土地を使用することはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
耕作・牧畜目的は永小作権 → 地上権ではない → 誤り

民法第265条工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有するe-Gov原文

誤り
265条は工作物『又は』竹木 → 竹木所有目的も可 → 誤り

民法第265条工作物又は竹木を所有するためe-Gov原文

ひっかけ地上権の目的は『工作物又は竹木の所有』。耕作・牧畜目的は永小作権で別物。

解説地上権は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する用益物権である(265条)。目的は『工作物』の所有でも『竹木』の所有でもよい。他方、耕作又は牧畜を目的として他人の土地を使用する権利は永小作権であり、地上権とは目的が異なる点で区別される。

補足工作物には建物・橋・トンネル・地下設備など、地上・地下の各種設備が含まれる。

この資格の対策メニュー