問1筆界調査委員の任命・任期・身分(127条)
筆界調査委員の任命及び身分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法務局及び地方法務局には、筆界特定について必要な事実の調査を行い、筆界特定登記官に意見を提出させるため、筆界調査委員が置かれる。
- イ.筆界調査委員は、非常勤とされている。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 127条1項が明文で置く旨を定める → 記述は正しい
不動産登記法第127条第1項「筆界特定について必要な事実の調査を行い、筆界特定登記官に意見を提出させるため、筆界調査委員若干人を置く」e-Gov原文
- イ.正しい
- 127条5項が明文で非常勤と定める → 記述は正しい
不動産登記法第127条第5項「筆界調査委員は、非常勤とする」e-Gov原文
ひっかけ127条は筆界調査委員の設置根拠から任命・任期・身分までを1条にまとめた総則規定。「専門的知識及び経験を有する者」「法務局又は地方法務局の長が任命」「任期2年・再任可・非常勤」の各要素を個別の肢に分解して問われやすい。
解説筆界調査委員は、対象土地の測量や実地調査の専門的知識・経験を持つ者から法務局又は地方法務局の長が任命する(127条2項)。任期は2年で再任も可能だが、身分は非常勤にとどまる(同条3〜5項)。常勤の登記官(筆界特定登記官)とは異なり、外部の専門家を都度任命する制度である点を押さえる。
補足任命権者は「法務局又は地方法務局の長」であり、筆界特定登記官ではない。筆界特定登記官は事実の調査を筆界調査委員に行わせて意見を求める側の立場である。
問2筆界調査委員となる資格の欠格事由(128条)
筆界調査委員となる資格の欠格事由に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は、筆界調査委員となることができない。
- イ.筆界調査委員が欠格事由に該当するに至ったときは、法務局又は地方法務局の長による解任の処分を受けて初めてその資格を失う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 128条1項1号が明文で欠格事由とする → 記述は正しい
不動産登記法第128条第1項第1号「拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者」e-Gov原文
- イ.誤り
- 128条2項が当然失職と明文で定める → 「解任処分を要する」は誤り
不動産登記法第128条第2項「筆界調査委員が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、当然失職する」e-Gov原文
ひっかけ134条2項の「筆界調査委員に指定することができない」(個別事件からの除斥)と、128条の「筆界調査委員となることができない」(そもそもの就任資格の欠格)は別の制度。両者を混同させる肢に注意する。
解説128条1項は、①拘禁刑以上の刑からの経過年数(1号)、②弁護士・司法書士・土地家屋調査士としての懲戒処分(除名・業務禁止)から3年未経過(2号)、③公務員としての懲戒免職から3年未経過(3号)の3類型を欠格事由として掲げる。42条の土地家屋調査士自身の欠格事由と並行する構造として押さえるとよい。
補足欠格事由に該当した場合の効果は「当然失職」(2項)であり、法務局又は地方法務局の長による解任処分(129条)とは別の制度である。129条の解任は欠格事由以外の心身故障・非行等を理由とする裁量的な処分である。
問3筆界調査委員の解任(129条)
筆界調査委員の解任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.筆界調査委員に心身の故障のため職務の執行に堪えない事情が生じても、法務局又は地方法務局の長は、任期中はその委員を解任することができない。
- イ.職務上の義務違反その他筆界調査委員たるに適しない非行があると認められるときは、法務局又は地方法務局の長は当該筆界調査委員を解任することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 129条1号が明文で解任事由とする → 「任期中は解任できない」は誤り
不動産登記法第129条第1号「心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 129条2号が明文で解任事由とする → 記述は正しい
不動産登記法第129条第2号「職務上の義務違反その他筆界調査委員たるに適しない非行があると認められるとき」e-Gov原文
ひっかけ128条の欠格事由(当然失職)と129条の解任事由(長の裁量による処分)を混同させる肢に注意する。129条は「解任することができる」という裁量的規定である。
解説129条は解任事由として、①心身の故障のため職務執行に堪えないとき(1号)、②職務上の義務違反その他適しない非行があるとき(2号)の2類型を掲げる。いずれも「解任することができる」という法務局又は地方法務局の長の裁量的処分であり、128条の当然失職とは効果の発生の仕方が異なる。
補足解任権者は任命権者と同じ「法務局又は地方法務局の長」である(127条2項・129条柱書)。任命と解任がいずれも同一の長の権限に属する点を対応させて覚えるとよい。
問4筆界調査委員による事実の調査の方法と留意事項(135条)
筆界調査委員による事実の調査に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.筆界調査委員は、対象土地又は関係土地その他の土地の測量又は実地調査をすることはできず、関係者から資料の提出を求めることができるにとどまる。
- イ.筆界調査委員による事実の調査は、対象土地の所有権の境界を確定することを目的として行われる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 135条1項が測量・実地調査を明文で認める → 「できない」は誤り
不動産登記法第135条第1項「対象土地又は関係土地その他の土地の測量又は実地調査をすること」e-Gov原文
- イ.誤り
- 135条2項が『目的とするものでない』と明文で定める → 「境界を確定する目的で行われる」は誤り
不動産登記法第135条第2項「筆界特定が対象土地の所有権の境界の特定を目的とするものでないことに留意しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ筆界特定は「筆界」(公法上の境界)の特定であって「所有権の境界」(私法上の境界)の確定ではない、という制度の根本的な区別を問う肢。両者を同一視させる誤りに注意する。
解説135条1項は筆界調査委員の調査権限(測量・実地調査・聴取・資料提出要求)を包括的に定め、2項でその調査が所有権の境界の特定を目的とするものでないことへの留意を求める。筆界特定制度はあくまで公法上の筆界を特定する行政手続であり、所有権界に争いがある場合は別途民事訴訟(筆界確定訴訟とは別の所有権確認訴訟等)による必要がある。
補足「筆界」と「所有権の境界」が一致しないことがある、という前提がこの制度の出発点である。147条の筆界確定訴訟も、あくまで筆界(公法上の境界)を対象とする訴訟である。
問5測量及び実地調査の事前通知と立会いの機会(136条)
筆界調査委員による測量及び実地調査の事前通知に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.筆界調査委員は、対象土地の測量又は実地調査を行うときは、あらかじめその旨並びに日時及び場所を筆界特定の申請人及び関係人に通知しなければならない。
- イ.通知を受けた筆界特定の申請人及び関係人には、当該測量又は実地調査に立ち会う機会が与えられる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 136条1項が明文で事前通知を義務付ける → 記述は正しい
不動産登記法第136条第1項「あらかじめ、その旨並びにその日時及び場所を筆界特定の申請人及び関係人に通知して」e-Gov原文
- イ.正しい
- 136条1項が立会いの機会付与を明文で定める → 記述は正しい
不動産登記法第136条第1項「これに立ち会う機会を与えなければならない」e-Gov原文
ひっかけ事前通知(いつ・どこで行うかの告知)と立会いの機会の付与(実際にその場に立ち会えること)は136条1項の中で一体として定められており、どちらか一方だけを条文の内容とする誤った肢に注意する。
解説136条は、事前通知に関する133条2項(申請の通知及び公告に係る規定)を、この測量・実地調査の通知について準用する(136条2項)。これにより、当事者が知らないうちに測量・実地調査が行われることのないよう、通知と立会いの機会付与が制度的に担保されている。
補足通知・立会いの対象は「筆界特定の申請人及び関係人」であり、対象土地・関係土地の所有者に限られない点に注意(関係人には所有者以外の利害関係人も含まれ得る)。
問6他人の土地への立入調査とその要件(137条1〜3項)
筆界調査委員等による立入調査に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法務局又は地方法務局の長は、筆界調査委員が測量又は実地調査を行う場合において必要があると認めるときは、その必要の限度において、筆界調査委員等に他人の土地に立ち入らせることができる。
- イ.宅地又は垣、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合であっても、当該土地の占有者への事前の告知は不要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 137条1項が明文で立入りを認める → 記述は正しい
不動産登記法第137条第1項「他人の土地に立ち入らせることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 137条3項が事前告知を明文で義務付ける → 「不要」は誤り
不動産登記法第137条第3項「その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない」e-Gov原文
ひっかけ137条2項の「あらかじめ占有者へ通知」(測量・実地調査自体の事前通知)と、3項の「立入りの際あらかじめ告げる」(宅地・囲繞地への立入り時の告知)は場面が異なる別々の規律。2項と3項の要件を入れ替えた肢に注意する。
解説137条は、①長が筆界調査委員等を他人の土地に立ち入らせることができる旨(1項)、②立ち入らせる場合の占有者への事前通知(2項)、③宅地・垣等で囲まれた占有地への立入り時の告知(3項)、④日出前・日没後の立入り制限(4項)、⑤占有者の受忍義務(5項)、⑥身分証明書の携帯・提示(6項)、⑦損失補償(7項)という7つの規律を1条にまとめている。要件の場面(通常の土地か、宅地・囲繞地か)を区別して覚える。
補足立入りをさせる主体は「法務局又は地方法務局の長」であり、実際に立ち入るのは筆界調査委員又は134条4項の職員(筆界調査委員等)である。
問7立入調査の時間制限と損失補償(137条4項・7項)
立入調査の時間的制限及び損失補償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.日出前及び日没後であっても、土地の占有者の承諾を得ることなく立入調査を行うことができる。
- イ.国は、立入調査によって損失を受けた者があるときは、その者に対して通常生ずべき損失を補償しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 137条4項が承諾なき立入りを禁止する → 記述は誤り
不動産登記法第137条第4項「日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き、前項に規定する土地に立ち入ってはならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 137条7項が国の補償義務を明文で定める → 記述は正しい
不動産登記法第137条第7項「国は、第一項の規定による立入りによって損失を受けた者があるときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ4項の「日出前・日没後の立入り制限」は3項の「宅地・垣等で囲まれた土地」への立入り一般を前提とする規律で、対象が広範な土地一般ではない点に注意。「前項に規定する土地」=3項の宅地等を指す。
解説137条4項〜7項は、立入調査に伴う占有者・第三者の利益保護の規律群である。占有者は正当な理由なく立入りを拒み妨げてはならない受忍義務を負う一方(5項)、立ち入る側は身分証明書を携帯・提示する義務を負い(6項)、立入りによる損失は国が補償する(7項)。権限と手続保障・補償がセットになっている構造を押さえる。
補足損失補償の主体は「国」であり、法務局又は地方法務局ではない。筆界特定制度全体が国の事務として構成されている点と整合する。
問8関係行政機関等に対する協力依頼(138条)
筆界特定のための関係行政機関等に対する協力依頼に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法務局又は地方法務局の長は、筆界特定のため必要があると認めるときであっても、関係地方公共団体の長に対して資料の提出を求めることはできない。
- イ.関係行政機関等への協力依頼をすることができるのは対象土地の所在地を管轄する法務局の長に限られ、地方法務局の長には認められていない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 138条が明文で協力依頼を認める → 「求めることができない」は誤り
不動産登記法第138条「関係行政機関の長、関係地方公共団体の長又は関係のある公私の団体に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 138条は地方法務局の長も主体として明文で含める → 「認められていない」は誤り
不動産登記法第138条「法務局又は地方法務局の長は、筆界特定のため必要があると認めるとき」e-Gov原文
ひっかけ137条の立入調査(対象土地・関係土地の占有者に対する強制的な調査手段)と138条の協力依頼(行政機関・公私の団体に対する任意の協力要請)を混同させる肢に注意。138条はあくまで「求めることができる」という任意協力の規定である。
解説138条は、対象を関係行政機関の長・関係地方公共団体の長・関係のある公私の団体の3類型とし、いずれに対しても資料提出その他必要な協力を求めることができると定める。筆界特定の申請人・関係人以外の第三者からの情報収集を可能にする規定である。
補足138条の協力依頼は罰則による担保がなく、あくまで任意の協力を求める規定にとどまる。強制力を伴う137条の立入調査とは性質が異なる。
問9筆界特定手続の調書及び資料の閲覧請求(141条)
筆界特定の申請人及び関係人による調書等の閲覧に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.筆界特定の申請人及び関係人は、公告があった時から筆界特定の申請人に対する通知がされるまでの間、筆界特定登記官に対し、当該手続において作成された調書及び提出された資料の閲覧を請求することができる。
- イ.筆界特定登記官は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときは、調書等の閲覧の請求を拒むことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 141条1項が明文で期間と請求権を定める → 記述は正しい
不動産登記法第141条第1項「筆界特定の申請人及び関係人は、第百三十三条第一項本文の規定による公告があった時から第百四十四条第一項の規定により筆界特定の申請人に対する通知がされるまでの間」e-Gov原文
- イ.正しい
- 141条1項後段の反対解釈上、正当な理由があれば拒否できる → 記述は正しい
不動産登記法第141条第1項「第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない」e-Gov原文
ひっかけ141条1項は「〜でなければ、閲覧を拒むことができない」という二重否定の規定で、原則は閲覧を認めつつ例外的に拒否できる場合を定める構造。原則と例外を逆にした肢に注意する。
解説閲覧請求ができる期間は「公告があった時」から「筆界特定の申請人に対する通知がされるまでの間」に限定される。141条2項は、筆界特定登記官が閲覧について日時及び場所を指定することができるとも定めており、無制限の閲覧権ではない。
補足閲覧請求権者は「筆界特定の申請人及び関係人」に限られる。何人にも認められる149条の筆界特定書等の写しの交付・閲覧(手続終了後)とは主体・時期の双方で異なる制度である。
問10筆界確定訴訟における釈明処分の特則(147条)
筆界確定訴訟における釈明処分の特則に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.筆界特定がされた後、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えが提起されたときは、裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため、登記官に対し当該筆界特定手続記録の送付を嘱託することができる。
- イ.筆界確定訴訟が先に提起され、その後に同じ筆界について筆界特定がされた場合には、裁判所は筆界特定手続記録の送付を嘱託することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 147条前段が明文でその旨を定める → 記述は正しい
不動産登記法第147条「裁判所は、当該訴えに係る訴訟において、訴訟関係を明瞭にするため、登記官に対し、当該筆界特定に係る筆界特定手続記録の送付を嘱託することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 147条後段が『同様とする』と明文で定める → 「嘱託できない」は誤り
不動産登記法第147条「民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えが提起された後、当該訴えに係る筆界について筆界特定がされたときも、同様とする」e-Gov原文
ひっかけ147条は「筆界特定→訴え提起」の順序(前段)と「訴え提起→筆界特定」の順序(後段)の両方をカバーしており、順序を限定する記述(片方の順序でしか嘱託できない)は誤りになりやすい。
解説筆界特定と筆界確定訴訟は、対象となる筆界を共通にしうる別制度である。147条は先後どちらの順序でも、裁判所が筆界特定手続記録の送付を登記官に嘱託できることとし、訴訟における事実解明を筆界特定の結果によって補助する仕組みを設けている。
補足147条はあくまで裁判所の「嘱託することができる」という裁量規定であり、筆界特定の結果が訴訟の判断を拘束するものではない。筆界特定と確定判決の関係は146条(筆界確定訴訟の判決との関係)で別途規律される。
問11筆界特定書等の写しの交付及び手続記録の閲覧(149条)
筆界特定書等の写しの交付等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.筆界特定書又は政令で定める図面の写しの交付を請求することができるのは、当該筆界特定の申請人及び関係人に限られる。
- イ.筆界特定書等以外の筆界特定手続記録の閲覧は、請求人が利害関係を有する部分に限って認められる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 149条1項が『何人も』と明文で定める → 「申請人及び関係人に限られる」は誤り
不動産登記法第149条第1項「何人も、登記官に対し、手数料を納付して、筆界特定手続記録のうち筆界特定書又は政令で定める図面の全部又は一部」e-Gov原文
- イ.正しい
- 149条2項ただし書が明文で限定する → 記述は正しい
不動産登記法第149条第2項「筆界特定書等以外のものについては、請求人が利害関係を有する部分に限る」e-Gov原文
ひっかけ141条(手続進行中・申請人及び関係人限り・筆界特定登記官への調書等の閲覧請求)と149条(手続終了後・何人でも可・登記官への筆界特定書等の写し交付請求)は、主体・時期・対象のいずれも異なる別制度。両者を同一の要件と誤認させる肢に注意する。
解説149条は、①筆界特定書等(筆界特定書・政令で定める図面)の写しの交付は何人も請求できる(1項)、②筆界特定手続記録全般の閲覧も何人も請求できるが、筆界特定書等以外の部分は請求人が利害関係を有する部分に限られる(2項)、という2段階の公開範囲を定める。
補足筆界特定書等の写し・閲覧いずれも手数料の納付が要件となる。119条3項・4項の手数料に関する規定が149条3項により準用される。
問12登記官による所有者等に関する情報の提供の求め(151条)
登記官による情報の提供の求めに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.登記官は、職権による登記をするために必要な限度であっても、関係地方公共団体の長に対し不動産の所有者等に関する情報の提供を求めることはできない。
- イ.登記官が情報の提供を求めることができるのは職権による登記をするためであり、14条1項の地図を作成するためには認められていない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 151条が明文で情報提供の求めを認める → 「できない」は誤り
不動産登記法第151条「登記官は、職権による登記をし、又は第十四条第一項の地図を作成するために必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し」e-Gov原文
- イ.誤り
- 151条が『又は地図を作成するために』と明文で並列的に定める → 「認められていない」は誤り
不動産登記法第151条「又は第十四条第一項の地図を作成するために必要な限度で」e-Gov原文
ひっかけ151条の情報提供の求めの対象は「不動産の所有者等」(所有権が帰属し又は帰属していた自然人又は法人)に関する情報であり、筆界そのものに関する情報の収集を目的とする135条・138条とは対象事項が異なる点に注意。
解説151条は、職権による登記と14条1項の地図作成という2つの場面のいずれについても、登記官が関係地方公共団体の長その他の者に所有者等情報の提供を求めることができると定める。所有者不明土地・空き家問題等を背景に、登記官が能動的に所有者情報を収集できるようにした規定である。
補足情報提供の求めの相手方は「関係地方公共団体の長その他の者」であり、138条の協力依頼(行政機関・地方公共団体・公私の団体)よりもさらに広く「その他の者」を含む点に注意。
問13登記識別情報の安全確保と秘密保持義務(152条)
登記識別情報の安全確保に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.登記官は、その取り扱う登記識別情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の登記識別情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。
- イ.不動産登記の事務に従事する法務事務官又はその職にあった者は、その事務に関して知り得た登記識別情報の作成又は管理に関する秘密を漏らしてはならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 152条1項が明文で措置義務を定める → 記述は正しい
不動産登記法第152条第1項「登記識別情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の登記識別情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 152条2項が退職後の者も対象に含める → 記述は正しい
不動産登記法第152条第2項「その職にあった者は、その事務に関して知り得た登記識別情報の作成又は管理に関する秘密を漏らしてはならない」e-Gov原文
ひっかけ152条2項の秘密保持義務の主体は「登記官その他の不動産登記の事務に従事する…法務事務官又はその職にあった者」であり、現職者に限らず退職者も含む点が問われやすい。「在職中に限る」とする肢に注意。
解説152条は1項で登記官自身の安全管理措置義務、2項で登記官及び事務従事者(退職者を含む)の秘密保持義務という2段階の規律を置く。違反した場合の罰則は159条(秘密を漏らした罪)に定められており、152条2項と159条はセットで理解する。
補足152条1項の措置義務の主体は「登記官」のみだが、2項の秘密保持義務は登記官に限らず不動産登記の事務に従事する法務事務官等にも及ぶ点で主体の範囲が異なる。
問14秘密を漏らした罪(159条)
秘密を漏らした罪に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.152条2項の規定に違反して登記識別情報の作成又は管理に関する秘密を漏らした者は、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処せられる。
- イ.秘密を漏らした罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 159条が明文で法定刑を定める → 記述は正しい
不動産登記法第159条「第百五十二条第二項の規定に違反して登記識別情報の作成又は管理に関する秘密を漏らした者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 159条が明文で刑を定める → 「3年以下・200万円以下」は誤り
不動産登記法第159条「二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」e-Gov原文
ひっかけ160条(虚偽の登記名義人確認情報を提供した罪=2年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)・161条(不正に登記識別情報を取得等した罪=同)と159条とで罰金額が異なる(159条のみ100万円以下)点を入れ替えた肢に注意する。
解説第八章罰則のうち登記識別情報に関する罪は、159条(登記官等による秘密漏示・2年以下/100万円以下)、160条(虚偽の登記名義人確認情報提供・2年以下/50万円以下)、161条(不正取得等・2年以下/50万円以下)の3類型がある。いずれも拘禁刑の上限は2年で共通するが、罰金額は159条が最も重い。
補足159条の主体は152条2項の秘密保持義務を負う登記官・事務従事者(退職者含む)に限られる点で、何人も主体となり得る161条の不正取得等の罪とは主体の範囲が異なる。
問15不正に登記識別情報を取得等した罪(161条)
不正に登記識別情報を取得等した罪に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正に登記識別情報を取得等した罪の主体は、実際に不実の登記をした者に限られ、登記識別情報を取得しただけの者は処罰されない。
- イ.不正に取得された登記識別情報を、不実の登記の申請等に供する目的で保管した者も、取得した者と同様に処罰される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 161条1項が『取得した者』を処罰対象とする(実際の不実登記の完成を要件としない)→ 記述は誤り
不動産登記法第161条第1項「登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託の用に供する目的で、登記識別情報を取得した者は、二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 161条2項が明文でその旨を定める → 記述は正しい
不動産登記法第161条第2項「不正に取得された登記識別情報を、前項の目的で保管した者も、同項と同様とする」e-Gov原文
ひっかけ161条1項は目的犯(『不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託の用に供する目的で』取得した場合に限る)である点に注意。単に登記識別情報を取得しただけで直ちに処罰されるわけではなく、この目的が要件となる。
解説161条は、①不実登記の用に供する目的での取得(1項前段)、②情を知って情報を提供した者(1項後段)、③不正取得された情報を同目的で保管した者(2項)の3類型を同一の法定刑(2年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)で処罰する。取得・提供・保管という登記識別情報の不正流通の各段階を幅広く捕捉する構造である。
補足161条の主体は登記官等の特別な地位を要しない一般人であり、この点で152条2項の秘密保持義務を前提とする159条とは主体の性質が異なる。